小児科医は、乳幼児から15歳までの子どもを対象とした診察・治療を行う医師
です。
子どもに関する疾患全般が診療対象なため、全身の病気に対応できるだけの幅広い知識が求められます。
少子化の現代社会においても需要が高く、やりがいも大きい診療科なので、医師の転職先としても人気が高くなっています。

では、実際に小児科へ転職をする場合、どのようなことに気を付ければよいのでしょうか?

「小児科医として今よりも良い環境の転職先を探したい」
「小児科医として納得のいく転職先を見つけたい」
「小児科医へ転職したいが失敗はしたくない」

今回はこのような考えをお持ちの方に向けて、医師専門の転職エージェント小児科医へ転職する際のポイントや勤務先の候補、年収アップ方法などを詳しく解説します。
転職に役立つ情報もご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

小児科の医師転職に失敗しないための3つのポイントとは?

小児科の医師転職に失敗しないためのポイントは、以下の3つです。

  1. 転職希望先の条件についてよく調べる
  2. 小児科医として働きたい理由を明確にする
  3. 医療専門の転職エージェントを利用する

1.転職希望先の条件についてよく調べる

1つ目は、転職希望先の条件についてよく調べることです。

基本的なことですが、転職先の候補が挙がった段階で、事前に自身が希望する条件と合致しているかどうかをしっかりと調査しておくことが重要になります。
年収額や勤務時間・平均残業時間、手術の件数や当直の回数、オンコール対応の有無、福利厚生の充実度など、さまざまな角度から精査するようにしましょう

また、募集要項に記載していなかったとしても、特定の条件に関して「応相談」となっている場合、当直業務やオンコール対応などが発生する可能性があります。そのような重要事項は前もって先方に確認しておいたほうがよいでしょう

そして、あれもこれもと希望を詰め込みすぎていては該当する条件の勤務先がなくなってしまうため、自身の希望する条件に優先順位をつけることも大切です。
収入面や勤務時間といった勤務体系から、ワークライフバランス、学習環境(専門医の取得など)、人間関係の変化・働き方まで考慮した上で、譲れないことや叶えたいことを棲み分けするようにしましょう

優先順位を明確にして転職先を選ぶことで、転職後のミスマッチを防げます

2.小児科医として働きたい理由を明確にする

2つ目は、小児科医として働きたい理由を明確にすることです。

先述したとおり、小児科医は医療的にも幅広い知識が求められる上に、臨機応変な対応が不可欠となります。
子どもだけでなく親とのコミュニケーションも必要で、医療に関する知識以外にも、社会人としての対人・対話スキルも求められることがほとんどです。

人手不足によって過重労働気味の現場も多いため、単に子どもが好きなだけでは長く勤務し続けることは難しいと言えるでしょう。
とくに他の科から転科する場合はよく考える必要があります。
働きたい理由を明確にしておくことは、転職活動における自己PRにも役立ちます。

転職時の面接では、先方も「あなたがなぜ小児科で働きたいのか」という志望動機が一番気になるはずです。
「怪我や病気に苦しむ子どもに寄り添いたい」「地域の子どもの健康・安全を見守りたい」「先天性の疾患を抱える子どもと家族を支えたい」など、自身の考えを具体的に持っておくことが重要になります。

初めの段階で働きたい理由を明確にすることによって、その後の医師としてのキャリアプラン形成までスムーズに行えるようになるというメリットもあります。

3.医療専門の転職エージェントを利用する

3つ目は、医師専門の転職エージェントを利用することです。

医師の転職にかかる期間は他の職種よりも時間を要する上、数多くの求人の中から一人で希望に合う転職先を探すのは非常に難しいものになります
とくに初めての転職の場合、勝手がわからず途中で妥協したり挫折してしまったりする可能性があります。

そうならないためにも、転職時にはプロの手を借りることが推奨されるのです。
転職エージェントであれば、通常の求人情報ではわかりにくいことも詳細まで教えてもらえる上に、非公開求人の斡旋や就職までの手厚いサポートが受けられます

初めての転職や一人での転職に少しでも不安を覚える方は、ぜひ一度ご相談ください。
医師専門転職エージェント「メッドアイ」なら、医師のキャリアプランに合った職場探しを全力でサポートします。

小児科医の将来性とは

小児科医の将来性は比較的高いです。大きな理由として、以下の2つが挙げられます。

  • 少子化ながら求人ニーズは高まっている
  • 女性医師でも働きやすい環境が整っている

少子化ながら求人ニーズは高まっている

まずは、少子化ながら求人ニーズは高まっていることが挙げられます。

少子高齢化が顕著となる現代社会においては、一見すると子どもの数が減り、小児科医の需要が減少しているように考えられるかもしれません。

しかし、実際には「少ない子どもを大切に育てよう」という傾向が強まり、かかりつけ医として小児科専門医を選ぶ保護者が増えているという状況です。
晩婚化とともに高齢出産も増え、早産などにより先天的な持病を持つ子どもも増加の傾向にあることも、ニーズの高まりに拍車をかけています。
国としても小児医療の充実が希望されており、地方行政サービスの一環として24時間体制の小児医療の提供が掲げられているところも存在します。

このように需要の増加傾向が見られる小児科は、他科に比べて女性医師が多く、辞めたり短時間勤務を希望したりする人が多いため人手不足に陥りやすいです。
従って、需要と供給のアンバランスにより求人ニーズが非常に高くなっているという現状になります。

また、小児科医は次世代の日本を背負って立つ子どもたちを健全な成人に育て上げるという使命を担っているため、そういった意味でも、今後もますます発展し続けていく専門科であることが予想されます。

女性医師でも働きやすい環境が整っている

次に、女性医師でも働きやすい環境が整っていることが挙げられます。

全国の医療施設に従事する小児科医の総数は1万6,937人(病院:1万355人、診療所:6,582人)と、他の診療科と比較しても総数自体は多い部類に入ります。

中でも大きな特徴となるのは、女性医師の割合が高いことです。
病院勤務の小児科医では男性64.4%、女性35.6%と、全診療科の平均である女性22.2%を大きく上回る数値となっています。

ちなみに、小児科以外の女性医師の割合の高い診療科は以下のとおりです。

  • 皮膚科:54.3%
  • 眼科:41.5%
  • 産科:40.9%
  • 産婦人科:42.9%
  • 麻酔科:39.6%

参考:厚生労働省 医師・歯科医師・薬剤師調査の概況 平成28年(2016)

女性の割合が高いことから、小児科では女性が子育てをしながらでも働きやすい環境を整えてくれている現場が多い傾向にあります。

女性医師は30歳頃から結婚や出産、育児などの時期と重なり、フルタイムでの勤務が難しくなりがちです。
厚生労働省の調査では休業中の医師もカウントされるので、小児科医の総数は増えているとみなされていますが、実際には供給に対して需要が追いついていない状況になります。

一度現場を離れた女性医師にも戻ってきてほしいというところが多く、今後も売り手市場が継続することが予想されます。

小児科医の主な勤務先

小児科医の主な勤務先は、以下の5つになります。

  • 小児科クリニック
  • 小児科のある大病院
  • 小児科が併設した産婦人科
  • 訪問診療所
  • 児童デイサービス

小児科クリニック

1つ目は、小児科クリニックです。

小児科クリニックは、主に周辺地域に住む子どもたちを診療する医療機関を指し、子どもたちが病気にかからないようにする予防医学を担うという大きな役割があります。

症状としては、比較的軽微な患者さんに対する診察・治療を行うことがメインとなります。
入院設備のない無床施設が多く、日勤のみで夜勤や当直、オンコール対応がないところがほとんどなので、ワークライフバランスを重視したい方にとってはオススメの現場です。

ただし、保育園や幼稚園、学校の後に受診する患者さんも多く、他の診療科のクリニックより残業が多い傾向にあります
また、冬は風邪やインフルエンザなどの感染症で受診する患者さんが増加し、業務量も増えるケースが多いので注意が必要です。

小児科のある大病院

2つ目は、小児科のある大病院です。

病床数が200以上ある総合病院大学病院などの大病院では、多くの場合、小児科の外来・病棟が設置されています。
小児科病棟では先天性疾患やその他重篤な疾患を抱える患者さんが入院していることもあり、外来診療に加えて入院患者への対応なども行います。

残業や夜勤・当直、オンコール対応があり、勤務体系としては非常に過酷です
しかし、その分手当が厚く、収入アップが見込めることや福利厚生が充実しているなどのメリットもあります

また、数多くの症例を取り扱っているため、小児疾患に関するさまざまな知識やスキルを身につけたいという場合も勤務先の候補として上位に入ってきます。

小児科が併設した産婦人科

3つ目は、小児科が併設した産婦人科です。

産婦人科との連携により、患者さんの病気の早期発見や継続的な診察・治療が可能な施設となります。
患者さんは子ども連れが多く、明るくアットホームな雰囲気に包まれているため労働環境としては働きやすいです。
勤務体系はクリニックと類似しており、夜勤や当直、オンコールなどはないことがほとんどです。

主体が産婦人科である場合、小児科はサブ的な役割に徹するということも考えられます。
ただし、施設によっては大病院並みに忙しい現場も存在するため、勤務体系の詳細は事前に確認するようにしましょう

訪問診療所

4つ目は、訪問診療所です。

訪問診療所(在宅療養支援診療所)とは、訪問診療を専門に行う診療所のことです。
24時間365日、医師・看護師と連絡がとれ、往診や訪問看護できる体制が整備されている医療機関であることが要件となります。

診察・治療・看護、薬の処方、療養に関する指導や相談など、病院やクリニックで行う診療サービスのほとんどを行います
患者さんの健康管理や体調の悪化を未然に防ぐ役割を果たす上、万が一入院が必要になった場合の入院先の紹介など、医療機関との連携も密に行われる現場です。

主な診療・処置内容

  • 体温・血圧測定などの健康チェック
  • 採決・検尿・各種検査
  • 点滴、投薬
  • 床ずれの予防処置
  • 療養上の指導、相談
  • 酸素療法、経管栄養法など

施設の構造上、休日や夜間のオンコール待機が発生するなどイレギュラーな勤務形態となりやすいです。
施設によってはハードな勤務体系になりますが、稼働時間に応じて収入アップが見込める点はメリットとなります

また、病気や障がい、歩行困難などで病院への通院が難しい子どもたちへの診察・治療という重要な役割を持つ医療機関なので、その分やりがいも大きいです。

児童デイサービス

5つ目は、児童デイサービスです。

児童デイサービスとは、障がいのある未就学児の発達支援を行う「児童発達支援」と、学齢期(小・中・高校生)の支援に特化した「放課後等デイサービス」の2種類の通信事業所の総称です。
児童発達支援における児童発達支援センターや、居宅訪問型児童発達支援事業医療的ケアの必要な子どもに対する支援などを行います。

放課後等デイサービスとして特別支援学校などに就学している子どもの生活機能向上のための訓練や学習指導を行い、自立的な生活をサポートする役割もあります。
勤務体系は多くの場合、常勤か定期的に訪問し、診察・治療を行う2パターンです。

主な業務は日勤で、夜勤や当直業務、オンコール対応などは発生しませんが、施設によっては残業が常態化する可能性もあります

小児科医が年収をアップする方法

小児科医が年収をアップする主な方法は、以下の3つになります。

  • 地方の医療機関へ転職する
  • 開業をする
  • アルバイトを兼務する

地方の医療機関へ転職する

1つ目は、地方の医療機関へ転職することです。

人手不足の地方では年収が高めの傾向にあるため、都市部へのこだわりがなければ選択肢として上位に挙がります。
移住者対応への補助金が自治体から発生するケースもあり、住宅手当やマイカー支給、生活面のサポートなどを行っているところも多いです。

ただし、診療範囲が広い小児科はただでさえ医師一人に対する業務負担が大きい上、とくに高待遇で赴任してきた場合、期待値や要求値が高まる傾向にあります。また、夜勤・休日出勤・連日のオンコール対応といった大きな負荷がかかるケースもあります
注意するべき点として、現地になじめるかどうかや食事・風土といった環境に適応できるかどうかも重要です

その他、待遇は地域によるところが大きく、医療機関や行政、住民側の意識によっても変わってくるので、事前の確認が大切になります。

気になる医療機関がある場合は、スポットアルバイトで現場の雰囲気を体験してみるのもオススメです。

開業をする

2つ目は、開業をすることです。

開業医は勤務医と比べて平均年収が高い傾向にあるため、収入アップを目指す場合はクリニックを開業することも一つの選択肢となります。
地域ニーズを理解し、他の小児科クリニックとの差別化ができれば、安定した通院者の獲得が見込めるでしょう。

その他、開業医の働き方としては、自身の裁量で仕事ができることや人間関係におけるストレスが少ないといったメリットがあります。

しかし、開業費用や家賃、広告宣伝費、従業員への給与などの支出も大きく、経営や苦情対応など医療以外の業務が発生するといったデメリットもあるので注意が必要です。

アルバイトを兼務する

3つ目は、アルバイトを兼務することです。

常勤医として勤務するかたわら、非常勤のアルバイトのシフトを入れることによって年収を底上げすることが可能です。
非常勤のアルバイトは、時給面で常勤医に比べて優遇されていることが多いので、少ない稼働日数でもそれなりに稼ぐことができます

また、アルバイトの場合は残業もほぼなく、オンコール対応や夜間・休日の呼び出しがないといったメリットもあります。
ただし、本業のみの場合に比べてスケジュール管理が複雑になるので、きちんとした自己管理が必要でしょう。

現在では医師の働き方も多様になった上、ネットで求人情報を探せるため、一昔前よりもこうした働き方が実現しやすい環境にあることも追い風です。
求人情報が多すぎて整理がつかないという場合は、アルバイト探しに転職エージェントを活用するのもおすすめです

まとめ(小児科医の勤務先&転職のポイント)

今回は、小児科医の勤務先の候補や転職する際のポイント、年収アップ方法などについて解説しました。

  • 希望する勤務先の募集要項を精査し志望動機を明確にすることが重要
  • 医師専門の転職エージェントに相談するのがおすすめ
  • 求人ニーズが高く女性でも働きやすい環境が整備されている
  • 主な勤務先はクリニック・大病院・産婦人科・訪問診療所・児童デイサービスの5つ
  • 年収をアップする方法は、地方の医療機関への転職・開業・アルバイトの兼務の3つ

小児科医はニーズが高く、やりがいもある診療科医です。
現在、転職を考えている方は勤務先の候補を十分精査した上で、自身にとって最高の環境を探し出してください。

そして、転職の際には一人で悩むのではなく、転職エージェントを活用されることをおすすめします。
医師専門転職エージェント「メッドアイ」なら、医師のキャリアプランに合った職場探しを全力でサポートします。