救急医療の世界に興味を抱いている方も多いのではないでしょうか?

救急医療は、命を救うために迅速な対応と高度な専門知識が求められる、医療の中でも特別な分野です。
しかし、その舞台裏には複雑な仕組みや、救急医療従事者たちの大きな責任が広がっています。


本記事では、救急医療の具体的な仕組みや、現場の医師たちの実際の働き方、さらに救急医療体制の課題についても解説します。

救急医療に興味を持ち、その内部の挑戦とやりがいを知ることで、医療分野への新たな視点が広がることでしょう。
ぜひ最後までお読みください。

救急医療体制の仕組みについて

救急医療体制は、予期せず発生した怪我や病気に対応するための医療全般において、患者の状態に応じて段階的に対応し、適切な医療を提供するために構築されています。

以下では、救急医療体制の仕組みについて詳しく解説します。
一次救急から三次救急まで、どのように構築されているのか、そしてそれぞれの役割や特徴について理解が深まるでしょう。
また、救急指定病院や救命救急センターの存在、それぞれの設備や条件についても触れていきます。

救急医療体制には3つの体制がある

救急医療体制は、患者の緊急度や病状の重症度に応じて3つの異なる医療機関レベルで構築されています。
これには、初期(一次)救急医療機関、二次救急医療機関、三次救急医療機関が含まれており、それぞれのレベルで異なる役割と機能を担っているのです。

初期(一次)救急医療機関は、比較的軽度の傷病者に対応します。
このレベルの医療機関では、自分で医療機関に通院できる患者や、診療所で処理できるケースが対象です。
夜間や休日、祝日など、通常の診療時間外にも対応するため、在宅当番医制を導入している医師会及び休日夜間急患センターや救急歯科診療室があります。
主に外来での診療が行われ、入院や手術が必要な患者は他の医療機関への紹介が行われます。

二次救急医療機関は、緊急性が高く、入院や手術が必要な場合が対象です。
救急車で運ばれてくる患者や、初期処置が必要な患者を受け入れ、必要に応じて手術や入院治療を行います。
都道府県によって指定され、救急指定病院と共同で連携し、救急対応を行います。

三次救急医療機関は、最も高度な診療機能を提供する病院で、深刻な緊急事態が対象です。
特に高度救命救急センターは、交通事故による全身の重傷患者や、全身熱傷、指肢切断、急性中毒などの高度な治療が必要な患者を受け入れます。
また、三次救急医療機関は、救急医療の教育機関としての役割も果たし、医療従事者の教育・訓練にも貢献しています。

このように、救急医療体制は患者の状態に応じて段階的に対応し、適切な医療を提供するために、初期、二次、三次の救急医療機関が連携しているのです。

救急医療体制の全体的な流れ

救急医療体制は、緊急な病気や怪我に対応するための包括的なシステムです。
発症した際、
住民や他の関係者は救急搬送要請や救急蘇生法を通じて救護を求めます。
この段階で救急救命士が適切な活動を行い、必要に応じて患者を適切な救急医療機関へ直接搬送します。

その後、初期救急医療が提供されます。
初期救急医療では傷病者の状態に応じて適切な救急医療が行われ、場所としては
休日・夜間急患センターが活用されます。

次に、入院救急医療が重要です。
この段階では24時間365日の救急搬送受け入れが行われ、傷病者の状態に応じた適切な医療が提供されます。

さらに、救命救急医療が必要な場合もあります。
救命救急医療では複数の診療科にわたる重篤な救急患者に対して適切な医療が提供され
、救命センターが活用されます。

これらの段階を経て、患者の状態が安定し、救命期後医療へと移行します。
救命期後医療では在宅での療養を望む患者に対する退院支援や、合併症や後遺症のある患者に対する慢性期の医療が提供されます。

各機関の対応方法の違い

以下では、一次救急、二次救急、三次救急の各機関がどのようなケースに対応し、どのように違う役割を果たすのかについて詳しく解説します。
例えば、一次救急では比較的軽症の患者に対応し、自力で来院できる方が対象です。
対照的に、三次救急は生命に関わる重症患者に24時間受け入れを行います。さらに、各機関の運営や設備、医師の配置にも違いがあります。

これらの違いを理解することは、緊急時に適切な医療機関への受診や連絡をするために非常に重要です。
救急医療の体制と各機関の役割を明確にし、安心して医療サービスを受けるための知識を深めていきましょう。

初期(一次)救急で行うこと

初期(一次)救急医療は、入院や手術が必要ない、比較的軽症の患者に対応する医療の分野です。
この段階では、患者の症状が深刻でなく、
即座の入院や高度な医療処置を必要としないケースに焦点を当てています。
以下に、初期救急で行われる主な対応について説明します。

  • 受診方法: 一次救急では、患者は自力で診療所や救急指定を受けた開業医やかかりつけ医の病院に来院します。また、身近な家族や友人に付き添ってもらうことも一般的です。タクシーや自家用車を利用して病院に向かうことが多いため、救急車の使用は一般的には必要ありません。
  • 診察と治療: 初期救急医療では、主に急性の軽症状や急性感染症、軽度の外傷などが対象とされます。医師は患者の症状を詳しく聞き取り、身体検査を行います。必要に応じて血液検査やX線などの検査も実施されます。診察の結果、入院や手術が不要であると判断された場合、適切な治療や処方薬が行われます。
  • 紹介: 一次救急医療機関では、一部の症例に対応が難しい場合、またはより専門的な医療が必要な場合、患者を二次救急医療機関に紹介することがあります。例えば、緊急の外科処置や専門的な検査が必要な場合などです。医師は患者の安全と適切な医療を確保するため、必要な場合は紹介を行います。

初期救急医療は、軽症患者や急性の健康問題に対応し、患者ができるだけ早く診療を受け、その後の適切な治療や指導を提供する役割を果たしています。

二次救急で行うこと

二次救急医療は、入院や手術が必要な重症患者に対応する救急医療の要石です。
この医療体制は、患者の状態が深刻で、迅速かつ専門的な治療が必要な場合に、
24時間365日の体制で患者を受け入れる役割を果たしています。

  • 入院と手術の対応: 二次救急医療機関は、入院が不可欠な患者に対して、適切な入院手続きを迅速に行います。また、手術が必要なケースにも対応し、手術室を完備しています。これにより、急性の外傷、重度の内科的合併症、または急性の慢性疾患に対する外科手術や治療を提供します。
  • 共同利用型病院方式と病院群輪番制: 二次救急医療機関は、共同利用型病院方式や病院群輪番制などの柔軟な方法を用いて、患者の迅速な対応が可能です。共同利用型病院方式では、地域の拠点病院が特定の施設を開放し、専門医師が患者を診察・治療するために出向くことができます。一方、病院群輪番制では、複数の救急指定病院が当番制で患者の受け入れと診療を担当し、連携を強化しています。
  • 救急指定病院の条件: 二次救急医療機関としての救急指定病院とは、都道府県知事による指定を受けた病院で、これには救急医療に関する深い知識と経験を持つ医師の常駐、必要な医療設備と施設の完備、救急患者の適切な受け入れと治療を行うための物理的環境の整備、救急患者の専用病床の確保等の条件が必要です。これらの条件を満たすことで、患者に高品質で迅速な医療ケアを提供し、その健康と安全を確保します。

三次救急で行うこと

三次救急医療は、一次救急や二次救急では対応が難しい、生命にかかわる重症患者に対する極めて高度な救急医療の提供を指します。
この医療体制は、その特殊性と重要性から、以下の要点が際立っています。

  • 重症患者への24時間受け入れ: 三次救急医療は、原則として24時間365日体制で、生命にかかわる重篤な症例を受け入れる役割です。これにより、どんな時間帯でも高度な医療ケアが提供され、患者の生命を守るための迅速かつ確実な対応が行われます。例えば、重度の外傷、急性中毒、指肢切断、高度な熱傷などがこれに含まれます。
  • 救命救急センターの役割: 三次救急医療は、救命救急センターや地域救命救急センターにおいて診療されます。これらのセンターは高度な医療知識と設備を備え、救急医療の最前線で患者を受け入れ、診療・治療が可能です。また、症状が多岐にわたるため、複数の診療科が連携して対応します。
  • 教育機関としての役割: さらに三次救急は、救急医療の教育機関としての役割も持ち、医療従事者が救急救命を学ぶ場でもあります。医師、看護師、麻酔科医など、多くの医療専門家が協力し、チームでの診療が行われ、次世代の医療従事者に高度な技術と知識を伝える重要な場でもあるのです。

救急医療体制における3つの課題

救急医療体制にはいくつかの課題が存在し、これらを克服することが急務となっています。
以下では、救急医療体制における3つの主要な課題に焦点を当て、その解決策について紹介します。

私たちの安心・安全を支える救急医療における重要なテーマについて、詳しく掘り下げていきましょう。

1.不適切な救急受診を減らすこと

救急医療体制における最も重要な課題の1つは、不適切な救急受診の増加です。
現在、多くの人々が救急車を呼ぶ際に、適切な判断が難しく、安易に救急車を要請しています。
この課題にはいくつかの要因が影響しています。

受診の時点で適切な判断が難しいケースが増加していることが1つの要因です。
一般の人々にとって、病状の重要性を正確に評価するのは難しい場合があり、安全を最優先に考え、病院への受診を選ぶ傾向があります。
その結果、救急車の要請が増加し、病院や救急医療機関が不必要な電話対応に追われると言えるでしょう。

一方で、救急安心センター事業(♯7119、利用地域は限定)や子ども医療電話相談事業(♯8000、全国利用可)などのサービスの認知度が低いことも課題です。
これらのサービスは、医師や看護師のアドバイスを受けることができ、病状の評価や適切な対処法を提供しています。
しかし、多くの人々が直接病院に受診の問い合わせを行い、病院側が不要な電話対応に時間を費やす現状があります。

2.医療機関及び人手を確保すること

救急医療体制におけるもう1つの大きな課題は、医療機関及び人手の確保です。
この課題は、救急医療の提供において重要な役割を果たす医療機関や医師の数に関連しています。

まず、三次医療機関は年々増加している一方で、二次医療機関は横ばいまたは減少傾向にあるという現状があります。
この格差が、救急医療の質とアクセスに影響を及ぼす可能性があります。
三次医療機関の増加に伴い、配置する医師の確保がますます重要となります。
特に、救急医療では24時間体制を維持する必要があるため、
医師の不足は医療機関全体の運営に大きな影響を及ぼすでしょう。
医師が不足すると、専門外の患者に対応する難しさが浮き彫りになります。
特に精神科救急など、特定の分野で専門的な知識が必要なケースでは、適切な医師の確保が難しくなることがあるでしょう。

3.搬送手段を拡充すること

さらなる救急医療体制の課題は搬送手段を拡充することです。
地域によっては、特に広大な面積を持つ地域や地理的に厳しい条件にある地域では、搬送手段の多様性が重要と言えます。

例えば、北海道のような土地の広い地域では、ヘリコプターによる搬送が一般的です。
ヘリコプターは陸路ではアクセスが難しい場所へ迅速に到達し、重症患者を適切な医療機関に搬送するために不可欠な手段となっています。
さらに、飛行機による搬送も行われており、長距離を移動する際には飛行機を利用して患者を搬送することがあるのです。

また、海岸線沿いや山間部など、陸路が利用できない地域では特に、より迅速な対応を行うための搬送手段の確保が不可欠です。
ボートやヘリコプターによる海上救急、山岳救助隊による山岳救急など、地域の特性に合わせた搬送手段が整備されています。
さらに、広域連携体制の構築も重要であり、地域内外の医療機関、救急隊、航空機関などとの連携を強化し、患者の迅速な搬送と適切な治療を実現するための努力が求められるでしょう。

救急医療機関により異なる医師の働き方

救急医療機関における医師の働き方は、その性質に応じて異なります。
まず、二次および三次救急医療機関は24時間体制での受け入れが必要です。
救急患者がいつでも発生する可能性があるため、夜間や休日を含む連続勤務や宿直勤務が必要です。
このため、医師たちは不規則な勤務スケジュールに適応しなければなりません。

一次救急医療機関でも、夜間や休日に対応する必要があります。
これは救急医療が時間に関係なく必要な場面があるためです。
したがって、一次医療機関の医師も夜勤勤務などに対応する必要があります。

一方で、救急医療のレベルは一次から二次、三次に進むにつれて高度化しています。
一次医療では比較的軽症の患者を扱うことが一般的ですが、二次および三次救急医療ではより高度な医療技術や診断能力が求められるでしょう。
そのため、
医師たちは高い専門性を発揮する必要がありますが、それに伴って精神的および身体的な負担も増加します。

また、一次医療での誤った診断や対応は、患者が適切な治療を受けられなくなる可能性があるため、医師たちは責任を重く受け止めています。
高度な医療スキルと正確な診断が求められ、そのためには継続的な教育とトレーニングが必要です。

救急医療への転職をお考えなら転職エージェントに相談しよう

救急医療の世界では、医師たちにとってさまざまなキャリアの選択肢があります。
一次救急から三次救急までの医療機関での働き方も多様で、その中で自分の志向やライフスタイルに合った職場を見つけることが重要です。
しかし、医師のキャリアに悩むことは少なくありません。

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まとめ(救急医療体制の仕組みとは)

今回は、救急医療体制の仕組みについて解説しました。
救急医療は、患者の状態に応じて段階的に対応し、予期せぬ怪我や病気に対処するための医療全般を提供します。

救急医療体制にはいくつかの課題が存在します。まず、医療機関や医師の確保が必要です。
三次医療機関は年々増加していますが、二次医療機関は横ばいまたは減少傾向にあるため、配置する医師の確保が課題となっています。
また、救急医療は24時間体制を確保しなければならないため、人手不足の現場では大きな負担となります。

さらに、搬送手段の拡充も必要です。
地域によっては、ヘリコプターや飛行機による搬送が必要な場合があります。
特に山間部や離島など、アクセスが困難な地域では、迅速な対応のための搬送手段と広域連携体制の構築が不可欠です。

救急医療の現場での医師の働き方も重要なテーマです。
二次・三次救急は24時間体制での受け入れが求められ、一次救急でも夜間の対応が必要です。
医師はどの医療機関で働くにしても夜勤や宿直などが必要であり、一次医療から三次医療に進むにつれ、高度な技術や判断が求められ、精神的・身体的な負担が増大します。

救急医療は私たちの安全と生活に直結する重要な分野です。
課題に立ち向かい、より効果的な救急医療体制を構築するために、医療関係者や社会全体の協力が必要でしょう。

また、医師の働き方に悩む方は、医師専門の転職エージェントであるメッドアイに相談することをおすすめします。
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