心臓カテーテルなど、内科医でありながら手技も伴うのが循環器内科医です。
一人前になるまでに時間がかかるイメージをお持ちの方も少なくない診療科でしょう。

「循環器内科に興味があるがどんな人が向いているのか知りたい」
「循環器内科で働いているが自分が現場に向いているのか不安になる」
「循環器内科で働いてみたいが、必要な資格やスキルなどが知りたい」

この記事では、循環器内科医を目指す方や興味がある方のために、循環器内科医に向いている人の特徴をご紹介します。
循環器内科の仕事内容やキャリア形成についても、詳しく解説しますので参考にしてください。

循環器内科の医師に向いている人の5つの特徴

はじめに、循環器内科医に向いている人の特徴をご紹介します。
医師として共通するようなものもありますが、循環器内科医特有のものもありますので、1つずつ詳しく見ていきましょう。

1. コミュニケーション能力の高い人

患者さんから症状を聞いたり、治療内容を理解してもらうために欠かせないのがコミュニケーションスキルです。
他の診療科でも大切になる要素ではありますが、循環器内科の場合、表面からは見えない不調を聞き出す必要があります。
心臓や血管の難しい治療なども多く、インフォームドコンセントでしっかり理解してもらうための伝え方も大切です。
コミュニケーション能力や伝える力に長けている人は、循環器内科医に大切な素養があると言っていいでしょう。

2. 状態の変化に敏感で洞察力のある人

循環器内科の診療は、患者さんからうまく症状を聞き出すことができるかだけでなく、汗の量や心電図の波形などからも敏感に読み取る必要があります。
急変があってもすぐに気づけたり、何気ない仕草から体調の変化を掴むことができる鋭い観察力があると、大きな助けとなるのです。
こうしたスキルは経験を積んでいくことでも磨くことができます。
常に気をつけて観察できる習慣を身につけ、洞察力を高めていきましょう。

3. 長時間動ける体力がある人

数ある診療科の中でも脳神経外科や心臓血管外科などと並んでハードであると言われるのが循環器内科です。
理由としては患者数が多いこともありますが、心臓や血管に疾患があると、命に直結することも珍しくないため、重篤な患者さんの対応も頻繁に発生します。
大きな病院に勤めている場合などは、当直やオンコールもこなさなければならず、体力的な自信を持っていないと辛くなってしまうかもしれません。
病院によっては医師数を増やして、医師一人当たりの負担を減らしているところもありますが、職場によってはかなりの激務になることも覚悟しておく必要があります。

4. メンタルの強い人

すでに触れましたが、循環器内科にかかる患者さんの中には、状態が急変したり重篤であるケースが少なくありません。
心臓や血管の不調は、長年の不摂生の積み重ねで起こるため、症状が出たときにはある程度深刻な状態になってしまうことがよくあります。
患者さんの急変にも動じずに対応したり、激務に耐えるためには、体力や冷静な判断力が必要になります。
常に自分にゆとりを持ち、良好な状態をキープしながら職務にあたるためには、体力だけでなくメンタルの強さも必要となるでしょう。

5. 仕事への責任感と思いやりがある人

治療への強い責任感や、患者に寄り添い続ける思いやりの気持ちも、医師が備えておきたい素養の1つです。
治療に伴う生活習慣の改善指導などには、長い時間を要するものもあります。
根気よく患者さんをサポートできる責任感があれば、患者さんからの信頼も得やすくなるでしょう。
循環器内科医の場合、命に関わる治療を行う場面も少なくないため、責任感の強さが特に大きな助けになります。
結果を信じてやり切れる強さは、自分への自信にもつながるでしょう。

循環器内科医師として求められる能力

循環器内科医に必要なスキルには、どのようなものがあるのでしょうか。
ここからは、循環器内科医が求められる能力について解説します。

冷静な対応力

患者数が多い大きな病院や、救急対応を受け入れている病院で勤務する場合などは、患者さんの急変に伴う緊急的な対応を行う場面も出てきます。
咄嗟の判断が冷静にできるよう、普段から経験を積んで備えておくことが大切です。

常に冷静な判断や対応を行うためには、医師本人に心身的な余裕があることが必要となります。
治療に必要な知識を蓄えるとともに、いつも冷静でいられるゆとりを作るためには、自己メンテナンスも欠かせません。
忙しい業務の中で、自分のケアもきちんとできる能力が求められるのです。

豊富な経験と手先の器用さ

循環器内科医の特徴として、内科医でありながらカテーテル治療など外科的な手技が必要になるという点が挙げられます。
また、心電図の読み取りや患者さんの様子から状態を把握するなど、診察面でも繊細な観察眼が必要です。
これらのスキルは経験の中で磨いていくことがほとんどですので、より多くの経験を積む努力ができることが重要になってきます。
手先の器用さも循環器内科医の、とくにカテーテルを選ぶ医師にとっては必要な素養となるでしょう。

常に新しい知識を学び、応用できる力

医療の技術は日進月歩で進化しています。
とくに循環器内科は他の診療科と比べても学会や研究会などへの参加が増える傾向があります。
常に学びの機会があるというメリットと同時に、それを積極的に吸収していく旺盛さが必要です。

また、新たに得た知識を普段の診療にどう活かしていくかという応用力も備えておきたいスキルとなります。
長期で治療を行う患者さんに対して、新しい技術や知識を上手に活用した治療を取り入れられれば、治療の大きな助けになるでしょう。

循環器内科医の仕事とは

循環器内科医の仕事は、働く場所や選ぶ進路によって変わってきます。
大枠としては心臓や血管、リンパ管にまつわる疾病を診療することになりますが、治療のどの過程に携わるのかが異なることで、ハードワークからワークライフバランスを保った働き方までさまざまです。
ここからは、循環器内科医の仕事内容やキャリアの積み方、忙しさなどを詳しく解説します。

循環器内科医の仕事内容

循環器内科が受け持つ主な疾患には、以下のようなものがあります。

  • 狭心症・弁膜症などの心臓疾患
  • 心筋梗塞
  • 高血圧症
  • 動脈硬化
  • 心不全
  • 不整脈

高血圧症のように投薬と生活習慣の改善で寛解を図るものから、心臓カテーテル治療が必要なものまで多岐にわたります。
病気の進行度合いによっては命に関わるものも少なくなく、早期発見や早期治療が重要となってくる診療科です。
診察には心電図や血液検査なども用い、患者さんの発汗量や顔色なども敏感に察知する必要があり、高度な観察力が必要となります。

循環器内科医としてのキャリア

循環器内科医のキャリア形成では、心臓カテーテルを行うかどうかの選択が重要です。
カテーテルを選択すると、外科的な手技治療のスキルを積んでいくことになります。
一方でカテーテルを選ばない場合は、薬物療法などのより内科的な診療に特化しながら、幅広い経験を積んでいくケースが多くなるようです。

専門医になるまでの過程が長く、一般内科医としての素地があるため、キャリアパスの選択肢が多いことが特徴でもあります。
予防医療や検診、心臓リハビリテーションなど、セカンドキャリアの道も選びやすく、長く活躍できる領域だと言えるでしょう。

循環器内科医になるための専門資格

循環器内科医として活躍するには、専門医資格を取得することになります。
循環器内科の専門医資格は、他科のものよりハードルが高いのが特徴です。
資格取得のためには、内科・外科・小児科いずれかの専門医資格を取得していることが条件となっています。
このため、医師免許取得から最短でも7〜8年の期間が必要なため、30代前半にならないと取得ができない資格です。
他の診療科から転科して循環器内科医を目指す場合でも、3年以上の期間を要します。
この他にも医師本人がタバコを吸わないことなど、以下のような条件があります。

<循環器内科専門医の主な受験資格>

  • 医師免許を有している
  • 内科・外科・小児科いずれかの専門医資格を有している
  • 循環器領域での専攻医研修を修了している
  • 日本循環器学会が定める研修コースの修了認定を受けている
  • 自ら禁煙し、禁煙の啓発に努めている

(参照:日本循環器学会「2019 年からの新しい循環器専門医制度のご案内」

勤務先による忙しさの違い

忙しいイメージが強い循環器内科医ですが、働く場所によってその忙しさにも違いがあります。
ここでは、大きな病院に勤務する場合と、町のクリニックに勤務する勤務医の働き方についてそれぞれご紹介します。

病院の場合

救急受け入れやCCU(循環器疾患集中治療室)を備えているような病院に勤めている場合、かなり多忙な働き方になるのが一般的です。
オンコールや当直勤務も多く、時間外労働に追われて休みも取りづらいという医師も多いでしょう。
他の診療科にも共通することではありますが、循環器内科の場合は一刻を争うケースもあることから、とくに忙しい傾向があります。
ただし、医師数が多い病院であれば、ローテーション勤務が徹底され、意外と働きやすいという場合もあります。職場探しをする際はその点を詳しく調べることをおすすめします。
多忙で過酷な労働環境ではあるものの、技術を磨けたりやりがいを感じられたりというメリットもあり、活気を感じられる病院が多いようです。

診療所の場合

街中のクリニックで働く場合、入院患者がいないため、比較的時間にゆとりがある働き方が可能になります。
逆にワークライフバランスを良好に保てることから人気があり、求人があっても倍率が高いと考えておくのが無難です。

主に緊急性があまり高くない患者さんを受け持つことが多く、ペースメーカー埋め込み患者さんの術後フォローや、生活習慣病の投薬治療などが業務の中心となります。
中にはカテーテル検査やペースメーカーの埋め込み施術を行っているクリニックもあり、高い技術が必要なところもあります。

より詳しい情報を知りたい場合は専門家に相談を

循環器内科医を目指したいと思ったら、まずは医師専門の転職エージェントに相談してみるとよいでしょう。
循環器内科は、内科や外科など、受験対象となる診療科で専門医資格を取得した後でないと目指すことができません。
このため、思い立つのに遅すぎるということもなく、じっくり目指していける領域でもあります。

どのような医療機関なら働きやすいか、経験をより多く積めるかという情報は、専門家である転職エージェントに相談したほうが得やすくなるでしょう。
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循環器内科医の適性があるかどうかも含めたキャリアプランのお悩みにも、丁寧に寄り添って一緒にプランを組み立てていける頼もしい相棒です。

まとめ

医師が働く診療科を決めたり、今の診療科からの転科を考えるとき、大切にしたいポイントはいくつかあります。
その中で後回しになりがちなのが、「その診療科は自分に合っているのか」という適性に関するポイントです。
その診療科でできることや、目指したい理想の医療は考えていても、自分にその適性があるかどうかはやってみないと気づかない方も少なくないのです。

キャリアプランに迷ったり、他の診療科の方がいいのかなと考えた時には、一度立ち止まってじっくりプランを考え直してみるのもいいのではないでしょうか。
医師専門の転職エージェント「メッドアイ」に相談することは、より自分に合ったキャリアプランを見つけるための助けになります。
キャリアプランを見つめ直した結果、転職しようと決断できたら、そのまま転職先探しのパートナーとしても寄り添うってもらうことができる存在です。
まずは悩み事をそのまま相談してみて、自分の市場価値を見つめ直しながら、これからの道を考えてみるのもいいのではないでしょうか。