医師が転職を考える理由にはいろいろあります。
主な理由にはキャリア研鑽のためやQOL向上のためなどがあり、人それぞれの事情に応じた転職先をうまく見つけることが成功のコツです。
では、精神科医が転職を考える場合はどうでしょうか。

「他の医科と比べて精神科医は大変?」
「精神科医が転職を有利にするには?」
「精神科医は転職しやすい?」

この記事では、精神科医が転職に失敗しないために必要なポイントを、転職のプロであるメッドアイが解説します。
精神科医の特性や収入を上げるために意識しておきたい点もご紹介しますので参考にしてください。

精神科医の仕事とは?

精神科医は、神経症や精神疾患にまつわる症例を担当することになります。
病状を診るだけでなく、患者の考えや気持ちに寄り添う場面も多く、治療の過程で内科など他科との連携も大事な領域です。
医師としての知識やスキルだけにとどまらず、他者との協業や患者とその家族とのコミュニケーション術も必要になってきます。

精神科医の仕事の場は多くありますが、大きな病院の精神科で急性期の患者に対応したり、クリニックを開業して慢性症状も含めた診療を行ったりするのが代表的なものでしょう。
精神科医の治療対象としてはうつ病や統合失調症などがよく知られています。
他にも認知症や発達障害、依存症などが治療分野となり、幅広い範囲での療法知識が必要です。

精神科医が有利に転職するには?

精神科医が転職を考える際、他の診療科と同様にキャリアプランを俯瞰して考え、転職で叶えたい目的を明確にすることが大切です。
以下では精神科医が有利に転職するために意識しておきたいポイントを解説します。

新たな資格を取得する

転職を有利に進めるには、自分の市場価値を高めることが効果的です。
専門分野のスキルを十分に磨いておくのはもちろんのこと、関連する他分野の専門医資格やサブスペシャリティを取っておくことも有効でしょう。
精神科医の場合は、精神保健指定医の資格を取得しておくことがオススメです。

医療機関の精神科には必ず精神保健指定医の配置が義務付けられているため、転職活動を進めやすくなります。
精神保健指定医資格の取得については、この後の項目で詳しくご説明します。

病院経営の知識やノウハウを獲得する

長い目で将来を考えた時、開業して自分の城を構えるという目標を持つ医師も少なくないのではないでしょうか。
開業だけでなく、病院の精神科の診療部長といった役職に就く出世コースも目指すことが可能です。

独立という将来の目標を叶えるためには、医師としてのスキルだけが優秀でも務まりません。
経営や組織の運営の経験や知識も身につけておきたいものです。
クリニックの雇われ院長や、すでに開業している医師のもとで働くことで、ノウハウをが身につけられます。

開業する

精神科は他の診療科と比べると、開業コストが比較的抑えられるというメリットがあります。
例えば立地面では、表通りの目立つところにあると集患に影響が出る可能性があり、地価の安い場所で開業するケースもよく見られるのです。
設備面でも、最初からさまざまな医療機器をすべて揃えなくてもスタートしやすく、運営が軌道に乗ってから徐々に設備を拡充していくといったやり方が可能です。

他の診療科でも、開業までには何度か転職を繰り返し、ノウハウを蓄積したり開業資金を貯めたりする医師がほとんどでしょう。
精神科の医師も、独立開業に向けて役立つスキルが得られる職場が経験できる転職をしておくことで、開業もスムーズに進めやすくなります。

転職を有利にする「精神保健指定医」資格

精神科医として働いていくのであれば、取得しておきたいのが「精神保健指定医」の資格です
厚生労働省が指定する国家資格であり、昭和62年の精神衛生法改正により創設されました。
重度の精神障害がある患者に対し、強制的に入院させる措置入院など、通常の精神科医よりも強い権限を持っています。

入院機能がある精神科の医療機関では精神保健指定医の配置が義務付けられているため、医療機関にとっては必要不可欠な存在です。
無床のクリニックにおいても資格を保有した医師がいることで診療報酬の加算があります。
求人条件も資格保有者のほうが良いことが多く、取得することでキャリアアップにつなげやすくなります。

また、精神保健指定医には公務員としての側面もあり、精神科の医療機関に対する監査調査などの職務もこなすことができるため、病院以外にも活躍の場を広げることが可能です。

精神保健指定医の資格取得要件

精神保健指定医になるためには、厚生労働省が定めた条件をクリアし、試験に受かる必要があります。
そのハードルは高く、さらに試験から合否発表まで1年程度と時間もかかります。
取得は決して容易ではありません。
精神保健指定医の資格取得に必要な要件は以下のとおりです。

  1. 五年以上診断又は治療に従事した経験を有すること。
  2. 三年以上精神障害の診断又は治療に従事した経験を有すること。
  3. 厚生労働大臣が定める精神障害につき厚生労働大臣が定める程度の診断又は治療に従事した経験を有すること。
  4. 厚生労働大臣の登録を受けた者が厚生労働省令で定めるところにより行う研修(申請前一年 以内に行われたものに限る。)の課程を修了していること。

(厚生労働省「精神保健指定医とは」より引用)

他科から精神科に転科した場合など一部条件が緩和されるケースはありますが、十分な期間の臨床経験が必要になります。
3項目目の必要な症例の確認のためには、ケースレポートと呼ばれる申請レポートを5つの分野から集めて申請し、質疑応答形式の口頭試験を受けなければなりません。
必要な臨床経験の年数には研修医期間も合算できるため、初期臨床研修後からすぐに精神科で3年間臨床経験を積むことで、最短5年でチャレンジすることが可能です。

精神科医が転職して活躍できる職場

精神科医のニーズは年々高まっていると言えます。
その背景には、企業がメンタルヘルスに注力するようになったことや、高齢化に伴い認知症患者の増加などがあげられるでしょう。
精神科医の活躍できる職場の幅は広がっているのです。
ここからは、精神科医が転職で活躍できる仕事について詳しくご紹介します。

個人クリニックや診療所

個人で開業している診療所やクリニックでは、精神保健指定医の資格を持っていると好条件の求人を見つけられる可能性が高まります。
開業医本人が資格を持っているケースが大半ではあるものの、入院病床がなければ取得せずとも開業できるため、そうしたクリニックが集患アップと診療報酬加点を得るために求人を出すケースがあるからです。
転職後の勤務先でのポジションや勤務先の規模にもよりますが、経営のノウハウを学ぶ機会もあり、将来開業を考えている方には勉強にもなる職場となるでしょう。

総合病院などの精神科

入院機能がある病院や大きな総合病院の精神科では、急性期対応をメインに行うこととなります。
若手の方や精神保健指定医取得を目指す方にとっては、さまざまな症例を診察する機会があるため、スキルアップにつながる職場と言えるでしょう。
慢性期をメインで診ている病院であれば、QOLを意識した働き方が実現できます。
病院によって、指定医が取りやすいかどうか、当直回数がどれくらいあるかなどの特徴が変わってきますので、情報収集と分析が転職成功の鍵となります。

産業医

精神科医の活躍の場は医療機関だけではありません。
企業が従業員の健康管理のために配置する産業医も、精神科医の転職先として人気があります。
病院のような当直やオンコール待機といった過重労働につながる要素がなく、時間にゆとりのある働き方が実現できる環境です。

産業医になるためには研修や労務衛生コンサルタントという国家資格を取得する必要があり、難易度はそれなりに高いと言えます。
医師の転職先として人気があるため、門戸が狭いことも知っておきましょう。

公的機関(精神保健福祉センターなど)

精神科医は、病院や企業以外に精神保健福祉センターをはじめとする公的機関にも転職できます。
直接的な診療ではなく、治療中や治療を終えた患者、または治療を中断してしまった患者に対し、デイケアや支援を中心にサポートしていきます。

病院だけではケアしきれない部分に触れていくため、よりいっそうメンタルケアに関するテクニックを修得できる場でもあります。
医療機関や保健師などと連携しながら仕事を進めていく、チームワークの仕事が得意な方に向いている職業です。

精神科医が収入を上げるには

転職を考える精神科医の中には、「収入が心もとないから」という理由の方もいるのではないでしょうか。
精神科医に限らず、医師は若手のうちはあまり収入が高くないのが現状です。
とくに精神科医は、専門医や精神保健指定医の取得までの道のりも厳しいため、つらく感じる期間も長くなってしまいます。
収入アップのために、アルバイトをする医師も少なくありません。

とにかく収入を増やしたいという方であれば、スポット勤務をうまく渡り歩いたり、定期的に入れる当直先を見つけるのがオススメです。
収入だけでなく、本業に役立つ経験を積みたいと考えている場合は、定期非常勤で別の医療機関の仕事をするのもいいでしょう。

アルバイトの相場としては、スポット勤務で1日8時間働いて7万〜8万円程度、当直なら5万〜6万円程度が目安となります。
アルバイトを始める前に、勤務先が副業を認めているかどうかの確認を忘れないようにしてください。

医師の転職成功のためには転職エージェントを有効活用           

キャリアアップや年収アップ、ワークライフバランスの向上など、転職の理由はさまざまです。
大切なのは、転職先に求める条件をしっかり決めておくことと、転職先の情報をしっかり収集して、自分の希望にマッチするかどうか判断することです。
しかし、医師の転職活動では普段の仕事が忙しいため、情報収集に時間を割くことが難しいのが現状です。


そこでおすすめしたいのが、医師専門の転職エージェント「メッドアイ」の活用です。

メッドアイには豊富な医療機関の情報があり、情報収集にかける手間を省けます。
今の職場で感じている悩みや、転職して叶えたい目標などもあらかじめ共有しておくことで、マッチングもスムーズになり、転職成功の可能性をアップできるのです。
キャリアプランから丸ごと相談でき、頼りがいのある存在、それが転職エージェントです。

まとめ(精神科医師の転職。後悔しないための成功のポイント)

精神科医に限らずに言えることですが、医師にとって転職は珍しくはありません。
医師の半数近くは転職経験を持つ上、5回以上の転職をする医師もいるほどです。
転職成功の鍵は、情報収集をきちんと行うことと、自分が転職で叶えたいポイントや譲れない点をきちんと整理できるかどうかにかかっています。

転職エージェント「メッドアイ」に相談することで、こうした悩みをクリアにできるだけでなく、今の自分が転職できるのはどのような病院なのかという、自分の市場価値を知ることもできるでしょう。
医師として進んでいきたいキャリアプランを見直すきっかけにもなる転職は、プロのアドバイスを受けながら着実に活動することが大切です。
転職で「こんなはずではなかった」と後悔しないためにも、まずは気軽に相談してみてはいかがでしょうか。