医師にとってキャリアプランをきちんと描くことは重要です。
女性医師の場合は、出産や子育てなど大きなライフステージの変化があり、キャリアプランの実現が難しいと感じる方もいるのではないでしょうか。

「女性医師におすすめの診療科は?」
「子育てと両立できる働き方は?」
「医者としてのキャリアプランを描くには?」

この記事では、キャリアプランの描きかたや実現に悩む医師のために、転職エージェントの視点から女性医師におすすめの診療科をご紹介します。
キャリアプランを考える際に大切なポイントについても解説するので参考にしてください。

女性医師のワークライフバランス・よくある悩みとは?

まずは女性医師がキャリア形成の途上で感じやすい悩みをまとめました。
主に以下の3つが挙げられます。

  • 結婚や出産のタイミングが難しい
  • 子育てや家事の時間が捻出できない
  • 長時間労働で体力的に辛い

医師を目指す場合、大学に6年間通って国家試験に合格後、臨床研修を最低でも2年間履修します。つまり、医師として業務にあたれるようになるのは最短でも26歳です。
多くの医師は初期の臨床研修が終わると専門医研修プログラムを履修するため、終わる頃には29〜30歳になっています。
医師としてのキャリアは、この後から始まることになるので、どのタイミングで結婚や出産を決断するかは女性医師にとって大きな問題です。
出産前後には体調や子育てのため産休・育休を取ることとなり、これもキャリア形成上で大きなブランクとなってしまいます。
育児休暇は夫と負担を分担することができても、出産は避けて通れないブランクと言えます。

医師は若手ほど長時間労働や休日出勤などがつきまとい、過酷な労働環境をこなしていかなくてはなりません。
このため、そもそも結婚相手と出会う機会も少なく、同じ職場の医師やスタッフと結婚する人も少なくないようです。
そうなると、相手も長時間労働をこなしながらキャリア形成を進めている状態なので、負担分担を相談するのも難しいと考える方も少なくありません。
また、結婚・出産を考えない女性医師でも、単純に若手時期の過酷な労働が体力的に辛いといった悩みもよく聞かれます。

女性医師が働きやすい診療科は?

将来子供を産みたいと考えている女性の場合、医師としてキャリア形成していくことは不可能なのでしょうか?
決してそんなことはなく、子育て中の医師でもキャリアを継続していける環境はちゃんとあります。
ここからは、どんな診療科で女性が多く働いているのかや、女性医師におすすめの診療科をご紹介します。

女性医師が多い診療科

厚生労働省の「女性医師キャリア支援モデル普及推進事業」では、女性医師の割合は全体の20.4%となっています。
この割合は年々増えていて、近年は医学部に入学する約3割が女性です。
診療科別では、下記の順に女性医師の割合が高く、皮膚科では46.1%と半数近くを女性医師が占めています。

  • 皮膚科
  • 眼科
  • 麻酔科
  • 小児科
  • 産婦人科

これらの診療科は、長時間に及ぶ手術や夜間の緊急対応が少なく働きやすい傾向があります。また、小児科や産婦人科は、患者に女性が多いなどの親近感から女性医師に選択されやすいようです。
働きやすさという観点では、病理診断科やリハビリテーション科、眼科なども選ばれやすい傾向にあります。

女性医師におすすめの診療科

女性医師が重視すべきポイントは以下の3つです。

  • オンとオフの区別がつけやすい
  • 長時間労働など、体力的にきつい条件がない
  • 親近感が持てる同姓の患者が多い

これらの条件に当てはまる診療科としては、主に以下の6つがあります。

  • 皮膚科
  • 眼科
  • 麻酔科
  • 産婦人科
  • 小児科
  • 病理診断科

女性医師に多く選ばれている診療科と重なりますが、それはそのまま女性医師がキャリアを継続しやすいことが反映されている証です。
皮膚科や眼科はクリニックなどで働く場合、診療時間がきっちりしています。
また、病床がないクリニックであれば夜間対応なども発生せず、家庭と両立するための時間も捻出しやすいでしょう。

そのほか、病理診断科も直接臨床がないため、時間の融通がつけやすく、プライベートの時間を確保しやすいと言えます。
皮膚科の場合、美容外科や美容皮膚科などは高収入も目指すことができ、人気の高い診療科です。

麻酔科は勤める医療機関によっては夜間対応なども発生します。
高度な技術習得なども必要で、一見ハードに見えますが、麻酔科には人員が多いという特徴があります。
シフトの調整や変更を頼みやすく、子育て中の医師が休みを取りやすいのがメリットです。

産婦人科や小児科は夜間対応や残業なども伴いますが、患者のほとんどが女性という環境です。同性だと対応がしやすいと感じるタイプの方であれば、やりがいを見出しやすい診療科と言えるでしょう。

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キャリアプランを描く3つのポイント

男性か女性かに関わらず、医師がキャリアプランを描くことは重要です。
医師という職業は、なるまでの道のりが長く険しいため、明確な目標やビジョンを持って進んでいかないと挫折してしまうリスクもあります。
また、医師として働き始めても、ハードな労働環境や人間関係などのストレスがつきまといます。
こうした状況の中では、仕事に対する明確な目標やマイルストーンを持っていないと、やりがいを感じられずに働くことにも繋がりかねません。

「どんな医師になりたいのか」
「医師としてどういうジャンルで活躍したいのか」
こうした最終目標だけに限らず、自分自身のライフステージのことまで含めたキャリアプランを描くことが大切です。
ここからは、医師がキャリアプランを描く上で大切にしたいポイントを3つご紹介します。

医師にとってのキャリアプランの重要性については、こちらの記事も参考にしてください。

ポイント1:優先順位を決める

キャリアプランを考える際には、自分が医師として叶えたいことや達成したいことをリストアップして、それら全てに優先順位をつけてみることがおすすめです。
特に女性医師の場合は、結婚・出産を希望するのかどうかでも大きく考え方が変わってきます。

前述もしていますが、出産は女性医師特有のライフイベントです。
結婚後の家庭生活や子育ては夫婦で力を合わせることができるとしても、出産だけは女性医師自身が仕事をある程度犠牲にしなくてはなりません。
医師として最終的にどのような形でありたいのかを考え、そこに至るまでの道筋を俯瞰した時に、出産によるブランクまでセットで考える必要があるのです。

また、当初は出産を考えていなかったとしても、途中で状況が変わることはあり得ます。
そんな時には、医師としての今後を考え直さなければならない場面もあるでしょう。
そうした時にも冷静に方向転換や対応策が練られるよう、最初にキャリアプランを作っておくことが大切です。
望むキャリアプランの各項目に優先順位をつけておけば、そうしたライフステージの変化にも対応しやすくなります。

ポイント2:働き方を考える

厚生労働省の「女性医師キャリア支援モデル普及推進事業」によれば、女性医師の就業率は、大学卒業後から下降の一途をたどっています。
そして医師になってから12年目に就業率は最低値をマークするのです。
実年齢で言うと大体38歳ごろとなり、その理由は言うまでもなく「出産・子育て」です。

ライフステージの変化に対応するためには、時間に融通が効く働きかたを臨機応変に選択していくことも必要になってきます。
医師の働きかたには、常勤医師として病院に勤める以外にも、非常勤やパート・アルバイトがあります。
常勤先で産休や育休が取りづらいのであれば、いっそ働きかたを変えてみるのも選択肢の一つです。

ポイント3:場合によっては転職や転科を考える

当初描いたキャリアプランが、ライフイベントによってぐらつきそうだと感じるのであれば、思い切って転職や転科でキャリアプランを再検討してみましょう。

出産や育児で勤務時間に制約が出てしまうと、周囲の理解や協力が不可欠です。
仮に女性医師に選ばれやすい診療科で働いていたとしても、勤め先の病院の環境によっては理解が得られないケースもあります。
また、出産後の復帰がスムーズにいかないこともあるかもしれません。
こうした時は、より両立がしやすい環境を求めて転職を考えてみるのもいいのではないでしょうか。

ブランク明けの転職や転科を考える場合、転職エージェント「メッドアイ」に相談するのがおすすめです。
医師専門の転職エージェントなら、同じような悩みを持った医師の転職を成功させてきた実績があります。
医師一人一人の状況に合わせ、キャリアプランも含めた相談が可能です。
さらに、医師転職のプロフェッショナルですので、医療機関の情報も豊富に持っています。より多くの候補から転職先を探すことも可能です。



まとめ(女医におすすめの診療科)

女性医師には、出産という大きなライフイベントでキャリアプランを見直すケースがよく見られます。
出産や育児の時間の捻出を考えると、キャリアを途中で諦めるという医師もいるでしょう。
そんな女性医師におすすめの診療科は、時間に融通がつけやすいという観点では皮膚科、眼科、麻酔科、病理診断科などが挙げられます。
また、ハードであってもやりがいを感じながら働ける、産婦人科や小児科なども人気があります。
どの科に進むとしても、医師として最終的にありたい姿や、そこへ至る道筋を考えておくことが大切です。


キャリア形成の途上で家庭との両立などに悩んだら、プランの見直しや、働きかたを非正規に変えるなどの対応方法があります。
さらに、思い切って転職や転科で道を切り開くというのも選択肢の一つです。
転職や非正規への変化を求める場合は、医師専門の転職エージェント「メッドアイ」に相談してみるのがおすすめです。
同じような悩みを持った医師の転職を成功に導いてきたエージェントの力を借りれば、自分に合った答えを見つけることができるでしょう。