女性医師にとって、「結婚」は大きな悩みの一つです。
実際に、女性医師の既婚率は一般女性より低いことが複数の調査で示されています。背景には、医師という専門職ならではのハードワークやキャリア形成の課題が関係しています。

社会全体では未婚率が上がり、多様なパートナーシップの形が広がっているものの、「結婚して家庭を築きたい」と考える女性医師は少なくありません。

「女性医師はどのぐらいの割合で結婚している?」
「女性医師の結婚の割合が低いのはなぜ?」
「キャリアを維持しつつ婚活するにはどうしたらいい?」

この記事では、女性医師の結婚事情について詳しく解説します。
女性医師が結婚後もキャリア形成を続けられる制度などもご紹介します。



女性医師の結婚割合は一般女性より低い

20~59歳を対象にした調査、北海道医療大学看護福祉学部紀要の「医師・看護師の婚姻状況」によると女性医師の未婚率は47.9%と、一般女性の未婚率32.0%を大きく上回っています。
一方、男性医師の未婚率は14.6%で、こちらは一般男性の32.9%よりも明らかに低い結果でした。

以下は年齢階級別の未婚率です。

 女性男性
総数医師総数医師
20~24歳93.6%100%91.3%100%
25~29歳72.2%91.2%70%80.4%
30~34歳43.5%51.3%43.5%23.4%
35~39歳25.8%31.9%30%10.1%
40~44歳15.2%22.8%21.1%7.4%
45~49歳8.6%13.6%15.6%3.3%
50~54歳6.3%13.3%11.3%1.7%

参考:北海道医療大学看護福祉学部紀要の「医師・看護師の婚姻状況

20~54歳までの年代で女性医師の未婚率は常に同年代の女性全体より高く、特に25~29歳では差が顕著です。
50歳前後まで見ると、女性医師の未婚率は13.3%と、同年代の女性全体(6.3%)より高く、生涯未婚率の高さが特徴です。
一方、男性医師は総数男性に比べて未婚率が低く、医師という職業における男女差が明確に表れています。
また、女性医師の結婚相手として最も多いのは男性医師で、既婚女性医師の過半数が男性医師と結婚しており、お互いの職業理解が結婚の背景になっていることがわかります。


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女性医師が一般女性より結婚の割合が低い3つの理由

女性医師の約4割が未婚というのは、衝撃的な数字ではないでしょうか。
なぜ女性医師の結婚の割合はこんなに低いのでしょうか?

主な理由は以下の3点です。

  • 婚活世代がキャリア形成時期に重なる
  • 多忙で恋愛をしている暇がない
  • 出会いの場が少ない

それぞれを詳しく見ていきましょう。

①20〜30代はキャリアへの影響が大きい

医師を目指す人は、6年間大学で学び、その後研修医の期間が2年あります。
臨床研修を終えると、初めて医師としてスタートできますが、この段階で25歳を超えています。

専門医の資格を目指す場合は、その後さらに3年間の専門医研修に入り、研修が終わるのは最短で29歳です。

一般的に「結婚適齢期」の年代は20代〜30代と言われます。
女性医師が結婚適齢期に婚活をしようと思っても、まだ医師として独り立ちできるかどうかもわからない段階です。
また、仮に結婚して子供ができれば、研修を続けることが困難になってしまいます。

医師を目指す人の20代の過ごし方研修期間が明けた30代になると、医師としての基盤を固める時期に入ります。
このタイミングでも、出産でキャリアを中断するのは勇気が必要です。
医師としてのキャリアを重視すると、結婚・出産のタイミングを掴むことができず、結婚を諦める女性医師も少なからずいます。

②多忙で恋愛に割く時間がない

医師が結婚に至りにくい背景として、まず挙げられるのが圧倒的な忙しさです。
キャリア形成以前に、「そもそも恋愛をする時間がない」というのが実情でしょう。

労働政策研究・研修機構の「勤務医の就労実態と意識に関する調査」では、医師の週あたり労働時間は 平均53.2時間 と示されています。

一方、厚生労働省「毎月勤労統計調査(事業所規模5人以上、2025(令和7)年9月確報)」における一般労働者(正社員)」の平均労働時間は、
週換算で約41.85時間にとどまります。
比較すると、医師は一般の正社員より 10時間以上長く働いている 計算になります。

 週あたり労働時間
医師53.2時間
一般労働者(正社員)41.85時間

さらに、結婚を考える若い世代の医師になると、状況はもっと深刻です。
「医師の勤務実態及び働き方の 意向等に関する調査」を見ると、女性医師も20代のうちは長時間労働であることがわかります。

 週あたり労働時間当直・オンコール
男性医師20代57.3時間18.8時間
男性医師30代56.4時間18.7時間
女性医師20代53.5時間13時間
女性医師30代45.2時間10.7時間

当直やオンコールで夜間対応が続くことも多く、まずは睡眠時間を確保するだけで精一杯という状況です。そのため、落ち着いて将来や結婚について考える余裕まではなかなか持てないのが現実でしょう。

③出会いの場が限られている

若い世代の医師は多忙で自由な時間が限られており、勤務先の病院で過ごす時間が大半を占めるため、出会いの場が少ないのが現状です。
実際、既婚医師25,321人を対象とした調査では、(男性医師20,858人、女性医師4,463人)男性医師のおよそ15%、女性医師ではおよそ69%が配偶者も医師であったという報告があります。 

女性医師の約7割が職場などで出会った男性医師と結婚しているという実情から、出会いの場が限られている現状が浮かびます。勤務や生活リズムが似ている医師同士での結婚が選ばれやすいことも、この傾向を裏付けています。

女性医師が結婚をしやすくする方法


女性医師の結婚には、働き方改革をはじめとする、医師の労働条件緩和に向けた動きが必要です。
医師の転職の利便性も飛躍的に向上し、自分らしい働き方を実現できるケースが増えています。
ここからは、どのような仕組みや制度があるのかをご紹介します。

転職エージェントを活用しブランク明けの就職をサポートしてもらう

女性医師の就職・転職に大きく活用できるのが、転職エージェントです。
医師の転職は、もともとは非常にハードルの高いものでした。
一般の転職と異なり、転職先の情報を収集して、適切な病院を見つけることが困難だったためです。

しかし、医師専門の転職エージェントを利用することで、以前よりも転職しやすくなりました。
医師の転職回数が増え、非常勤などの様々な働き方が受け入れられるようになってきています。
結婚や出産で一時的にブランクができても、転職エージェントの助けがあれば、ブランク明けの就職先を見つけやすくなります。

転職エージェントの「メッドアイ」は、無料でどんな悩みも相談できます。
結婚や出産などで悩む女性医師をサポートしてきた実績も豊富にあります。
「キャリアを崩したくない」「働き方を見直したい」「非常勤にシフトしたい」など、率直な悩みを気軽に相談してみてはいかがでしょうか?

結婚後の制度を利用する

研修中の女性医師の結婚後を想定した制度があります。
出産・育児や心身の不調などで研修を継続できない場合に、一時的に中断や休止ができるという内容です。
休止期間が90日までの場合は、所定の期間で臨床研修を修了することが可能です。
90日を超える場合は、休止期間分の日数が延長されることになります。

また、結婚を機に遠隔地に転居する場合などは、研修プログラムを中断し「臨床研修中断証」を交付してもらえます。
この証明があれば、移動先の病院で研修を再開する際に今まで受けた研修内容を考慮してもらえるというものです。

女性医師の結婚・出産に伴うブランクを軽くする方法としては、育児休業の活用も有効です。
夫である男性も育児休業を取得することができるからです。
育児休業は、男女とも子供が1歳になるまでの間に取得することができます。
最大で2歳まで延長することもできるので、ぜひ活用したい制度です。

まとめ(女性医師の結婚事情)

女性医師の結婚率は、一般の女性よりも低くなっています。
原因としては、ちょうど結婚適齢期となる20〜30代の間、医師は研修期間中であることです。
この期間の医師は多忙で、恋愛をする暇もありません。
ずっと勤務先の病院にいて、出会いがないという人も多いでしょう。

それでも、パートナーと巡り合って、結婚する女性医師もいます。
結婚してもキャリアを継続できる制度が整い始めており、転職でライフステージに合った働き方を選択することも可能です。

大変な道のりではありますが、結婚を希望する女性医師には、ぜひブランクを恐れずに結婚してほしいです。
そして、働き方に迷ったら、まずは転職エージェントにお気軽に相談してみてください。