循環器内科は、心臓や血管の病気を専門に診る診療科です。
心筋梗塞や不整脈といった命に直結する病気を扱うため、医師の中でも高い専門性と緊急対応力が求められます。
その一方で
「循環器内科医になるにはどんなキャリアが必要なのか」
「年収はどれくらいなのか」
「転職する際の注意点は?」と疑問を持つ方も多いでしょう。
本記事では、循環器内科医の仕事内容や専門医になるまでの流れ、年収の目安、さらに転職事情について解説します。
循環器内科を目指す研修医や若手医師、転職を検討している勤務医の方は、ぜひ参考にしてください。
循環器内科とは
循環器内科とは、言葉通り循環器を診るための診療科です。
循環器とは、心臓や血管、リンパ管など、体液や血液を体に循環させる器官を指します。
主な対応範囲は、血管や心臓に関連する症状です。
診察する症例は下記のようなものがあります。
- 不整脈
- 高血圧症
- 動脈硬化
- 虚血性心疾患
- 狭心症
その他、心筋梗塞や心臓弁膜症など、心臓そのものに問題がある症例も対象です。
患者側の視点では、動悸や息切れ、胸痛などの場合や、血圧に異常がある場合に受診する診療科です。心臓病の原因になる生活習慣病も診てもらうことができます。
循環器内科医は、超音波や心筋シンチグラフィなどの検査技術のほか、カテーテル治療や検査といった精密さを求められる手技まで、多角的な技術と知識が求められます。 あわせて読みたい
循環器内科医になる方法
循環器内科の専門医資格は、他の診療科に比べて取得に時間がかかる傾向があります。
医師は通常、大学卒業後に初期臨床研修を経て、内科専門研修を行い内科専門医資格を取得します。 そのうえで、新制度では筆記試験前日までに内科専門医資格を取得していることが受験資格となっており、循環器内科専門研修(原則3年)を修了する必要があります。
循環器内科専門医の主な受験資格は以下のとおりです:
- 内科専門医資格を取得していること。
- 日本循環器学会の正会員であること。
- 専門研修の修了(症例経験36例以上、技術技能経験393例以上、病歴要約10例、など)およびこれらを循環器J-OSLER上で評価完了していること。
- ACLS 等の有効な認定を取得していること。
- 喫煙が心血管病の危険因子であることを認識し、自ら禁煙し、禁煙の啓発に努めること。
このように、大学卒業後に医師免許を取得してから 最短で6年以上 は要する制度設計ですが、実際には内科専門医取得や研修施設での実績取得、症例経験などの関係から、それ以上の期間を要することが一般的です。 あわせて読みたい
循環器内科医の年収事情
循環器内科医の年収は、内科系の診療科ではやや高めです。
労働政策研究・研修機構によると、内科医の平均年収1,247万円に対し、呼吸器科・消化器科・循環器科の3科で集計した平均年収は1,267万円です。
この3科の年収分布を見てみましょう。
主たる勤務先の年収 | 割合 |
---|---|
300万円未満 | 2.6% |
300〜500万円未満 | 3.3% |
500〜700万円未満 | 6.6% |
700〜1,000万円未満 | 10.9% |
1,000〜1,500万円未満 | 39.8% |
1,500〜2,000万円未満 | 29.6% |
2,000万円以上 | 7.2% |
独立行政法人 労働政策研究・研修機構「勤務医の勤労実態と意識に関する調査」より抜粋して引用
平均もしくは平均以上の1,000万円から2,000万円の割合が高いという結果でした。 あわせて読みたい
循環器内科は、カテーテル手術などの手技を使う対応があるほか、緊急対応や時間外対応も多くなりがちです。このことからも高収入ゾーンにいることがうかがえます。
循環器内科の将来性と需要
循環器内科は、今後も高い需要が見込まれる診療科の一つです。その背景には、日本の高齢化の進展があります。高齢者では心筋梗塞や心不全、不整脈などの循環器疾患が増加し、入院や通院の診療ニーズが上昇すると予測されています。
また、循環器領域ではカテーテル治療や植込み型デバイス治療(ペースメーカー/植込み型除細動器など)といった高度医療技術が進歩しており、それに伴って専門的な技術を持つ医師の需要も高まっています。
ただし、現在の状況には懸念もあります。若手医師が循環器内科を選択する数は減少傾向にあり、医師の平均年齢が上がってきており、将来の人員確保が課題です。緊急対応やオンコール、夜間・休日の負担が重い点も敬遠される要因となっています。
地域によっては人口減少や医療施設の偏在などの影響により、診療需要の伸びが限定的となる可能性もあり、「どの地域でも同じように需要が増え続ける」というわけではありません。
結論として、循環器内科は社会的ニーズと技術進歩の両面から将来性が高い診療科です。転職やキャリア選びをする際には、専門性・勤務条件・地域性などを含めたトレードオフを考慮することが重要でしょう。
循環器内科医からの転職事情
「勤務医の勤労実態と意識に関する調査」では、疲労を感じている循環器内科医は64.4%と高く、学会などへの参加も多い診療科です。
また人手不足も深刻で、7割の医師が「人手が足りない」と感じているという結果でした。
ここからは、循環器内科医の転職事情をご紹介します。
循環器内科医の年収アップなら転職
忙しさの割には収入額に満足できないと感じているなら、転職で年収アップを目指すことが可能です。
医師専門の転職サイトなどをチェックすると、多数の求人情報が掲載されています。
勤務時間や給与条件をしっかりと確認して、年収アップと働きやすさを同時に叶えられる病院を探してみるのがおすすめです。
また、さまざまな症例を経験しキャリアアップしたい場合は、転職サイトの情報だけでは希望が叶わない場合もあります。
転職エージェントに問い合わせるなどして、できるだけ多く病院の情報を集めることが重要になります。
多くの情報を検討して総合的に判断することで、転職に失敗するリスクを減らせるでしょう。 あわせて読みたい
循環器内科医の他の病院への転職は簡単?
循環器内科医は、医師の中でも特に人手不足と言われています。
求人も売り手市場の状態で数多くあるため、転職先を探すのは難しくないでしょう。
しかし「転職が簡単」かというと、そういうわけではありません。
転職先を探すことは容易であっても、今の職場を辞めることが大変になってきます。
「ハードワークが辛い」「給料が低い」といったネガティブな理由だけで転職活動をするのは悪いことではありません。
しかし、そのような理由であっても、今の職場を円満退社ができるように努めることが大切です。
円満退社をすることは、転職後にも有利に働きます。 あわせて読みたい
医療業界は狭く、前の職場でどのような勤務態度であったかなどは新しい職場にも伝わりやすいです。
今の職場で悪い評判を作ってしまうと、新しい職場でも影響が出てしまう恐れがあるため、退職に関するトラブルはできるだけ避けるようにしましょう。
循環器内科医が転職を成功させるコツ
転職を成功させるための大切なポイントは、転職エージェントを活用することです。
転職エージェントを利用するメリットは、以下のようなものがあります。
- 自分の市場価値が把握できる
- 情報量が豊富で、採用担当者に直接聞きにくい内容も交渉してもらえる
- 履歴書や職務経歴書などの作成アドバイスが受けられる
- 退職時のトラブルを避けるためのアドバイスももらえる
- 転職後のフォローアップも受けられる
医師の転職には、半年から長くて1年程度の時間も必要で、その間に面接を受けたり、条件交渉を行ったりします。
さらに今の職場の退職手続きや、新しい病院の入職手続きなどもしなくてはなりません。
忙しい中で転職先探しや面接調整などをしなくてはならず、かなりの労力が必要です。
医師専門の転職エージェント「メッドアイ」を活用することで、そうした手続きや書類作成などの慣れない作業もフォローしてくれるので、転職の負担がかなり軽くなります。
まとめ(循環器内科医について)
あわせて読みたい今回は循環器内科医についてご紹介しました。
循環器内科医の平均年収は、内科系の中では比較的高い傾向があります。
しかし、緊急対応や時間外対応も多く、ハードワークであることも事実です。
労働時間の長さから考えると、収入に満足できないという方もいるのではないでしょうか。
循環器内科医が収入アップを狙うなら、転職がおすすめです。
他の診療科に比べても人手不足が深刻で売り手市場のため、求人は多数あります。
根気良く探していけば、今よりも良い環境で働ける病院を見つけることが可能です。
ですが、今の仕事を辞める大変さや、忙しい中で転職先探しをする余力がないという方もいるでしょう。
そんな時に頼れるのが、転職エージェントの存在です。
医師専門の転職エージェント「メッドアイ」なら、同じような悩みを抱えた医師の転職を多数サポートしてきた実績があります。
情報量も豊富で、非公開の求人なども多く保有しています。自分で情報収集する労力を省くことができ、転職活動の負担を大きく減らしてくれるでしょう。
無料で登録でき、キャリアプランそのものから相談することも可能です。
「今の仕事がハードで辛い」「収入が少ない」などの悩みがある場合は、まずは気軽に相談してみることをおすすめします。