医師が転職を成功させるためにはタイミングが重要です。
「タイミング」と一言で表してしまうと曖昧ですが、年齢や時期、転職理由など、様々な角度から最適なタイミングを考える必要があります。

「医師が転職するのに最適なタイミングは何月頃だろう?」
「何歳で転職するのがベストなタイミングなのか?」
「キャリアアップのために転職したいが、タイミングよくスムーズに進めるコツはあるのか?」

など転職のタイミングを考えるにあたって悩みがよく聞かれます。

転職理由などを加味しなければ、転職先の年度の変わり目(4月)から勤め始めるのがベストなタイミングです。
多くの病院は4月から新年度というところが多いでしょう。
年度が変わるタイミングで新天地での仕事がスタートできるよう、半年前くらいから転職活動をスタートするのが一般的です。

ただし、必ずしも望んだ通りのタイミングで転職できるわけではありません。
実際には現職と転職先の事情を加味しながらバランスをとっていくことになるでしょう。

この記事では、医師が転職するのに適したタイミングを、カレンダー的視点とキャリア形成から考える視点をプロの転職エージェントが解説していきます。
転職を考え始めた時、どのタイミングで異動するのが一番ベストなのかを知ることで、転職活動のスケジューリングに役立ちますので参考にしてください。


医師の転職でタイミングが重要なのはなぜ?

「医師の転職はタイミングが大切」と言われるのはなぜでしょうか?
それは、医師のキャリア形成に他業種と違う大きな特徴があるからです。

「キャリア形成のために転職する」ということ自体は、あらゆる職業で起こり得ます。
一般的な会社員の場合、入社後は会社がその人材を自社の業務に役立つよう育成します。
社員はその会社での仕事が合っていればそのまま成長していきますし、合わないと感じたら余計な時間を過ごさず転職や退職の道を選びます。

ところが、医師の場合は自分自身でキャリアプランを考え、それに合わせた環境を求めていく必要があります。
例えば最終的に開業したい医師であれば、何科で開業し、どんな症例を扱いたいのかなどの目標を考えます。
目標を実現するために必要なスキルは何かを逆算し、そのスキルや経験が取得できる環境(職場)を求めていくことになるのです。

家庭の事情で遠方へ転居するなど、医師のキャリアとは別の問題で転職するような場合は除きますが、医師はある意味「計画的に転職」していく職業であるとも言えるのです。
このため、医師にとって転職のタイミングは、キャリアプランを左右するほどに重要になってきます。

医師の転職に最適な時期は何月?

キャリアプランをしっかり立てて転職活動をする医師が気にしておきたいことに「転職に最適な時期」があります。
ズバリ結論を言ってしまうと、仮に4月に入職できるタイミングでの転職を目指すのであれば、その前年の夏(6月ごろ)頃から転職活動を始めることが最適と言われています。

年度の変わり目に合わせての入職は、主に採用した病院側にメリットがあります。
入職時に必要な事務手続きを新卒採用者とまとめて行えるほか、人事調整や体制作りもしやすいためです。
実際に転職した医師が新しい病院で勤務開始するのも4月が一番多いと言われています。

では、仮に4月に入職できるように進めるには、その前年の夏(6月ごろ)頃から転職活動をスタートするのが最適なのでしょうか?
医師の転職には「半年から1年程度かかる」とよく言われますが、これに合わせると前年の4月〜10月ごろからスタートすることになります。
もう少し細かく見ると、現在の病院を退職するのに必要な期間を考慮し、退職に3カ月かかるなら前年の11〜12月ごろに次の職場が決まればいいということです。
12月に転職先を決めるために、どのくらい前から転職活動を開始すればいいかを考えて、遅くとも前年の6月ごろから動き出すといいでしょう。

転職活動で重要なのが情報収集ですが、ここで気をつけたいのが求人はいつも豊富にあるわけではないということです。
目的を持って転職する医師の場合、転職先に求める条件が決まっていますので、なるべく理想に近いところを探さなくてはなりません。
このため、早めに動き出す傾向があり、6月から8月にかけてが医師の転職活動が多くなるタイミングとなっているのです。

年齢によって変わる転職の需要

どんな職業でもそうですが、年齢が上がるほど転職は難しくなると言われています。
一方、医師の場合は、転職先の医療機関が求めているスキルやキャリアに合致していれば、年齢はあまりハードルにはならないと言えるでしょう。
それでも、年収やキャリア形成など転職の目的により、適した年齢の目安はある程度あります。
病院から出される募集の傾向にも現れているため、転職を検討する際の参考になるでしょう。
大まかな傾向ですが、年代別の医療業界での需要の傾向をまとめてみました。

年代医療機関での需要
30代総合病院などでの「即戦力」
40代総合病院の指導者や役職者
医局での講師や准教授
50代総合病院の指導者や役職者
大学病院、医局での教授
人間ドックなどの健診医
クリニック院長などの経営者

30代の若手医師には即戦力、40代〜50代の中堅医師には指導者としてのスキルが求められる傾向があります。

30代の医師は、これからどんどんキャリア形成をしていく時期でもあり、転職先に求める条件も様々です。
面接時に自分が病院に対して貢献できる内容をアピールし、逆にどのようなスキルを取得したいのかを明確に説明できれば条件交渉も有利に進められるでしょう。

40代〜50代医師であれば、求められる条件に対し、自分に合った働き方ができるかをよく検討することが必要です。
年収アップなどの好条件にばかり目が行ってしまうと、後で不満や後悔を生んでしまうので、検討は慎重に慎重を重ねることが大切だと言えます。


キャリアアップのための転職

医師の転職理由として最もよく聞くのは、「思い描いたキャリア形成を実現するため」というものです。
効率よくキャリアアップしていくためには、タイミングだけでなくキャリア形成の方法にもこだわることがポイントです。
ここからはキャリアアップのやり方について簡単にまとめていきます。

現職のまま資格取得

医師の転職は情報収集から始まり、面接や採用条件の交渉、現職の退職手続きなど、時間と労力がかかるのが特徴です。
キャリア形成を目指して強引に転職してしまうと、転職後の職場が期待にそぐわないと言ったミスマッチが起こるリスクもあります。

そこで、まずは「現在の職場で取得可能なスキルや資格があるか」を考えてみてはいかがでしょうか。
それらの資格を取得してから、次にどのようなキャリア形成をしたいのか、と長い目線で考えてみるのです。
そうすることで、転職を焦る必要がなくなり、将来の転職を踏まえた長期的なキャリアプランが描けるようになります。

また、現在の職場が総合病院など大きな医療機関の場合は、職場内で転科するという選択も有効的な方法です。

転職してスキルアップ

現在の職場でやりたいことは全て出来たという方や、今の病院では取得できない資格にチャレンジしたいという方は、転職によってスキルアップを目指すことになります。
転職によってスキルを磨く場合、以下のようなケースがよく見られます。

  • 目標とする医師がいて、その門下でスキルアップしたい
  • 今あるスキルをさらに深めたいが、今の職場では診られる症例や患者数が少ない
  • 将来の開業を見据え、経営なども含めた幅広いスキルを取得したい
  • 診療科の変更など、キャリア自体を見直したい
  • 産業医や検診機関など、今と違う医療機関での仕事がしたい

転職の目的が明確なので、転職先に望む条件も自ずとはっきりしています。
転職エージェントを利用したり、コンサルタントに相談したりすると、より理想の職場を紹介してもらえるのでおすすめです。

給与アップの為の転職

収入アップを望み転職を希望する医師も非常に多く存在します。
ご存じの通り、医師の仕事は激務の割に収入が少ないと感じる医師は多く、キャリア形成の阻害となっている場合もあるのです。
開業を目指している医師であれば、資金の準備のためにも収入アップが必須という方もいるでしょう。

しかし、条件の良い求人は倍率も高く、望んだ通りの転職先が簡単に見つかるとは限りません。
収入アップを目指す場合の転職先探しは、根気強く行うのがおすすめです。
常に転職サイトをチェックするなどアンテナを張って、時間をかけて探すのも良いですし、転職エージェントに頼るのも良いでしょう。

ただし、高収入の求人には「医師不足を急いで解消したい」などの裏があることもあり得ます。転職したら高収入ではあるが以前よりさらに激務になった、というケースもあるので、安易に飛びつかないことが失敗しないポイントです。

医師の転職で失敗しないために気をつける3つのこと

医師の転職にはタイミングが重要になってきます。
キャリアプランをもとにスケジュールを描くことで、転職活動をどこで始めるかなどは自ずと見えてくるでしょう。
しかし、スケジュールがはっきりしていることで、期限が近くなって転職先探しを焦ってしまうなどのミスをしてしまっては本末転倒です。
そこで、医師の転職で失敗しないために気をつけたいポイントを3つご紹介します。

①転職の目的や条件を明確化する

1つ目は「転職の目的を明確にする」ことです。
キャリアプランを描いていれば、ある程度明確になっているとは思いますが、一歩踏み込んで紙に書くなどして可視化することをおすすめします。
以下のような感じでまとめてみてください。

  • 転職したい理由や、今の職場で不満なことを全て書き出す
  • 転職理由や不満点を解決するために必要な条件をリストアップする
  • リストアップした条件の中で、優先順位をつける

これで転職先に求める条件がかなりはっきりと見えてきます。
紙に書き出す作業をすることで、今まで気づいていなかったことなども見つけられるかもしれません。
転職後に後悔せずに済むよう、事前準備の段階で、不安のタネは潰しておきましょう。

②転職先の情報収集をする

転職先の情報収集は徹底的に行いましょう。
①でリストアップした条件がなるべく叶うことが大前提ですが、それ以外にも以下の2点は確認しておくべきです。

  • 転職先の経営状態
  • 転職先の業務量(忙しさ)

せっかく理想の環境に転職できても、経営状態が火の車では困ります。
病院の経営状態は、都道府県の医療法人窓口で取り寄せられる決算書を見ることでわかります。
候補の転職先を見つけたら、必ずチェックしておきましょう。

また、転職先の忙しさは、外来を見にいくなどの方法である程度知ることができます。
知り合いなどのコネを通じて関係者に話を聞けるとさらに詳しい情報が得られるでしょう。
内部情報に詳しい転職エージェントやコンサルタントに相談するのもお勧めです。

③余裕を持って転職スケジュールを決める

転職活動のスケジューリングは余裕をもって計画しましょう。
転職タイミングから逆算してスケジュールを決めていくことになりますが、必ずどの行程にも余裕をもっておくと安心です。

転職先の情報収集は時間がなくなってくると焦ってしまいがちですし、転職先が決まって退職しようとしたら慰留されてしまう、といったことも考えられます。

医師の転職には半年から1年のスパンを必要とします。転職の意思が決まったら、早め早めにスケジュールを組んで余裕を持って行動していくことが成功のポイントと言えるでしょう。

まとめ


医師の転職はタイミングが重要な要素です。
本記事の主なポイントは以下のとおりです。

  • 医師の転職は4月勤務開始の募集が多いので、前年夏頃には活動を開始する
  • 年齢によって需要も違ってくるので、見合ったタイミングで転職する
  • キャリアアップのための転職は、タイミングだけでなく効率も重視する

転職活動は時間と労力を必要とする大変な活動ですが、プロであるエージェントに相談しながら効率よく進めることで、転職準備の負担を減らすことができるでしょう。

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