警察医は、医師としての専門知識を活用して、事件解決に協力する非常勤の地方公務員です。報酬金額が都道府県によって違うため、年収にもばらつきがあります。

本記事では「警察医の仕事や働き方、年収などについて知りたい」「警察医になるにはどうすれば良いか知りたい」という方に向けて、警察医の仕事内容や年収、監察医との違いについて解説します。

警察医の年収はどれくらい?

警察医とは、警察の捜査に協力する医師のことで、非常勤の地方公務員です。警察署のある地域で、内科もしくは外科を専門とする医師の中から選ばれます。

通常は担当医が死亡診断書を書きますが、診療中以外や突然に亡くなった場合などには警察医が死体検案書を作成し、必要に応じて「司法解剖」も行います。また、警察嘱託医とは警察医の別称です。

警察医としての年収のデータはないものの、警察医は地方公務員であるため、同じ公務員医師の平均年収が参考になるでしょう。地方公務員医師の平均年収は、およそ670万円+賞与です。

公務員医師は待遇が安定している反面、副業禁止や雇用保険への加入不可などのデメリットもあります。

警察医と監察医との違い

警察医は、死体検案書の作成や、留置所にいる容疑者の検診を行う非常勤の地方公務員です。死因不明の遺体を調べて、医学的に判断する業務も担当します。

警察医の仕事内容は以下のとおりです。

  • 留置所の容疑者の健診
  • 警察職員の健康管理
  • 死体の検案

監察医は、犯罪性がなく検案しても死亡した理由がわからない遺体を行政解剖する医師です。伝染病や災害死の遺体の検案なども担当して、死因証明書を作成します。

監察医が検案や解剖をするケースは以下のとおりです。

  • 災害によって死亡した時
  • 伝染病での死亡
  • 中毒死の遺体

監察医は医師免許と死体解剖資格が必要になります。監察医制度は、限られた自治体でしか実施されていないため、制度がない都道府県では、大学の法医学教室が担当しています。

監察医の主な勤務先は、大学の法医学教室と大学病院の法医学部門です。監察医制度が機能している、東京、大阪、神戸では監査医務院という場所に所属しています。

監察医には法医学の知識が求められますが、警察医の場合は特に必要とされていません。

警察医の検案にかかる報酬

警察医の報酬は、検案一件当たりの報酬金額が3,000円〜20,000円前後です。警察医は、公務として検案をするため、警察から直接謝礼金が支払われます。

謝礼金の額は都道府県や時期によって異なりますが、多くの警察医は、交通費代くらいの金額の報酬です。
警察医の報酬に関する問題点は以下のとおりです。

  • 警察からの謝礼金が安い
  • 遺族が検案料を支払えないケースがある
  • 検案料の請求などで医師の精神的負担が増える

警察からの謝礼金は、他の公務の報酬と比べて低く設定されています。そのため、検案業務に対する負担が大きい割に、報酬に見合わないという声があります。

警察医は地方公務員扱いですが、国が運営する機関で働く公務員医師の報酬や待遇とは差があるのが実情です。

警察医に向いている人

ここでは警察医に向いている人の特徴を3つ解説します。

  • 安定した働き方をしたい人
  • 探求心を持って取り組める人
  • 高い倫理観を持っている人

1.安定した働き方をしたい人

警察医は民間企業に比べて、業績悪化で収入が減る心配はありません。

警察医だけでなく、公務員の医師は、待遇や福利厚生が充実している点から、安定した働き方がしたい人におすすめです。昇給や賞与も充実している点も魅力と言えるでしょう。

2.探求心を持って取り組める人

警察医の仕事は、常に新しい知識や技術を学び続ける必要があります。与えられた業務に取り組むだけでなく、疑問に思った内容を深く調べる探究心も必要です。

複雑な事件を解明するためには、さまざまな情報を分析し、論理的に思考する能力も必要です。現状に満足せず好奇心を持って、知識習得や技術向上に、情熱をそそげる人が向いています。

3.高い倫理観を持っている人

警察医は、高い倫理観を持つ責任感のある人材が求められます。警察医の仕事では、個人情報や捜査情報を取り扱う際に、責任感を持って対応しないといけません。

業務で得た情報を、家族や友達に話すような、口の軽い人は警察医に向いていません。遺族の気持ちに寄り添うような振る舞いや心くばりも大切です。
警察医は、相手の気持ちを考えたコミュニケーションができる人が向いています。

警察医になるには

警察医になる方法は以下のとおりです。

  • 警察署が地元の開業医に直接依頼する
  • 現任の警察医が退任する前に知り合いの医者を紹介する
  • 警察署から医師会に直接依頼する

警察署がある地域の内科や外科の開業医から選ばれます。現任の医者が退任前に後継者を探して交代という形も多いため、医師会や知り合いの医師に警察医をしている人がいないか調べてみましょう。

警察医になりたい方は、希望する地域の警察署に問い合わせるか、現任の警察医を見つけて相談するのが早いでしょう。

まとめ(警察医とは?)

本記事では警察医の仕事内容や収入などについて解説しました。警察医は非常勤の地方公務員で、警察署のある地域のクリニックの開業医が担当しています。

警察医は高い倫理観を持ち、仕事に探究心を持って取り組める方が向いています。警察医になりたい方は、働きたい地域の警察署に問い合わせるか、医師会に問い合わせてみましょう。

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