医師は臨床医以外にもさまさまな働き方がありますが、企業に所属するのも選択肢のひとつです。
メディカルドクターも臨床医以外の働き方の一つですが、具体的にどんな職業なのか気になっている方もいるのではないでしょうか。
- メディカルドクターはどんな仕事?
- メディカルドクターの年収は?
- メディカルドクターを目指すには?
このように思っている方に向けて、メディカルドクターの仕事内容や年収などを解説します。
メディカルドクターはどんな仕事?
メディカルドクターとは、製薬会社で社員として働く医師のことで、新薬開発や市販薬の安全性・有効性を調べることが仕事です。
メディカルドクターの主な仕事内容は下記です。
- 臨床開発
- 安全性評価
- 市販後調査
- 営業
ここから上記の4つを詳しく説明していきます。
1.臨床開発
臨床開発は、新薬を開発する際に得られたデータを元に医師の視点からデータを分析し、厚生労働省に提出するさまざまな書類を作成する業務です。
新薬を実際に患者さんに使用してもらうためには厚生労働省の許可が必要で、さまざまな書類の提出が求められます。
あらゆる試験を行ってデータを収集し、データを元に医師としての見解を入れ書類を作成しなければいけません。
2.安全性評価
安全性評価は新薬が流通後、あらゆる面で安全性を保っているのかを評価する重要な業務です。
安全性評価では、使用する必要なデータを医薬情報担当者(MR)に吸い上げてもらい、メディカルドクターがそれらの情報を元に安全性を再評価したり、情報の管理をします。
3.市販後調査(メディカルアフェアーズ)
正式名称はPost Marketing Surveillanceで、「PMS」と略されることがあります。
多くの製薬会社では、安全性を評価して新薬が安定して販売されるように行われる市販後調査(メディカルアフェアーズ)は、メディカルドクターが担当します。
4.営業
製薬会社によってはメディカルドクターが「営業」を担当することもあります。
メディカルドクターが担当する営業では、大規模病院や中核病院に訪問して医師との面談・新薬のPR・新薬の使用に関する情報収集などを行います。
従来、製薬会社の営業は医薬情報担当者(MR)が担ってきました。
しかし、医療機関によっては、医薬情報担当者(MR)が医師に会うことが難しい場合も少なくありません。
そこで、メディカルドクターが営業を担当し、医師同士で対面する形をとることでハードルを下げ、必要な情報収集をしやすくしています。 あわせて読みたい
メディカルドクターの年収は?
メディカルドクターとして働く場合、仕事内容と併せて気になるのが年収です。
ここからは、メディカルドクターの年収に関して解説します。
平均年収は約1,000万円から
求人には公開求人と非公開求人がありますが、大手求人サイトの公開求人で見ると平均年収は992万円です。(2022年10月現在)
ただし、非公開求人が含まれていない公開求人のみで算出した平均年収のため、実際の年収にはかなりばらつきがあるのが実情です。
ちなみに公開求人は手軽に誰でも見ることができますが、非公開求人は求人サイトに登録して紹介してもらわなければ知ることはできません。
内資系と外資系で年収の差がある
メディカルドクターが所属する製薬会社には、内資系と外資系があります。
内資系に就職した場合、部長職までになると年収は約1,500万円です。
1,500万円以上の収入を得たい場合は部長職以上に就く必要があります。
一方、多くの外資系は成果主義なので、成果を上げれば内資系より高い収入が見込めます。 あわせて読みたい
年齢や勤続年数に関係なく、仕事で実績を残せば収入に反映されます。
拠点を海外にしてさまざまな国との交渉役や部門を統括する立場になると、年収2,000万円以上の製薬会社もあります。
メディカルドクターになるための資格やスキルは?
ここではメディカルドクターになるために必須の資格と、持っていると有利になるスキルについて紹介します。
医師免許があればOK
医師免許があればメディカルドクターになることができ、専門医である必要はありません。
メディカルドクターについて調べると「製薬医学会認定医」を見かけることがありますが、製薬医学会認定医を求めている求人は稀です。
メディカルドクターは医師免許を活かした会社員です。しかし、資格があれば必ず採用されるというわけではありません。
当然ですが最低限のビジネスマナーやコミュニケーションスキルも必要です。
さらに、医師としての臨床経験を3年以上と規定している製薬会社が多いことも特徴です。
博士号があると有利
医師免許があれば採用条件は満たしますが、博士号があるとさらに有利です。
博士号を取得する過程で、データ収集や検証・分析をするため、翻訳スキル、論文の読解力、文献の当たり方、大勢の前で発表するスキルなどが身につきます。
これらは、メディカルドクターになるとき、即戦力と判断され大きな評価ポイントになります。
特に外資系のメディカルドクターの場合、博士号を取得していることが当然と認識されていることもあります。もし、博士号を取得していない場合は今までの成果を最大限にアピールする必要があります。
TOEIC700~800程度の英語力
内資系・外資系のどちらも英語力は非常に重要なスキルです。
外資系は日常のコミュニケーションも英語で行う場合があるため、英語のリーディング・ライティングだけではなく、スピーキング能力も必要となります。
一方、内資系の場合は外資系ほど英語を使う機会はなくても、英文の読解力・翻訳力は必須です。 あわせて読みたい
市販後調査(メディカルアフェアーズ)のときに使用する文献は、英文の場合もあるため抵抗なく読める能力が求められます。
メディカルドクターを目指す前に知っておきたいこと3つ
ここからは、メディカルドクターを目指す前に知っておきたいことを3つ紹介します。
1.ワークライフバランス確保は職場による
メディカルドクターは、勤務医のように当直やオンコールがないため、その点ではワークライフバランスを確保しやすい職種と言えます。
しかし、ほかの職種と同様に、ワークライフバランスを確保しやすいかは職場によって異なります。
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2.自分が向いているのかを確認しておく
医療以外の経営や事務的な業務に携わっても抵抗がなければ、メディカルドクターに向いていると言えます。
メディカルドクターは臨床から離れる職業です。そのため臨床でやりたいことがあったり、臨床での業務が好きだったりする場合、メディカルドクターに転職すると未練が残る可能性があります。
実際に、メディカルドクターに転職する・しないの決め手は臨床に対する“思い入れ”かもしれません。転職する前に、臨床に対する思いがどの程度なのか自己分析をしましょう。
そして、医学的知識だけではなく、交渉力、リーダーシップ、問題解決能力といったビジネススキルも求められます。
最近では、MBA(経営学修士号)を取得している医師もいるため、メディカルドクターに転職する際は高いビジネススキルを身につけることも大切でしょう。
3.臨床医時代とは異なる分野で働くこともある
製薬業界の診療科目もさまざまで、メディカルドクターに転職した際、普通はそれまで経験した診療科目や研究内容に準じた診療科目が割り振られます。
しかし、中には未経験の診療科目を担当することもあるのです。
臨床医時代の経験を活かしてオンコールがない働き方に転職を希望する場合、メディカルドクターのほかに、美容関連への転科(皮膚科から美容皮膚科、形成外科から美容整形外科など)や産業医、非常勤医師などの働き方があります。
しかし、その中でもメディカルドクターは、臨床医時代とメディカルドクターになってからの診療科目が関連しなかった場合、一からのスタートになることを覚えておきましょう。 あわせて読みたい
メディカルドクターを目指すなら転職エージェントに相談を
メディカルドクターを目指すなら転職エージェントに相談するとよいでしょう。
なぜなら、情報を集めたくてもそもそも世の中にメディカルドクターの情報が少ないためです。
転職エージェントのメッドアイは転職先の紹介だけではなく、転職に対する不安・転職後の相談などにも対応しています。
一人で転職活動をするのは不安になるものですが、さまざまな相談に乗ってもらいながらメッドアイと一緒に転職活動を進めてみてください。
まとめ(メディカルドクターの年収や仕事内容について)
メディカルドクターはまだ広く普及していない職業です。
メディカルドクターは、臨床医とはまた異なる働き方をします。
少しでも興味がある方は、転職エージェントのメッドアイを利用して、メディカルドクターや転職に関する情報収集をしましょう。