「医局を辞めたいけれど、どうやって切り出せばいいのか分からない」そんな悩みを抱える医師は少なくありません。
医局には独自の上下関係や暗黙のルールがあるため、辞める際に気を使うポイントも多く、感情的なすれ違いが起こりがちです。

この記事では、医局を辞めるときの

  • 具体的な手順
  • 伝え方のポイント
  • 提出書類の扱い
  • 退職交渉がこじれた場合の対応策

までわかりやすくまとめました。医局との関係を悪化させず、スムーズに退局するための参考にしてください。

医局を辞めるときの基本ステップ

医局を辞める場合は、「誰に・いつ・どう伝えるか」が非常に重要です。いきなり教授や人事に退職願を出すのではなく、段階を踏むことでトラブルを避けられます。

基本の流れ

  1. 医局内のルール(就業規則など)を確認
  2. 直属の上司(指導医や医局長)に口頭または退職願にて意思表示
  3. 教授への報告タイミングを相談
  4. 教授に直接面談で退職意思を伝える(秘書を通じて日程調整)
  5. 必要書類(退職願・退職届)の提出
  6. 引き継ぎ・退職手続きに移行
  7. 最終勤務日と挨拶まわりを終えて退職

ポイントは「順序を守って相談ベースで話を進めること」。いきなり上層部に辞意を示すと、現場との信頼関係にヒビが入ることもあります。

退職願と退職届の違いと出し方

医局を辞める際には、退職願または退職届の提出が求められることがあります。違いを理解した上で、適切に提出しましょう。

書類目的取消可否提出のタイミング
退職願退職の意志を伝える基本的に可能退職交渉の初期段階で
退職届退職を最終決定として通告原則取り消せない退職日が確定した後に

「退職願」はあくまで「辞めたい」という意思表示。話し合いの入口です。
一方、「退職届」は退職が決まった後、正式に提出する書類であり、原則として撤回はできません。

多くの医局では、

  1. 医局長に退職願を出す
  2. 教授と面談し、最終的な退職日を決定
  3. 教授または人事に退職届を提出

という流れになります。病院によって提出先が異なる場合もあるため、人事担当や医局の秘書に確認してから提出しましょう。

退職時期はどう決める?どれくらい前に言う?

就業規則に「退職の申出は●か月前までに」と定められている場合は、それに従います。
特にない場合も、一般的には2~3か月前に退職の意向を伝えるのが望ましいとされています。

ただし、医療現場は引き継ぎや後任探しに時間がかかるため、半年以上前から準備を始める医師も多いです。特に春の異動シーズン(3〜4月)に退職を狙う場合は、前年度の夏〜秋頃から準備を始めておくのが望ましいでしょう。

なお、民法上は「2週間前までに申し出れば退職可能」とされていますが、これは最終手段としてのみと考えるべきです。

教授や医局長への伝え方のコツと注意点

辞めること自体は悪いことではありませんが、伝え方次第で関係がこじれるケースもあります。以下のような工夫をすると、話がスムーズに進みやすくなります。

伝え方のポイント

  • 最初は直属の上司に相談という形で切り出す
  • 「家庭の事情」「新しい挑戦をしたい」など、前向きな理由を中心に伝える
  • 現職への感謝の気持ちは必ず添える(例:「これまでご指導いただいたおかげで成長できた」)
  • 不満や批判は控える
  • 教授への挨拶は、アポイントを取り正式な場で行う

医局には上下関係があり、教授・医局長に直接本音をぶつけることは得策ではありません。退職理由は「ポジティブな事情」「次のキャリアのため」など、前向きなものにしましょう。

一方で、「家庭の事情」「育児や介護との両立」なども、理解されやすい理由です。
重要なのは、「辞めるけど、これまで本当に感謝している」という誠実な姿勢を示すことです。

医局を辞めづらいと感じたときの対処法

「辞めたいけど受け入れてもらえない」「話が通じない」「退職届を受け取ってくれない」
こうしたケースも少なからず存在します。

よくあるトラブルと対応策

  • 医局長・教授が退職を認めない:人事部や事務局に相談
  • 面談の場すら設けてもらえない:秘書経由で依頼 or 内容証明郵便で書面送付
  • 精神的につらい:医師専門の転職エージェントに相談するのも有効

辞めたいのに「人手不足だから無理」「後任がいないから待って」などと退職を引き止められるケースもありますが、退職は労働者の権利。最終的には2週間前に通知すれば法的に辞められます

必要であれば、書類を「内容証明郵便」で送付し、証拠を残しながら進めることも可能です。
精神的に負担が大きい場合は、第三者の力を借りることも大切です。

退職当日までにやるべきことリスト

医局を辞めると決まったら、最後まで誠実に対応することが、円満退職につながります。以下の点をチェックしておきましょう。

  • 業務の引き継ぎ資料を作成する
  • 担当患者の情報共有を行う
  • 医局備品や貸与物を返却する
  • 退職のあいさつを関係者に丁寧に行う
  • 健康保険や年金などの手続きを確認しておく

職場によっては、最終日に送別会や挨拶の場を設けてくれることもあるため、好印象のまま去れるよう配慮を忘れずにしましょう。

なぜ円満退職が大切なのか?医局を“きれいに辞める”べき理由

「もう限界。とにかく辞めたい」「あんな組織、どう思われようが構わない」気持ちはわかりますが、それでも「円満に辞める」ことには意味があります。感情に任せて辞めてしまうと、あとで思わぬデメリットに直面することもあります。

円満退職を目指すべき理由

  • 医局人脈は狭く、どこかでまた関わる可能性がある
  • 退職後に紹介状や推薦書が必要になることがある
  • 転職先が医局や教授に問い合わせをするケースもある
  • 「丁寧な人だった」という印象が次のチャンスにつながる
  • 自分自身が気持ちよく次に進める

医師の世界は狭く、特に同一エリア・診療科内では驚くほどつながりがあります
医局での印象が、数年後に思わぬ場面で影響することは珍しくありません。
たとえば:

  • 転職先の上司が、前医局の教授と知り合いだった
  • 将来の学会や研究会で再会する
  • 転職先が前職に対して評価照会(リファレンス)をする

こういった場面で、感情的な辞め方をしていた場合、マイナスの印象を引きずってしまう可能性があります。
逆に、丁寧に辞めた場合は「礼儀をわきまえた信頼できる医師」という評価がつきやすく、今後のキャリアにも良い影響を与えます

また、推薦状や紹介状が必要になることもあるため、最低限の関係性は維持しておくのが得策です。

まとめ|医局を辞めるなら、準備とサポートで「後悔しない決断」を

医局を辞めることは、キャリアや人生の方向を左右する大きな選択です。
だからこそ、勢いや不満だけで動くのではなく、丁寧に準備を進めることが大切です。

  • 早めに動き出すこと
    余裕をもって準備することで、引き継ぎや手続きもスムーズに進みます。
  • 順序を守って丁寧に伝えること
    医局内の関係性を考慮し、筋を通して進めることでトラブルを回避できます。
  • 書類や手続きの違いを正しく理解すること
    退職願・退職届の違いや就業規則の確認は、円滑な辞職に不可欠です。

「辞めたい」と思っても、組織の圧力やしがらみから、なかなか一歩を踏み出せないこともあります。
しかし、自分の人生を大切にする選択を恐れる必要はありません。

もし不安があるなら、信頼できる第三者のサポートを活用することも選択肢のひとつです。

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