3年目の医師といえば、研修医後半に差し掛かり、キャリアを考えていく時期ですね。
医師として目指す姿を追うためには、収入面も無視できない要素です。
思ったほど年収が上がらないと悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
そこで、この記事では
- 3年目の医師の平均年収ってどのくらい?
- 4年目以降、平均年収はどんなふうに推移していくの?
- 年収をアップするためにはどんな方法がある?
といった収入の悩みに、医師専門の転職エージェントがお答えします。
3年目の医師の平均年収はおおよそ932万円程度です。
しかし、地域や診療科、所属する医療機関によって開きがあるのも事実です。
自分の給料が平均より低いと感じている方には、収入アップの方法もご紹介していきます。
3年目の医師の平均年収は?
冒頭でも触れましたが、2018年度の集計では3年目の医師の平均年収は932万円でした。
ただしこれは、あくまでも全国平均です。
例えば東京23区と政令指定都市の場合は少し低く、平均755万円程度となります。
一方、それ以外の地方では973万円程度で、1.3倍近い違いが見られます。
以下に、経験年数別に平均年収をまとめた表をご紹介します。
参考:EPILOGI「【2018年版】地域別、医師の年収比較~生涯年収の地域差が縮小」より引用
全般的に医学部を終えた1年目から3年目の若手ほど都市部と地方の収入に差がある傾向です。
25年目、30年目とベテランになってくると差は縮小してきますが、全体的にはやはり地方のほうが収入面では上回っています。
また、勤務する医療機関によっても開きがあり、大学病院などで年収400万円前後といったケースもあります。
公立病院も平均よりも低めの傾向があるようです。
自身の年収が平均と比較してどうかを見ることも、今後のキャリア形成を考える上で大切なことだと言えます。
開業資金を貯めたいという方もいれば、奨学金の返済を早く済ませたいという方もいるでしょう。
今後の収入をどうしたいかは、医師がキャリアプランを考える時に重要な要素です。
年代別・男女別でみた医師の平均年収
次に、年代別での医師の平均年収を見ていきます。
厚生労働省がまとめている統計データから医師の平均年収を年代別にまとめたものが以下の表です。
年代 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
25歳〜29歳 | 676.5万円 | 653.2万円 |
30歳〜34歳 | 952.1万円 | 855.9万円 |
35歳〜39歳 | 1,262.8万円 | 1,086万円 |
40歳〜44歳 | 1,414.7万円 | 1,317.8万円 |
45歳〜49歳 | 1,503.9万円 | 1,254.9万円 |
50歳〜54歳 | 1,739.1万円 | 1,510.6万円 |
55歳〜59歳 | 1,745.2万円 | 1,878万円 |
60歳〜64歳 | 1,809.2万円 | 1,361.7万円 |
65歳〜69歳 | 1,527.3万円 | 1,264.3万円 |
3年目以降の医師の平均年収は、30代後半に1,000万円を突破します。
その後は一般的な「現役世代」といえる60代前半まで上昇が続き、最大で1,800万円程度まで上昇します。
3年目時点での年収額が平均に近い医師であれば、この推移が参考となるでしょう。
仮に現在の年収が平均より低くても、経験を積み重ねていくことである程度は高額になっていくので、あまり神経質になる必要はないとも言えます。
一方で、男女別に平均年収の上昇の仕方が異なっています。
医師の場合、基本的には性別による給与額の差はありませんが、女性医師の平均年収は、35歳までの間の上昇率が男性より低く推移していることがわかります。
出産や育児のために産休や育休で現場を離れたり、時短勤務をしていたりすることが影響していると見られます。
このことから、男性でも女性でも医師としてのキャリアだけでなく、結婚・育児といったライフイベントを考慮することはとても重要です。
あわせて読みたい
医師が年収アップする方法3選
ここまで医師の平均年収を見てきました。
改めて比較してみて、自分の年収が平均より低かったという方もいるかもしれません。
また、平均程度であっても、将来の開業資金を貯めたいなどの理由で収入アップを希望する方もいるでしょう。
医師が年収をアップするためには、主に下記の3つの方法があります。
- アルバイトをする
- 勤務先を変える
- 転科する
ここからは、医師が年収アップを目指すための方法について見ていきましょう。
①アルバイトをする
収入アップの定番といえばアルバイトです。
特に医師は本業以外のアルバイトをする例がとても多く、多くの医師が一度は経験しているのではないでしょうか。
求人も多く出ていますので、収入アップの方法としてはやりやすいものです。
医師のアルバイトで定番なのが「当直アルバイト」です。
1回の当直アルバイトで大体30,000円〜100,000円程度の収入が見込めます。
月2〜3回の当直アルバイトをした場合、月収20万円〜30万円、年収で100万円弱〜400万円弱程度のアップが可能です。
また、健康診断のアルバイトでも日給で30,000円〜70,000円程度が相場となっていて人気があります。
こちらも月4回行った場合、年収で300万円強のアップとなります。
そのほかにもスポット勤務のアルバイトをする方法があります。
常に条件の良い仕事を探す手間があるのは難点ですが、転職サイトで検索したりエージェントを利用してスポット案件を紹介してもらうことも可能です。
また、スポット勤務のアルバイトは、より多くの患者に接することができるチャンスでもあります。
いずれにせよ、アルバイトをしようと思ったら、まず本業の勤務先の就業規則を確認することを忘れないでください。
初期研修医の期間が終われば、副業を持つこと自体は法のもとで認められていますが、まれに副業が禁止されている病院もあるからです。
医師のアルバイトは休日を潰したり、睡眠時間を削る必要があり、体力的には大変です。 あわせて読みたい
頑張れるのは体力のある若いうちならではと言えますが、本業に支障が出ないかどうかもよく考えなければなりません。
②勤務先を変える
自分の現在の年収が平均より低いと感じた場合は、アルバイトのほかにも「転職」で給与を底上げする方法があります。
平均年収をまとめた際にも触れましたが、医療機関や地域によっても収入の相場に開きがあります。
都市部では755万円程度の平均年収が、地方であれば973万円程度と1.3倍ほどの収入増が見込めることになります。
勤務する地域にこだわりがなければ、都市部以外の平均給与が高い地域の病院に勤務することで収入アップが狙えるのです。
ただし、地方の医療機関の場合、医師の母数が少ないため労働量が増えることは十分に考えられます。
また、大学病院や国立病院は、民間の病院より給与が低い傾向があります。
大学病院は800万円程度、国立病院は600万円程度が相場です。
勤務先を民間病院に変えることで、平均年収の932万円に近づくことを目指すのも良いかもしれません。
しかし、3年目の医師といえば後期研修期間に入ったところですので、キャリア形成に影響のない転職先を見つけることが大切です。
医師の転職には時間も労力もかかりますので、簡単に決断はできないかもしれません。
また、医師不足で今の職場を退職しづらいといった事情も出てくることがあります。
それでも年収を上げたいという思いが勝るのであれば、まずは転職情報を探す努力をしてみると良いでしょう。
可能な範囲でアルバイトをしながら、根気良く条件の良い募集を探すといった合わせ技を活用するのもおすすめです。
また、転職活動やアルバイト探しをしている余裕がないという方であれば、転職エージェントを活用することで負担を軽減することができます。 あわせて読みたい
③転科する
年収を上げるためのもう一つの方法が「転科」です。
平均年収は医療機関や地域で異なるということはご紹介しましたが、そのほかに診療科によっても差が出てきます。
少し古いデータですが、労働政策研修・研究機構が発表している「勤務医の労働実態と意識に関する調査(2012年)」に、診療科別の医師の平均年収が載っています。
平均年収が一番高いのは脳神経外科で1,480万円です。
平均年収が高い診療科を簡単にまとめました。
科目 | 平均年収 |
---|---|
脳神経外科 | 1,480万円 |
産婦人科 | 1,466万円 |
外科 | 1,374万円 |
麻酔科 | 1,335万円 |
整形外科 | 1,289万円 |
このデータは「3年目の医師」という若年層に限った平均値ではありませんが、平均給与が高水準な診療科を知るための参考になります。
内科や小児科といった、医師人口が比較的多い診療科が入っていないことが特徴と言えるでしょう。
目標を見据えてキャリア形成を進めている医師であれば、収入のために専門を変更するというのは思い切った決断になりますし、リスクも伴います。
ですが、もしもまだ具体的なキャリアプランが描けていない状態であれば、このような情報も判断材料の一つにできるのではないでしょうか。
医師の給与額は、その他の業種と比べると最初から高水準です。
一方、他業種に比べると出費が多く、思うほどゆとりのある生活ができるというわけではありません。
これから専門を決めていくという段階の医師なら、先々の収入の見通しも検討して然るべきでしょう。
転科は転職よりもさらに思い切った決断にはなりますが、一つの選択肢として検討する価値はあります。 あわせて読みたい
転科のメリットは、現在の勤め先で転科できれば転職よりも少ない労力で移動できる可能性があることです。
しかし、収入アップが目的としてある場合は、より良い条件を求めてじっくりと情報収集する必要があります。
転職や転科を伴う転職は、キャリア形成の上で大きなターニングポイントになるからです。
まとめ(3年目の医師の年収平均)
この記事では、医師の年収について見てきました。
3年目の医師の平均年収は932万円です。
しかしあくまでも全国平均であり、実際は勤務する地域や医療機関、診療科などによって差が出てきます。
そして3年目の医師というのはまだまだ修行途中の身の上であり、経験を積み上げていくことで年収は上がっていきます。
仮に今の年収が平均より低かったとしても、それほど心配する必要はないでしょう。
しかし、将来的に必要になってくるお金のことや、開業などの目標のために収入をさらに上げたいという方も多いのが実情です。 あわせて読みたい
収入を上げるために、アルバイトや転職といった方法をご紹介しましたので参考にしてください。
また、3年目の医師であれば、転職などを考えると同時に、医師としてのキャリアプランを長期的に描いておきたい時期でもあります。
今後の収入や医師としての目標などを含めたプランを考える上で、おすすめなのが転職エージェントへの相談です。
同じような悩みを抱える医師をサポートする専門家からアドバイスをもらえるほか、実際に転職の助けにもなってもらえます。
また、アルバイトの紹介も受けられますので、アルバイトで収入アップを目指したい人にもおすすめです。