医師は高収入な職業というイメージがありますが、「実はボーナス(賞与)が全く出ない」「思っていたより支給額が少なすぎる」というケースは珍しくありません。
「自分の勤務先は異常なのだろうか?」
「なぜ医師なのにボーナスがないのか?」
この記事では、転職エージェントの視点から、医師にボーナスが出ない・カットされる4つの理由や支給されにくい病院の特徴を詳しく解説します。現状に不満を感じたときの具体策も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
医師で「ボーナス(賞与)なし」はあり得る?結論と主な理由
結論から言うと、医師にボーナスが出ない職場や働き方は存在します。
厚生労働省の統計データでは医師の平均ボーナス額は年間約116.4万円とされていますが、これはあくまで平均値です。実際には「年に1円も支給されない医師」も多く存在します。
医師にボーナスが出ない、あるいは極端に少なくなる理由は主に以下の4つです。
① 年俸制(12分割支給)の契約になっている
民間病院やクリニック、美容クリニックなどで多く採用されているのが「年俸制」です。
年俸制の場合、提示された提示年収(例:1,500万円)を12等分して毎月支払う契約になっていることが多く、この場合は制度として毎月の給与に組み込まれているため、別途「ボーナス」という形での支給はありません。
月給が高く設定されているため実質的な不利益はありませんが、「夏・冬のまとまった支給はない」という点に注意が必要です。
② 医局人事・転勤で「支給対象期間」を満たしていない
若手医師を中心に非常に多いのが、医局人事による数ヶ月〜1年単位での短期異動です。
多くの病院では、ボーナス支給の条件として「査定期間(前年10月〜3月など)に6ヶ月以上在籍していること」という規定を設けています。
異動のタイミングによってはこの在籍期間を満たすことができず、実質的にボーナスがゼロ(または数万円の雀の涙程度)になってしまう現象が発生します。20代医師の平均ボーナス額が約18.9万円と極端に低いのは、この仕組みが大きく影響しています。
③ 勤務形態が「非常勤・定期アルバイト」である
定期非常勤(週1〜3日勤務など)やスポットバイトとして働いている場合、基本的には時給・日給ベースでの契約となります。
どれだけ長く勤務していても、非常勤医師に対して賞与を支給する医療機関は極めて稀です。
④ 病院の業績悪化・経営難によるボーナスカット
「賞与あり」の契約であっても、就業規則に「業績に応じて支給額を増減・不支給とする場合がある」と明記されていることがほとんどです。
病院の赤字経営や患者数の減少、インフレによる光熱費・材料費の高騰などが原因で、全額カットや大幅な減額(前年の半額など)が行われるケースもあります。 あわせて読みたい
ボーナスが出ない・減額されやすい病院の特徴
ボーナスが支給されない、あるいはカットされるリスクが高い医療機関には、以下のような特徴が見られます。
- 経営基盤が不安定な中小病院・個人クリニック
大手医療法人や公的病院に比べ、資金繰りの影響をダイレクトに受けやすいため、業績悪化時に真っ先に賞与が削られる傾向があります。 - 設立して間もない開業医(新規オープン)
集患が軌道に乗るまでは赤字が続くことが多く、当初の予定通りにボーナスが支払われないリスクがあります。 - 業績連動型(完全インセンティブ制)を採用している病院
個人の売上(自由診療の売上や手術件数など)に連動して賞与が決まる場合、目標に届かなければ支給額が0円になることもあります。
【データ】医師の平均ボーナス額と「もらい損ね」の現実
厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」によると、医師の平均ボーナス額は年間116.4万円(男性:123.7万円/女性:95.3万円)となっています。
しかし、年代別で見ると以下のように大きな格差が存在します。
| 年齢区分 | 平均ボーナス額(年額) | 傾向と特徴 |
|---|---|---|
| 25〜29歳 | 18.9万円 | 医局人事による短期異動が多く、支給要件を満たせず「もらい損ね」が多発する時期。 |
| 30〜34歳 | 45.3万円 | 専攻医・若手時期。当直手当やアルバイトで年収を補填する人が増える。 |
| 35〜39歳 | 126.0万円 | 勤務先が定着し始め、ボーナス額が一気に跳ね上がる時期。 |
| 40〜44歳 | 145.7万円 | 中堅クラスとなり支給額が安定。 |
| 45〜49歳 | 159.4万円 | 医長や副部長クラスが増え、高水準で推移。 |
| 50〜54歳 | 157.8万円 | 安定した高水準な支給が続く。 |
| 55〜59歳 | 170.4万円 | 部長職や院長職などの役職手当が反映される。 |
| 60〜64歳 | 192.4万円 | 【ピーク】 勤続年数・役職の集大成となり最高額を記録。 |
| 65〜69歳 | 94.4万円 | 定年退職後の再雇用や非常勤移行に伴い半減する。 |
厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種(小分類)第5表「年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(医師・男女計・企業規模計)」より作成
※詳しいボーナス相場や推移については、以下の記事で詳しく解説しています。 あわせて読みたい
ボーナスが出ない・少ないと感じたときの3つの対処法
「想定していたよりボーナスが少ない」「突然カットされた」と不満を感じた場合は、以下のステップで対応を進めましょう。
対処法1:雇用契約書・就業規則を再確認する
まずは自身の契約が「年俸制(12分割)」なのか「月給+賞与制」なのかを確認してください。
月給+賞与制の場合でも、「基本給」が低く抑えられており、手当で月給を高く見せているケースがあります。ボーナスは「基本給×○ヶ月分」で計算されることが多いため、基本給が低いと支給額も少なくなってしまいます。
対処法2:定期非常勤(バイト)で年収を補填する
勤務先のボーナス制度をすぐに変えることは不可能です。手っ取り早く減額分を取り戻したい場合は、「週1日の定期非常勤バイト」や「当直アルバイト」を導入するのが最も確実に年収を上げる方法です。
例えば、月2回の当直バイト(1回5万円)を行うだけで、年間120万円の収入となり、ボーナス減額分を十分にカバーできます。
対処法3:ボーナス支給実績のある病院へ転職する
「経営状態に不安がある」「不当なボーナスカットが続いている」という場合は、無理に留まらず、経営が安定した別の医療機関への転職を検討するのが賢明です。
転職活動時には、提示年収だけでなく「過去数年間の賞与支給実績(○ヶ月分)」や「基本給と手当の内訳」を事前によく確認することが失敗を防ぐカギとなります。
自己応募では聞きにくい「実際のボーナス支給状況」や「経営の健全性」については、医療現場の内部事情に詳しい転職エージェント「メッドアイ」を活用して情報収集するのがおすすめです。
まとめ(医師のボーナス事情)
医師のボーナスの平均は、男性で123.7万円、女性では95.3万円となっています。
病院の規模や収益状況、医師の経験年数などによって、大きく差が出るのが実情です。
特に20代の若手医師は、ボーナスがほとんど支給されないケースもあり、早い段階で待遇の差を実感することもあります。
それでも、経験を積み重ねていけばボーナス額は徐々に上がっていきます。
ただし、ボーナスはあくまで病院の業績に左右されるため、「どれだけ働いても支給されない」というリスクがつきものです。
医師の仕事は責任が重く、簡単に転職や離職ができないからこそ、勤務先の経営状況や報酬制度は慎重に見極める必要があります。
「納得できる額の収入やボーナスを得たい」と考える方は、医療業界に特化した転職エージェント『メッドアイ』を活用しましょう。
条件交渉や職場の実態確認までサポートしてくれるため、安心して次のキャリアを選ぶことができます。

















