研修医期間は医学生の期間とは異なり、働きながら学ぶため、大変さは段違いです。
覚えることと記録してすぐ見られるようにすることをうまく仕分け、効率的なノートを作っていく必要があります。

「研修医にとってわかりやすいノートの取り方を知りたい」
「研修医として効率よく勉強するためのノートのまとめ方を知りたい」

この記事では、研修医のノート作りに大切なポイントや、おすすめのまとめ方や使い方についてご紹介します。
デジタルツールを活用できるよう、ノート作りで人気があるアプリもご紹介しますので参考にしてください。

研修医がノートを取る際に心がけるべき3つのポイント

研修医がノートをまとめる際に気をつけたいポイントとしては、主に以下の3つがあります。

  1. 臨床時にすぐ活かせるようにする
  2. 視覚的にわかりやすいものにする
  3. 持ち運びのしやすいものにする

前提として、研修医として学ぶ知識は、インプットよりもアウトプットに重きを置く必要があります。
そして、記憶よりも閲覧に特化したノートが役に立つのです。
ノート作りで役に立つ3つのポイントについて、詳しく解説します。

1.臨床時にすぐに活かせるようにする

臨床の現場で働きながら学ぶ研修医のノートは、臨床の現場で上手に活用できるように作るのが大切です。
疾患別や部位別など体系的にまとまっていると、臨床現場で知識や情報を確認したい時に、すぐ欲しい情報に辿り着くことができます。
また、ノートの記載をアウトプットを意識した作りにしておけば、閲覧した際に情報が頭に入りやすくなるのでおすすめです。

2.視覚的にわかりやすいものにする

ノートをアウトプットを意識した作りにするためには、視覚的なわかりやすさにこだわることがポイントです。
パッと見て頭に必要な情報が入るよう、画像やグラフ、表などの活用をおすすめします。
誰かに教えるために作るよう意識すると、ひと目で理解できるノート作りが上達しやすいです。
同期の研修医同士で見せあって意見を聞いてみるのも効果的な方法です。

3.持ち運びのしやすいものを選ぶ

研修医はノートを取るのも見るのも仕事をしながら、という場面が多くなります。
物理的に持ち運びがしやすい形態を選ぶのも大切なポイントです。
情報量が多くなりがちなので、大きめのノートや分厚いノートが欲しくなりますが、携帯性とのバランスは忘れずに考えておきましょう。

また、タブレットやスマホなどのデジタルデバイスを活用する方も多くなっています。
多量の情報をコンパクトに持ち運べるため、デジタルデバイスはおすすめツールです。
デジタルデバイスをメインに使う場合は、バッテリー切れなどの咄嗟の事態に備えるため、予備の記録用として紙のメモとペンを持っておくと安心できます。

研修医の勉強におすすめのノートのまとめ方4つ

研修医のノートは、学んだことを体系的にわかりやすく整理し、自分自身が臨床現場に立った際に参照できるように作るのがおすすめです。
ここからは、「体系的でわかりやすい」ノートにするため、ノートをまとめるコツをご紹介します。

1.現場での対応方法について優先的にリスト化する

救急の対応や外傷の処置、手術の場など、臨床現場でまず必要になるのは、知識よりも対応力です。
もちろん知識も重要ですが、現場で患者と向き合った時にすべきことがわかっていないとスムーズな対応ができません。
「現場で対応すべきこと」が状況別にわかりやすくリスト化されていると、とても使いやすいノートになります。
「その場で何をすべきか」をリスト化したノートをまとめておき、その別冊として「どうしてその対応をするのか」がわかる、知識を整理したノートを作ると、復習もしやすくなります。

2.症状ではなく疾患ごとに内容をまとめる

医者は患者の愁訴から病状を推測して、検査やより詳しい問診で疾患を見極めます。
どんな症状がどんな疾患につながるのかを、より多く知るのが重要です。

そこで、症状から想定される疾患をまとめたノートを単体で作っておくと、問診の際に活用できます。
使いやすいノートにするためには、症状別ではなく、疾患別でまとめることがポイントです。
デジタルデバイスを活用するのであれば、症状からも疾患名からも検索できるようになっていれば、かなり心強いノートとなります。

3.疾患や治療方法などについては具体的にまとめる

疾患別の治療方法についても、単体でまとまっているノートがあると安心です。
その疾患で見られる症状に対して、治療法、使用する薬をまとめるのはもちろん、それぞれの治療法や薬の効果データも一緒にまとめておきましょう。

薬の効果が出るまでの期間や効果がある割合、効果がなかった場合の薬剤の切り替えについてもまとめておくと、臨床現場で判断の助けになります。
また、客観的なデータがすぐ見られることで、自身の判断だけでなく、患者への説明もスムーズになり、理解が得やすくなるのでおすすめです。

4.事前に想定される患者からの質問についてまとめる

前項と同じノートにまとめられますが、薬や症状、治療法に関することで、患者から質問されそうな項目と答えを一緒に整理しておくこともおすすめです。
患者やその家族は、医師の判断や選択を理解することで安心感を持てます。

データに基づき、わかりやすい説明をするためにも、あらかじめ質問を想定しておくと便利です。
スムーズな受け答えができれば、患者の信頼度の向上にもつながります。
また、症状や治療法に関する専門用語も、一般的にわかりやすく説明できるような文言をまとめておくのも、患者の理解向上に役立ちます。

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わかりやすいノート作りにはデジタルの活用もおすすめ

研修医が学ぶ内容は多岐に渡り、その分情報量も多くなります。
膨大な情報を効果的にまとめるために、ノートのデジタル化も一般的になってきました。
パソコンを使いスプレッドシートやドキュメントでノートをまとめ、タブレットでいつでも見られるようにしている研修医も多くいます。
また、検索機能に優れたメモやノートのアプリもたくさんあるので、それらを活用するのもおすすめです。

ノートのまとめだけでなく、紙のテキストをPDF化して、手持ちのデバイスから見られるようにするといった活用方法もあります。
ノートアプリなら見やすいアウトプットも手軽に作れるので、可能であれば積極的に取り入れて活用してみてはいかがでしょうか。

研修医のノートまとめにおすすめのアプリ3選

パソコンやスマホ、タブレットで使えるノートアプリにはさまざまな種類があります。
いくつか試してみて、自分が一番使いやすいものを見つけるといいでしょう。
ここでは、研修医のノート作りにおすすめのアプリを3つご紹介します。

1.Notion

ノート機能とタスク機能、wiki機能を兼ね備えたアプリです。
作成したノート同士のリンク機能も充実していて、検索や管理がしやすくなっています。
Todoリストやガントチャート機能もあるため、ノートのまとめだけでなく、仕事のタスク管理も可能です。
Webサイトの必要な情報も簡単に蓄積でき、画像やファイルの保存もできます。

Notionは無料でも利用できますが、研修医は医学書データや画像も多用することから、データ容量が大きい有料版を使うことがおすすめです。
学生が利用する場合は無料で有料機能も使えることから、医学生時代から活用している方も少なくありません。
医大生時代にすでに無料でNotionを使っている方は、研修医になると無償ではなくなってしまうため、その点のみ注意が必要です。

2.Evernote

EvernoteもNotionと同様に、機能豊富で人気があるノートアプリです。
iPadを利用していればApple Pencilを使った手書きにも対応しています。
GmailやGoogleドライブと連携が可能で、作成したノートやデータをフォルダ別に分類管理ができ、情報整理がしやすいアプリです。
検索機能も充実していて、キーワード検索やタグ設定などが利用できます。

また、Evernoteはテンプレートが用意されていて、議事録やビジネスプランなど、シーンに合わせたものを公式サイトから選べます。
ノートまとめに自信がない方は、まずはテンプレートを利用してみるのもいいでしょう。
Evernoteでも無料版はデータ量に制限があったり、利用できる端末数の制限があったりするため、有料版を利用するのがおすすめです。

3.Good note

Good noteは元々Apple製品向けのノートアプリでしたが、2023年からWindowsとアンドロイド版もリリースされました。
手書き文字やPDFからもテキスト検索ができ、よく見るノートのブックマークもできる、検索性に優れたノートアプリです。

ノート制作の自由度も高く、テンプレートも利用可能ですし、サードパーティーテンプレートも豊富で、ノートづくりが不得意な方でもオリジナルのノートを作りやすくなっています。
また、スケジュール帳のテンプレートもあり、ノートだけでなく手帳として活用することも可能です。
こちらも全機能の活用やデータ要領の制限から、有償版を利用することがおすすめですが、買い切りプランがありお得感があります。

研修医には効率の良い勉強が必要

研修医が学ぶべき内容は非常に多く、覚えることも膨大です。
しかも、臨床現場で働きながら学ぶため、ゆっくり座って学習する時間も取りづらくなります。
研修先の病院の状況によっても忙しさは変わってきますが、自習時間がほとんど取れないという研修医も少なくないのです。

体で覚えるまで叩き込むべき内容と、記憶ではなく情報閲覧で対処する知識とを仕分けましょう。後者については、より見やすいノートをまとめることが重要になってきます。
忙しい業務の中で、隙間時間を活用して有効なノート作りを進めるために、できるだけ早く、自分なりのノート作りのコツを体得するのがおすすめです。

研修医としての働き方に悩んだら転職エージェントに相談

研修先の病院が忙しい場合、ノートをまとめたり、わからないことを調べたりする自習時間が取れないケースもあります。
研修先で忙しく働くことは、それだけ経験が蓄積できるというメリットもありますが、得た情報を整理して今後に活かせないのでは意味がありません。
医学生時代とは忙しさの質がまるで違うため、研修医になった当初は戸惑うかもしれませんが、最初はとにかくがむしゃらについていくしかないでしょう。

初期臨床研修を通して、その病院で働くことが辛いと感じたら、後期研修に変わるタイミングで転職するのも1つの方法です。
今すぐ転職というわけでなくても、医師専門の転職エージェントに相談してみてはいかがでしょうか。
メッドアイでは無料相談も受付していますので、医師一人ひとりの希望やキャリアプランに寄り添った提案が可能です。
後期研修先を選ぶために必要な情報収集でもお手伝いが可能ですので、お気軽にご相談ください。

まとめ(研修医の勉強に最適なノート作りのコツ)

研修医になると、医大生時代とは勉強の内容や質が大幅に変わってきます。
医大生の間は医者になるために必要な医学の基礎を学びますが、研修医になると実際の臨床現場で必要な対応術を学ぶのです。
必要な情報量が桁違いに多くなりますし、患者の数だけ対応の方法も変わってきます。

研修医の学びをスムーズにするのに欠かせないのが、上手なノート作りです。
気がついたことをすぐに記録し、見やすくまとめ、必要な時にすぐ見られるように工夫が必要です。
写真や音声も記録でき、検索性にも優れたパソコンやタブレットなどのデジタルデバイスを上手に活用して、自分なりのノート作りを確立しましょう。
そしてノートを最大限活用し、臨床現場で仕事の幅を広げることが、医師として独り立ちするための大きな助けとなります。

また、研修医として働いていて、忙しすぎて学びの時間が取れないならば、研修後の職場を変えることも検討するといいでしょう。
職場探しには、情報量とノウハウが豊富にある医師専門転職エージェント「メッドアイ」に相談するのがおすすめです。