女性医師が頭を悩ませる問題の一つが「結婚」ではないでしょうか。
女性医師は、一般女性と比較すると既婚率が低いという調査結果があり、既婚率には医師ならではのハードワークやキャリア形成が影響していると見られます。

パートナーシップの多様化に伴い、社会全体の未婚率は増加傾向ですが、結婚して家庭を作りたい女性も多いのです。

「女性医師はどのぐらいの割合で結婚している?」
「女性医師の結婚の割合が低いのはなぜ?」
「キャリアを維持しつつ婚活するにはどうしたらいい?」

この記事では、女性医師の結婚事情についてまとめました。
女性医師が結婚後もキャリア形成を続けられる制度などもご紹介します。

一般女性より少ない女性医師の既婚の割合

総合メディカル株式会社の調査では、女性医師の未婚率は42%、男性医師の未婚率は11%という結果でした。
生涯未婚率(50歳までに結婚していない率)は、女性医師の3人に1人と高い割合です。

 未婚率生涯未婚率(50歳)
男性医師11%2.8%
女性医師42%35.9%

*参照:総合メディカル株式会社「女性医師働きやすさ向上委員会」

対して、一般女性の未婚率は24.8%で、女性医師の半分程度の割合です。

 未婚率
男性34.6%
女性24.8%

*参照:令和2年国勢調査結果概要

ちなみに、女性医師の結婚相手として多いのは男性医師です。
割合は減少傾向にあるものの、既婚の女性医師の58%は男性医師と結婚しています。


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女性医師が一般女性より結婚の割合が低い3つの理由

女性医師の約4割が未婚というのは、衝撃的な数字ではないでしょうか。
なぜ女性医師の結婚の割合はこんなに低いのでしょうか?

主な理由は以下の3点です。

  • 婚活世代がキャリア形成時期に重なる
  • 多忙で恋愛をしている暇がない
  • 出会いの場が少ない

それぞれを詳しく見ていきましょう。

①20〜30代はキャリアへの影響が大きい

医師を目指す人は、6年間大学で学び、その後研修医の期間が2年あります。
臨床研修を終えると、初めて医師としてスタートできますが、この段階で25歳を超えています。

専門医の資格を目指す場合は、その後さらに3年間の専門医研修に入り、研修が終わるのは最短で29歳です。

一般的に「結婚適齢期」の年代は20代〜30代と言われます。
女性医師が結婚適齢期に婚活をしようと思っても、まだ医師として独り立ちできるかどうかもわからない段階です。
また、仮に結婚して子供ができれば、研修を続けることが困難になってしまいます。

医師を目指す人の20代の過ごし方研修期間が明けた30代になると、医師としての基盤を固める時期に入ります。
このタイミングでも、出産でキャリアを中断するのは勇気が必要です。
医師としてのキャリアを重視すると、結婚・出産のタイミングを掴むことができず、結婚を諦める女性医師も少なからずいます。

②多忙で恋愛をしている時間がない

キャリア形成を真剣に考える以前の問題として、医師は多忙です。
正直なところ、恋愛をしている暇がないのではないでしょうか。
特に若い世代の医師の忙しさは、一般業と比べると過酷なものです。
労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によれば、医師の1週間あたりの労働時間平均は53.2時間にのぼります。

一方で、マクロミルが東京23区の正社員に行ったアンケートによると、1日の平均労働時間は8.9時間でした。
週に換算すると44.5時間で、医師とは10時間近くの差があります。

 週あたり労働時間
医師53.2時間
会社員(東京23区)44.5時間

さらに、結婚を考える若い世代の医師になると、状況はもっと深刻です。
「医師の勤務実態及び働き方の 意向等に関する調査」を見ると、女性医師も20代のうちは長時間労働であることがわかります。

 週あたり労働時間当直・オンコール
男性医師20代57.3時間18.8時間
男性医師30代56.4時間18.7時間
女性医師20代53.5時間13時間
女性医師30代45.2時間10.7時間

当直やオンコールもあり、睡眠時間を確保するのも一苦労な中、結婚を考えるゆとりはないようです。

③出会いの場が限られている

若い世代の医師は忙しく、自由な時間が取れない生活を送っています。
1日のほとんどを勤務先の病院で過ごしているので、出会いの場がありません。
結婚している女性医師の相手の職業を見ると、その状況がわかります。

相手の職業割合
医師54.1%
会社員(医療関係以外)16.5%
公務員9.2%
MR・製薬会社など医療関係者4.6%
自営業4.6%

医師向けの情報サイト「Dr.転職なび」によると、半数以上が医師と結婚しています。
良いパートナーと出会えるのであれば、場所は関係ないかもしれません。
医師同士での結婚は、お互いの忙しさが分かるのがメリットだという声もあります。

女性医師が結婚をしやすくする方法


女性医師の結婚には、働き方改革をはじめとする、医師の労働条件緩和に向けた動きが必要です。
医師の転職の利便性も飛躍的に向上し、自分らしい働き方を実現できるケースが増えています。
ここからは、どのような仕組みや制度があるのかをご紹介します。

転職エージェントを活用しブランク明けの就職をサポートしてもらう

女性医師の就職・転職に大きく活用できるのが、転職エージェントです。
医師の転職は、もともとは非常にハードルの高いものでした。
一般の転職と異なり、転職先の情報を収集して、適切な病院を見つけることが困難だったためです。

しかし、医師専門の転職エージェントを利用することで、以前よりも転職しやすくなりました。
医師の転職回数が増え、非常勤などの様々な働き方が受け入れられるようになってきています。
結婚や出産で一時的にブランクができても、転職エージェントの助けがあれば、ブランク明けの就職先を見つけやすくなります。

転職エージェントの「メッドアイ」は、無料でどんな悩みも相談できます。
結婚や出産などで悩む女性医師をサポートしてきた実績も豊富にあります。
「キャリアを崩したくない」「働き方を見直したい」「非常勤にシフトしたい」など、率直な悩みを気軽に相談してみてはいかがでしょうか?

結婚後の制度を利用する

研修中の女性医師の結婚後を想定した制度があります。
出産・育児や心身の不調などで研修を継続できない場合に、一時的に中断や休止ができるという内容です。
休止期間が90日までの場合は、所定の期間で臨床研修を修了することが可能です。
90日を超える場合は、休止期間分の日数が延長されることになります。

また、結婚を機に遠隔地に転居する場合などは、研修プログラムを中断し「臨床研修中断証」を交付してもらえます。
この証明があれば、移動先の病院で研修を再開する際に今まで受けた研修内容を考慮してもらえるというものです。

女性医師の結婚・出産に伴うブランクを軽くする方法としては、育児休業の活用も有効です。
夫である男性も育児休業を取得することができるからです。
育児休業は、男女とも子供が1歳になるまでの間に取得することができます。
最大で2歳まで延長することもできるので、ぜひ活用したい制度です。

まとめ(女性医師の結婚事情)

女性医師の結婚率は、一般の女性よりも低くなっています。
原因としては、ちょうど結婚適齢期となる20〜30代の間、医師は研修期間中であることです。
この期間の医師は多忙で、恋愛をする暇もありません。
ずっと勤務先の病院にいて、出会いがないという人も多いでしょう。

それでも、パートナーと巡り合って、結婚する女性医師もいます。
結婚してもキャリアを継続できる制度が整い始めており、転職でライフステージに合った働き方を選択することも可能です。

大変な道のりではありますが、結婚を希望する女性医師には、ぜひブランクを恐れずに結婚してほしいです。
そして、働き方に迷ったら、まずは転職エージェントにお気軽に相談してみてください。