医療界の舞台裏には、医局長という輝かしい存在がいます。医局長は医局を指導し、医療の進展を導く指針です。
この記事では、医局の構造やメンバー、医局長の業務内容、さらなる昇進の方法について詳しく説明します。

この記事を読むことで得られるメリットは以下の通りです。

  • 医局とは何かを知ることができる
  • 医局の仕組みについて理解が深まる
  • 医局長の仕事について把握できる

この記事を通じて、医局を理解し、医療キャリアの構築に役立つ情報を得ることができます。
ぜひ最後までお読みください。

医局とは

医局は大学医学部・歯学部 ・ 病院に存在する組織であり、各診療科ごとに設けられています。
この組織は、教授をトップとして、
医師たちがピラミッド型の階層構造を形成しています。

具体的には、教授、准教授、講師、助教、医局員、そして研修医といった階層が存在し、医局の規模は数十名から多ければ100名ほどの構成です。
大学病院において、臨床活動や研究、教育、人事に関わる重要な役割を果たしています。
ただし、医局への所属は必須ではなく、すべての医師が加入するわけではありません。

医局制度は、明治時代に日本の一部の大学が、ドイツをモデルにして導入したものです。
その後、帝国大学(現・東京大学)、京都大学、名古屋大学、大阪大学、九州大学、東北大学、北海道大学などで広がりました。

一般的には、大学病院内の医療活動や研究、教育を指導し、組織を構築する役割を果たす存在であり、日本の医療教育と研究の歴史に深く結びついています。

また厚生労働省の「平成31年臨床研修修了者アンケート調査結果概要」によると、大学病院で臨床研修を修了した医師の9割以上が医局に入ると回答し、大学病院以外で臨床研修を修了した医師も過半数が医局に入ると回答しています。
医局へ入局する医師は減少傾向にあると言われてはいますが、以上のデータから、依然として多くの医師が入局しているといえるでしょう。

医局長について

医局長とは、医療機関内における指導者的存在のことを指します。
医局は医師たちが所属するグループであり、その中での上位に位置するのが医局長です。
医局長は通常、
講師や助教の肩書きを持つ医師が務めることが一般的です。

医局内では、医師同士が連携し、研究や臨床活動で知識やスキルの向上を図ります。
研修医の指導や教育も医局の一環として、上級医師が後輩医師を育てます。
医局長の役割は、彼らのリーダーとして、診療業務の管理・研修医の教育管理・医局の財務管理など、さまざまな管理業務を主に担います。
その他にも、採用・人事業務や、各種問い合わせ対応・学生への講義など、業務は多岐にわたります。

医局における序列は大きく6つ

医局内の序列は、大きく6つに分かれます。
各役職は医療現場や研究、教育における役割や責任が異なり、医療専門家の階層構造を形成しています。
以下で紹介します。

1. 院長

病院の最高位医師役職である院長は、大学病院内において全診療科を統括し、病院のトップとして指導します。
院長は病院全体の運営や戦略の策定を監督し、医療の品質向上や効率的な運営に貢献します。
患者の安全確保や医師の専門性向上も重要な使命です。
そのため、広い視野と強力なリーダーシップ力が要求されます。

この役割は重い責任を伴い、病院の経営課題から医療政策まで幅広い領域に関わります。
医学的専門知識に加えて、組織運営やコミュニケーション能力も必要です。
院長は医療現場と経営の架け橋であり、総合的なビジョンと経験が求められる役職です。

2. 教授・准教授

医局内の要職である教授と准教授は、院長に続くポジションとして重要です。
通常、豊富な経験を持つ医師が50代前半から就任する傾向があります。
教授は医局内の人事や配置を取り仕切り、大学病院や関連病院での医師配置を調整します。
さらに、講演や論文執筆なども担当の一つです。

准教授は、教育と臨床現場の管理を担当します。
主に40代から50代で就任し、若手医師や研修医の教育に力を注ぎながら、臨床業務も統括します。
教育と臨床のバランスを取りつつ、医療の進歩に貢献する使命を担っているのです。

3. 講師

講師は助教から昇進する形で、通常は40歳前後で見られる役職です。
大学病院内では診療業務以外に、医学生への講義や実習に関わる機会も増え、
教育の一翼を担います
この段階では頻繁な日当直から解放され、業務の幅が広がる傾向があるでしょう。

講師の業務には、医学生の教育に加えて、研究活動への参加も含まれることがあります。
研究と臨床のバランスを取りつつ、新しい知識の提供や次世代の医療専門家の育成に尽力しています。

4. 助教(助手・専門医)

助教は、教授の下で活動する役職であり、主に臨床現場と教育支援が活躍の場です。
臨床業務に加えて、教授の補佐や指導で若手医師や研修医をサポートします。
専門医資格を持つ医師は、博士号取得後に助教に昇格することができるでしょう。

この段階では、経験を活かしながら教育や指導にも参加するため、キャリアの幅が拡大します。
若手医師が成長するプロセスで、次世代の医療専門家としての重要な役割を果たす位置です。

5. 医員

医員とは、臨床研修を終えて専門医研修中などの一般勤務医を指します。
専門医の資格取得後でも、博士号を取得するまでの間、医員として勤務することがあり、その境界は少し曖昧です。
医員は臨床現場で診療業務をしつつ研修を進め、教授職の支援も担当することがあります。

この役職では、当直勤務などが増え、長時間労働が課題となることもあるでしょう。
若手からベテランまで幅広い層の医師が在籍し、臨床実務と研修を両立させながら、臨床経験を深めています。

6. 研修医

研修医とは、医師国家試験に合格した後、実際の臨床研修段階に入る医師のことを指します。
この時期は、指導医の指導の下で実務的な経験を得る過程であり、まだ医師としての実務が本格的に始まる前の段階です。
さまざまな臨床分野で診療や技術に関わりながら、知識やスキルの習得を進めていきます。

研修医の給与は他の医局員に比べて低めに設定されていますが、そのかわりに研修の質や経験を重要視しています。
この時期は学びを重視し、医療の基本を確実に身につけるための重要な過程と言えるでしょう。

医局長の仕事について

医局長の役割は医療組織内で重要なものであり、さまざまな責任を担います。
医局長は、診療業務の管理、医局員の指導と育成、そして組織全体の運営に関与します。

以下で解説していきます。

仕事内容は管理業務や教育など多岐にわたる

医局長の役割は幅広く、多岐にわたります。具体的には以下の通りです。
医局長に選ばれた瞬間から、その肩には膨大な業務が委ねられます。

  • 診療業務の管理や財務の監督
  • 事務処理や問い合わせへの対応
  • 医局内の大学院生や医師たちへの教育や研修の計画・管理
  • 医局内外での人事や採用に関する交渉
  • 日常の診察業務や読影業務
  • 専門研修プログラムの企画・作成
  • 大学院生の研究指導、学生への講義

さらに、医局内外のイベントの企画や準備、特に新型コロナウイルス感染症の影響下では、医局イベントのWeb化や講義のオンライン化、健康管理や勧誘のWebへの重点移行など、迅速な対応が求められました。

医局長の日々は忙しく、医療業務から教育、組織運営まで幅広い領域にわたります。
その役割は、医局内の円滑な運営と成長を促進し、病院全体の発展に貢献するものです。

医局長の年収は約1,000万~1,200万ほど

医局長の年収は、おおよそ1,000万〜1,200万円程度とされています。
医局員から医局長に昇進する機会は稀ですが、昇進しても年収は一般的な医師と同等程度になることが一般的です。

医局長の役職に就くことで給与が著しく増加するわけではなく、出世しても給与の差はあまり大きくない傾向があります。
医局長のポジションには、責任と業務量が多い一方、その年収は医療従事者の中で一般的な範囲内に収まると言えるでしょう。

医局で出世するためにできること

医局での昇進を目指すためには、いくつかのポイントがあります。
医局内で講師以上に進むのは少数ですが、成功するためには以下のことが考えられます。
人事は教授が決定しますが、出世のための努力は自身のスキル向上につながるでしょう。

スキルの向上と研究活動

まず、大学の年功序列は存在しますが、年齢が上がるにつれて研究や論文の能力が重視されます。
したがって、研究スキルを向上させる努力が重要です。
研究や論文執筆に時間を費やし、学術的な成果を積み重ねていくことが出世につながります。

資格取得

さらに、博士号や専門医の資格を取得することも出世の一環です。
これらの資格は専門性を示す重要な要素であり、医局内での評価に影響を与えます。

組織への貢献

出世を目指す際には、ただ能力を高めるだけでなく、協調性や組織への貢献も大切です。
医局内でのチームワークや組織運営に貢献する姿勢が評価されるでしょう。
医療分野の変化にも対応し、常に専門知識を更新することも出世に向けて重要なステップです。

自身のキャリアについて悩んだら

自身の強みや興味を再評価し、周囲のアドバイスや専門家の助言を受けつつ、先生自身のキャリアパスを見つめなおしてみましょう。

医局での働き方が自分に向いているか検討する

自身のキャリアに迷った際には、いくつかの視点から考えることが大切です。

まず、医局での働き方が自分に適しているかを検討します。
医局は厳しい環境もある一方で、医療の専門知識を深め、研究や教育に携わる機会も提供してくれます。
先生自身が学びたい分野やキャリアの方向性に合致しているかを考え、医局での働き方の魅力を再確認しましょう。

医局長への昇進は難しいかもしれませんが、医局での勤務には他にも多くのメリットが存在します。
そうしたメリットとデメリットをバランス良く評価し、自分の目標や価値観に合った選択を検討しましょう。
医局でのキャリアが個々の目指す方向に対してどれだけ寄与できるか、そしてそれに見合った満足を得られるかを考えます。

転職エージェントに相談する

もし不安や転職の可能性を感じる場合、医師専門の転職エージェントに相談することもおすすめです

現在の働き方に対する不安や、医局とは別のキャリアを模索しているなら、医師専門の転職エージェントにアドバイスを求めてみましょう。転職エージェントは医師転職に深い理解があり、あなたの専門知識や経験に適したキャリアの提案をしてくれるでしょう。

転職エージェントは、先生の要望や志向に応じて求人情報を提供し、面接の支援や条件交渉の手伝いもしてくれます。
自分のキャリアや将来の目標に合った選択をするために
、プロのアドバイスを受けることは非常に有益です。

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医療業界は専門性が求められるため、転職の際には専門の支援が重要です。
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まとめ

今回は、 医局長の役割と医局の構成、さらなる昇進方法について解説しました。

医局は医師たちが集まる集団です。医局長の職に就くのは、一般的に講師や助教としての経歴を持つ医師が多い傾向があります。

医局内の階層は、大まかに6つに区分され、教授、准教授、講師、助教、医局員、研修医という階層です。
各職位は医療現場、研究、教育において異なる役割と責任を担い、医療専門家のヒエラルキーを形成しています。

医局長はリーダーシップや専門性が求められます。
医局員からステップアップし、
研究や資格取得、広い視野を持つことが昇進につながります

そして、医局でのキャリアを見つめ直す際や転職を考える際には、専門の転職エージェントに相談してみましょう。
現在の働き方に不安を感じる場合や新たなキャリアを模索する際に、アドバイスやサポートを提供してくれるでしょう。
是非、医師専門の転職エージェント「メッドアイ」を活用してみてください。