精神科医は給与が安いと言われることがあります。
「精神科医として働いているけど、今の年収って妥当なのかな?」
「他の精神科医がどれくらいの年収なのか気になる」
「転職や開業が気になるけれど、収入がどのくらい変わるのか知りたい」
日々忙しく働く中で、精神科医の年収に疑問に思うことはありませんか?
結論、精神科医の年収は勤務形態・地域・資格の有無・働き方によって大きく異なります。
本記事では、精神科医の平均年収や他診療科との比較、働き方・地域による違い、年収を上げる方法を解説します。
本記事を読み、自身の年収と比較したうえで、今後のキャリアの方向性を整理しましょう。年収に疑問を持つ医師はぜひ最後までチェックしてみてください。
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精神科医の平均年収は?年収帯も解説
精神科医は患者の精神状態に寄り添いながら、うつ病や統合失調症、不安障害、認知症、依存症などの精神疾患を専門に診療する医師です。患者の精神状態を評価し、薬物療法や認知行動療法・行動療法などの心理療法を行います。
本章では、精神科医の年収を、統計データや診療科ごとの比較を通して解説します。
平均年収は約1,230万円
労働政策研究・研修機構が2012年に発表した「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によると、精神科医の平均年収は約1,230万円とされています。
他診療科と比べると下記のようになります。
順位 | 診療科 | 平均年収 |
---|---|---|
1 | 脳神経外科 | 1,480万円 |
2 | 産科・婦人科 | 1,466万円 |
3 | 外科 | 1,374万円 |
4 | 麻酔科 | 1,335万円 |
5 | 整形外科 | 1,289万円 |
6 | 呼吸器科・消化器科・循環器科 | 1,267万円 |
7 | 内科 | 1,247万円 |
8 | 精神科 | 1,230万円 |
9 | 小児科 | 1,220万円 |
10 | 救急科 | 1,215万円 |
11 | その他 | 1,171万円 |
12 | 放射線科 | 1,103万円 |
13 | 眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科 | 1,078万円 |
参考:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」
精神科医の平均年収は、全診療科の平均年収約1,267万円と比べるとやや低い傾向です。
一般的に、脳神経外科などの手術や当直が多い診療科ほど年収が高くなる傾向があります。
年収帯ごとの割合
精神科医の年収帯を知ることで、自身の年収水準を客観的に判断できます。年収帯ごとの割合を以下の円グラフにまとめました。勤務医の就労実態と意識に関する調査を参考に作成
労働政策研究・研修機構の調査によると、年収1,000万円~1,500万円未満の割合が33%と最も多く、続いて1,500万円~2,000万円未満が24.8%、2,000万円以上が10.6%を占めています。
精神科医の年収は1,000万円~1,500万円未満がボリュームゾーン(該当人数が一番多い)ですが、300万円未満から2,000万円超まで幅広く分布している状態です。
このことからも、精神科医の収入には個人の状況や条件によってバラつきがあるとわかります。 あわせて読みたい
精神科医の平均年収の傾向
精神科医の収入は、以下の要素によって大きく左右されます。
- 年代別の年収
- 医療施設別の年収
- 地域別の年収
これらの視点から、精神科医の年収の傾向を紹介します。
年代別の年収
リクルートドクターズキャリアの調査から、精神科医の年代別の年収を解説します。精神科の年収事情|リクルートドクターズキャリアを参考に作成
データから年代ごとのボリュームゾーンを抽出しました。
- 30代では1,000~1,500万円
- 40代以上では1,500~2,000万円
精神科医の年収は、年齢とともに上昇しています。
ただし、年収は年齢や経験年数だけで決まるわけではありません。勤務形態、地域差、専門医資格の有無など、他の要因が収入に大きく影響しています。
医療施設別の年収
勤務先の医療施設の規模や種類によっても、精神科医の年収には差があります。
リクルートの調査をもとに医療施設別の年収分布をまとめました。
病院 (200床未満) | 病院 (200床以上) | クリニック・その他 | |
---|---|---|---|
1,000万円未満 | 6% | 0% | 6% |
1,000万〜1,500万円未満 | 50% | 24% | 36% |
1,500万〜2,000万円未満 | 41% | 68% | 49% |
2,000万円以上 | 3% | 8% | 9% |
参考:リクルートドクターズキャリア「精神科の年収事情」
200床未満の病院では年収1,000万円〜1,500万円未満、200床以上の大規模病院では年収1,500万円〜2,000万円未満の割合が最も高いです。
1,500万円以上の割合を足すと、200床未満の病院では44%、200床以上の病院では76%と、明らかに大規模な病院の方が年収が高い傾向にあります。
クリニックも1,500万円以上の割合が58%のため、大規模病院やクリニックでは精神科医全体の平均年収1,230万円を超えるケースが多いことがわかります。
地域別の年収
精神科医の年収は、働く地域によっても異なります。
以下は、地域別の平均年収をまとめたグラフです。
精神科の年収事情|リクルートドクターズキャリアを参考に作成
年収1,500万円以上の精神科医の割合は、関西や中部では39~50%ほどなのに対し、中国・四国や九州・沖縄では65%以上です。 あわせて読みたい
北海道や東北では年収2,000万円以上の精神科医が30%いますが、関東や関西では5%未満でした。
それだけでなく、1,500万円以上の収入を得ている精神科医は関西地方では40%を下回ります。
精神科医は首都圏や関西地方ではなく、一部の地方(特に北海道や沖縄県など)で勤務する方が年収が高い傾向にあるとわかります。
精神科医の勤務先・働き方と年収の関係
精神科医は勤務先や働き方によっても大きく年収が異なります。
- 総合病院・精神科単科病院
- メンタルクリニック
- 公的機関
それぞれの勤務先の特徴や年収との関係を解説します。 あわせて読みたい
精神科医の詳しい業務内容を知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。
1.総合病院・精神科単科病院
業務量が多く多忙な勤務環境であるぶん年収が高くなる傾向にあるのが、病院勤務の精神科医です。
具体的には、外来診療に加えて入院患者の回診・治療・カルテ記載などの日常的な業務を行うほか、精神状態が急激に悪化した患者への対応なども行います。
特に総合病院では、睡眠障害やせん妄など心療内科的症状がみられる他科患者の診療も行うケースが多く、業務は多岐にわたります。
なお、日当直の有無や頻度によっても、収入には差が生じやすくなります。
総合病院や精神科単科病院で働く精神科医は、幅広い業務や時間的拘束の多さが給与に反映されやすく、比較的高収入になりやすい傾向にあります。
2.メンタルクリニック
メンタルクリニックでの勤務は精神科医にとって安定して働きやすく、収入面も魅力のある選択肢です。
診療は外来中心で、当直や入院対応が原則ないため、日勤のみで勤務できます。そのため時間外勤務やオンコールは病院勤務に比較すると少なく、勤務時間が安定しやすい点が大きな魅力です。
収益性が比較的高いため、クリニックの求人では精神科医の平均年収1,230万円より高い1,500万円~2,000万円前後の報酬が提示されるケースがあります。 あわせて読みたい
3.公的機関
公的機関に勤務する精神科医の年収は1,000万円未満であることが多く、民間病院に比べて高水準の給与は期待しづらいのが実情です。
例えば、自治体の精神保健福祉センターなどの公的機関は、精神科医の勤務先の一つです。精神相談などの福祉領域の業務や医療行政に携わります。
公的機関のため時間外勤務は少なく、福利厚生が充実しており、土日祝日の休みも確保されています。ワークライフバランスを重視する医師に人気の勤務先です。 あわせて読みたい
ワークライフバランスを保ちやすい反面、高水準の給与を期待するのは難しいでしょう。
精神科医の年収を上げる3つの方法
精神科医が年収をアップさせるには、3つの方法があります。
- 精神保健指定医資格を取得する
- 転職する
- 開業する
順に、詳しく解説します。
1.精神保健指定医資格を取得する
精神科医が年収をアップさせるには、精神保健指定医の資格取得が効果的です。
精神保健指定医を取得すると業務範囲が広がり、年収を上げられる可能性が高まります。
ただし、精神保健指定医資格を取得するには時間がかかり、5年の臨床経験のうちに3年以上の診断または治療経験が必要です。
その後、精神保健指定医研修会を修了し、5分野5症例以上のケースレポートを提出すると、指定医資格の口頭試問が行われます。これらをクリアしてようやく取得できる資格です。
また、精神保健指定医資格と似た資格として「精神科専門医」がありますが、学会が認定する資格であり、治療する際に法的な権限が伴わないため、医療保護入院の指示などはできません。
そのため、資格を取っても年収には大きく影響しないと言われます。
年収アップを最優先に考えるなら、精神保健指定医の取得を優先するとよいでしょう。 あわせて読みたい
精神保健指定医の資格取得方法は、下記の記事で詳しく解説しています。
2.転職する
前項で解説した精神保健指定医資格は国家試験であるため、審査基準が厳しく、難易度が高い資格です。
取得には年数もかかるため、指定医を目指すのは難しいと考えている方もいるでしょう。
その場合は、より待遇のよい勤務先に転職するのがおすすめです。
中央社会保険医療協議会「第24回医療経済実態調査の報告」によると、勤務医の平均年収は、勤務先によっては約500万円も異なる可能性があります。
したがって、より好条件の勤務先を選んで、収入アップを実現しましょう。
よりよい条件での転職を考えるなら、自らのアピールポイントを作るためにキャリアを戦略的に築くことが重要です。
しかし、医師の転職市場は専門的な知識や情報が求められるため、個人で最適な選択肢を見つけるのは難しい場合もあります。そこで役立つのが、医師のキャリア相談に精通した転職エージェントです。
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3.開業する
精神科医として年収を大きく伸ばす選択肢の一つが「開業」です。
他の診療科と比べて設備投資が少なくて済むことから、精神科は開業との相性がよく、収入を伸ばしやすい傾向です。
実際に、中央社会保健医療協議会が令和5年に実施した「第24回医療経済実態調査の報告」では、精神科の開業医の損益差額(収益から経費を差し引いた差額)は約2,179万円と報告されています。これは精神科勤務医の平均年収(約1,230万円)と比較しても高水準です。
もちろん、開業による収入はすべてが自由に使えるわけではなく、賃料や広告費などの経費が差し引かれる点には注意が必要です。
また、地域の需要や経営スキルによっても収益性は変わるため、必ずしも「開業=年収アップ」とは限りません。
それでも、診療スタイルを自ら決められる柔軟さや訪問診療などを取り入れることで収益の幅を広げられる自由度は、開業医ならではの大きな魅力です。より高い収入や自由な働き方を実現するなら、開業も検討してみましょう。 あわせて読みたい
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本記事では、精神科医の平均年収や診療科との比較、働き方・地域による収入差、年収を上げる方法などを解説しました。
精神科医の年収は、資格の有無や勤務先の種類、働き方、地域によって大きく変動します。
だからこそ、自分の現在地を客観的に把握し、よりよいキャリア選択をするためには、的確な情報と第三者の視点が大切です。
しかし、医師の転職活動は、専門職ならではの注意点や選択肢の幅広さがあり、一人で進めようとすると判断に迷うことも少なくありません。
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