研修医として過ごす日々は、業務に学習にと盛りだくさんの課題をこなしていくため、とても忙しく感じられます。
医大生の頃と比べても学ぶことが増え、勉強時間の確保は難しいという状態です。
当初描いていたキャリアプランをうまく構築できているか、不安に感じるという方もいるのではないでしょうか。
「研修医として勉強しなきゃという思いはあるが、なかなか手を付けられずに困っている」
「研修医として勉強したいが疲れ切ってやる気が出ず、このまま研修期間を終えてしまうのが不安」
この記事では、勉強時間を確保できなかったり、忙しくて勉強に集中できないと悩む方に向けて、研修医の心構えをご紹介します。
今ひとつ勉強に身が入らない状態になってしまう理由についても解説しますので、参考にしてください。
研修医が勉強できない5つの理由
研修医が満足のいく勉強を進められていないと感じるケースは多く、その背景は大きく分けると2つのパターンになります。
- 勉強時間が捻出できない
- 勉強に集中するモチベーションが維持できない
そして、この状態になってしまう理由には、主に以下のようなものがあるのです。
- すきま時間の有効活用ができていない
- 「知っている」ということだけで安心してしまっている
- 目指している診療科以外への興味がわかない
- すべての診療科について学ぼうとしている
- 理想と現実のギャップについていけない
ここでは、研修医が勉強できない状態になってしまう理由について、1つずつ詳しく解説します。
1.すきま時間の有効活用ができていない
研修医は臨床現場の仕事に向き合いながら、実践的な技術や知識を学んでいきます。
学生時代と異なり、働きながら学ぶため、時間の捻出が課題となるのです。
勉強時間は、自分から積極的に作っていく心構えが必要です。
例えば、通勤の電車の中や、休憩時間の一部を勉強に充てるといった、すきま時間の活用を積極的にしていれば、少しずつでも勉強を進めることができます。
忙しい環境にいる人や、上手に時間配分を行えない人の場合、まとまった勉強時間を作ることが難しくなりがちです。
そんな時に、すきま時間を活用できるかどうかで、勉強しているという実感を得られるかどうかも変わってきます。
2.「知っている」ということだけで安心してしまっている
研修医は、まず医大で医学の基礎を徹底的に学び、国家試験を突破しています。
基礎的な医学知識を十分に培ってから研修医としてスタートを切るため、ある程度のことは「知っている」状態です。
この「知っている」が安心感を生んでしまい、次のステップの学びに舵を切れないケースがあります。
医学的知識を「知っている」人でも、いざ具合の悪い患者さんを目の前にして「できる」ことはあまりないでしょう。
研修医は「できる」ことを増やすために、今までの知識をどう活かし、使うべきかを学んでいく過程です。
学びに対する気持ちを切り替えないと、モチベーションも上がりづらくなってしまいます。
3.目指している診療科以外への興味がわかない
研修医は2年かけていくつもの診療科をローテーションで回っていきます。
初めから目指す診療科が決まっている研修医の場合、それ以外の診療科での勤務に興味がわかないというケースがあるのです。
ローテーションで必ず回らなくてはならないが、目指す診療科でないことから興味が持てず、その診療科の内容の学習が疎かになる研修医がいるという話は割とよく聞かれます。
今担当している診療科がたとえ目指す診療科でなくとも、まったく無関係ということはありません。 あわせて読みたい
また、将来必ず自分が目指した診療科で活躍できる保証も、研修医の時点ではないと言ってもいいでしょう。
一見無関係と思える診療科を回っていても、すべてが自分の糧になると信じ、好奇心旺盛に学んでいく気持ちを保つことが大切です。
4.すべての診療科について学ぼうとしている
上の項とは逆のパターンで、好奇心が旺盛すぎるケースもあります。
ローテーションで回るすべての診療科について、気になったことを片っ端から深掘りしようとしてしまうパターンです。
それ自体は悪いことではないのですが、ただでさえ情報量の多い研修医は、ある程度情報の取捨選択をしないと追いつけなくなります。
あれもこれもと手を伸ばした結果、広く浅い知識しか得られなかったり、勉強そのものが追いつかなくなって脱落してしまうという結果にもつながりかねません。 あわせて読みたい
「この診療科ではどんなことを中心に学ぶか」をある程度想定して、予習や情報収集をしておかないと、優先順位が整理できず破綻してしまいます。
5.理想と現実のギャップについていけていない
周囲の同期や指導医と自分を比べてしまったり、患者を前にして責任感の重さに耐えられなくなったりすることで、学習意欲が削がれてしまうパターンも聞かれます。
また、当初思い描いていた働き方と現実とのギャップを感じ、モチベーションを下げてしまう方もいるようです。
結果として学習に身が入らず、研修医を終える頃に学習不足を実感し、将来に不安を感じてしまいます。
研修医はあくまでも医師になるためのスタートラインに立ったばかりの存在です。 あわせて読みたい
下手に周囲と比べて劣等感を感じる必要性はどこにもありません。
また、目指していた診療科が思っていた働き方と違うと感じたら、まだ診療科を変えることもできる時期です。
すべてが「これから」の状態にいる時点ですから、ギャップがあっても恐れずに、道を探していく気持ちを持つことをおすすめします。
研修医が勉強しないと後悔すること3選
働きながら学ぶ研修医という立場は、勉強を思った通りに進めることが難しいと感じることもしばしばです。
しかし、流れに任せて学習を疎かにしてしまうと、必ず後で後悔することになるでしょう。
ここからは、研修医が勉強を怠ってしまうと起こるリスクについてご紹介します。
1.勉強できていない科に弱くなる
研修医時代に、興味がない診療科の勉強を疎かにしていると、後々までその診療科の知識が乏しい状態が続きます。
研修先のローテーションで回ってこなかったなど、物理的な事情があり学べなかった診療科については仕方ないかもしれません。
しかし、ローテーションで入れた診療科の勉強に身が入らないのは非常にもったいないことです。
医師として働いていると、専門領域だけ担当すればいいという環境で働けることはあまりありません。
大なり小なり、他の診療科の領域でも多少は貢献できる力を持っていないと困る場面が出てきます。
また、専門領域で治療をしていても、患者が複数の疾患を抱えているケースもあり、ある程度他の診療科の知識は必要になってくるのです。
研修医時代に触れられる領域については、できるだけ旺盛に知識を吸収できることが望ましいでしょう。
2.対応が間に合わなくなる可能性がある
研修医が率先して身につけるべきスキルは、机上の知識よりも治療に活かせる実践的な対応力です。
研修医時代にその点を理解して学んでおくことは、後々医師として働く上で必須と言えます。
ここが疎かなまま研修医を終えてしまうと、臨床現場での咄嗟の判断に迷ったり、対応が遅れたりするリスクが出てきます。
緊急度と重要度の区別がつかなかったり、自分の診療科と異なる症状があったりした場合に、患者の命を危険に晒してしまうリスクにつながりかねないのです。
研修医時代に学べることをどれだけ吸収できるかで、医師になってからの対応力には確実に差が出てきます。
さらに、研修医を終え医師として働き始めてからも、できるだけ多くの経験を積み、対応できる幅を増やしていくことが大切です。
3.スキルアップまでに時間がかかる
研修医だけでなく、どんな仕事でもそうですが、しっかり勉強をしてきている人とそうでない人では、知識やスキルの差が出てくるのは当然です。
研修医として働く2年間で、いかに多くの知識を得てスキルを身につけるかが、その後の働き方にも影響します。
勉強を疎かにしたまま研修を終えてしまうと、必要なことすら頭に入っていないことも起こり得るでしょう。
そのまま臨床現場に出れば、スムーズに動けない場面も出てくるかもしれません。
働きながら成長していく上で、成功体験を持つことは重要ですが、このような状況では失敗体験ばかりになってしまうリスクがあります。 あわせて読みたい
誰しも未知の状況に遭遇すれば、判断に迷ったり間違えたりすることはあるでしょう。
しかし、医師の間違いは時に患者の命に直結することもあります。
未知の状況に遭遇した時に考えて切り抜ける機転を身につけるためにも、研修医時代により多くの学習が必要となります。
研修医として失敗しないために理解しておきたい3つのこと
研修医の間にどれだけ学べるかは、後々に響いてきます。
医師として独り立ちした時に、研修医時代の学びが足りていないと、順調なスタートが切れないリスクが出てくるでしょう。
ここからは、研修医の間の過ごし方が「失敗」にならないために必要な心構えをご紹介します。
1.報連相の重要性
医療の現場では、勉強ができていてもそうでなくても、実際の対応がうまくできないことはあり得ます。
珍しい症例や緊急時には、どう判断していいかわからなくなることも出てくるでしょう。
これは、研修医ならば当たり前のことです。
そうした場面で、無理に一人で解決しようとしてはいけません。
必ず、「報連相」の意識を忘れず、周りと協力しながら動くことを心がけてください。
その現場がスムーズに動いてこそ、そこから学べるスキルや対応方法があるのです。
失敗事例も知っておくべきことではありますが、まずは最適解を知るべきなのはいうまでもありません。
少しでも疑問に思ったり、迷ったりした場合は、必ず指導医に報告して指示を仰ぐ癖をつけるといいでしょう。
2.他科を勉強することの必要性
研修医は多くの診療科をローテーションで回っていきます。
診療科ごとに学ぶべきことは変わってきますが、どの診療科にも共通して必要な知識もあります。
また、将来何科を選ぶにしても、医学知識としてそれ以外の診療科のこともある程度把握しておくことは大切です。
だからこそ、研修医はさまざまな診療科を体験するプログラムになっているのです。
志望した診療科以外のローテーションであっても、必要性があることを意識しておかないと、学習意欲の低下につながる恐れがあります。
手を広げすぎるのは本末転倒ですが、どんな知識も無駄にはならないという旺盛な意欲を持つよう心がけることをおすすめします。
3.緊急度と重要度の区別
今目の前にある仕事の緊急度や重要度の区別をつける意識を持つことも大切です。
医師として働き始めれば、さまざまな症状の患者に次々と対応しなくてはなりません。
忙しく働く中で、優先順位をきちんとつけられないと、適切な対応ができなくなる恐れもあるのです。
研修医が学んでいく上でも、重要度や緊急度が低い仕事を優先してしまうのは問題です。 あわせて読みたい
仕事の優先順位がうまくつけられないことで、必要な知識を学ぶ機会を逃したり、時間管理がうまくゆかず勉強時間を損失したりする恐れがあります。
目の前の仕事の緊急度や重要度をしっかり見極め、適切な順番で処理していける力を身につけられるようにすることも、研修医が学ぶべきスキルです。
指導医や先輩医師の働き方をよく見て学ぶことで、現場の感覚が身についてくるでしょう。
研修医としての働き方に悩んだら
勉強のモチベーションが上がらない理由はこの記事でもご紹介してきました。
それとは別に、現場が忙しすぎたり、人間関係が合わなかったりといった環境的な理由でモチベーションが保てないケースもあります。
ちょっとした工夫で解決できる場合もありますが、どうしても無理だと感じてしまったら、環境を変えるのも1つの選択肢です。
転職を視野に入れて、解決策を考えてみてはいかがでしょうか。
医師はキャリア形成の途上で、必要に応じて転職することが珍しくありません。
その際におすすめするのが、転職エージェントの活用です。
医師の転職に特化した専門エージェント「メッドアイ」に相談することで、自分が働きたいと感じる病院を見つけやすくなります。
すぐに転職するつもりでなくても、キャリアプランに迷ったり、研修先の環境が合わないと思ったりしたら無料で気軽に相談できるのが転職エージェントなのです。
メッドアイでは、非公開を含めた豊富な求人情報と、数多くの医師の悩みに寄り添ってきたノウハウをもとに、医師一人ひとりに合ったマッチングを実現しています。
研修先に関する悩みや、将来のプランに関する悩みをお持ちなら、まずはそれを相談するところから始めてみてはいかがでしょうか。
まとめ(研修医は勉強しないと後悔する?)
研修医におすすめの勉強法はいろいろありますが、まずはモチベーションを高く保つことが何より重要です。
しかし、忙しすぎたり、モチベーションが上がらなかったりすると、勉強に集中することが難しくなります。
研修医と医大生とでは、学ぶべきポイントや学びの環境が大きく異なるため、ギャップに悩む方もいるでしょう。
研修医としてスタートを切ったなら、研修医としての学習スタイルをなるべく早く掴むようにしてください。
もしも、研修先の環境や人間関係など、どうしてもうまくいかないことがあったら、転職して研修先を変えるという選択肢もあります。
医師や研修医が転職する場合、どこへ転職するかは大きな問題です。
転職先の設備や環境、診られる症例や患者数など、知っておくべきことはいくらでもあります。
転職を考えるのであれば、医師専門の転職エージェント「メッドアイ」に相談するのがおすすめです。
豊富な情報量や、求人情報からは得られないその病院の雰囲気なども知ることができます。
今の職場で悩みを抱えてしまったら、まずはその悩みだけでも相談してみると、より良い研修医生活を送れるかもしれません。