医療現場のデジタル化やテクノロジーの進化が進む中、医療×ITの融合が医療業界の新たな可能性を生み出しています。

それに伴い、近年では医師が臨床以外で活躍する選択肢として、「医療系IT企業」への参画や転職が注目されています。医療知識や現場経験を活かして、プロダクト開発や医療監修、データ解析などに関わる医師が増えてきているのです。

また、開業医や病院勤務医にとっても、ITプロダクトやシステムを導入するパートナーとして、信頼できる医療系IT企業を見つけることは重要なテーマとなっています。
電子カルテ、遠隔診療ツール、検査解析機器など、現場の課題解決につながる製品を扱う企業が多数登場しているため、医師自身が企業を見極める目を持つことが求められています。

そこで本記事では、医師専門の転職エージェントである当メディアの視点から、「医師にとっておすすめできる医療系IT企業」をご紹介します。
転職や副業のキャリアのヒントとしてはもちろん、導入企業・依頼先を探すヒントとしてもご参考ください。

医療系IT企業で医師が担う主な役割

医療系IT企業では、医師の専門知識がさまざまな場面で活かされています。以下のような役割が代表的です。

役割具体的な内容
プロダクト監修・企画支援AI診断システムや遠隔医療アプリなど、医療現場で使われるプロダクトにおいて、正確性や実用性を担保するために医師の知見が不可欠です。
臨床データの解析・考察電子カルテや健康管理アプリに蓄積されたビッグデータを読み解くため、医師の解釈力が求められます。
学会・医療機関との橋渡し技術と医療現場をつなぐコミュニケーションの役割も、医師が果たすケースが増えています。

このように、現場経験を土台とした「医師にしかできない貢献」が多数あるのが、医療系IT企業の特徴です。

おすすめの医療系IT企業

なお、今回は医療分野で注目されるIT企業を「医師のキャリアの可能性を広げるヒント」としてご紹介しており、医師の採用情報を掲載しているものではありません。

また、これらの企業は、クリニックや病院の現場でITソリューションを導入したいと考える医師にとっても、有望な依頼先・連携先となる可能性があります。実際のプロダクトや支援内容を比較しながら、自院にとって最適なパートナー企業を検討する参考としてもご活用ください。

株式会社PITTAN

出典元:株式会社PITTAN

PITTANは、身体の状態を正確かつ簡単に可視化し、人々の生活をより楽しくすることをミッションとする企業です。

皮膚から蒸散するごく微量の汗を分析して、体内のアミノ酸やホルモン、炎症物質を可視化する「Nutrifull(ニュートリフル)」を提供しています。
2025年度リリースの小型分析マシンminiLab(仮)では、どこでも誰でも、わずか15分で体内の状態を把握することができるようになります。

Lifelong Positivityをビジョンとして、人々が「生きるを、楽しみきる」ことができる世の中を目指して、ウェルネス領域に革新を起こそうとしています。

また、大阪大学との共同研究を進め、老化や炎症メカニズムの解明や、汗と血液データの相関分析など、科学的なアプローチにも力を入れており、科学的知見に基づいて生活改善のアドバイスを行います。

株式会社メドコム

出典元:株式会社メドコム

​株式会社メドコムは、2016年に設立された医療分野に特化したICT企業で、東京都港区に本社を構えています。
同社は「医療の情報革命によって、全ての人々を幸せにする」というパーパスのもと、医療機関向けスマートフォンサービス「メドコム」の企画・開発・販売・保守を一貫して提供しています。

「メドコム」は、院内のコミュニケーション基盤となる医療機関専用のスマートフォンで、従来のPHSの機能はもちろん、電子カルテとの連携や勤務状況がわかるログイン管理機能など、多様な機能を搭載することが可能です。
また、金融機関などと同等のセキュアな環境や二要素認証への対応などを実現し、より安心安全な環境で、医療現場DXを強力に推進しています。

さらに、同社は新たな取り組みとして、輸液業務支援アプリケーション「輸液サポート(仮称)」の開発・提供などを行っています。
これらの取り組みにより、メドコムは32都道府県93施設で導入され、5万人以上の医療従事者に利用されています。

株式会社メドコムは、今後も「医療のICTプラットフォームを創り、医療をデジタル化する」というビジョンのもと、医療現場のDX推進と働き方改革を支援し、より多くの人々の幸せに貢献していくことを目指しています。

株式会社xCARE

出典元:株式会社xCARE

​株式会社xCARE(クロスケア)は、東京都渋谷区に本社を構える、ヘルスケア業界に特化した専門家プラットフォームを提供する企業です。
2022年の設立以来、「世界中のヘルスケアプロダクトを人々の元へ。世界中の専門家に更なる活躍の場を。」をミッションに掲げ、ヘルスケア産業の開発・事業化を支援しています。

同社のプラットフォームには、国内外から約1000名のエキスパートが登録しており、スタートアップ企業やアカデミア、大手企業の新規事業に対して、専門人材のマッチングやプロジェクトマネジメントを提供しています。
これにより、ヘルスケア産業における製品開発の効率化と成功率の向上を図っています。

今後も、国内外の製薬メーカー、医療機器メーカー、バイオベンチャー、アカデミア、VCと連携し、ヘルスケアの未来を支えるプラットフォームとしての役割を果たしていくことが期待されている企業です。

医師が医療系IT企業に関心を持つ背景とは?

近年、臨床から離れても医療に関われる手段として、医療系IT企業に注目する医師が増えています。その背景には以下のような動機があります。

関心の背景具体的な理由・動機
医療システムの根本的な課題にアプローチしたい現場で感じた非効率や限界を、テクノロジーによって解決したいという想いがある。
働き方やライフスタイルの柔軟性を求めているリモートワークやフレックスタイムを採用する企業も多く、家庭やプライベートとの両立がしやすい環境が整っている。
第二のキャリアとして社会に貢献したい臨床を離れても、医療の知識と経験を活かして新しい形で社会に貢献できるキャリアとして注目されている。

医療系IT企業に転職・参画する際の注意点

魅力的な選択肢とはいえ、転職・参画にあたっては注意すべきポイントもあります。

注意点具体的な内容
業務内容を具体的に把握する「医師監修」と一言でいっても内容は多様。関与するプロジェクトの詳細を事前に確認することが重要。
企業のミッションとの相性を確認する単なる技術開発にとどまらず、医療への理解や社会貢献性を重視しているかどうかを見極める。
キャリア支援や成長環境が整っているか異業種への挑戦にはサポート体制が不可欠。教育機会やフィードバックの仕組みがあるかを確認する。

まとめ(おすすめの医療系IT企業)

医師のキャリアの選択肢は、これまで以上に多様化しています。
診療現場を離れても、医療の知見を活かしながら社会に貢献できる選択肢として、医療系IT企業は魅力的なフィールドです。

医療系IT企業は、医療の質を向上させ、患者の利便性を高めるために重要な役割を果たしています。今後も技術革新が進む中で、新たな企業やサービスが登場することが期待されます。

また、開業医や病院の運営に関わる医師にとっても、ITプロダクト導入の選定や業務改善のパートナーを探すうえで、こうした企業の存在は大きな意味を持つでしょう。
医療系IT企業に関心がある方は、これらの企業の動向をチェックしてみてください。