女性が医師として研鑽を重ねていく道のりは、時として男性より険しいこともあるでしょう。
しかし、患者が女性や子どもである場合や、診療科によっては女性医師のほうが有利に働くケースも少なくありません。

「女性医師としての強みを活かしつつキャリアアップを図りたい」
「女性医師の強みを活かせる診療科はどこか知りたい」

この記事では、女性医師の強みや、働きやすい診療科について解説します。
女性医師が少しずつ増加傾向にある昨今において、女性ならではの強みを活かしたおすすめの働き方についてもご紹介しますので、参考にしてください。

女性医師の強み3つ

医師の仕事は、診療科によっては長時間労働や緊急対応が当たり前になることもあり、全般的にハードワークに捉えられがちです。
女性が医師として働く際、体力面で男性医師より劣っていると感じたり、不利に感じることも少なくないでしょう。
そんな中でも女性だからこそ診療に活かせる強みはたくさんあります。
ここでは、女性医師ならではの「強み」について、代表的なものを3つご紹介します。

1.女性や子どもの患者に安心してもらいやすい

女性患者が産科や婦人科などのデリケートな診察を受ける場合、男性医師だと抵抗を感じるという方も見受けられます。
一般内科や外科でも触診等で脱衣する際に、男性医師より女性医師に診てもらいたいという方も一定数います。
このようなケースで医師が女性であれば、共感を持って接することができますし、患者の抵抗感もなくすことが可能です。

また、小児科で子どもに付き添ってきた母親とのコミュニケーションもとりやすくなります。
子どもの患者が男性医師を怖がるケースもあり、女性医師が柔らかく接することで治療がスムーズに進むことも少なくありません。

2.細かな気配りが上手である

女性が社会進出を果たす以前は、家庭を守るのが主な役割だという社会認識が一般的でした。
家庭を守る傍らで、近隣とのコミュニティ構築や、子どもを通じた社交的対応なども母親が負う役割という考え方が浸透していました。
その背景からか、女性には周囲との関係性の構築や、細かな気配りが得意という人が多いと考えられています。

もちろん男性にもそうした適性を持つ人はたくさんいます。
しかし女性医師のほうが、例えばコメディカルスタッフとの関係が良好なケースが多いように見受けられるのも実情です。
個人の性格によって違いはありますが、自分にそうした適性があると感じている人は、それが強みだと思って問題ないと言えます。

3.家庭生活など医療以外の面でのアドバイスがしやすい

子育ての経験がある女性医師であれば、子どもの患者への家庭での対応などについても、アドバイスがしやすいというメリットがあります。
診療だけでなく、食事や生活で気をつけるポイントなどを一緒に伝えることで、母親の共感や安心感を得ることが可能です。
自分の子育てで経験した気付きをシェアして、患者やその家族とコミュニケーションをとることで信頼関係も作りやすく、スムーズな診療の助けにもなります。

患者も医師に安心して相談しやすくなるため、結果として早期快癒につながる場合もあるでしょう。
女性特有の疾患に対しても、共感や対策のアドバイスがしやすく、患者の安心感につながりやすくなります。

女性医師の働き方改革における役割

女性医師は妊娠・出産を機に臨床現場を一旦離れることから、臨床現場の人員減を招く存在だと考えられる場合もあります。
しかし、女性医師が出産・育児後も臨床現場で戦力として働くことは十分可能です。

例えば、これまでの医師の働き方では、当直の前後も日勤をこなすのが当たり前でした。
しかし働き方改革の施行で連続勤務時間に制限がかかった今、当直した医師の後に入る日勤医師が別途必要です。
そこに、子育て中で夜勤対応が難しい女性医師が入ることで、シフトを回しやすくすることができます。
同じように土日祝日の日勤に女性医師を割り当てられれば、日直回数を減らすことにもつながります。

また、女性医師は増加傾向にあり、若い世代ほど女性比率が高くなってきました。
このことから、女性医師がより働きやすくなるよう、仕事上相談相手となる上司にも女性の配置を積極的に進められれば、スタッフの定着率向上にもつながります。

子育て中の女性医師が時短勤務を希望するのは、子どもの急な体調不良への対応や、預け先の営業時間などが主な理由です。
自分の勤務先に院内保育所があり、子どもが体調が悪くなっても対応してもらえるとしたら、もっと働けるという方もいます。
子育てに関する理解や環境整備を医療機関側が進めることで、女性医師がさらに活躍できる土壌が作れるでしょう。

女性医師が働きやすい診療科とは

女性医師が働きやすいと感じる職場には、以下のような特徴があります。

  • ワークライフバランスがとりやすい環境
  • 女性や子どもと触れ合うことが多い環境
  • 体力的にキツくない環境

ここからは、上記のような特徴を持つ、女性医師が働きやすいと感じる診療科は何科なのかをご紹介します。

1.皮膚科・眼科・麻酔科

皮膚科や眼科は大きな病院であれば忙しい環境も珍しくありません。
患者数が多く一日中働き詰めになるケースも見受けられます。
しかしながら、長時間の手術やオンコール対応といった時間外対応があまりないのも特徴です。
クリニック勤務であれば、さらに定時性が高まりますし、夜勤とも無縁で働くことができます。

また、麻酔科は定時性がある上に、人員が十分足りている病院が比較的多く、休みを取得しやすい環境が多い傾向があります。
こうしたワークライフバランスを良好に保って働ける診療科は、女性医師の比率が高めの傾向です。

2.産婦人科・小児科

女性や子どもの患者に対応する産科・婦人科・小児科も女性医師に人気の診療科です。
仕事はハードですが、共感を持って患者に接することができ、命の誕生に立ち会うなどやりがいを感じやすいという特徴があります。

産科や婦人科の患者は女性だけですし、小児科で子どもの受診に付き添うのも母親のほうが多いのが実情です。
患者や付き添いの母親側にも女性医師に診てほしいというニーズがあります。
必要とされていることへの充足感と、同姓ならではの共感ややりやすさも、魅力的なポイントと言えます。

3.美容皮膚科・美容外科

美容皮膚科や美容外科は、女性医師が働きやすく、かつ収入アップも期待できる人気の診療科です。
元々皮膚科で働いていた医師が、結婚や出産を機に、忙しい病院の皮膚科から美容皮膚科のクリニックへ転職する例はよく見られます。
残業がなくオンオフがはっきりしているので、ワークライフバランスを保ちたい方にもいいでしょう。

給料が高い求人が多いので、子育てに必要なお金も備えやすいですし、開業を目指す方が開業資金を貯めるのにも向いています。
外科から美容整形に転身した女医が手術で鍛えた手技を活かすといった、元々の診療科で働いていたスキルが役に立ち、転職しやすい領域です。

女性医師の少ない診療科とその理由

逆に女性医師が少ない診療科にも一定の傾向があります。
主なものとしては、働きやすい診療科が備える特徴と逆になるような以下のポイントです。

  • 長時間労働や緊急対応が多い環境
  • 体力的にハードな環境
  • 男性患者が多い環境

厚生労働省が調査した人数比率では整形外科・脳神経外科・泌尿器科・一般外科(呼吸器外科や消化器外科など細分化された診療科を含む)で女性医師比率が低くなっています。
泌尿器科については男性患者が多いイメージから、診察に抵抗があると感じ敬遠される傾向があります。

また、長時間の手術や緊急対応で勤務負担が大きくなる脳神経外科や、治療部位によっては処置に体力が必要な整形外科医の女医も少ない比率となっているのが現状です。
外科医に女性医師が少ない理由については、こちらの記事でも詳しく解説していますので参考にしてください。

女性医師が強みを活かして働くには

女性医師が自分の強みを把握し、それを活かしてキャリア形成できれば、やりがいを持って働くことができます。
また、やりがいを感じながら働くことで、成長スピードを早める効果も期待でき、メリットは大きいです。
ここからは、女性医師が強みを活かした働き方をするために、仕事選びのポイントをご紹介します。

1.女性ニーズの高い診療科を選ぶ

ここまで触れてきた通り、女性医師が必要とされる診療科は意外と多いです。
産婦人科や小児科、美容関連など、女性医師のニーズが高い診療科でのキャリアプランを考えておくと、強みを活かした働き方がしやすくなります。
万が一妊娠や出産でプランに狂いが生じても、女性の多い職場にいることで、協力が得やすいケースも出てきます。

これに加え、美容外科や美容皮膚科といった美容関連のクリニックでは、働きやすさに加え年収も高めの傾向です。
ただし、人気がある反面、求人が見つけにくいといった欠点もあります。
早めにスキルを高めておいて、自分の市場価値を上げておくことも、キャリアプランを進めやすくするポイントです。

2.開業をする

最短距離で開業できるようなキャリアプランを描くのも、自身の強みを活かして働くために有効な選択肢です。
高収入と働きやすさが魅力の美容関連の診療科では、前述の通り求人の競争率が高いというデメリットがあります。
この分野で勤務医としてキャリアを続けると、自分に適した職場選びをする際に、難航するリスクが考えられます。

その点、開業してしまえば、勤務時間や診療方針は自分の理想を実現することができます。
ただし開業するには、資金やスキルだけでなく、経営センスや人脈など、万全の準備が必要です。
開業までのプロセスにおいても、自分らしさや女性ならではの強みを活かした働き方ができるプランを考えておくことをおすすめします。

働き方に悩んだら医師専門の転職エージェントへ

女性医師が女性ならではの強みを活かした働き方をしたいと思ったら、診療科や職場選びは重要なポイントです。
女性医師のニーズが高い診療科を選ぶことが早道ですが、それ以外の診療科でも、既に多くの女性医師が在籍している医療機関を選ぶことで、働きやすさは変わってきます。
理想の職場探しや、自分に合ったキャリアプランを考えるには、転職エージェントに相談するのが近道です。

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まとめ(女性医師の強みとは?)

長時間労働やオンコール待機など、ハードな仕事というイメージがある医師の世界は、女性の場合不利に感じる場面も少なくありません。
しかしその逆に、患者が女性医師を求めるケースや、チーム医療を進める上で欠かせない人間関係構築など、女性ならではの強みを発揮できる場面はたくさんあります。
自分自身の強みを知り、それを活かせるようなキャリアプランを作ることや、強みが発揮しやすい職場を探すことは、女性医師がイキイキと働くために大事なポイントです。

女性医師のニーズが高い診療科を選べば、忙しくてもやりがいを感じながら働けます。
家庭と仕事をしっかりと両立させたいのなら、ワークライフバランスが保てる診療科を選ぶのがおすすめです。
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