医者になるための道のりは学問的な挑戦だけでなく、経済的な負担も伴います。医学部の学費は他の学部と比較して高額で、国公立大学と私立大学で大きく異なります。

  • 医者になるためにどれくらいの費用がかかるのか知りたい
  • 学費以外にかかる費用はどれくらいになるのか知りたい

このように思っている方に向けて、本記事では医学部の受験費用から学費まで、医者になるための主な学費の内訳について詳しく解説します。
国公立大学と私立大学で学費がどれほど異なるのか、医者を目指す方の参考になれば幸いです。

医者になるまでの費用はいくら?

医学部は他の学部に比べて学費が高いことで有名ですが、国公立大学と私立大学では差が大きくなります。
私立の場合、医者になるまでの費用は小学校から大学卒業までにかかる費用を合計すると約6,200万円かかると言われています。
金額は一例であり、進学先や生活スタイルによって変わりますが、内訳は以下の通りです。

  • 小中高の学費:私立の場合約1,100万円(公立の場合約680万円)
  • 小中高の学習塾代:約450万円
  • 予備校費用:大手予備校80万〜150万円、医学部予備校300万〜600万円
  • 大学受験にかかる費用:大学共通テストと二次試験の受験料、交通費や宿泊代など約70万円
  • 医学部の学費:私立の場合約3,300万円(国公立の場合約350万円)
  • 一人暮らしの費用:6年間で約600万円

医者になるための主な学費の内訳

医学部に入るための受験費用と、医学部入学後にかかる学費について紹介します。

1.医学部の受験費用

受験費用には、受験料、交通費、宿泊費などが含まれます。
受験料は国公立大学は、共通テストと2次試験の合計で約3万5,000円です。私立大学は、1校あたり約6万円です。

交通費や宿泊費は受験地や滞在期間によって変わりますが、遠方から受験する場合は数十万円かかる可能性があります。
また受験に関する書類や食事代、大学までの交通費も考慮し、総合的には約50万円の予備費用が必要です。

第1志望の合格発表前に、滑り止めとして他の大学にも入学金を振り込む必要もあります。複数校に振り込む場合、数百万円に上ることも想定されます。

2.国公立大学医学部・私立大学医学部の学費

国公立医学部に進学すれば6年間の学費は約350万円です。
国公立大学の学費は学部に関わらず一律であり、国によって標準金額が設定されています。大学は標準額の10%を上限とし、それに基づいて学費を定めます。

一方、私立大学医学部は全国に33校あり学費の差が大きく、平均的な6年間の学費は約3,300万円です。最も学費が安い順天堂大学では2,080万円、最も高い川崎医科大学では4,550万円となっています。

学費以外に必要な主な費用

医者になるまでの費用は学費だけでなく、教材費や施設設備費、諸会費などもかかります。

1.教材費

医学部では多くの教科書を購入する必要があります。教科書は一冊あたり数千円から数万円と高額ですし、毎年度新しい教科書を買い換えることもあります。
そのため教科書代だけで年間数十万円の費用がかかることも珍しくありません。

2.道具

医学部では実習を行う際に必要な用具や衣服も自分で用意する必要があります。
白衣や聴診器、ライトなどの基本的な用具はもちろん、解剖や臨床実習に必要な専門的な用具も購入しなければなりません。
用具は一式揃えると約5万円の費用がかかります。

3.CBTやOSCEなどの試験の検定料

医学部ではCBTやOSCEなどの試験も必須で、それぞれ約3万円の検定料がかかります。
CBTとは、Computer Based Testingの略で、コンピュータを使って行われる筆記試験です。医学的知識や臨床判断力などを問われます。
OSCEとは、Objective Structured Clinical Examinationの略で、実際の臨床場面を模擬した試験です。患者役との対話や診察、手技などを行い、評価されます。

4.施設設備費

施設設備費は医学部の教育環境を整えるために必要な費用で、実験室や解剖室、図書館などの設備や機器の維持管理費などが含まれます。
医学部入学時または入学後に毎年度支払うケースがあり、学校によって異なりますが基本的に100万円以上の費用がかかります。

5.諸会費

諸会費は主に学生自治団体やクラブ活動、イベントの運営などに使われます。
諸会費の金額は医学部や活動の種類によって異なりますが、一般的には年間数千円程度です。

6.予防接種費用・保険料

医学部の学生は実習でさまざまな病気に触れる可能性があります。そのため感染症などの予防のために、必要な予防接種を受けることが求められます。
また万が一の事故や怪我に備えて学生保険の加入も必要です。
予防接種費用、保険料と合わせて2万円程度が目安とされています。

医者になるための費用を安く抑えるには

医者になる費用を節約する具体的な方法を3つ紹介します。

地域枠や奨学金制度などを利用する

医者になるための費用を抑える方法として、地域枠や奨学金制度の活用があります。
地域枠は、卒業後の勤務地域を限定し、将来地元で医療に貢献することを条件に奨学金を受けられる仕組みです。

自治体や地域によって異なり、例えば特定の地域で医療人材が不足している場合、地域での勤務を条件に奨学金の返済が免除されることがあります。

また奨学金制度も医学部の学費を抑える有効な手段です。奨学金は学業成績や家庭の経済状況などによって無利子や低利子で貸与されます。また一部の奨学金は特定の条件を満たすと返済が免除される場合もあります。

国公立医学部を目指す

国公立大学医学部の学費は私立大学医学部の学費と比較して大幅に低いです。
具体的には国公立大学医学部の学費は約350万円、私立大学医学部の学費は3,300万円前後するため3,000万円以上の差があります。
しかし国公立大学医学部への進学は競争率が高く、入学試験も難易度が高い特徴であるため、十分な勉強と努力が必要です。

現役合格をする

現役合格すると浪人の必要がなくなり、予備校代を抑えられます。

浪人生活は費用だけでなく、時間と労力も大きな負担となります。一年間の浪人期間を避け最初の受験で医学部に合格すれば、学費の他に発生する浪人に伴う生活費も節約可能です。現役合格により節約できる金額は数百万円にも上ります。

まとめ(医者になるまでの費用はいくら?)

今回は、医者になるための費用と内訳について詳しく解説しました。

私立医学部の場合、小中高の学費や学習塾代、予備校費用などを含め、約6,200万円かかると言われています。
さらに、医学部受験費用、国公立・私立医学部の学費、教材費、道具、試験検定料、施設設備費、諸会費、予防接種費用・保険料などが必要です。
医者になるための費用を節約する方法として、地域枠や奨学金制度を活用することが挙げられます。

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