「医者は高収入」とはよく言われますが、同じ医師でも診療科や勤める地域など、条件によって収入の水準は変わってきます。
そして、老後への備えだけでなく、開業資金を貯めるなどの貯蓄に努力しているという方も少なくないでしょう。

「開業医と勤務医の年収はどれくらい違うのか?」
「開業医の貯金額はどれくらいなのか?」
「どんな貯金方法をしているのか?」

この記事では医師の収入や貯蓄額が気になる方に向けて、プロの転職エージェントが詳しく解説します。
貯金や節約の効果的な方法や、年収をアップさせる方法もご紹介しますので参考にしてください。

医師の貯金額

まずは医師の貯蓄についての、理想と現実を見てみましょう。
貯金額の目標と、実際に貯金している額は、勤務医か開業医かによっても少し異なってきます。
両者の違いも抑えながら、それぞれご紹介します。

貯金額の目標

m3.com「リタイア時点での貯金目標、1億円超が3割◆Vol.14」によると、リタイアまでに貯金しておきたい目標額では、3,000万〜1億5,000万円と答える医師の割合が6割を占めました。
また、勤務医と開業医それぞれの回答結果を見ると、以下のようになっています。

リタイア時点での貯金の目標額開業医勤務医
3000万円未満9%15%
3000万円~5000万円未満9%21%
5000万円~8000万円未満13%19%
8000万円~1億円未満15%15%
1億円~1億5000万円未満20%13%
1憶5000万円~2億円未満11%5%
2億5000万円~3億円未満5%3%
3億円以上13%3%

m3.com「リタイア時点での貯金目標、1億円超が3割◆Vol.14」を参考に作成

勤務医の場合、定年退職が65歳という方がほとんどだと思います。
リタイア後の貯金としては、ゆとりを持って30年分ぐらいの生活費を想定して貯蓄することになるでしょう。
そして、一つの病院で長く勤めていれば、リタイアの際に退職金がもらえることになります。
さらに、厚生年金にも加入しているため、自力で貯蓄する額は多少少なめでも公的なサポートが期待できるというメリットがあります。
一方で勤務医でも非常勤などで生計を立てているフリーランス医の場合、収入は常勤の医師より高水準であることが多いものの、福利厚生面では退職金もなく、年金は国民年金となるため、多めの貯金をしておくべきでしょう。

そして開業医の場合は、国民年金であることはフリーランスと同じですが、別途医師年金に加入することが可能です。
また、開業医は勤務医のように定年で強制的にリタイアとなることがありませんので、現役を長く続ければそれだけ老後のための資金にゆとりができます。
さらに引退時に事業承継ができれば、医院の売却益も出すことができるでしょう。
アンケートの結果や、こうした働き方による違いを考慮すると、貯金の目標額の目安としては、以下のようになります。

  • 常勤の勤務医で3,000万〜5,000万円程度
  • フリーランス医は1億円以上
  • 開業医は1億円を目安に現役を続ける期間で判断

貯金額の現実

実際にどれくらいの貯金ができているのかというのは、親しい同僚でもなかなか話題にはしないものではないでしょうか。
リクルートドクターズキャリアが行ったアンケート(回答者775人)では、実際に貯金できている世帯貯蓄額について以下のような結果となっています。

世帯貯蓄額割合
貯蓄無し7.0%
~500万円未満17.4%
500万円~1000万円未満19.0%
1000万円~2000万円未満21.8%
2000万円~3000万円未満12.1%
3000万円~4000万円未満5.5%
4000万円~5000万円未満2.7%
5000万円以上14.5%

リクルートドクターズキャリア|医師のお金大アンケートを参考に作成

世帯貯蓄額は「1000万円〜2000万円未満」が最多となり21.8%を占めました
。次いで「500万円〜1000万円未満」(19.0%)や「500万円未満」(17.4%)といった回答も多く見られました。

一方で、貯蓄が全くないと答えた医師も7%存在しており、高収入であっても必ずしも積極的に貯蓄できているわけではありません。これは、教育費や生活費・住宅ローンなどの支出が大きいことが背景として考えられています。

また、世代別では年齢が高くなるほど貯蓄額が多い傾向にあり「5000万円以上」と答えた医師も一定数存在しましたが、30代前半の約8%がこの高額な貯蓄を保有しているという結果も見られました。これについては親からの資産譲渡が影響している可能性が示唆されています。

医師の平均収入はどれくらい?

他の業種と比べると医師の収入水準は高めです。
しかし、年齢や診療科、働いている地域や医療機関の種別など、さまざまな要因で医師の年収にはムラもあります。
ここからは、医師の年収事情を簡単にご紹介します。

勤務医と開業医の平均収入はどれくらい違う?

厚生労働省の「第24回医療経済実態調査」をみると、医師の平均年収は以下の通りでした。

  • 勤務医の平均年収は1,461万円
  • 開業医の平均年収は2,663万円

医師の収入水準は、他の職業と比べても高く、厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」でも、パイロットに次ぐランキング2位となっています。
しかしあくまでもこの数字は全体の平均で、年齢や役職、診療科などによっても医師の年収には違いが出てくるのが特徴です。
また、勤務医よりも開業医のほうが平均年収が高く、両者には2倍近い開きが見られます。

年代別の平均収入はどれくらい違う?

医師の年収額の違いが出てくる要因の一つに年齢があります。
そこで、厚生労働省の調査資料から、年代別の医師の平均年収をまとめました。

年齢男性勤務医の平均年収女性勤務医の平均年収
30~34歳931万円747万円
35~39歳1,226万円1,522万円
40~44歳1,502万円1,000万円
45~49歳1,934万円1,291万円
50~54歳1,872万円1,452万円
55~59歳2,013万円1,569万円
60~64歳1,933万円1,541万円
65~69歳1,866万円761万円
70歳~1,560万円1,455万円

参考:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」(職種「医師」企業規模10人以上・きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額で計算)

医師は若手のうちは、他業種の平均ともあまり変わらない程度の収入額ですが、専門医資格を取り、経験を積み重ねていくことで収入が上がっていきます。
そのピークは、医師として脂が乗ってくる50代となり、その後は高水準のまま横ばいあるいは若干減少するというカーブを描くのです。

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出費の多さが足かせになっている

老後に備えた貯蓄を増やそうにも、理想の通りに貯金を増やすことができないという医師は少なくありません。
無駄遣いをしているわけでもないのに、思ったように貯金を増やせない理由として挙げられるのが支出の多さです。

勤務医であれば高収入であるがゆえの所得税や住民税といった支出が多くなり、手取りでは額面の60〜70%程度になってしまいます。
開業医でも、収益が十分にあったとしても、運営にかかる経費を差し引いたり、開業時に融資を受けた返済などもしなくてはなりません。
こうした、自分自身の節約だけではどうにもならない支出のほか、家を建てたら住宅ローンがありますし、子どもがいれば育児にも費用がかかります。
医師の場合、「我が子にも医師になってほしい」と考える人が意外と多く、そうなると教育費も嵩んできてしまうのです。

さらに、医師がその身分を保ち、上を目指すためにも費用がかかります。
例えば学会費や医局費、それに専門医資格やサブスペシャリティを取るための費用などです。

無理なく貯金や節約をするコツ

医師が無理なく貯金を増やすためには、節税や投資などを頑張っていけば良いということになります。
しかし、それらにも知識が必要で、忙しい仕事の合間に学んでいくのは並大抵のことではありません。
そこで、この記事では、無理をせずにちょっとした心がけでできる貯金術や節約方法をご紹介します。

貯金

巷にはさまざまな貯金術が溢れています。
また、こうしたノウハウを提供するファイナンシャルプランナーなどに相談しているという方もいるかもしれません。
しかし基本的には、自身のお金の使い方をきちんと理解できていれば、貯金はさほど難しくはないのです。

いつまでにいくら貯めたいという目標額を決めたら、貯金期間が何年あるのかがわかるので、年間貯金額も割り出せます。
さらに、現在の毎月の支出を整理し、月間で貯金に回せる額がいくらなのかを把握して、目標額が貯められるかを計算してみてください。

結果として目標額が貯められる場合は、生活口座とは別に貯蓄口座を作り、毎月の収入から先取りで貯金額を移してしまう習慣をつけましょう。
銀行によっては、こうした先取り貯蓄を自動で行うサービスや口座もありますので、積極的に活用して自動的に貯金が増えるような仕組みを作ってしまうと、貯金の苦労を感じずに済みます。
さらにゆとりがあれば、貯蓄用の口座から長期運用ができる投資信託を行うことで、資産を増やしていくチャンスも作ることができるでしょう。

節約

「富裕層ほど無駄なお金を使わない」という話もよく聞くのではないでしょうか。
それは、お金に対する知識があるからだと言われています。

例えばファイナンシャルプランナーの資格を取る参考書を勉強してみると、それだけでお金の基本知識や資産運用方法、さらに節税など基礎を知ることができます。

また、具体的な節約術としては、毎月の固定費を一度見直してみるのがおすすめです。
スマホの料金や光熱費、ジムやヨガなどのスクール代、VOD(ビデオオンデマンド)などのサブスクリプションを利用していればその代金を整理してみてください。
必ず使うものでもプランによってコストを下げられることがありますし、あまり使っていないものがあればやめてしまうことでスッキリ整理できます。

実は富裕層と言われる人たちの節約術でも、こうした細かい「無駄な出費」を抑えることが鍵だと言われているのです。
貯金も節約も、実態を可視化することで一歩先に進むことができる点では同じと言えるのです。

転職して収入と貯金をアップ

貯金額を増やしたいのであれば、一度自分の収支状況を見つめ直してみてください。
そして、目標とする貯金額が現実に貯められるのかどうかを試算してみましょう。
もし目標額が高すぎて難しいということであれば、収入アップのために転職するという方法もあります。

医師が収入アップのために転職を考えるのであれば、医師専門の転職エージェント「メッドアイ」の利用がおすすめです。
もともと医師はある程度戦略的に転職することもある職業ですし、医師の転職を専門に扱っているエージェントなら、医師のキャリアプラン形成にも精通しています。
また、医療機関の情報も豊富に持っていて、非公開の求人情報からも転職先を選ぶことができ、転職活動を有利に進めることができます。

まとめ(医師の貯金額のリアル)

医師は年収の水準は高いものの、貯蓄がしっかりできているという人が意外と少ないことが、データからもわかります。
老後2,000万円問題など、リタイア後にかかる費用はいくらあっても心配は尽きないという方も少なくないと思います。

勤務医であれば大抵は65歳が定年となり、その後も非常勤で働くとしても、年齢から仕事先を見つけることが難しくなることも考えなくてはなりません。
開業医の場合は定年がないので、自分が可能な範囲で長く働くこともできます。
しかしこちらも、安定した経営や収益があってのことなので、貯蓄をしっかりしておくことは重要です。
医師の場合、給与水準が高いことから所得税額なども高くなってしまいます。
このため手取り額は思ったより少なくなり、貯金術などに長けておくと安心できるのではないでしょうか。

また、貯金を頑張っても思ったほど貯められそうにないと思ったら、早いうちに収入をアップさせる方法を考えておくのも大切です。
年収アップのために転職するという医師は少なくありませんので、将来に不安を覚えたら、まずは医師専門の転職エージェント「メッドアイ」に相談してみてください。