「医者は高収入」とよく言われるように、医師は給与水準が高い職業として知られています。
それではボーナスはどうなのでしょうか。

「医者のボーナスの平均額は?」
「ボーナスがない勤務先もある?」
「医療機関によるボーナス金額の差は?」

この記事では、医師のボーナスについて転職エージェントが徹底的に解説します。
ボーナスを増やすための方法や、気になる新型コロナウイルス感染症による影響などもご紹介しますので参考にしてください。

医者にボーナスがあるかは勤務先による

まず、医師にボーナスがあるかどうかは勤務先の給与体系によって変わってくることを知っておきましょう。
というのも、たとえ常勤医師であっても年俸制の場合はボーナスは設定されていないケースが一般的だからです。
年俸制の下ではあらかじめ決まった報酬額を月割で支給されるため、ボーナスという考え方がベースにないのです。

医師以外でも年俸契約で働く職業はいろいろありますが、会社によっては年俸契約額以外に業績に応じてボーナスを支給するということがあります。
しかし医療業界ではこうした話はあまり耳にすることはありません。
年俸制の職場に就職する場合は、年俸と別にボーナスの支給があるのかどうかや、支給がある場合は過去の実績なども知っておくと良いでしょう。

医者のボーナスはどれくらい? 傾向と特徴

勤務先でボーナスがある場合は、大体6月と12月の年2回支給されるパターンが多くなるかと思います。
それでは医師は年間でどのくらいボーナスをもらえるのでしょうか?
ここからは、医師のボーナスの傾向や特徴をご紹介します。

ボーナスは基本給ほどは高額ではない

厚生労働省の資料「令和3年賃金構造基本統計調査」を見てみると、医師のボーナスの平均は年額で117.8万円となっています。
大抵の病院でボーナスは年2回支給なので、1回あたりがこの半額と考えると59万円弱です。
ちなみに同資料で医師の平均月収を見ると、105万円となっているため、毎月のお給料よりは少ない額になるということがわかります。

他業種の会社の場合、求人情報などでボーナス支給実績は基本給の何ヶ月分かで表示されているケースが多いこととは対照的です。
また、転職サイトのdodaがまとめたボーナス平均支給額が高い職業を見ても、医師はトップ30にも入っていません。
このことから、残念ながら医師のボーナスは他業種に比べるとあまり高くないということがわかります。

ボーナス額は勤続年数による

医師のボーナス額は年齢や勤続年数でも変わっていきます。
この辺りは月給と同じで、長く同じ職場にいるほど高額になる傾向です。
年齢別でのボーナスの平均額をまとめると、以下のようになりました。

年代ボーナス平均額(年額)
25〜29歳19.8万円
30〜34歳52.6万円
35〜39歳114.9万円
40〜44歳146.8万円
45〜49歳167.2万円
50〜54歳167.2万円
55〜59歳159.8万円
60〜64歳204.1万円
65〜69歳178.4万円
70歳〜55.0万円

厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」を参考に作成

ボーナスの平均が最も高くなるのは60代で、これは勤続年数が増えることと同時に診療部長や院長職といった役職に就く医師が増えてくることが関係してきます。
また20代医師のボーナスは他業種と比較しても極端に低いことがわかります。
こちらは、専攻医の研修中であったり、医局人事で転勤があったりして、短い期間で病院を移るケースが多いことが原因の一つと言えるでしょう。

ボーナス額は勤務先による差はさほどない

医師の給与は一般的に民間病院のほうが大学病院に比べて高額となる傾向があります。
また、医師数が多い病院では給与が低めになり、医師数が少ないところでは高めという特徴もあります。
しかし、ボーナス額に関しては、施設規模によって変動もあまりなく、どの規模の病院でも大体同じ程度の平均額となっています。
病院の規模別にボーナス平均額をまとめると、以下の通りとなりました。

規模(従業員数)ボーナス平均額(年額)
10〜99人127.3万円
100〜999人104.5万円
1,000人以上124.3万円

厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」を参考に作成

100〜999人規模については平均額が少し下がるものの、全体的に大きな差もない状態です。
特に、100人以下の小規模な病院と1,000人以上の大病院にほとんど違いはありませんでした。

医者がボーナスを増やす3つの方法

ここまで見てきた通り、医師のボーナス額は給与の水準に比べるとあまり高くない傾向があります。
同時に、少しでも多くボーナスをもらうためにはどういう点を意識するべきかも見えてきます。

  • 同じ勤務先で長く働く
  • 役職に就く
  • ボーナスの支給条件が良い職場を探す

それぞれのポイントを詳しく見ていきます。

①同じ勤務先で長く働く

データからもわかるように、一つの病院で長く働き続けることで、ボーナス額は上昇していきます。
医師が収入アップやキャリア形成のために転職することはよくある話です。
しかし、ある程度落ち着いて働ける病院が見つかったら、そこからはむやみに転職しないほうがボーナスは増えていくことになるのです。
また、長く勤務することで、退職金が増えるというメリットもあります。

②院長などの役職を目指す

勤続年数と同時にボーナス額に影響を与えるのが、役職に就くことです。
経験を重ねて診療部長や院長職などに就けば、ボーナス支給額は増えることになります。
長く勤められる病院にいるのであれば、積極的に出世も目指すことで、ボーナスを増やすことができそうです。
また、十分に経験を積んでいれば、転職する場合でも役職付きでの転職が可能になり、最初から良い条件で新しい職場に行けるという強みにもなります。

③転職する

勤め先の病院でボーナスが出ない場合は、ボーナスがある病院に転職するという方法もあります。
求人情報ではボーナスの情報が記載されていないケースもあり、探すのが難しい場合もありますので、医師専門の転職エージェント「メッドアイ」に相談するといいでしょう。

ただし、ボーナスは業績などで変動する可能性もあるため、ボーナス増額だけを考えるのではなく、収入全体が底上げできる病院を探すことがポイントです。
キャリアに応じて役職付きでの転職案件などもありますし、そうした案件に採用されるかどうかという自分自身の市場価値を知る機会にもなります。

医療関係者の年収・新型コロナウイルス感染症の影響は?

医師の給与やボーナスに影響を与える要素には、医師本人の年齢や役職といった条件以外にも、病院そのものの運営状況があります。
2020年には新型コロナウイルス感染症の流行が一部の医療機関に大きな影響を及ぼしました。
感染症対策にかかる費用や、スタッフの激務化、さらに外出制限による受診控えなどにより経営が圧迫される病院も相次ぐこととなったのです。
その結果病院で働くスタッフや医師の給与やボーナスをカットせざるを得ないという問題に発展しました。
しかし、株式会社医師のともが2022年秋に行ったアンケート調査では、医師の待遇の変化について、以下のような回答が見られます。

株式会社医師のとも「新型コロナウイルス感染症の拡大による疲労度・年収・待遇の変化に関するアンケート」より引用

「変わらない」と回答した医師は全体の8割近くとなっていて、待遇面での大きな変化がないことがわかります。
新型コロナウイルス感染症が指定感染症であり、対応しない病院も多いということが背景にあるため、ある程度変化を感じない層が多くなるというのはあるでしょう。
それでも、流行初期の混乱を考えれば、医療業界全体としても、新型コロナウイルス感染症に対し、病院の運営面でも対応ができるようになってきたと捉えられます。
また、今後指定感染症の分類見直しなどが進めば、状況は変わってくることも考えられます。
さらに、「2024年問題」とも言われる医師の働き方改革も、病院運営に影響を及ぼす側面があるかもしれません。
こうした病院の経営状態などを知っておくと、ボーナスの増減や年収額への影響も予測できるため、常に気にかけておくことをおすすめします。

まとめ(医者のボーナスについて)

ボーナスは、働く者にとっては嬉しい制度です。
それは、給与水準が高い医師であっても同じことでしょう。
しかし残念ながら、医師のボーナスは他業種と比べると低めの傾向があります。
また、年俸制で働く場合など、ボーナスがないというケースもよく見られるのです。

医師のボーナスは同じ医療機関に長く勤め続けることで上昇しますが、これは給与でも同じ傾向となります。
また、退職金も同じところに長く勤めたほうが増えていきます。
このため、勤務医として収入をアップさせるためには、ある程度長い期間を一つの病院で働くことが重要になるのです。
医師がキャリア形成のために転職することは珍しくありません。
しかし、転職先を探す際の条件として「長く働ける職場であること」も考慮しておくと、収入面で先々助かることになります。

現在の勤め先にボーナスがなかったり、今後の上昇が見込めないという場合は、収入アップのために転職するというのも一つの方法です。
ボーナスがある求人という視点で探すとなると、情報量も少なくなる恐れがあるので、医師専門の転職エージェント「メッドアイ」を利用して探すのがおすすめです。
メッドアイなら、求人情報には出てこない詳しい給与条件やボーナスの支給実績なども把握していますので、十分確認することが可能です。