医師の仕事は職場環境や診療科によっては、長時間勤務やハードワークを求められるものが少なくありません。
特に女性医師の場合は、男性医師とは異なった仕事に対する悩みを持つ場面が出てきます。
中でも代表的なのが出産や子育てなど、女性特有のライフイベントです。
「仕事が忙しく家庭との両立に悩んでいる」
「体力や健康面での不安が大きく今後のキャリアに悩んでいる」
「出産、子育てしながらでも医師の仕事を続けられるか不安」
この記事では、女性医師が仕事に対して抱える悩みの解説や、働き方の選択肢について解説します。
女性医師に人気がある診療科もご紹介しますので、参考にしてください。
女性医師に多い悩み3つの悩み
女性医師が仕事に対して抱えてしまう悩みは、男性医師と共通のものもありますが、女性特有のものもあります。
ここでは、女性医師に多い仕事の悩みを3つご紹介します。
1.仕事と家庭の両立が難しい
女医のワークライフバランス確保に必要な条件は、診療科や勤務する医療機関の環境に左右されるものだけとは限りません。
結婚し家庭を持てば、仕事に割けるパワーバランスが変わるのは男女共通です。
そこに、女性の場合は出産という、男性には発生しないライフイベントが発生します。 あわせて読みたい
家事や子育てをパートナーと分担できたとしても、出産後の女性の家事育児に対する負担はどうしても重くなりがちです。
2.体力の衰えなど健康上の不安が多い
仕事に対して体力的に辛いという悩みも、男性医師より女性医師のほうが強くなりがちです。
基礎的な体力の違いや、月経や更年期の症状といった女性特有の健康面での不安から、医師として働き続けることに悩みを感じている女性医師は少なくありません。
株式会社エムステージホールディングスが行ったアンケートでは、女性医師の半数近く(46.1%)がPMSや更年期障害などの症状で、勤務先で困った経験があると回答しています。 あわせて読みたい
また、女性特有の症状で困っても、職場では我慢するしかない人もいて、結果として精神的な辛さを感じているという回答も見られました。
3.キャリアの継続が難しい
女医のキャリア形成の難しさも、悩みの種として聞かれるものです。
特に出産で一旦キャリアを中断した人が、復職後に以前と同じ働き方ができなくなるケースがよく聞かれます。
最近では病院内で託児所が利用できたり、柔軟なシフトに対応したりといった、子育て世代が働きやすい環境を作る医療機関も増えてきています。
しかし、すべての病院がそうであるとは限らず、結婚や出産を機にキャリアプランを見直す必要に迫られる女性医師は多いです。
「女性キャリアのM字カーブ」とも呼ばれるこの現象は、なにも医師に限ったものではありません。 あわせて読みたい
しかし、他業種では女性の社会進出が進むことで解消されつつあるものの、女性医師の間ではいまだにM字カーブ傾向が見られるのが現状です。
女医の出産後の働き方
女性医師が働き方に対して感じる悩みの多くは、出産や子育てに関するものです。
出産を希望する場合、その後の働き方をどうするかで、医師としてのキャリアプランが変わってきます。
ここからは、女性医師の出産後の働き方を、パターン別にご紹介します。
1.常勤医として働く
出産後も臨床現場でキャリアを積みたい場合は、常勤医として引き続き働ける環境を見つけることが大切です。
院内に託児所や保育所が併設されていたり、子どもの体調不良時に勤務を交代できる十分な医師数がいたりする環境で働ければ、育児中でも安心して常勤勤務ができます。
また、家族で家事や育児の分担ができる協力体制も必要になってきます。 あわせて読みたい
家族とキャリアプランを共有し理解を得て、家庭内での役割分担を無理のないものにできれば、キャリアを続けやすくなるでしょう。
2.非常勤医として働く
家事や育児を優先したいが、キャリアを途切れさせてしまうのはもったいないと考えている場合は、育児期間中は非常勤医として働く方法があります。
家のことを回しながら無理なく働けるペースの非常勤案件があれば、臨床現場に関わり続けることが可能です。
将来的に子どもに手がかからなくなってから、改めて常勤医師としてキャリアを再開したいと考えている場合は、緩やかにでも臨床に関わっていられる非常勤医はおすすめの働き方です。 あわせて読みたい
3.アルバイトやスポット求人を活用して働く
キャリア継続よりは家庭の収入面から仕事を続けたいという方もいるでしょう。
この場合は、医師であることを活かし、スポット求人やアルバイトで働く方法がおすすめです。
検診や予防接種などが主な案件で、他業種のアルバイトより給与が高いものが多くありますので、家計の足しになるだけの収入が確保できます。 あわせて読みたい
診療科や専門医資格を問わない求人も多いですが、条件の良い求人は競争率が高く、仕事探しに手間がかかるのがやや難点と言えます。
4.開業をする
自分のペースで働くことができるという点では、開業するのも1つの方法です。 あわせて読みたい
診療時間や曜日を自分で決めることができますし、勤務医より収入が高くなることが期待できます。
ただし、開業資金や物件探しなど準備が大変な点が難点です。
また、クリニックの経営やスタッフの管理など、医療技術以外のスキルも必要となるため、決して簡単な方法とは言えません。
女性医師に人気の診療科とは
キャリアプランとライフプランのバランスを考えながら働くとなると、どの診療科で働くかも重要なポイントです。女性医師に人気がある診療科としては、以下の診療科がよく聞かれます。
- 皮膚科
- 麻酔科
- 眼科
それぞれの診療科について、どのような点が女性医師の人気を集めているのか解説します。
1.皮膚科
皮膚科は予約制診療や予定手術など時間帯がきっちりしているところが多く、オンとオフのメリハリをつけた働き方がしやすい診療科です。
症状に応じて内科系にも外科系にも知識を深めることができ、キャリアを磨きたい方にも向いています。
1つの疾患に長く向き合い治療を行うのが一般的で、緊急性が高い症例が少ないことから、夜間の急な呼び出しやオンコール待機が他の診療科に比べると少なめな傾向があります。 あわせて読みたい
ワークライフバランスを良好に保ちやすく、外科・内科・病理とジャンルごとに専門性を極めることができる点が、皮膚科の魅力と言えます。
また、需要が伸びている美容皮膚科の領域では、高収入が見込めるというメリットも魅力的なポイントです。
2.麻酔科
麻酔科も定時で働く文化がある診療科で、家庭と両立したい女医の働き方を実現しやすい環境です。
また、非常勤の求人が多く、フリーランスやアルバイトとして働くこともできるため、育児中に出勤頻度を落としたい場合でも仕事が見つけやすい傾向があります。
ただし最近では専門医の維持条件が変わり、常勤で週3日以上勤務していることが必要となりました。(参照:日本麻酔科学会「麻酔科専門医事前審査に関する内規」)
このため、フリーランスよりは定期非常勤で働ける職場を見つけたほうが安心です。 あわせて読みたい
常勤先で勤務頻度を落とすことができれば、最低限の技術の維持にもつながります。
技術維持ができれば、子育て終了後に復帰もしやすくなります。
3.眼科
眼科も皮膚科と似て、緊急対応があまり多くない診療科です。
厚生労働省の調査によれば、眼科に所属する女性医師は内科に次いで高い割合となっていて、女性医師に選ばれやすい診療科と言えます。
定時制も高い傾向があり、週あたり労働時間が他の診療科に比べて少ないのも特徴です。
ワークライフバランスを保ちやすく、メガネ・コンタクト処方を中心としたクリニック勤務であれば、子育てや家庭を重視して働くことができます。 あわせて読みたい
一方でレーシックやレーザー手術のスキルを身につければ、開業にもこぎ着けやすく、収入アップを目指す道も選択可能です。
女医としての将来に悩んだら
結婚や出産を機にキャリアの継続を見直したくなったり、キャリア形成に悩んだりしたときに、相談相手がいれば心強いものです。
悩みのタイプによって、ベストな相談相手は異なってきますが、ここでは女性医師のキャリアについて相談すべきおすすめの相手をご紹介します。
1.上司や同僚などに相談する
キャリア形成の悩みを相談しやすいのは、やはり職場の同僚や先輩、上司などがあげられます。 あわせて読みたい
女性ならではの体調面や出産については、女性医師相手だとさらに相談しやすくなるでしょう。
しかし、医師の世界はまだまだ男性社会でもあり、職場に女性の相談相手が見つからないという方もいるかもしれません。
学生時代の先輩や、研修で知り合うなどで、女性医師同士の人脈を作っておけば、いざというとき頼りになります。
2.医師専門の転職エージェントを活用する
周囲に相談できる人がいない場合、医師専門の転職エージェントに相談するのもおすすめです。
転職エージェントというと転職活動中の人しか相談できないイメージですが、キャリアプランの見直しや、キャリア形成の悩みを持ちかけることも可能です。
転職エージェントは数多くの医師のキャリアや働き方の悩みと向き合っているため、女性医師特有の悩みにも精通しています。 あわせて読みたい
今の悩みだけでなく、将来的な働き方のビジョンを見つける助けにもなり、利用するメリットは大きいです。
医師専門の転職エージェントならメッドアイ
医師として経験を積んでいく中で、キャリアプラン通りにいかないことも出てきます。
これは男性医師であっても同じことです。
しかし女性医師の場合、女性特有の悩みが原因で、働き方に悩む可能性もあります。
ワークライフバランスをどの程度整えるかや、出産によるキャリア中断にどう向き合うか悩んだら、ぜひ医師専門転職エージェントに相談してください。
メッドアイでは、無料相談を通じて医師一人ひとりの悩みに寄り添います。
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まとめ(女性医師に多い悩みとは?)
女性医師が仕事に対して抱えてしまう悩みの主なものとしては、家庭との両立を考えたワークライフバランスによるものか、自分自身の体調によるものがあります。
このうちワークライフバランスに関する部分については、世の中の考え方が大きく変わってきたこともあり、男性が家事や育児に積極参加する傾向が見えてきています。
しかし、まだまだ女性が主軸となりやすい家庭の切り盛りに対し、どこまで家族の協力を得て自分らしく働けるかは、女性医師がキャリア継続していく上での課題でしょう。
働き方に悩んだり、長く続くキャリアの中で出産をどう乗り切るべきか悩んだりした場合は、身近な先輩や上司に相談してみるのも1つの解決策です。
しかし、身近に女性の先輩や上司がいない場合は、ぜひ医師専門の転職エージェントに相談してください。