一般的には、地方よりも都市部の年収が高いとされていますが、医師の年収も同じことがいえるのでしょうか。また、地方で開業した場合、開業医の年収はどうなのでしょうか。
- 開業医の年収はどのくらい?
- 地域によってどのくらい差がある?
- 地方で開業するメリット・デメリットは?
このような疑問を抱えている方に向けて、プロの転職エージェントが詳しく解説します。
第三者承継についても紹介しているので、ぜひご覧ください。
開業医の年収は勤務医の約1.8倍
開業医と勤務医の平均年収を比較してみましょう。
開業医 | 約2,763万円 |
---|---|
勤務医 | 約1,491万円 |
データ引用:「第22回医療経済実態調査(医療機関等調査、令和元年実施)」p.273、p.276
厚生労働省「第22回医療経済実態調査(医療機関等調査、令和元年実施)」によると、勤務医の平均年収約1,491万円に対し、開業医の年収は約2,763万円です。
その差は約1,300万円で、勤務医の約1.8倍になることがわかります。
地方と都市部の医師の年収の違い
以下は、厚生労働省「平成23年賃金構造基本統計調査」をもとに作成した、都道府県別の医師の平均年収ランキング表(上位10位)です。
順位 | 都道府県 | 平均年収 |
---|---|---|
1 | 岩手県 | 1758.12万円 |
2 | 鹿児島県 | 1651.68万円 |
3 | 福井県 | 1559.16万円 |
4 | 山梨県 | 1552.44万円 |
5 | 沖縄県 | 1543.92万円 |
6 | 富山県 | 1416.24万円 |
7 | 大分県 | 1386.24万円 |
8 | 三重県 | 1324.44万円 |
9 | 熊本県 | 1314.6万円 |
10 | 奈良県 | 1303.8万円 |
データ引用:「平成23年賃金構造基本統計調査」一般労働者・都道府県別
医師の平均年収がもっとも高い地域は岩手県(1,758万1,200円)です。 あわせて読みたい
一般的には都市部の年収が高いイメージがありますが、地方と呼ばれる地域の平均年収が高い要因に、医師不足が影響していると考えられます。
全国的に医師は不足しているのですが、都心で働きたい人たちが都市に集中することで地域偏在が起こっており、多くの高齢者が暮らす地方は特に医師不足になっています。そのため、地方の医療機関は医師確保のために高い給与条件で募集している背景があります。
地方で開業する2つのメリット
地方で開業するメリットは、
- 需要があり、競合が少ない
- 初期費用が低く収益性が高い
それぞれ、詳しく解説します。
①需要があり、競合が少ない
地方クリニックは減少傾向にあり、地域によっては無医地区となっている場合があります。
遠方の病院まで通う患者さんも多く、身近なかかりつけ医のニーズは高いでしょう。
このような地域では、都市部のように競合のクリニックが密集しておらず、開業後は安定的な集患を見込めます。
②初期費用が低く収益性が高い
都市部での開業は、クリニックはすでに飽和状態のため、開業物件を探すことが困難で、かつ好立地の物件が見つかったとしても家賃は高額になります。また、看護師やパートスタッフの人件費も高い傾向が続いています。
その一方、地方では家賃も人件費も総じて安価であり、人件費の相場も都心部と比較して1〜2割低いです。
また、保険診療の診療科であれば、保険点数は日本全国一律1点10円で地域での変動はありません。 あわせて読みたい
利益=売上(保険点数)ー原価(薬品など)ー経費(家賃、人件費)ですから、高い収益性を実現できるでしょう。
地方で開業するデメリット
地方開業のデメリットは、
- スタッフの確保が困難
- 将来的に患者が減る可能性がある
それぞれ、詳しく解説します。
①スタッフの確保が困難
地方開業のデメリットに、医師偏在の影響でスタッフの確保が困難であることがあげられます。
都市部と比べ、交通網も網羅されていないため、通勤事情も難しく、採用範囲が限られてしまうことも考えられるでしょう。
②将来的に患者数が減る可能性
高齢化や人口流出が進行している地域は、将来的には患者数が頭打ちになる可能性があります。 あわせて読みたい
開業する際には、その地域の人口減少対策などがされているか事前に把握し、さまざまな視点で分析していくことも必要といえるでしょう。
地方での開業は「第三者承継」という選択肢も
開業には、新規開業だけでなく、既存のクリニックを譲り受けて第三者承継という選択肢もあります。
承継開業であれば、患者、スタッフ、医療設備もすでにあるので、コストやリスクを抑えて開業できます。
地方では、後継者不在で閉鎖をせざるを得ないクリニックが相次いでいるため、地域医療の維持という点でも効果的な選択肢であるといえるでしょう。
開業時点で地域に認知されていることは承継開業の大きなメリットで、近年注目されているスタイルです。 あわせて読みたい
地方での開業は情報収集が大事
開業に失敗しないためには、事前にその地域を知っておく必要があります。
地域性やニーズは場所によって違い、一人では把握できない情報もあるでしょう。
物件を探したり、事業計画の策定の相談には、プロのコンサルタントに相談するのがおすすめです。
医師転職専門エージェントのメッドアイは、転職支援はもちろん、「クリニック開業支援」「承継支援」「人材支援」を通して、医師が思い描くクリニックの実現に向けて、開業準備から開業後まで全力サポートします。
地方での開業を考えている方は、ぜひ一度相談してみてください。
まとめ(地方開業医の年収について)
厚生労働省「第22回医療経済実態調査(医療機関等調査、令和元年実施)」のデータでは、開業医の年収は約2,763万円と勤務医の年収の約1.8倍であることがわかりました。
ただし、地方での開業は、需要があり競合が少なくコストを低く抑えられる一方で、スタッフの確保が困難であるなどのデメリットがあります。
失敗しない地方開業のためには、事前に地域を知っておく必要があります。
地方開業を考えている方は、ぜひ医師転職専門エージェントのメッドアイに相談してみましょう。
開業準備では、診療科を決めることも忘れてはいけません。開業医が儲かるのは何科か気になる方も多いのではないでしょうか。 あわせて読みたい
内科医など医師の診療科別平均年収について詳しくは、こちらの記事で解説しているのでぜひ参考にしてください。