内科医師は内臓系の疾患を担当する医師の総称で、医療施設に従事する人数がもっとも多い診療科です。
そのため、医師の転職先としても数多く候補が存在します。

そんな内科医師への転職では、具体的にどのようなポイントに気を付ければよいのでしょうか?

「別の科から内科への転職を考えているけど、必要な能力はあるの?」
「内科への転職に興味があるけど、転職先にはどんな所があるの?」
「内科に転職したいけど、転職先は何を基準に決めたら良いんだろう?」

今回はこのような疑問をお持ちの方に向けて、医師専門の転職エージェントが、内科医師の働き方や内科医師に転職する際に気を付けるべきポイントなどについて解説します。

転職に役立つ情報もご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

内科医師の仕事について

内科医師の仕事について、以下の3項目を解説します。

  • 内科医師の主な業務内容
  • 内科の種類
  • 内科医師の年収

内科医師の主な業務内容

内科医師の主な業務内容は、内臓の病気を食事療法や薬物療法などによって治療することです。
問診・視診・聴診・触診・打診による診察を行い、必要に応じて各種検査をするように指示します。

主な検査方法

  • 血液検査
  • 尿検査
  • 心電図検査
  • 超音波検査

そして、それらの結果を総合的に判断して病名を診断し、インフォームド・コンセントを経た上で、治療法や投与する医薬品などを選択・処方します。

また、患者さんや診療科によって注射や吸入などのさまざまな個別の措置を行うのも業務の一環です。
生活習慣病や慢性疾患の場合には、食事・睡眠・運動など、患者さんの生活指導やアドバイスを行うこともあります。

内科の種類

内科は、以下の種類に分類されます。

  • 総合内科
  • 循環器内科
  • 呼吸器内科
  • 消化器内科
  • 腎臓・内分泌内科
  • 糖尿病・代謝内科
  • 血液・腫瘍内科
  • アレルギー・リウマチ内科
  • 感染症内科
  • 脳神経内科
  • 老年病科
  • 心療内科

総合内科を基本として12の専門に分化しており、患者さんのニーズに沿った治療が行えるようになっています。
風邪や腹痛・頭痛、擦り傷・切り傷といった、頻度が高く程度の軽い病気や怪我は、内科医師が担当することが多いです。

内科医師の年収

内科医師の平均年収は1,247万円で、他の科との比較では真ん中あたりに位置します。
医師全体の平均年収が1,169万円なので、比較的高収入であると言えるでしょう。

内科は医師の数が多いですが、その分ニーズも高いので安定した年収を得ることが可能になります。
ただし、収入格差も大きく働き方や場所によっては平均値を下回る場合もあるので注意が必要です。

内科医師に求められる能力とは

内科医師に求められる能力は、大きく分けて以下の3つになります。

  • コミュニケーション能力
  • 観察力
  • 生涯学習力

コミュニケーション能力

1つ目は、コミュニケーション能力です。

コミュニケーション能力自体は診療科を問わず医師全般に必要ですが、他の診療科と比較しても、患者さんとの接点が多い内科の場合は特に重視されます

目に見えない症状も多く、患者さんから情報を引き出す力相手の感情を汲み取る力多様な意見をまとめる力などが大切になります。
また、会話によって患者さんの不安を取り除く配慮相手に分かりやすく伝える力など、会話に関する多角的な能力が必要です。

観察力

2つ目は、観察力です。

こちらも医師全般に言えることですが、前項同様、目に見えない症状が多い内科疾患では、体の不調や痛みの原因を見極めるための目を養う必要があります。

患者さんの些細な変化に対して幅広く、客観的に着目し、気づきを得ることができる力が求められるのです。
患部の状態を正しく理解できれば、それに応じた適切な処置を施すことも可能になります。

生涯学習力

3つ目は、生涯学習力です。

医療ニーズの目まぐるしい変化に伴い、医師が自身の知識をアップデートすることは半ば必須になっています。

その中でも、内科は特に幅広い知識と専門性を求められるため、常に学び続ける姿勢が必要となるのです。
医局で定期的に勉強会を行っている医師や、学会活動を積極的にこなしている医師は医療の進捗に明るい傾向にあります。

しかし、医局や学会との接点を持ちづらい市中病院の医師や開業医、地方勤務の医師などは学習時間が不十分なことも多いです。
同じく日々の業務が忙しく学習が十分でない場合も、積極的に新たな知識を取り入れることが重要になります。

内科医師としての働き方には何がある?

内科医師としての働き方には、大きく分けて以下の5つがあります。

  • 総合病院・大学病院などの大病院で働く
  • 有床・無床クリニックで働く
  • 介護保健施設で働く
  • 産業医として働く
  • 訪問診療で働く

総合病院・大学病院などの大病院で働く

1つ目は、総合病院・大学病院などの大病院で働くワークスタイルです。

一般的に大病院と呼ばれる規模が大きい病院は、他の医療機関と比べて給与が高水準で福利厚生などの待遇面がしっかりしています
担当する患者数が多く、業務量・管理数に比例して手当が高くなる傾向にあり、社会保険や退職金が充実していることが特徴です。

仕事量は多めで、基本的な内科業務(入院患者の対応や外来診療)に加えて夜勤や当直、オンコールも発生します。
大半の医師は上記業務に加え、感染症や医療安全委員会などの委員も同時に務めることになります。

また、人間関係ではしがらみも多く、対人トラブルが原因で退職まで至ったケースも多々確認されています。
その他、長時間労働が常態化されていることなどの改善点はありますが、最新の治療法を学べたり、さまざまな症例に触れられたりすることに、医師としての大きなやりがいを見出すことも可能です。

有床・無床クリニックで働く

2つ目は、有床・無床クリニックで働くワークスタイルです。

有床クリニック(有床診療所)とは、19床以下の入院設備(ベッド等)を有する小規模な医療施設のことです。
入院患者の高齢化によって、内科の有床クリニックにおける入院患者の約7割が後期高齢者となっています。

メインとなる内科業務に加え、高齢の患者さんが多いことから、排せつ介助や食事介助といった介助業務も頻繁に行われます。
内科は他の診療科の有床クリニックに比べて在院期間が長めで、8日間以上在院している患者さんの割合が約8割にも及ぶ状況です。

内科の有床クリニック患者における疾患例

  • 呼吸器系:気胸、肺炎、肺気腫
  • 循環器系:高血圧、心疾患
  • 消化器系:胃炎や腸炎・胆管炎などの胆管系感染症、肝炎など、肝がん、胃がん、大腸がんの慢性期

しかし、重症患者はより高度な治療を必要とするため病院へ搬送されるケースが多く、入院患者の常態は比較的安定しています
勤務先にもよりますが、大病院などに比べるとゆとりを持った働き方ができると言えます。

対して、無床クリニック(無床診療所)とは、患者を入院させるための施設を持たない診療所のことです。
無床クリニックでは、外来診療や日帰り手術などの業務がメインとなり、夜勤や当直、オンコールがないため有床クリニックよりもさらに時間的ゆとりのある勤務体系となります。

介護保健施設で働く

3つ目は、介護保険施設で働くワークスタイルです。

介護保険施設とは介護保険サービスを利用できる公的な入居施設で、介護保険法に基づいて以下の3類型に分類されます。

  • 特別養護老人ホーム(特養)
  • 介護老人保健施設(老健)
  • 介護医療院・介護療養型医療施設

上記施設で勤務する医師は施設管理医として定義され、入所者の幅広い疾患や外傷などに対応できる豊富な知識と経験が必要になります。

また、さまざまな基礎疾患を抱える入所者の急な容態の変化にいち早く気づき、迅速かつ的確な対応をする能力も求められます。

そのため、施設管理医には内科のみならず、皮膚科、外科、整形外科などのさまざまな診療科に関する基本的な診断・治療をこなせる医師としての総合力が不可欠となるでしょう。

介護施設の勤務条件によっては当直やオンコールが免除となる場合もあり、子育てや介護などの事情を抱える医師や、ワークライフバランスを重視する医師からは人気が高くなっています

産業医として働く

4つ目は、産業医として働くワークスタイルです。

産業医とは、事業場における労働者の健康を管理し、専門的な知見からの指導やアドバイスを行う医師のことを指します。

通常の医療業務を行いながら非常勤として月に1回程の頻度で会社に訪問する嘱託産業医と、会社側に雇用される常勤医の専属産業医の2種類が存在し、事業場の抱える労働者数によって選任条件が定められています。

  • 労働者が50人以上の事業場:嘱託産業医の選任が必須
  • 労働者が1000人を超える事業場:専属産業医の選任が必須

産業医には内科医が多く、主な業務内容は以下のとおりです。

  • 健康相談
  • 健康診断結果の確認・面接指導
  • ストレスチェック
  • メンタルヘルスケア
  • 職場の作業環境の確認
  • 健康・衛生管理に関する教育
  • 感染症予防対策の提案
  • 休職者・復職者との面談など

専属産業医の勤務体系は、事業場の主体がオフィスワークであれば9~17時が基本となり、工場勤務が主体の場合は早朝からの勤務も考えられます。

必要な能力としては臨床医以上の幅広い知識が求められ、患者さん以外にも企業との直接的なやり取りを行うための、一般常識やコミュニケーション能力といった社会人としてのスキルも必須になります。

産業医になるためには医師であることに加えて、労働者の健康管理に必要な医学の知識について厚生労働省令で定める要件を満たした者でなければなりません。(労働安全衛生法第13条第2項)

規定内容は、以下のとおりです。(労働安全衛生規則第14条第2項)

  1. 労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識についての研修(※)であって厚生労働大臣が指定する者(法人に限る)が行うものを修了した者
    (※)現在、①日本医師会の産業医学基礎研修、②産業医科大学の産業医学基本講座がこれに該当します。
  2. 産業医の養成等を行うことを目的とする医学の正規の課程を設置している産業医科大学その他の大学であってその大学が定める実習を履修したもの
  3. 労働衛生コンサルタント試験に合格した者で、その試験の区分が保健衛生であるもの
  4. 学校教育法による大学において労働衛生に関する科目を担当する教授、准教授又は講師の職にあり、又はあった者
  5. その他厚生労働大臣が定める者(現在、定められている者はありません。)

参考:「産業医になるには」 公益財団法人産業医学振興財団

訪問診療で働く

5つ目は、訪問診療で働くワークスタイルです。

訪問診療とは、在宅医療を行なう患者さんの内、通院が困難な方に対して、あらかじめ立てた診療計画をもとに定期的に患者さんのいる場所に赴いて行なう診療方法を指します。

似た診療方法として在宅診療(往診)があります。患者さんのいる場所に赴き診療を行う点では同じですが、緊急時の臨時の手段であるという点で異なっています

診療形態は、老人ホームやグループホーム、高齢者賃貸住宅などを訪問し、1つの施設でまとまった人数の診察を行う場合と、個人宅に訪問する場合の2種類です。

業務内容は診察、検査、診断、治療と他の内科医の働き方と大きく相違ありませんが、診療報酬自体が高く設定されているため、年収も高くなる傾向にあります

内科医師への転職を失敗しないためのポイント3選

内科医師への転職を失敗しないためのポイントは、以下の3つになります。

  • どんな場所で働きたいかを検討する
  • 自分の極めたい分野は何かをよく考える
  • 医療専門の転職エージェントに相談する

どんな場所で働きたいかを検討する

どんな場所で働きたいかを検討しましょう

これまで解説してきたとおり、内科は分科が多く、転職先の候補も多いです。
病院や施設の種類・規模で働き方も変わるため、ワークライフバランスも考えて検討することが大切です。

また、収入格差が激しい診療科なので、自身の納得のいく金額が提示される勤務先が見つかるまで、収入面での妥協もしないようにしましょう

自分の極めたい分野は何かをよく考える

自分の極めたい分野は何かをよく考えましょう

一言で内科と言っても種類が多いため、自分がどの分野により専門的に関わりたいかをよく考えることが重要になります。
自身の将来やキャリアプランをイメージした上で転職活動に臨むことができれば、自ずと最適な勤務先が絞れるはずです。

医師専門の転職エージェントに相談する

医師専門の転職エージェントに相談しましょう
勤務医の場合、本業をこなしながら転職活動を行うのは、時間的・体力的に厳しく、途中で妥協したり挫折したりしてしまう可能性があります。

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まとめ(内科医師の働き方&転職のポイント)

今回は内科医師の働き方や、内科医師に転職する際のポイントなどを解説しました。

  • 内科医師の主な業務内容は内臓の病気を食事療法や薬物療法などによって治療すること
  • 内科は循環器内科・呼吸器内科・消化器内科など12の専門に分科している
  • 内科医師の平均年収は1,247万円で他の診療科医と比べても高収入
  • 内科医師に求められる能力はコミュニケーション能力・観察力・生涯学習力
  • 内科医師の働き方は病院・クリニック・介護保険施設などさまざま
  • 転職の際にはどんな場所で働きたいかや自分の極めたい分野をよく考えることが大切
  • 転職に失敗しないためには医療専門の転職エージェントに相談するのがおすすめ

内科医師は、専門領域や働き方などに幅広い選択肢が存在します。
収入や待遇もさまざまなので、自分に合った勤務先を根気強く探してみてください。
現在、内科医師への転職に関して悩んでいるという方は、ぜひ一度転職エージェントを活用されてみることをおすすめします。

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