医療業界は、いわゆる「いじめ」や「嫌がらせ」が起こりやすいという話を耳にしたことがあるでしょうか。
あるいは、実際に嫌がらせに悩んでいる医師の方もいるかもしれません。

「医療業界でいじめが問題になるのはなぜか?」
「医療業界ではどのような嫌がらせの事例がある?」
「嫌がらせを受けた時の対処法は?」

上記のように職場での嫌がらせに悩む医師に、転職エージェントの視点で解決方法を提案します。

あってはならない職場でのいじめが散見されるのは、
ミスが許されない仕事であるが故の厳しさやストレスが関係していると言われています。

実際の事例や、自分がいじめに遭ってしまった場合の対処について解説しますので、ぜひ参考にしてください。


医局はなぜ嫌がらせ・いじめが起こりやすいのか

そもそも医局や病院では、なぜいじめが起こりやすいのでしょうか?
繰り返しになりますが、「ミスが許されない仕事」であることが関係しています。

常に強いストレスの中で働くこととなり、周囲への当たりがキツくなってしまうこともあるでしょう。
長時間労働での疲れも、周囲への対応を乱雑にさせてしまう要素の1つと言えます。

また、医局での指導医や教授の厳しい指導が原因のケースも見受けられます。
もちろん指導医は、いじめているつもりはないこともあります。
しかし、指導という特性上、強い態度になってしまうことがあるでしょう。

上記のようなことが、医局や病院でいじめが起こりやすい原因と言えます。医師転職お役立ちnavi 公式 Instagram 医師キャリアに関する有益な情報を発信中!

医局の嫌がらせ・いじめの典型的な事例7選

ここからは、医局制度の下で起こりやすいいじめの事例をご紹介します。

  • 上司によるパワハラ
  • 女性同士の嫌がらせ
  • 退職に追い込む嫌がらせ
  • 大勢の前で批判する・バカにする嫌がらせ
  • 管理の行き過ぎ
  • 仕事・情報を与えない
  • プライバシーの侵害

①上司によるパワハラ

職場でのいじめの代表的なパターンが、「上司によるパワハラ」です。
最初は厳しく指導をしているだけなのかもしれませんが、いつの間にかそれが普通となってしまい、常に部下にキツく当たる上司もいるのです。

また、部下が思い通りに動いてくれないなどの理由から、無視したり雑用ばかり撒かせたりといった「嫌がらせ」に発展することもあります。
いじめられる側も「自分が未熟だから」と負い目を感じるため、自分で抱え込んだ結果メンタルの不調をきたしてしまうこともあります。

パワーハラスメントの典型例として、以下のような項目が挙げられています。

・身体的な攻撃(暴行・障害)
・精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言)
・人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
・過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行 不可能なことの強制・仕事の妨害)
・過小な要求(業務上の合理性なく能力や経験 とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや 仕事を与えないこと)
・個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)

厚生労働省「職場におけるハラスメント関係指針」より引用

②女性同士の嫌がらせ

女性医師の場合、同性間のいじめや嫌がらせもよく聞かれます。
産休や育休などを取得したことがきっかけとなったり、性格や考え方が合わないことから嫌がらせやいじめに発展したりするケースです。

出産・育児後も仕事を続ける女性医師が増えて、必然的にトラブルが発生しやすくなってきていると言えるでしょう。

③退職に追い込む嫌がらせ

上司からのパワハラと似通ったところがありますが、組織ぐるみで労働者を退職に追い込むための嫌がらせが行われているケースもあります。

自主退職を促すために、過去には「追い出し部屋」に移動させて雑用だけをさせるといった事例も報道されました。
近年ではそこまで露骨な事例を聞く機会は少ないですが、ゼロではないようです。

従業員に対しての「退職勧奨(退職を促す行為)」自体は違法ではありません。
しかし、従業員側にも選択の自由があることが前提です。
組織ぐるみで退職を強要する嫌がらせは、違法行為とされます。

④大勢の前で批判する・バカにする嫌がらせ

他のスタッフもいるところでわざと批判や嫌がらせをする行為もよく聞かれます。
嫌がらせを受けた方は、自信を失ったり、名誉を傷つけられたりします。
同僚同士でのトラブルや、上司からのパワハラとして行われることもあるようです。

特に上司からの場合は、大きなダメージを受けて自信喪失につながります。
同僚同士であれば、うまくかわすスキルを持つことで対処できる場合もあるでしょう。

⑤管理の行き過ぎ

上司や先輩など、職場の上の立場の人間が必要以上に管理する嫌がらせです。
例えば、ミスの多いスタッフにトイレに行く時間まで逐一報告させるようなケースです。

いわゆるやりすぎな管理のことで、パワハラの一種と言えるでしょう。
管理しきれない量の仕事を押し付けて残業させたり、言うことを聞かない部下を必要以上に責めたりするケースもあります。

⑥仕事・情報を与えない

仕事の情報や、そもそも仕事自体を与えないのも嫌がらせの典型的な例です。
③の退職に追い込むためにも使われるケースでもあります。

仕事に関する最新情報がないと、スムーズな仕事ができません。
そもそも仕事自体を与えないのは、その人の存在自体を否定する行為です

職場内で与えられた仕事を全うすることで、スキルやキャリアをアップするので、成長の機会すら奪われることになってしまいます。

⑦プライバシーの侵害

有給休暇の取得理由を執拗に聞いたり、休日の過ごし方などを根掘り葉掘り問いただしたりといった行為はプライバシーの侵害と言えるでしょう。

その他にも下記のことはプライバシーの侵害と言えます。

  • 思想や宗教などで区別する
  • 不利益を与える
  • 時間外に強引に飲み会に誘う
  • 休日にイベントなどで無理やり駆り出す
  • 家族や恋人について詳しく聞く

医局で嫌がらせ・いじめに遭った時の対処法

もし自分が医局内で嫌がらせやいじめに遭ったら、どう対処したらいいのでしょうか?
基本的には、焦らず落ち着いて対応することが大切です。

対処法としては、以下の3つが挙げられます。

  • 気にしないで無視する
  • 嫌がらせをする人と距離を置く
  • 法律を味方につける

それぞれの対処法を詳しく解説していきます。

気にしないで無視する

医局で嫌がらせを受けた時、大切なのは「過剰に反応しないこと」です。
なんなら無視してしまうぐらいのスルースキルを身につけておきましょう。

いじめられた都度まじめに反応していると、相手が調子に乗って嫌がらせがエスカレートする恐れがあります。
たとえ大勢の前で批判されても、「ああそうですか」ぐらいの気持ちで受け流してしまいましょう。
その場を受け流して、後は忘れてしまって大丈夫です。

嫌がらせには基本的に、大した根拠はありません。
「もしかして、相手の言っていることも一理あるかも」などと考える必要は全くないのです。

嫌がらせをする人と距離を置く

嫌がらせやいじめを受けたら、とりあえず受け流して、その後は相手と距離を取ることをおすすめします。
仕事で関わらないといけない相手であっても、業務で必要な会話だけにして、雑談などはしなくて大丈夫です。
プライベートなことなども極力話さないようにしましょう。

相手に避けられていると言われるかもしれませんが、気にする必要はありません。
嫌がらせをするから避けているので、相手もそれに気づけば態度が軟化する可能性もあります。
また「いじめ甲斐がない」と判断されれば、嫌がらせも飽きて止むかもしれません。

法律を味方につける

組織ぐるみの嫌がらせや、度を越した嫌がらせを受け、仕事やプライベートに影響が出てしまう場合は、無視だけでは限界があります。
そんな時は、毅然と戦う姿勢を見せるのも選択肢の一つです。

訴え出て法の力を借りて戦うことになるため、どのような嫌がらせをいつ受けたのか、その都度記録して集めておきましょう。
録画できれば一番簡単ですが、難しい場合はメモや録音でも大丈夫です。
嫌がらせの証拠は、法廷で争う際に必要になってきます。
記録する際は、時間、場所、嫌がらせの内容、その時居合わせた人などを漏らさずチェックしておきましょう。


それでも解決しない時は転職を検討する

医局で理不尽な嫌がらせを受けてしまったら、うまくスルーして受け流してしまうことが肝要です。
しかし、嫌がらせがしつこかったり、悪質すぎたりする場合は、その職場を辞めてしまうのも一つの方法です。
根拠のないいじめを解決するには、円満退職の理由を見つけて転職した方が早いのです。

いじめを受けたら、スルーしながらしばらく様子を見て、改善しないようなら転職エージェントに相談してみてください。
転職エージェントは、今の職場の人間関係を解決することはできませんが、転職という選択肢であなたの人間関係をリセットすることが可能です。
医師としてどのようなキャリアを積んでいきたいのかも含めて相談することで、たくさんの選択肢からあなたに合った病院を見つけることができるでしょう。


職場でのいじめで悩んでいる時は、転職するかどうかはさておき、まずは気軽に相談してみることをおすすめします。



まとめ(医局を嫌がらせで辞める)

残念ながら医療業界は、パワハラや理不尽な嫌がらせが起きやすいと言えます。
もしも嫌がらせを受けてしまった場合は、基本的には受け流す「スルースキル」が大切です。
そして、嫌がらせをする相手とはなるべく距離を置き、関わらないようにすることで落ち着く場合もあります。

しかし、しばらく経っても沈静化する兆しがない場合は、無理に戦うよりは転職で人間関係をリセットした方が得策です。
もちろん、今いる医局に入局したのには理由があるとは思います。
しかし、その医局でなくても目的が達成できるなら、転職した方が心身ともに健康でいられるのではないでしょうか。

医師の転職理由は、こちらの記事でも解説していますので参考にしてください。

嫌がらせやいじめられていると感じたら、転職で人間関係をリセットするという解決法もあります。
転職しようかどうしようかと悩んだら、まずはお気軽に転職エージェントに登録・相談してみてください。