専門医制度は2018年に大きく見直され、現在は日本専門医機構が基準を統一して運用しています。
専門医を取得するために必要な研修期間や試験の難易度は、診療科によって異なります。

  • 専門医が取りやすい科はあるのか
  • 各専門医の取得状況や合格率はどう違うのか

この記事では、公的データ・日本専門医機構の資料をもとに、診療科ごとの取得率や合格率を比較し、「どの専門医が相対的に取得しやすいのか」を整理します。診療科選びの判断材料としてご活用ください。

専門医の取得状況はどれくらい?

厚生労働省が令和6年に調査した「医師・歯科医師・薬剤師調査」のデータによると、専門医ごとでは大きな差が見られました。
専門医の取得状況を専門性資格及び麻酔科の標榜資格、医師少数区域経験認定医師ごとに分析した結果、最も取得率の高い専門医資格は総合内科専門医で8.0%が取得しています。次いで内科専門医が6.6%、そして外科専門医が6.3%と続いています。

性別による割合でも男女ともに総合内科専門医が最も多く、男性では8.3%、女性では7.0%という結果です。
一方で、いずれの専門医資格も取得していない医師は全体の41.0%であり、約6割の医師は何らかの専門医資格を取得していることがわかります。

出典:『厚生省:令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況

専門医試験の合格率ランキング

基本領域専門医とサブスペシャリティ専門医の合格率について、最新のデータをもとに解説します。

基本領域専門医の場合

基本領域専門医とは、内科や小児科、皮膚科など、幅広い一般診療を担う診療科の専門医です。

日本専門医機構が公表した最新データによると、令和4〜6年度における基本領域専門医の過去3年間平均合格率は、科ごとに一定の差が見られます。

特に合格率が高い科としては、外科専門医(97.24%)をはじめ、放射線科専門医(92.04%)、泌尿器科専門医(91.88%)、眼科専門医(91.01%)などが挙げられます。また、形成外科専門医(89.87%)や総合診療専門医(89.71%)、内科専門医(89.68%)も約9割の高い合格率となっています。

一方で、合格率が相対的に低かった科は、麻酔科専門医(74.25%)や精神科専門医(76.76%)、小児科専門医(79.11%)、脳神経外科専門医(80.32%)などでした。なお、総合内科専門医(82.10%)は過去データに比べて合格率の上昇が見られます。

令和4〜6年度(過去3年間)の平均合格率は以下の通りです。(小数第三位を四捨五入)

基本領域専門医平均受験者数平均合格者数平均合格率
外科専門医
(新制度試験は令和3年度から開始。令和3年度は試験を実施せず令和4年度へ繰り越し)
1,087.331,057.3397.24%
放射線科専門医242.67223.3392.04%
泌尿器科専門医287.33264.0091.88%
眼科専門医363.33330.6791.01%
形成外科専門医174.33156.6789.87%
総合診療専門医320.67287.6789.71%
内科専門医2,775.002,488.6789.68%
臨床検査専門医16.0014.3389.58%
整形外科専門医659.00590.0089.53%
リハビリテーション科専門医120.00106.6788.89%
耳鼻咽喉科専門医280.67246.6787.89%
救急科専門医378.00331.6787.74%
産婦人科専門医502.00435.0086.65%
病理専門医110.6791.3382.53%
総合内科専門医2,825.332,319.6782.10%
皮膚科専門医303.33245.0080.77%
脳神経外科専門医250.67201.3380.32%
小児科専門医
(令和4年度から出願者ベースに変更)
718.00568.0079.11%
精神科専門医611.00469.0076.76%
麻酔科専門医620.00460.3374.25%

日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年(2025年)度版」を参考に作成

サブスペシャリティ専門医の場合

基本領域の取得後に目指すサブスペシャリティ領域専門医においても、診療科によって合格率にバラつきが見られます。
日本専門医機構が公表した最新データによると、最も合格率が高い診療科は脊椎脊髄外科専門医(平均99.02%)で、過去3年間を通じてほぼ全員が合格する非常に高い水準を維持しています。続いて腎臓専門医(96.34%)、内分泌代謝科専門医(95.86%)、老年科専門医(95.59%)などが上位に位置しています。

一方で、合格率が相対的に低かった診療科は、糖尿病専門医(72.98%)、感染症専門医(77.22%)、放射線カテーテル治療専門医(77.65%)、消化器外科専門医(79.03%)などとなっており、科によって難易度や選考基準の傾向が異なっています。

令和4〜6年度(過去3年間)の合格率の平均は以下の通りです。(小数第三位を四捨五入)

サブスペシャルティ領域専門医平均受験者数平均合格者数平均合格率
脊椎脊髄外科専門医203.33201.3399.02%
腎臓専門医245.67236.6796.34%
内分泌代謝科専門医177.33170.0095.86%
老年科専門医90.6786.6795.59%
肝臓専門医348.33325.6793.49%
消化器内視鏡専門医1,009.00937.3392.89%
心臓血管外科専門医
※胸部外科学会・心臓血管外科学会・血管外科学会 3学会構成
145.33133.6791.97%
アレルギー専門医297.00272.3391.69%
放射線治療専門医
※日本放射線腫瘍学会・日本医学放射線学会共同認定
58.0053.0091.38%
放射線診断専門医215.33195.6790.87%
循環器専門医650.67586.0090.06%
血液専門医156.67137.0087.45%
集中治療科専門医299.33256.6785.75%
リウマチ専門医157.00133.3384.93%
新生児専門医78.3366.0084.26%
呼吸器外科専門医99.0083.3384.18%
消化器病専門医
※令和2年度、令和3年度は実施延期、令和4年度に令和2年・3年を実施
862.33724.0083.95%
呼吸器専門医339.67284.0083.61%
小児神経専門医50.0041.0082.00%
がん薬物療法専門医102.6784.0081.82%
乳腺専門医128.00104.6781.77%
神経内科専門医256.67209.3381.56%
内分泌外科専門医22.0017.6780.30%
小児外科専門医31.6725.3380.00%
小児循環器専門医34.3327.3379.61%
消化器外科専門医578.67457.3379.03%
放射線カテーテル治療専門医85.0066.0077.65%
感染症専門医105.3381.3377.22%
糖尿病専門医339.33247.6772.98%

日本専門医機構「日本専門医制度概報 令和7年(2025年)度版」を参考に作成

【結論】専門医が取りやすい科はある?

データを見ると、最も取得率(保持率)が高いのは総合内科専門医で、専門医を取得している医師の8.0%が保有しています。また、試験の合格率で見ると外科専門医(97.24%)のように9割を超える高い科も存在します。

しかし、必ずしも専門医資格と活かせる診療科が結び付いているわけではなく、どこの診療科が取りやすいとは一概に言い難い現実もあります。

どの科が取りやすいかは個人の能力や熱意にも左右されるため、全体的な合格率だけでなく、自身の将来像や志向性を踏まえながら検討しましょう。


専門医とは

専門医とは一般社団法人日本専門医機構が認定する、各診療科において標準的で適切な診断・治療を提供できる医師のことです。
専門医は科学的根拠に基づいた最良の医療を提供できる医師であり、日本の医師免許取得者の90%以上が専門医あるいは元専門医です。
参考:専門医とは|一般社団法人 日本専門医機構

専門医は原則として5年ごとに更新があり、医療の進歩を学ぶとともに診療実績を積むことなどが専門医の更新認定基準として義務づけられています。

専門医制度とは

専門医制度とは医師の専門性やスキルを高めるための教育制度です。
2018年から新しい専門医制度が始まりました。専門医制度では専門医の質を担保するために、日本専門医機構という第三者機関が認定基準を統一して運用しています。

また専門医は19の基本領域と33のサブスペシャリティ領域に分かれています。
基本領域は総合内科や外科などの幅広い診療科で、サブスペシャリティ領域は消化器や腎臓などのより専門性の高い診療科です。
サブスペシャリティ領域の専門医になるには、基本領域の専門医を取得してからさらに研修を受ける必要があります。
新しい専門医制度は医師の質の向上だけでなく、地域医療の充実にも貢献することを目指しています。

働き方に悩んだら医師専門の転職エージェントに相談しよう

専門医資格の取得を考えている方、すでに専門医である方、そしてこれから診療科を選ぶ研修医の方など、医師のキャリアに関する悩みは人それぞれです。
そんな時は、専門の転職エージェントの利用をおすすめします。


メッドアイは医師専門の転職エージェントです。
メッドアイは、医師のキャリア形成を全面的にサポートします。無料で相談が可能で、一般的に公開されていない非公開求人情報も提供しています。
転職についての相談だけでなく、働き方やキャリアプランについての相談も可能です。
少しでも転職を検討しているなら、まずは相談から始めるのも1つの方法です。自身のキャリアを見つめ直すきっかけになるかもしれません。

まとめ(専門医が取りやすい科はある?)

今回は、専門医資格の取得率と合格率について解説しました。
全体的に見ると、取得率(保持率)では総合内科専門医、合格率では外科専門医や放射線科専門医、眼科専門医が高い傾向にあります。一方で、麻酔科専門医や精神科専門医などは合格率が相対的に低い傾向が見受けられました。
なお、最も取得率が高い総合内科専門医は、保持者が多い一方で、試験の合格率は他のメジャー科と比べてやや控えめな結果となっています。

専門医資格の取得しやすさは、試験の合格率だけでなく個人の得意分野や研修での負担(症例集め等)にも大きく左右されます。
単なる数値データだけでなく、自身の将来像やキャリアの志向性を踏まえた上で診療科を選択しましょう。

働き方に悩んだら、医師専門の転職エージェント「メッドアイ」の利用をおすすめします。無料で相談が可能で、非公開求人情報も提供しています。転職を少しでも検討しているなら、まずは相談から始めてみてください。