3年目の医師といえば、今後のキャリア形成や診療科の方向性について考え始めるタイミングです。
その中で、「思ったより年収が伸びない」「自分の収入は平均より低いのでは?」といった悩みを抱える方もいるかもしれません。
この記事では、
- 医師3年目の平均年収はいくら?
- その後の年収はどう伸びていくのか?
- 収入を上げるためにできることは?
といった疑問に、最新の統計データ(令和6年版)をもとにお答えしていきます。
3年目の医師の平均年収は?
厚生労働省「令和6年 賃金構造基本統計調査」によると、医師の経験年数1〜4年の平均年収は約863万円となっています。
具体的には以下の通りです。
経験年数 | 所定内給与額(月額) | 年間賞与その他特別給与額 | 年間給与総額 |
---|---|---|---|
0年 | 419,500円 | 82,700円 | 5,116,700円 |
1~4年 | 666,300円 | 635,300円 | 8,630,900円 |
5~9年 | 724,300円 | 842,100円 | 9,533,700円 |
10~14年 | 875,400円 | 1,468,300円 | 11,973,100円 |
15年以上 | 1,286,700円 | 1,637,300円 | 17,077,700円 |
出典:厚生労働省「令和6年 賃金構造基本統計調査」より、職種「医師」(企業規模10人以上、男女計)の経験年数データをもとに算出(※所定内給与×12ヶ月+年間賞与)
厚労省データでみる年代別医師の平均年収
次に、年代別での医師の平均年収を見ていきます。
厚生労働省がまとめている統計データから医師の平均年収を年代別にまとめたものが以下の表です。
年齢 | 所定内給与額(月額・円) | 賞与その他特別給与額(月額・円) | 年間給与総額(円) |
---|---|---|---|
25~29歳 | 438,100 | 181,500 | 5,438,700 |
30~34歳 | 566,500 | 419,400 | 7,217,400 |
35~39歳 | 881,400 | 913,900 | 11,490,700 |
40~44歳 | 876,700 | 1,552,800 | 12,073,200 |
45~49歳 | 1,166,500 | 1,582,400 | 15,580,400 |
50~54歳 | 1,187,600 | 1,918,200 | 16,169,400 |
55~59歳 | 1,427,300 | 1,504,500 | 18,632,100 |
60~64歳 | 1,308,600 | 1,751,200 | 17,454,400 |
65~69歳 | 1,301,400 | 2,016,300 | 17,633,100 |
70歳~ | 1,218,300 | 748,600 | 15,368,200 |
出典:厚生労働省「令和6年 賃金構造基本統計調査」より、職種「医師」(企業規模10人以上、男女計)の年齢階級別データをもとに算出(※所定内給与×12ヶ月+年間賞与)
25~29歳、つまり医師3年目付近の平均月収は約43万8,100円、賞与は約18万1,500円で、年間では約543万円となっています。この時期はまだ若手医師としての経験を積み始める段階であり、収入もこれから伸びていく時期です。
30代後半(35~39歳)には月収が約88万1,400円、賞与は約91万3,900円にまで増加し、年収は約1,149万円へと大きく上昇します。40代以降も給与は高い水準を維持し、50代前半では1,600万円~1,800万円程度の年収を得る医師が多くなります。
このように、3年目の医師の年収は医師としてのキャリアのスタートラインに過ぎません。経験を積み重ねることで、将来的には大幅な年収アップが見込めることがデータからも明らかです。初期の収入に過度にとらわれず、長期的なキャリアプランを描くことが大切です。
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医師が年収アップする方法3選
ここまで医師の平均年収を見てきました。
改めて比較してみて、自分の年収が平均より低かったという方もいるかもしれません。
また、平均程度であっても、将来の開業資金を貯めたいなどの理由で収入アップを希望する方もいるでしょう。
医師が年収をアップするためには、主に下記の3つの方法があります。
- アルバイトをする
- 勤務先を変える
- 転科する
ここからは、医師が年収アップを目指すための方法について見ていきましょう。
①アルバイトをする
収入アップの定番といえばアルバイトです。
特に医師は本業以外のアルバイトをする例がとても多く、多くの医師が一度は経験しているのではないでしょうか。
求人も多く出ていますので、収入アップの方法としてはやりやすいものです。
医師のアルバイトで定番なのが「当直アルバイト」です。
1回の当直アルバイトで大体30,000円〜100,000円程度の収入が見込めます。
月2〜3回の当直アルバイトをした場合、月収20万円〜30万円、年収で100万円弱〜400万円弱程度のアップが可能です。
また、健康診断のアルバイトでも日給で30,000円〜70,000円程度が相場となっていて人気があります。
こちらも月4回行った場合、年収で300万円強のアップとなります。
そのほかにもスポット勤務のアルバイトをする方法があります。
常に条件の良い仕事を探す手間があるのは難点ですが、転職サイトで検索したりエージェントを利用してスポット案件を紹介してもらうことも可能です。
また、スポット勤務のアルバイトは、より多くの患者に接することができるチャンスでもあります。
いずれにせよ、アルバイトをしようと思ったら、まず本業の勤務先の就業規則を確認することを忘れないでください。
初期研修医の期間が終われば、副業を持つこと自体は法のもとで認められていますが、まれに副業が禁止されている病院もあるからです。
医師のアルバイトは休日を潰したり、睡眠時間を削る必要があり、体力的には大変です。 あわせて読みたい
頑張れるのは体力のある若いうちならではと言えますが、本業に支障が出ないかどうかもよく考えなければなりません。
②勤務先を変える
医師の平均年収は、勤務先の経営母体によっても大きく異なります。
現在の年収が平均より低いと感じる場合は、アルバイト以外に「転職」を通じて給与アップを目指す方法があります。
厚生労働省の最新データでは以下のようになっています。
- 医療法人:約1,498万円
- 公立病院:約1,455万円
- 国立病院:約1,410万円
- 社会保険関係法人:約1,282万円
- 個人経営医院:約1,703万円
大学病院や国立病院は比較的年収が低めに出ることが多いので、民間の医療法人や個人医院に転職することで、より高い給与を目指せる可能性があります。
ただし、3年目の医師は後期研修の重要な時期でもあるため、キャリア形成に支障が出ない転職先を見極めることが大切です。
転職は時間や労力がかかり、医師不足の影響で退職しにくい場合もありますが、収入アップを強く望むなら情報収集を始めてみる価値はあります。アルバイトと転職を組み合わせて無理のない範囲で収入を増やす方法もおすすめです。
なお、転職活動やアルバイト探しの時間がない場合は、医師専門の転職エージェントを利用することで負担を軽減し、効率よく条件の良い求人を紹介してもらうことができます。
③転科する
年収を上げるためのもう一つの方法が「転科」です。
平均年収は医療機関や地域で異なるということはご紹介しましたが、そのほかに診療科によっても差が出てきます。
少し古いデータですが、労働政策研修・研究機構が発表している「勤務医の労働実態と意識に関する調査(2012年)」に、診療科別の医師の平均年収が載っています。
平均年収が一番高いのは脳神経外科で1,480万円です。
平均年収が高い診療科を簡単にまとめました。
科目 | 平均年収 |
---|---|
脳神経外科 | 1,480万円 |
産婦人科 | 1,466万円 |
外科 | 1,374万円 |
麻酔科 | 1,335万円 |
整形外科 | 1,289万円 |
このデータは「3年目の医師」という若年層に限った平均値ではありませんが、平均給与が高水準な診療科を知るための参考になります。
内科や小児科といった、医師人口が比較的多い診療科が入っていないことが特徴と言えるでしょう。
目標を見据えてキャリア形成を進めている医師であれば、収入のために専門を変更するというのは思い切った決断になりますし、リスクも伴います。
ですが、もしもまだ具体的なキャリアプランが描けていない状態であれば、このような情報も判断材料の一つにできるのではないでしょうか。
医師の給与額は、その他の業種と比べると最初から高水準です。
一方、他業種に比べると出費が多く、思うほどゆとりのある生活ができるというわけではありません。
これから専門を決めていくという段階の医師なら、先々の収入の見通しも検討して然るべきでしょう。
転科は転職よりもさらに思い切った決断にはなりますが、一つの選択肢として検討する価値はあります。 あわせて読みたい
転科のメリットは、現在の勤め先で転科できれば転職よりも少ない労力で移動できる可能性があることです。
しかし、収入アップが目的としてある場合は、より良い条件を求めてじっくりと情報収集する必要があります。
転職や転科を伴う転職は、キャリア形成の上で大きなターニングポイントになるからです。
まとめ(3年目の医師の年収平均)
この記事では、医師の年収について見てきました。
1~4年目の医師の平均年収は863万円です。
しかしあくまでも全国平均であり、実際は勤務する地域や医療機関、診療科などによって差が出てきます。
そして3年目の医師というのはまだまだ修行途中の身の上であり、経験を積み上げていくことで年収は上がっていきます。
仮に今の年収が平均より低かったとしても、それほど心配する必要はないでしょう。
しかし、将来的に必要になってくるお金のことや、開業などの目標のために収入をさらに上げたいという方も多いのが実情です。 あわせて読みたい
収入を上げるために、アルバイトや転職といった方法をご紹介しましたので参考にしてください。
また、3年目の医師であれば、転職などを考えると同時に、医師としてのキャリアプランを長期的に描いておきたい時期でもあります。
今後の収入や医師としての目標などを含めたプランを考える上で、おすすめなのが医師専門の転職エージェント「メッドアイ」への相談です。
同じような悩みを抱える医師をサポートする専門家からアドバイスをもらえるほか、実際に転職の助けにもなってもらえます。
また、アルバイトの紹介も受けられますので、アルバイトで収入アップを目指したい人にもおすすめです。