現在がん治療の分野においてとくに注目を集めているコンパニオン診断ですが、個別化医療の発展に伴いどのような成長をしていくことが予想されるのでしょうか?
「コンパニオン診断について詳しく知りたい」
「コンパニオン診断薬はどのように使われるのか知りたい」
「コンパニオン診断の将来性や広がりについて知りたい」
今回は、このような考えをお持ちの方に向けて、コンパニオン診断によって得られるメリットや技術市場の今後の展望などについて詳しく解説します。
コンパニオン診断分野への転職に役立つ情報もご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
コンパニオン診断とは
コンパニオン診断とは、特定の治療薬が患者さんに対して有効であるかどうかを、あらかじめ判定する検査のことです。
こちらは、コンパニオン診断薬の登場により2011年ごろから普及し始めました。
患者さんごとに無駄を省いた高い治療効果が得られる医療技術として、現在では広く認知されています。
コンパニオン診断薬とは
コンパニオン診断に使用される検査薬のことをコンパニオン診断薬といいます。
薬の効果で患者さんの遺伝子の変化などを測定することによって、治療薬の有効性の有無を判別することが可能です。
コンパニオン診断薬は原則として分子標的薬(治療薬)と1:1の割合で対応するように使用されます。
コンパニオン診断の3つのメリット
コンパニオン診断薬の主なメリットは以下の3つです。
- 患者それぞれに合う薬を選択できる
- 医療費の削減になる
- 新薬の開発コスト削減になる
1.患者さんそれぞれに合う薬を選択できる
1つ目は、患者さんそれぞれに合う薬を選択できることです。
診断結果に基づいて患者さんに最も合う治療法を選択し、より高い効果を得ることが可能になります。
また、効果の薄い薬の投与を未然に防ぐことで、患者さんに起こり得るはずの副作用も最小限に抑えられるという利点があります。
2.医療費の削減になる
2つ目は、医療費の削減になることです。
非効率的な投薬の減少により、長い目で見たときに医療費削減につながることが期待されます。
効果の低い薬をやめることで無駄な治療費をかけなくて済むので、患者さんにとっても身体だけでなく医療費の負担が軽減されるというメリットがあります。
3.新薬の開発コスト削減になる
3つ目は、開発コスト削減になることです。
高い治癒効果の期待できる患者さんを選び出すことで新薬開発の成績の向上とコストの削減につながります。
開発コストが下がるということは、販売価格も下がりやすくなるということなので、患者さんにとっても大きな利点となります。 あわせて読みたい
コンパニオン診断の問題点
コンパニオン診断の抱える問題点としては、主に以下の2つが挙げられます。
- 治療薬の組み合わせに応用が利かない
- 場合によっては複数回検査をしなければいけない
治療薬の組み合わせに応用が利かない
1つ目に、治療薬の組み合わせに応用が利かないことが挙げられます。
コンパニオン診断では、検査の対象が同じ遺伝子異常だったとしても会社ごとに決められた薬をセットで使わなければなりません。
例:
- A社の検査ならa
- B社の検査ならb
例えば、aの薬が効かなくなりbに変更したい場合、同じ内容の検査なのでbが効くだろうとわかっていても「改めて検査をし直さなければならない」という制約が設けられているのです。
場合によっては複数回検査をしなければいけない
2つ目に、場合によっては複数回検査をしなければならないことが挙げられます。
1回目の診断ですぐに自分に合う薬が見つかれば良いですが、そうでない場合、合う薬が見つかるまで検査を続ける必要があるのです。
その間、患者さんの経済的・心身的な負担は増え続けてしまうという危険性があります。
2019年からは遺伝子パネル検査も開始
コンパニオン診断に類似した技術として、2019年から遺伝子パネル検査というものが開始されました。
コンパニオン診断では、使用したい薬の効果に関連する1つの遺伝子の異常についてしか調べられないのに対し、遺伝子パネル検査では一度に複数の遺伝子について調べることができるといったメリットがあります。
遺伝子パネル検査
採取されたがん組織を用いて、高速で大量のゲノム情報を読み取る“次世代シークエンサー”と呼ばれる解析装置を使用して行う。一度の検査で100以上の遺伝子を調べることが可能。
参考:がんゲノム医療とがん遺伝子パネル検査 – 国立がん研究センター
コンパニオン診断の今後の展望
コンパニオン診断の今後の展望としては、より一層の技術の進歩・市場の拡大が予想されるでしょう。
REPORT OCEAN(市場調査レポートプロバイダー)の市場調査レポート(2021年4月19日発行)では、世界のコンパニオン診断技術マーケットは約29億米ドル(2019年当時)と評価しており、成長率は2027年までに20%を超えると予測しています。
参考:2021年4月19日 REPORTOCEAN
コンパニオン診断を用いた個別化医療は下記疾患の治療への応用も進んでおり、日々技術が進化していることが確認できます。
- 呼吸器疾患
- アルツハイマー型認知症
- パーキンソン病
より専門分野を極めたいなら転職も1つの選択肢に
現在、医師としてより専門分野を極めていきたいと考えているのであれば、コンパニオン診断の分野に転職することも選択肢として挙げられます。
とくに、がん治療は研究が盛んで年々新しい治療法が出てきている分野です。 あわせて読みたい
「最新の治療を取り入れている病院で働きたい」「研究に専念できる環境を整えたい」と考えているのであれば、同分野への転職によってそれらの希望が叶うかもしれません。
医師専門の転職エージェントなら「メッドアイ」
コンパニオン診断の分野に転職をする際には、専門のエージェントを活用されることをおすすめします。
メッドアイなら無料相談も行っているので、少しでも転職を検討しているなら相談だけしてみるのもよいでしょう。
医師専門転職エージェント「メッドアイ」なら、医師のキャリアプランに合った職場探しを全力でサポートします。
まとめ(コンパニオン診断とは)
今回は、コンパニオン診断のメリットや今後の展望について解説しました。
- コンパニオン診断とは特定の治療薬の有効性を事前に判定する検査のこと
- 患者さんごとに適した薬の選択や医療費・新薬の開発コスト削減といったメリットがある
- 治療薬の応用が利かず複数回の検査を要する場合があるなどの問題点がある
- 一度に複数の遺伝子異常を検査できる「遺伝子パネル検査」という技術も存在する
- コンパニオン診断の予想成長率は2027年までに約20%を超える
- 専門分野を極めたいなら転職することも視野に入る
- 転職する際には医師専門の転職エージェントの活用がオススメ
オーダーメイド医療の推進に伴い、今後ますますの発展が予想されるコンパニオン診断の分野。
最新の医療技術に興味がある方や、これから専門分野の獲得を考えている方は、ぜひ同分野への転職を検討してみてはいかがでしょうか。
そして、転職活動を行う際には一人で悩まずに、転職のプロである専門のエージェントをご利用ください。
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