医師にとって避けて通れないのが初期研修と後期研修の研修期間です。
最短でも5年の年月を大学卒業後にさらに費やさなくてはなりません。
そして、研修期間の医師には仕事が辛いと感じている方も多いようです。

「研修医がきついと感じる原因と対処法は?」
「辛い研修期間を乗り越えるにはどうすればいい?」
「辛くても後期研修医におすすめのこととは?」

この記事では、研修期間がきついと感じている研修医や専攻医のために、転職エージェントの視点から、研修期間の忙しさや辛さについて解説します。
また、辛い期間を乗り越えるための対処方法についてもご紹介しますので参考にしてください。

研修医が辛くなる3つの原因

研修医が「きつい、辛い」と感じる原因をあげると、大きく以下の3つに分かれます。

  • 労働環境によるもの
  • 人間関係によるもの
  • 経験不足によるもの

それぞれの原因を冷静に見つめ直してみると、対処法も見えてくるものです。
以下から一つずつ詳しく解説します。

1.労働環境の辛さ

研修医としての生活が始まることで、これまでの学生生活とは大きく生活リズムが変わってきます。
医師として働き始めることにもなり、第一に考えるべきは患者さんのことが中心で、その上でさらに自分自身の研修も進めていかなくてはなりません。
学生時代であれば、ある程度自分の都合でスケジューリングできたことも、研修医になると業務の合間を縫ってさばいていかねばならず、常に時間がないと感じる方も多いでしょう。

また、研修医として働き始め、ある程度職場に慣れて当直を任されるようになると、さらに自分の時間は減っていきます。
こうした労働時間の長さから、睡眠不足に悩んだり、生活リズムが狂ったりすることで辛さを感じる医師が多いようです。

2.人間関係の辛さ

学生から社会人となったことによって起こる人間関係の変化も、ストレスと感じる方が少なくないようです。
研修医は職場で最も若手ということになりますので、先輩医師や指導医はもちろんのこと、看護師やコメディカルまでもが先輩となります。
研修医にはこのような複雑な環境で、うまく人間関係を構築して維持していく苦労が伴います。

しかも研修医は数ヶ月単位でさまざまな診療科を回るため、異動のたびに新たに人間関係を構築し直さなくてはなりません。
また、患者さんとのコミュニケーションも大切にしなくてはならず、こうした気遣いをストレスに感じてしまうという方もいるでしょう。


3.経験不足からくる辛さ

研修医は医療の現場に出たばかりの新人です。
このため経験値が少ないのは当たり前のことなのですが、それがストレスになってしまうことも多いようです。
どうしても、先輩医師との比較や指導医からのフィードバックや、同期と自分の差がないかが気になってしまいがちです。

その一方で患者さん側から見ると研修医も一人の医師として同等に見られてしまいます。
しかし、医学部で身につけた技術や知識を、臨機応変な臨床の現場ですぐに役立てることは難しいものです。
その結果、患者さんからの質問にすぐ答えられない時などに、経験不足を実感してしまうことになるのです。

辛い研修期間を乗り越えるための方法【仕事編】

研修期間が辛いと感じていても、ただ苦しむだけではなく乗り越える方法を持つことが大切です。
辛さを上手に乗り越えることで、医師として大きく成長ができるチャンスでもある研修期間。
辛いと感じた時に知っておくと役に立つポイントをご紹介します。

相談できるメンターを持つ

普段から近い場所で一緒に働いている先輩医師や上司、または指導医などにメンターになってもらうことで、辛さを乗り越えるヒントを得やすくなります。
メンターを持つことができれば、仕事に関する悩みや診断・治療の進め方について相談できますし、都度フィードバックを受けることで解決していくことが可能です。
さらに、メンターのキャリアを参考にして、自分自身の今後のキャリアプランを考えていくことにも役立ちます。

指導医がそのままメンターになってくれれば早道になりますが、たくさんの研修医や専攻医を教えている場合などは、指導医以外のメンターを探すこともおすすめです。
複数の視点からの知見が得られ、より多くの知識を吸収できるきっかけとなるでしょう。

経験不足を実感しても落ち込みすぎない

研修医は医療現場に出たばかりの新人です。
どんな仕事であっても、新人がいきなり完璧に仕事をこなせるわけではありません。
確かに医師の仕事は少しのミスが大きな事故につながりかねないリスクがあり、慎重でなければいけないのは当然です。

しかし、最初からすべてきちんとできるよりは、至らない点を指摘されながら修正していく方が、より深く知見が身につくものです。
指導医や上司のフィードバックをネガティブに捉えずに、成長の糧として考えるようにしましょう。
そして、失敗したり仕事が上手にこなせないことがあっても、落ち込みすぎないことも大切です。
常にメンターや先輩などに相談しながら、どうやったら上手くできるようになるのかと考えるように心がけておくといいでしょう。

失敗だけでなく上手くできたことも知る

研修期間中は、毎日実務と学びがひたすら続きます。
覚えた知識や経験をしっかり整理するためにも、日々振り返りの機会を持つようにしましょう。
そして、振り返りの際には、できなかったことだけでなく、上手くできたことも確認することがおすすめです。

無我夢中で日々の業務をこなしていると気付きづらい少しずつの成長を、自分できちんと実感することで自信が生まれます。
そして、自信を持つことで行動に変化も現れてくるようになり、さらにできることが増える好循環を生むのです。
上手くできなかったことはどうすれば改善するのかについても、成長して自信を増やしながら考えることで、より効率的に考えられるようになります。医師転職お役立ちnavi 公式 Instagram 医師キャリアに関する有益な情報を発信中!

辛い研修期間を乗り越えるための方法【生活編】

研修期間中は当直や長時間勤務などで生活のリズムも乱れがちです。
自分の時間を取れず、プライベートは放置になってしまうという研修医がほとんどではないでしょうか。
医師の仕事はハードで、体力勝負な一面も持っています。
このため、可能な範囲で生活を整えて、体力をキープすることが重要です。
ここからは、研修期間中に意識しておくと良い生活面でのコツをご紹介します。

睡眠と食事をしっかりとる

まずは睡眠時間をしっかり確保することが大切です。
研修期間中は当直業務などもあり、十分な睡眠がとれない日も出てきます。
睡眠が足りないと、集中力が落ちたり、体力を消耗しやすくなったりして、効率の悪化やミスを犯すリスクなどが生まれます。
このため、いかに睡眠をしっかりとるかは、研修期間を乗り切るためには重要になってくるのです。

しかし、寝られる時にとにかく寝ておけばいいというわけでもありません。できるだけ規則正しく寝られるよう生活サイクルを工夫してみてください。
朝が早く夜も遅くなる生活ではありますが、ハードなりにある程度規則的な生活リズムを作ることを心がけると、少しずつ睡眠に当てる時間は増やせるようになってきます。
当直の仮眠時なども、耳栓やアイマスクを活用し、少しでも多く睡眠が取れるよう工夫するといいでしょう。
また、食事もバランスよく栄養がとれるよう意識することで、疲れが溜まりにくくなります。

疑問は忘れないうちに勉強しておく

1日の振り返りで疑問に感じたことなどを、その日のうちに解決しておくことも、ストレス軽減に役立ちます。
研修期間が辛いと感じる要因として、自分が思ったように仕事がうまくできないといった経験不足もあげられます。
これを解消するためのアクションをその都度実行していくことで、疑問解決につながるだけでなく、自信も生まれストレス軽減につながるのです。

理解不足の領域があれば、隙間時間を活用して積極的に勉強する。
寝る前の振り返りでわからないことが見つかったら、翌日誰にどのように質問するかをシミュレーションしておく。
こうしたことの積み重ねで、周りからの見る目も変わってきますので、辛いはずの研修期間が充実したものに感じられるようになるかもしれません。

楽しみや趣味に没頭する

仕事以外で楽しみを見つけることもストレスの発散につながります。
趣味に没頭したり、スポーツを楽しんだりすることでリフレッシュの機会を積極的に作るようにしましょう。
本格的に何か新しいことを始めたりするのではなくとも、定期的に遊びにいくよう心がけたり、仕事終わりに映画を見たりするといったちょっとしたことでも気分転換になります。

研修期間はどうしても目の前の仕事で精一杯になってしまい、周りが見えないという人も多いのではないでしょうか。
そうした時に、リフレッシュの機会を作ることで、一旦仕事から距離を取ることができます。
一度リセットして客観的に自分を見直すこともでき、課題点の整理にも役立ちます。

【研修医の豆エピソード】初期研修医は「医師未満」で炎上

研修医も医師免許を有した医師であることに変わりはありません。
実際に研修期間中も臨床の現場に立ち、患者さんと向き合いながら成長していきます。

しかし、2021年には、初期研修医を主人公としたドラマの公式ツイッター上で「学生以上、医師未満」という表現を用いたことで炎上する騒ぎがありました。
このツイートに対して、「研修医も医師であって医師未満ではない」とか「汗水流して奮闘している研修医たちに失礼極まりない」といった批判がSNS上であがり、番組側は発言を削除し謝罪する騒ぎになったようです。

ドラマは初期研修医が主人公ですが、「研修医は医師未満」という表現は、専攻医として後期研修中の医師まで一括りにされ誤解を招く表現であったことも、炎上した要因と見られています。

後期研修医は副業ができる! アルバイトをすすめる理由

初期研修医は辛い日々を過ごすことも多いですが、専攻医として後期研修に入ると、大変さはさらに増します。
今までの研修に加え、手技や知識の習得により時間が必要となりますし、専門的な研修の場では日々の成長がこれまで以上に求められるようになります。
しかし、後期研修医は初期研修医と違い、副業が認められています。
つまり、アルバイトなどで他の医療機関に勤務することもできるようになるのです。

本業がハードなのにアルバイトをする余力がないと思う方もいるかもしれません。
しかし、アルバイトに出ることによって、外の世界を見ることができます。
本業以外の病院では、どのように医師たちが働いていて、自分の仕事と比較してどうなのかや、自分の技量が外でどのくらい通用するのかを知るなど、自分自身の市場価値を把握できます。

こうした経験は、日々の研修の疲れをリフレッシュするだけでなく、今後のキャリアプランを考える上でも大いに参考になるでしょう。
アルバイト探しには、医師専門の転職エージェント「メッドアイ」を利用するのがおすすめです。
条件の良い求人を提案してもらうだけでなく、いかにキャリア形成に役立つかも含めて相談することが可能です。

まとめ(研修医が辛い理由)

研修期間中の医師は、長時間労働やさまざまな人間関係、何より経験不足からくる技量の足りなさなどを感じ、辛く厳しいと思っている方が大半です。
確かに、失敗やミスが許されない厳しい職業であり、自信を持って働けるようになるまでには時間がかかります。
しかし、一つ一つ課題を克服していくことで、着実に成長を遂げられる期間でもあるのです。

研修期間が辛いと感じるのであれば、リフレッシュしたり、どうして辛いのか、どうすれば乗り越えられるのかを理論的に考えてみることをおすすめします。
そして、自己分析をしっかり行い、自分がどのくらい成長できているかを把握することが、自信を持つことにつながっていきます。
少しずつでも着実に前進することで、医師として希望するキャリアプランを実現することができるのです。

また、後期研修期間に入れば、副業が認められ、アルバイトに出ることが可能になります。
ハードな日々の中でも、可能な範囲でアルバイトにチャレンジしてみてください。
医師がアルバイトを探す時には、本業の病院で紹介を受けるより、転職エージェントなどを使って自分で探した方がいいと言われています。

その理由としては、紹介でアルバイトをすると人間関係などに新鮮味がなかったり、アルバイト先での行動が本業の病院に伝わったりしやすいことがあげられるようです。
医師専門の転職エージェント「メッドアイ」なら医師一人一人のキャリアプランに寄り添いながら、最適なアルバイトを見つけることができるでしょう。