医師として海外で働いてみたいと考えてはいるものの、どうすれば海外で働けるのかわからず悩んでいる方もいるでしょう。

「医師として海外で働きたい」
「海外で働くにはどうすれば良いか知りたい」

医師が海外で働くには主に2つの方法があります。本記事では医師として海外で働くための具体的な方法と、必要なスキルや注意点について紹介します。

医師が海外で働くための2つの方法

医師が海外で働く方法は主に2つあります。

  • 日本の医師免許を利用する方法
  • 海外で医師免許を取得する方法

1.日本の医師免許を利用する方法

まずは日本の医師免許を利用して海外で働く方法です。一部の国では日本の医師免許があれば、医師として働けるという取り決めがされています。
国は指定されてしまいますが、日本での医師免許が利用できるため、免許取得の手間がかからない点がメリットです。

日本の医師免許で働ける国

日本の医師免許を使って、アメリカなどの海外で医師として働くには、日本人医師が働きやすいような環境を相手国に整えてもらう必要があります。
その取り決めを二国間協定と呼びます。

日本と二国間協定を結んでいる国は、イギリス、フランス、シンガポール、ドイツなどです。

これらの国であれば、日本の医師免許で働ける可能性があります。
ただし、人数がかなり限られていたり、国によって細かく制限があったりなど、二国協定を結んでいる国同士であっても日本の医師免許で働くことは狭き門だと言えます。
参考:二国間協定に基づく外国の医師又は歯科医師|厚生労働省

また、二国間協定を結んではいませんが、韓国やドバイ、ベトナムなどでも一定の手続きを行えば、日本の医師免許で働けます。
ただし、国ごとにある程度の制限が設けられている場合があります。たとえば韓国の場合は、自分と母国が同じ患者か同じ言語を話す患者の診察のみに限られます。

JICA(国際協力機構)

JICAに参加して海外で働く方法もあります。
JICAに参加するためには、仮登録後に研修を受講しなければいけません。その上で「十分な技術」「積極性や協調性」「コミュニケーション能力」などがあると認められた場合は、JICAの本登録が認められます。

JICAとして働くのは決して簡単ではありません。しかし、世界中で医師として働けるチャンスでもあるため、興味がある方はぜひ応募してみてください。

民間ボランティア

ジャパンハート、国境なき医師団、プロジェクトアブロードなどの民間ボランティア団体に参加して、海外で働く方法もあります。
それぞれの民間ボランティアごとに条件が定められており、それを満たした場合は働くことが認められます。

例えば、国境なき医師団では英語やフランス語での業務が必須です。応募する際は、募集要件を十分に確認しましょう。

2.海外で医師免許を取得する方法

海外で医師免許を取得するという道もあります。
海外で医師免許を取得する方法を順にご紹介します。

研修留学を利用して働く

研修留学を利用して働きながら医師免許を取得する方法があります。
研修先は幅広く、北米やヨーロッパなどのさまざまな国々で、医療について学ぶことが可能です。

しかし、あくまでの研修生としての扱いになるため、給与が支払われない可能性がある点には注意しましょう。
研修生として働いている間は、生活が苦しくなってしまう可能性もあります。研修留学を利用する場合は、ある程度の貯蓄をしておいたほうが良いでしょう。

臨床医師として各国の制度に合わせて働く

日本の医師免許を取得したのち、海外の臨床研修と試験を受ける方法もあります。
海外で臨床医師として勤務できるのは、アメリカ・カナダ・イギリス・アイルランド・オーストラリア・ニュージーランド・南アフリカ・スイス・デンマーク・フィンランドなどです。国によって働く上での条件が異なるため、事前に調べておく必要があります。

例えば、アメリカの医師免許を取得するためには、日本の医学部を卒業した上で、ECFMG Certificateを取得しなければいけません。
ECFMG Certificateを取得するためには、USMLE(米国医師資格試験)と呼ばれる試験に合格することが必要です。順にステップを踏まなければ医師免許を取得できないため、ハードルは高いです。

海外の医師免許で日本で働くことはできる?

海外で医師免許を取得して、日本で医師として働くためには受験資格認定の手続きと審査に合格する必要があります。
審査では今までの経歴はもちろん、日本で医師として働くための能力(語学力、コミュニケーション能力など)もチェックされます。
それらが問題ないと判断されれば、日本で医師として働くことが可能です。

海外で働く医師に求められる3つのスキル

海外で働く医師に求められるスキルは主に3つです。

  • その国に必要な語学力
  • 海外生活に対する適応力
  • コミュニケーション能力

1.その国に必要な語学力

医師は患者とコミュニケーションを取ることが欠かせません。円滑に診療を行うためにも、その国に合わせた語学能力は必要です。
もちろん、働きながら勉強するという方法もあります。現場でその国の言語に触れる中で、慣れていき自然と話せるようになるケースもあります。しかし、ある程度は海外に行く前にスキルを身につけておきましょう。

例えば、英語であればTOEICやTOEFLの受験がおすすめです。
スコアという形で英語能力がわかるため、自分のレベルを判断しやすいです。また、スコアが採用や助成基準に含まれる場合もあります。
語学力がないと応募ができない可能性もあるため、業務を問題なく行えるだけの語学力は身につけておきましょう。

2.海外生活に対する適応力

海外生活に対する適応力も医師として働く上では欠かせません。
医師としての能力に問題はなかったとしても、海外での生活に適応することができず、精神的に負担がかかってしまうこともあります。

海外で医師として働きたいと考えている方は、事前に国ごとの文化や気候、食生活などをチェックしておきましょう。
例えば、食事においてお米が欠かせないと考えている方は、米食の文化があるベトナムやインドネシアといった国々で働くのがおすすめです。

他にも、国によっては治安が悪く、安全に働くことが難しい場合もあります。戦争や社会情勢の変化によって、日本人医師が働くのが難しくなってしまうケースもあるでしょう。

3.コミュニケーション能力

語学力があってもコミュニケーション能力がないと、業務を円滑に行うことはできません。医師は一人で仕事を行うのではなく、看護師やスタッフなどのサポートが必須です。
そういった方々とコミュニケーションを取る能力は欠かせないと言えるでしょう。

現地のスタッフの方々は、こちらが日本人医師であるため、コミュニケーションの取り方に戸惑ってしまうかもしれません。自分から現地のスタッフの方々と積極的に交流を行うことが大切です。

医師として海外で働く前の注意点

医師として海外で働く前に注意するべき点は以下3つです。

  • 医師としての勤務が可能な国か確認する
  • 応募条件についてよく確認する
  • 必要な資金についてよく把握する

1.医師としての勤務が可能な国か確認する

国によっては日本人医師を受け入れていない場合があります。外国人の医師免許取得を認めていない国もあるため、事前に確認しておかなければいけません。

二国間協定を結んでいる国や、JICAや民間ボランティアなどへ応募するのであれば、理論上は応募条件を満たせば医師として働けます。
しかし、応募人数は決して多くありません。数人程度しか医師を募集していないケースもあるため、狭き門と言えるでしょう。

2.応募条件についてよく確認する

応募条件についてもチェックしておきましょう。海外で医師として働くためには、臨床経験年数や語学力といった一定の基準をクリアしなければいけないケースが多いです。
若くキャリアがまだない医師がすぐに海外で働こうとすると、難しい場合があります。

働きたいと思っている国を決めたら、応募要項をチェックして、医師として働くのがどれくらい現実的かを確認するようにしましょう。

3.必要な資金についてよく把握する

最後に重要になるのが資金面です。医師として働くのであれば給料が支払われるため、生活に困ることはないと思うかもしれません。

しかし、先ほども述べたように研修医として働く場合は、給料が支払われない場合もあるため貯金を崩しながら生活をする必要があります。貯金が少ないとすぐに生活に困ってしまうことになるでしょう。

海外ボランティアであれば給料は支払われますが、通常の医師と比べると少ないです。現地の物価次第では、貯蓄がないと生活に困るかもしれません。

移住したいのか、一時的に海外で働きたいのかでも必要な資金は異なります。事前に生活する上でどれくらいの資金が必要かを計算しておきましょう。

海外留学への支援がある病院に転職する

自力での留学が難しいと感じた場合は、海外留学を支援してくれる病院へ転職するという手もあります。
たとえば日米医学医療交流財団が行っている海外留学支援プロジェクトに参加している医療機関であれば、年間300万円の助成金を3年間受けられます。

留学前に該当医療機関に2年間勤務、留学後も最低1年間は勤務しなければなりませんが、自身で留学の手配や資金調達が難しい方にとっては有難い制度ではないでしょうか。

このような留学支援制度のある病院への転職は、まずは転職先候補を探すのに時間がかかるかもしれません。時間や手間が惜しいという方は、求人情報に詳しい医師専門の転職エージェントへ相談するのがおすすめです。
医師専門の転職エージェント「メッドアイ」では、非公開を含む豊富な求人情報を取り揃えています。また、相談は無料ですので、まずは話を聞いてみるだけでも利用する価値はあるでしょう。海外で医師として活躍したいとお考えの方は、ぜひメッドアイにご相談ください。

まとめ(医師が海外で働く2つの方法とは?)

医師として海外で働くのは簡単ではありません。
しかし、本記事で紹介した方法であれば、海外を目指すことも可能です。海外で医師として働くためには、医師としてのスキル以外にも語学力やコミュニケーション能力などが必要です。

海外で医師として働くのは、キャリアアップの道の1つでもあります。ぜひ、本記事を参考に海外で医師として働くことを目指してみてください。