40代の医師は豊富な経験を積み、キャリアの脂が乗っている時期です。
この年代で転職を考える医師は、現在の職場に不満があったり、次のステージを模索したりと、さまざまな背景を持っています。
- 「40代医師の転職事情を知りたい」
- 「40代医師が転職する理由を知りたい」
- 「転職で失敗しないポイントを押さえたい」
こうした悩みを抱える方に向けて、本記事では40代医師の転職理由、実際の事例、失敗しないためのポイントをまとめました。
40代医師の転職市場における価値
40代の医師は、臨床経験・指導経験・資格・管理能力を兼ね備えており、転職市場での評価は非常に高い年代です。
指導医や役職付きの求人、年収アップの条件が提示されることも多く、転職のチャンスは十分にあります。
このタイミングでの転職は、キャリアの幅を広げるだけでなく、労働条件や給与の改善にも直結しやすいのが特徴です。
40代医師に多い転職理由TOP3
40代医師の転職で多い理由は、下記の3つが挙げられます。
- 年収に関する不満
- 開業する
- ワークライフバランスの見直し
それぞれを詳しく見ていきますので、自分の悩みと同じものがあるかチェックしてみてください。
①年収に関する不満
40代医師の平均的な年収は、民間病院で役職などがついていなければ1,400万円程度と言われています。
自身の年収を周囲と比較して、少なく感じた場合に転職を決断するケースが多く見られ、転職理由の中でも多数を占めています。
一般的に40代の医師は、さまざまな経験を重ねてきているので、臨床の現場だけでなく若手育成の役割としても活躍が期待されています。
転職市場での評価も高く、ニーズが多いため、転職することで年収アップを実現することが比較的容易です。
40代は医師として円熟している状態のため、現状維持を良しとするかどうかで転職を決断することになります。
②開業する
大学卒業後、コツコツとキャリアを積み重ねてきた医師が開業に踏み切るのも、40代のタイミングが多くなっています。
開業医の平均年収は2,500万円〜3,000万円程度と言われていて、勤務医と比べると大幅な収入増が見込めるステージです。
しかし、新規で開業するとなると、不動産や医療機器などの資材といった多額の開業資金を必要とします。
既存クリニックの事業継承なら開業資金がある程度抑えられますが、そうではない限りはしっかりと準備する必要があるのです。
40代で開業に踏み切るということは、かなり早い段階から開業を見据え、キャリア形成や準備などを周到に行ってきた医師であると言えます。 あわせて読みたい
③ワークライフバランスの見直し
40代や50代の医師ともなると、勤務先で役職がつくなど責任を負う立場になることが増えてきます。
管理職や役職としての人間関係などのストレスや、現場の責任を負いながらの長時間労働など、負担を軽減したいというのも多く見られる転職理由です。
当直やオンコールの多さから、プライベートとの両立が困難に感じたり、子育てに参加できなかったりといったQOL低下を理由とする声もあります。
また、将来のUターンなどを見据えて、先に地域の人脈を築くことを目的とした、計画的な転職もこの時期に見られる傾向です。
30代までは脇目も振らずにキャリア形成に励んできた医師が、一息ついて周囲が見えるようになった時に、次のステージや働き方を考えるタイミングなのでしょう。 あわせて読みたい
40代医師の転職リアルな事例
40代医師は転職市場での価値は高いと言われています。
しかし、実際の転職事情はどうなのでしょうか?
ここからは実際の転職事例を2例ご紹介します。
40代女性:子育ても両立できる職場へ
<Aさんの転職事例>
1.健保の診療所に勤務。給与改定で2割ダウンが決定
2.職員同士で悪いところを報告しあう状態に発展し、職場の雰囲気が悪化
3.ストレスもピークに。同僚が辞めると聞き、自分も退職を決意
4.転職エージェントに相談
5.子育てを考え、残業がない診療所に転職
6.年収1,600万円(200万円アップ)
女性医師は子育てで、勤務時間を調整する必要が出てくるので、給与ダウンしてしまうことがあります。
しかし、40代の医師は豊富な経験とスキルがあるので、重宝されます。
家庭環境を考慮した条件面で、適した転職先を見つけることができれば、勤務時間や収入面での改善も期待できるのです。
40代男性:資格を活かし、地方で充実した待遇
<Bさんの転職事例>
1.上は小5から下は3歳まで、4人の子どもがいる
2.これから教育にお金がかかることを考えると、給与重視の転職が必要と判断
3.スキルを活かし、生活のゆとりも手に入れるために地方に転職
4.年収1,800万円(400万円アップ)
40代の医師は豊富な経験を積んでいるので、今までの資格や経験を生かし転職し、収入をアップさせた事例です。
経験豊富な医師は地方でも重宝されるので、Uターン・Iターン転職により、転職を成功させる事例も多いです。
40代医師の転職で求められるスキル・経験
40代の医師が転職を検討する際、企業や医療機関が求めるのは経験と実績に裏打ちされたスキルです。
若手医師と比べて豊富な経験を持つため、単なる臨床能力だけでなく、組織やチームで活躍できる力も重要視されます。
ここでは具体的に、転職で評価されるスキルや経験を解説します。
1. 指導医としての経験
40代医師は、若手医師や研修医の指導経験があることが大きな強みです。
- 臨床現場での教育実績
- 勉強会や症例検討会の運営経験
- チーム全体のスキル向上への貢献
これらの経験は、指導医や管理職のポジションがある求人で高く評価されます。
2. 特定の専門スキル(資格や手技)
40代医師は、長年の臨床経験で得た専門的な技術や資格をアピールできます。
- 学会認定資格や専門医資格
- 高度な手技・治療スキル
- 特定分野での研究・論文実績
これらは転職時に他候補者との差別化ポイントとなり、年収やポジションにも影響します。
3. 管理職経験やチームマネジメント能力
医療機関では、チームや部署をまとめられる能力も求められます。
- 部門長や主任としての管理経験
- スタッフのシフト管理や教育計画
- チーム内の人間関係やトラブルの調整経験
これらの経験は、役職付き求人や責任あるポジションへの転職を目指す際に有利です。
4. 転職時にアピールすべきポイント
転職活動では、自身の経験やスキルを「即戦力として活躍できる」ことに結び付けてアピールすることが重要です。
- 指導医として育成できること
- 専門分野のスキルで病院の価値向上に貢献できること
- 組織運営やチームマネジメントで即戦力になること
職務経歴書や面接では、具体的な実績や事例を交えて伝えると、信頼性が高まり評価されやすくなります。
転職に失敗しないための3つのポイント
年代を問わず、医師が転職で失敗しないためには、気をつけるべきポイントがあります。
それは、下記の3つです。
- 目的の明確化
- 余裕を持ったスケジュール設定
- 医師専門の転職エージェントの活用
詳しく解説していきますので、転職を考え始めた時にぜひ意識するようにしてください。
①転職の目的や条件を明確化する
まず最初に、転職したい理由や、目的を明確化してください。
仮に今の職場に不満があるなら、どのような不満で解決策は何なのかを考え、紙などにリストアップして「見える化」してみるのです。
同じように、キャリアプランの流れで転職が必要だと考えている場合も、描いているキャリアプランの全体像も含めて見直すことをおすすめします。
転職することでどのようなスキルや経験を身に付けたいのかを箇条書きにしてみましょう。
そして、その希望は転職先にどのような環境や条件があれば叶うのかを確認してください。
<見える化の例>
| 不満点 | 不満の深堀りと解決策 | 転職先に求める条件 |
|---|---|---|
| 収入が少ない | ・子供の教育資金が必要 ・開業資金が必要 (8,000万円必要そうだ) | 年収2,000万円以上 |
| 激務が辛い | ・休養と家族サービスで週休2日欲しい ・日勤のみにして夜はプライベートの時間に充てたい ・体力がきついので9時間ぐらいの勤務に減らしたい | オンコールや宿直がない 週の出勤日数が5日程度 |
| キャリアアップしたい | ・臨床が少なく、患者さんとふれあいが足りない ・開業に向けて、経営スキルも欲しい | 専門資格が得られる病院 開業医のもとで経営も学べる 地域医療など、臨床の多い現場 |
収入アップが希望であれば、生活費や今後のライフプラン、開業する場合は必要資金などを確認します。その上で、いくら必要で、転職後の年収をいくらアップする必要があるのか、具体的に計算してみるのです。 あわせて読みたい
転職で叶えるべき条件がはっきりすれば、ブレずに転職先探しをすることができます。
②余裕を持って転職スケジュールを決める
①の作業をして「やはり転職する必要がある」と決断したら、まずは転職までのスケジュールを決めておきましょう。
医師の転職には情報収集が大切で、自分1人でやろうとすると労力と時間がかかります。
さらに、今の職場を辞めることになるため、退職までにどのくらい時間がかかるのかも考えなくてはなりません。
トータルで考えると、医師の転職には半年から1年といった長いスパンが必要になってきます。
特に家族の転勤やUターンなどでの転居で、転職しなければならない時期が先に決まってしまっている場合は注意が必要です。 あわせて読みたい
転職時期から逆算し、どの程度情報収集に時間が割けるのかをあらかじめ把握しておきましょう。
③医師転職専門のエージェントを活用する
医師が転職活動において、ぜひ活用してほしいのが転職エージェントです。
繰り返しになりますが、医師の転職活動では情報収集が鍵をにぎるという特徴があるのです。
求人情報だけでは見えてこない、転職先の医療機関の経営状態や外来の状況、人間関係などを詳しく知ることで転職先のミスマッチを防ぐことができます。
転職エージェントは、同じような悩みを抱えた多数の医師の転職をサポートしてきています。
無料で利用できますし、病院の内部情報にも精通しているため、転職を考え始めたらまずエージェントに登録することをおすすめします。
医師専門の転職エージェントの「メッドアイ」では、医師一人ひとりの悩みや、キャリアプランに寄り添って転職活動をサポートし、成功に導きます。
面接の場では言いにくい個人的な希望や条件も、経験豊富な専任のコンサルタントがあなたに代わって交渉してくれるので安心です。
また、転職活動で必要なポートフォリオの作成アドバイスも受けられますし、面接のアポイントや事務的な手続きなどもサポートが受けられるサービスも提供しています。
40代の医師が転職する3つのメリット
医師は20代・30代のうちは、ある意味「計画的に転職していく職業」であるとも言えます。
しかし、ある程度経験が積めて、脂が乗っている時期でもある40代の医師の場合、若手の時と同じ感覚で転職することには抵抗があるかもしれません。
ですが、市場価値の高い状態で転職できるチャンスは、40代を過ぎると減少傾向にあるのも事実です。
40代医師が転職で得られるメリットには、下記の3つが挙げられます。
- 現在の不満点の解消
- 自分の市場価値を知ることができる
- チャレンジしたほうが後悔が少ない
ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
①現在不満に感じていることが解消される
前述しましたが、40代の医師の転職市場での価値は、基本的に高く評価されています。
現在の職場で不満がある場合、転職で解消される可能性が高いのが大きなメリットと言えます。
メリットを享受するためには、下記のように転職に求める条件をきっちり明確にしましょう。
- 収入アップ
- 労働条件の改善
目的に沿った転職先探しを徹底することで、理想の転職が叶います。
ただし、あれもこれもと希望ばかりを並べることは避けましょう。
自分の願望が100%叶う環境というのはありません。
転職の目的を明確にしたら、優先順位や譲歩できる範囲もイメージしておくといいでしょう。
イメージすることで、最優先の希望をしっかり叶え、その他の希望については許容範囲内で収めることができます。
②自分の市場価値を知ることができる
転職活動をする際に「職務経歴書」を用意しますが、作る過程で今の自分のスキルやキャリアを客観視することができます。
自分の現在の実力を整理した上で転職活動に臨むことで、自分の市場価値を知ることができるのもメリットです。
転職エージェントに紹介された案件の待遇などからも客観的に自分の価値を知ることができ、この先のキャリア形成の助けにもなるでしょう。
今の価値を知り、転職後にさらに経験を積むことで、その次に転職を考えた時の判断基準も作りやすくなります。
③チャレンジした方が後々後悔しない
本当に転職すべきか迷っているという医師でも、まずは水面下で転職活動をしてみるといいでしょう。
その上で、自身の価値をきちんと認めてもらえる環境に出会えたら、そこで転職を決意すればいいのです。
探してみても良さそうなところがなければ、現職をそのまま続け、次のチャンスを待つのもいいでしょう。今の職場で働きつつ、漠然とした不安の解決策を新たに探してみるのも一つの選択肢です。
いずれにせよ、一度転職活動をしてみることで、今まで見えなかったことが見えてくるというケースもあります。
何より、不満やモヤモヤした思いをそのままにしているよりは、動いてみたほうがメリットを得られる可能性がアップします。
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まとめ(40代医師の転職理由と事例)
40代医師の転職理由として多いものは、下記3つです。
- 年収に関する不満
- 開業する
- ワークライフバランスの見直し
そして40代医師が転職することで得られるメリットには、下記が挙げられます。
- 現在の不満が解消される
- 自分の市場価値を知ることができる
- チャレンジしておいたほうが後悔がなくて良い
医師の40代は、十分な経験を積んだ中堅やベテランと呼ばれる範囲に入ってきます。
このタイミングで転職することは、メリットが多いと言えるのです。
市場価値の高い年代のうちに転職しておくことで、後々のキャリアにも好影響を与えます。
もし現在の状況に悩んでいるなら、医師専門の転職エージェント「メッドアイ」に相談だけでもしてみるといいでしょう。
転職エージェントを利用することは、絶対に転職しなくてはならない、ということではありません。
まずはキャリアプランや現状の不満を相談してみてはいかがでしょうか?



















