精神科医の世界には独自の経験や特徴が広がっています。「これって、精神科医ならではのことだよね?」と共感を呼ぶ方も多いのではないでしょうか?
本記事では、精神科医の日常に潜むさまざまなエピソードについてあるある形式で徹底解説します。

  • 精神科医のあるあるについて知りたい
  • 精神科医の労働環境について知りたい

このように思っている方に向けて、労働環境や患者との関わり方についても解説します。
精神科医の仕事に興味を抱いている方には具体的な現場の一端が垣間見え、労働環境に関心を寄せる方には違いや特徴を簡潔に理解できるでしょう。

精神科医の仕事に興味がある方は、ぜひ最後までお読みください。

精神科医の診療科でよくあること

精神科医は、他の診療科とは異なる医療体験や状況が多いです。
精神疾患の治療や患者の対応には、精神科医独自の専門性や特異性が求められます。
以下では、精神科医の診療科あるある4選を紹介し、特徴や課題について解説していきます。

1.治療において完治は目的にならない

治療の目的は「完治」ではなく、むしろ精神疾患との共存や適切な付き合い方を見つけることです。
精神疾患の発症は個人によって異なり
、完全な治癒が難しい現実が共通しています。このため、治療では患者それぞれの状況を考慮し、無理なく達成可能な目標を設定していきます。

具体的な目標としては「復職できる」「作業所への通所ができる」「退院後も落ち着いて生活できる」などです。

また入院は病状や治療法によっては長期に及びます。中には何十年も入院生活を送る人もいます。
入院中には、薬物療法や心理療法などの治療を受けますが、それらは症状を抑えるためのものであり、根本的な解決にはなりません。

完全な治癒を求めるのではなく、患者が自分なりの健康な生活を築くサポートが精神科医のアプローチです。

2.他の科よりも薬の種類が多い

精神科では、他の診療科と比較して独自の薬剤が多く使用されることが一般的です。
他の診療科でも、うつ病や認知症などの精神疾患の治療に使われる薬を見ることはありますが、精神科ではそれらの薬をさらに深く理解し、適切に使用することが求められます。
また、他の診療科では見かけないような特殊な薬も多く使用されます。

3.自分のメンタルケアを意識するようになる

精神科医として働く中で、患者のカルテを通じて精神疾患の発症と背後にある状況を目にします。
人間関係のストレス、出産後の不調、仕事のプレッシャーなど、普段の生活で経験する出来事が発症のきっかけとなっていることが少なくありません。

これにより、精神疾患が他人事ではなく誰にでも影響を与える可能性を自覚するようになります。
他人の病歴を通じて、
「もしかしたら自分や身近な人も同様の状況になる可能性があるのではないか」という意識が芽生えるのです。

この経験が、精神科医自身が自分のメンタルケアに対して意識を向けるきっかけとなります。
精神疾患はストレスや環境の変化によって急に発症することもあり、他人事ではないと感じ、
自分も心身の健康に気をつけるようになるのは自然な流れです。

4.看護師が頼りになる

精神科医療において、看護師は非常に頼りにされます。
なぜなら、精神科では患者との密接なコミュニケーションが欠かせず、看護師が日常的に患者と接する機会が多いからです。

そのため看護師の意見を尊重し、治療方針の決定に取り入れる医師も多いです。

また、精神科では、患者さんが突然暴力的な行動を起こすことがあります。
そのような緊急の場合には、すぐに対応できるように男性看護師が傍にいることが多いです。
男性看護師は、体力的にも対応しやすく、患者を落ち着かせるために必要な措置を取れます。

このように精神科では、看護師が医師と共に患者の治療に深く関与しています。

精神科医の業務あるある4選

以下では精神科医の業務におけるあるある4選を紹介します。

1.他の科に比べ労働時間が短い

精神科医は、他の診療科に比べて労働時間が短いことが多いです。
厚生労働省の調査によると、精神科医の週の平均労働時間は47時間50分で、全体の平均よりも約5時間短いです。これは、精神科医が緊急対応や手術などの時間がかかる業務を行う機会の少なさに影響しています。

精神科医は、患者とのカウンセリングや薬物療法などを主に行っています。
また、精神科医は、入院設備のないクリニックや診療所で働くことも多く、夜間や休日の勤務が少ないことも労働時間の短さの理由です。精神科医は、他の診療科に比べてワークライフバランスが取りやすいと言えるでしょう。

出典:「厚生労働省 :医師の勤務実態について

2.有給が取りやすい

精神科医の業務は、有給休暇の取得が比較的容易です。
独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査によれば、精神科は他の診療科に比べて有給取得率が高い傾向があります。
平均で年間13. 7日の有給休暇を取得しており、これは精神科医が自身のメンタルヘルスを保つためにも積極的に有給を活用していると示しているのです。

有給休暇は精神科医にとって自己管理の一環と言えるものであり、リフレッシュや趣味・家族との時間を過ごす等で仕事のストレス軽減やモチベーションを向上させています。
ただし、有給の取得には患者の状況や診療体制に十分な配慮が必要であり、突然の休暇が治療の進捗を妨げたり患者の信頼を損なうことを避けるため、計画的で協調的なアプローチが求められるでしょう。
出典:「独立行政法人労働政策研究・研修機構:勤務医の就労実態と意識に関する調査

3.リスクに対して敏感になりやすい

精神科医は、患者の安全を確保するために、日常的にさまざまなリスクに対して敏感になりがちです。
例えば、患者が徘徊したり異常行動を示したりする可能性があるため、戸締りや刃物の管理など、安全に関わる事項に対しては特に気を使います。

そのため、精神科医は、自然とリスクに対する警戒心を持つようになるのです。
これは、患者の安全を確保するためだけでなく、医療スタッフ自身の安全を守るためでもあります。
これが癖となり、業務の中で自然な形でリスクの確認や対応策の検討が習慣になります。

4.診察室が綺麗なことが多い

精神科医の診察室は、他の診療科に比べて綺麗で物が少なく、整然としていることが多いです。
これは、患者の中には異常行動や危険性を伴う場合もあるため、怪我をしたり、トラブルを起こすリスクを最小限に抑えるためです。
精神科医は、患者の安全を第一に考えています。診察室は常に清潔に保たれ、不要な物は置かれません。

また、綺麗な診察室は患者が心地よく感じるだけでなく、医師やスタッフが業務に集中しやすくなります。
リスク回避だけでなく、治療の円滑な進行や患者の心理的な安定も心がけていると言えるでしょう。

精神科医の患者との接し方あるある4選

精神科医と患者の間の関係は、他の医療分野とは一線を画しています。
治療期間が長いため患者との心の距離が自然に近づきます。
異常行動や妄想を抱える患者への適切なコミュニケーションや観察力が育まれ、冷静に対処する力も同時に身につけます。

以下では精神科医の患者との接し方あるある4選を紹介します。

1.患者との心の距離が近くなる

精神科医は、患者との心の距離が近くなりやすいです。
入院治療だけでなく通院においても治療が長期にわたることが一般的であるため、自然と双方の心の距離が縮まりがちです。

長期的な治療が必要な患者が多い精神科では、患者と医師の信頼関係の構築が治療の鍵となります。
患者の日常生活や感情に深く関与するため、精神科医は患者の抱える悩みや喜びを理解し、共感することが求められます。
この過程で、おおらかで開かれたコミュニケーションが築かれ、患者との心の距離が近づいていくのです。

患者との近さは治療の成果にも関係し、患者が精神科医に対して心理的な安心感を抱くことが理想です。

2.コミュニケーション能力や観察力が身につく

精神科医は、患者とのコミュニケーションを通じて、コミュニケーション能力が高まることが多いです。
患者の中には、妄想を持つ人や、知的障害、発達障害、認知症などを持つ人が多く、それぞれに適したコミュニケーション方法を見つける必要があるからです。

また、精神科医は患者の行動や非言語コミュニケーションにも敏感です。
患者の小さな変化や顔の表情、体の動きに目を光らせ、どのような状態にあるのかを把握し、それに合わせて治療の方針を適切に調整しています。

これにより、観察力が自然と養われ、患者との深い理解を築く手助けとなっています。

3.予想外の場面に遭遇することがある

精神科医は、日常的に予想外の場面に遭遇します。
患者が徘徊して通常いるべきでない場所にいたり、異常行動が見られる場面に直面するなどです。
中には誤食や排泄物のいじりなど、予想外の状況に対処することが求められます。

患者の異常行動にはさまざまなパターンがあり、精神科医はこれに適切に対処するために柔軟性を発揮します。
例えば、患者が予測不能な行動に出る際には、臨機応変なアプローチやコミュニケーション力が必要です。
また、
中には言葉や暴力による行為が見られることもあり、これらにも冷静かつ安全な対応が求められます。

このように、精神科医の業務は予想外の場面に遭遇することがありますが、それが精神科医のやりがいの1つでもあります。

4.多少の出来事では動じなくなる

精神科医は、予測できない出来事にも動じない冷静さが身につきます。
通常なら予測不能な状況に戸惑うこともありますが、
長期にわたり精神科で勤務すると、さまざまな出来事に対して徐々に慣れてくることが一般的です。

患者が抱える妄想のパターンや異常行動に対する理解が深まるにつれ、医師はこれらの出来事に対して驚きや動揺を感じにくくなります。
精神科医は患者の個々の特徴や病状を理解し、臨機応変かつ冷静に対処するスキルを身につけていきます。

多様な出来事に対する動じない姿勢は、患者との信頼関係の構築や治療の円滑な進行に役立つでしょう。

精神科は他の診療科と違う部分が多い

精神科医療は他の診療科とは異なった独自の挑戦と充実感があります。
患者との深い関わりの中での困難もありますが、感動的な瞬間や他科では得られない学びが待っています。
労働環境も特徴的で、緊急対応が少なく残業が少ないため、ワークライフバランスが取りやすいです。

以下で詳しく解説していきます。

精神科ならではの経験ができる

患者とのコミュニケーションは深く、中には感動的な瞬間や患者の回復過程で見られる喜びも含まれます。
また、
病院によってはデイケアプログラムなども提供されており、通院以外でも患者との接触があるため、より幅広い経験が得られます。

他の診療科では経験しづらい精神科ならではの状況や患者との独自な対話は、医師やスタッフにとって成長の機会となるでしょう。

働きやすい労働環境が整っている

精神科は、他の診療科と比べて、働きやすい労働環境が整っていることが特徴です。
緊急対応が少ないため、残業が抑えられ有給の取得もしやすいので、比較的ワークライフバランスを確保しやすい環境が整っています。

特に、クリニックや診療所など入院設備のない場所では、穏やかで働きやすい環境が整っていることが多いです。
また、患者とのカウンセリングや定期的なフォローアップが主な業務であるため、予測可能なスケジュールも働きやすい労働環境の一因となっています。

働きやすい医療機関を選ぶなら転職エージェントに相談

精神科医の特有の業務や労働環境を踏まえ、働きやすい医療機関を探す際には、医師専門の転職エージェントへの相談がおすすめです。
その中でも、メッドアイは優れたサポートが期待できるエージェントの1つです。


精神科医は特殊な業務内容や患者さんとの深い関わりが求められるため、適切な医療機関を見つける必要があります。
転職エージェントは専門性を活かし、医師の希望や経験を考慮した求人を提案してくれます。

メッドアイは医師向けに無料相談を受け付けており、非公開求人の紹介も可能で自分に合った職場を見つけるサポートが可能です。

少しでも働き方に悩みを抱えているなら、一度相談してみることをおすすめします。
メッドアイを通じての相談は、将来へのステップアップやライフスタイルの向上に繋がるでしょう。

まとめ

今回は精神科医の「あるある」について解説してきました。
精神科医の業務や環境には他の診療科との明確な違いがあり、治療目標や薬物療法、看護師の重要性などが際立っています。

また、労働環境が比較的穏やかでワークライフバランスが取りやすいことも特徴です。

メッドアイは医師専門の転職エージェントとして、これらの特徴を理解し精神科医の求人紹介や転職サポートを行っています。無料相談や非公開求人も用意させているので、精神科医の方々がより充実した職場環境を見つける手助けとなるでしょう。