救命救急医の業務内容は、命の危険にさらされている患者の診察や治療だけでなく、他の診療科に患者を引き継ぐER型救急や、災害時にDMATの一員として行う被災地の救助活動など多岐に渡ります。
24時間体制で患者対応を行っているため激務なイメージがありますが、人の命に直接関わる診療に向き合えるやりがいは計り知れません。

  • 救命救急医の仕事に興味があり、どういう人が向いているのか知りたい
  • 救命救急の現場で働いてみたい

このように思っている方に向けて、当記事では、救命救急医の特徴や仕事内容を具体的に解説します。「ハードルが高いのではないか」「プライベートとの両立は可能なのか?」と悩んでいる方もぜひ参考にしてください。

救命救急医の仕事内容とは

救命救急医は「救急科専門医」の資格を取得した医師を指します。救命救急医が同乗する救急車であるドクターカーを導入している施設では、院外の現場においていち早く患者の診療にあたることもあります。
24時間、365日稼働していることも特徴です。

救命救急医の働き方は大きく分けて「救命救急医療」「ER型救急」「災害救急」「ドクターカーを用いた活動」の4つに分けられます。

1.救命救急治療

救命型救急の救命救急医の主な役割は、重症患者を対象に診断や手術、集中医療など、さまざまな医療行為を総合的に行うことです。初期診断を行いながら、合併症を探索していく専門的な知識が求められます。

診療分野は、外傷・病気・やけど・薬物治療など多岐に渡るため、他科の医師と共同して診療を進めていくこともありますが、基本的にはチームのリーダーとなって指揮をとっていくポジションです。

また、入院患者の急変対応にも積極的に関わっており、重症患者を抱える病院にとっては頼れる先生として重要な役割を担っているといえます。

2.ER型救急

ER型救急の主な役割は、救急外来に運び込まれた患者を診断し、重症度や緊急性を判断したのちに診療科に引き継ぐことです。特に関わりが深い診療科として、以下が挙げられます。

  • 心肺停止やショック状態の患者を診る循環器内科
  • 頭部外傷や脳血管障害で緊急手術を要する脳神経外科
  • 母体救命で専門的な医療知識を有する産婦人科

想定されうる治療や手術のための初療準備や感染対策など各分野においてスピーディーな対応が求められます。

3.災害医療

災害医療は大規模な災害時に現場に出向いて、一人でも多くの命を救う役割があります。阪神淡路大震災での人命救助活動が十分にできなかったことから、救命救急医をはじめとした医療者で「DMAT」という災害派遣医療チームが生まれました。
DMATの正式名称は「
Disaster Medical Assistance Team」で、災害から48時間以内に結成される機動性と専門性を兼ね備えたチーム医療です。

災害医療に関わる救命救急医は、いつ、どこで起きてもおかしくない災害に備えて日頃から瞬発力と高い集中力を鍛錬しておかなければなりません。
院内の災害対策マニュアルの作成や改訂、災害医療に関する訓練やセミナーを実施している施設もあります。

4.ドクターカーを用いた活動

ドクターカーとは、各都道府県の消防機関と連携し、要請に応じて救命救急医が直接救急現場に出勤する救急車のことを指します。
救急医療では、救急車に乗った患者情報を救命救急士から受け取り、救急外来で治療体制を整えておくのが一般的です。
しかし、
ドクターカーを利用すれば患者をすぐに診察できるため、一刻を争う臨床状況において救命率の向上や後遺症軽減が期待されます。

また、ドクターカーは患者に必要な医療体制が整っている施設に搬送されるため、救命救急医は他院の施設で診療を行うことも一般的です。

救急医は忙しいのか

独立行政法人 労働政策研究・研修機構の調査によると救急科は他科に比べ最も週の労働時間が長く、オンコールについても、月1~3回と回答した診療科は救急科が最も多いことが明らかになっています。
救命救急医は休みの日でも呼び出されることがあるため、旅行や帰省などのプライベートな予定を立てづらく、体力的にも精神的にもハードと感じる人も少なくありません。

しかし、激務と言われる救命救急科でもシフト制を取っている施設も多くあり、ワークライフバランスを重視する環境改善も図られている状況です。
それゆえ、勉強や大切な家族との時間を十分に取って仕事との両立をしている医師も多くいます。張りつめた緊張の糸をほぐす時間こそが、勤務時間内で最大のパフォーマンスを発揮できる秘訣と言えます。
引用元:勤務医の就労実態と意識に関する調査

救命救急医に向いている人の性格

救命救急医は冷静な判断力や高い集中力、そして継続的に取り組める粘り強さがある性格の人が向いています。次の項目で具体的に解説します。

1.冷静な判断力のある人

救命救急医は一刻を争う救急の現場では、落ち着いた的確な判断が必要です。
他科の医師、看護師やその他の医療者とのチームワークが重要な状況で、救命救急医はチームのリーダーとして指揮をとる役目があります。
スムーズな連携を取る必要があるため、冷静さは欠かせません。

2.継続的に、最後までやり遂げられる人

一人の患者に対して継続的に情熱をもって対応し続けることが重要です。緊急性を要する初期治療から、状態が落ち着く退院時まで一貫して携わるため、最後まで責任をもってやり遂げる力が必要です。

3.自分を客観的に見れる人

救命救急は常に高いパフォーマンスで業務を行うために、日々自己について振り返り、現状を把握しておく必要があります。自分を客観的に見て足りない部分を補い、さらに目標に向かって進んでいける人が救命救急医に向いています

4.前向きに考えられる人

救命救急医は瞬時の判断力が求められますが、すべてが満足のいく結果につながらない場合もあります。しかし、後悔することがあったとしても、前向きに捉えて行動していくことで最善の結果につなげることができます。

救命救急医の3つのやりがい

医師のなかでも命に直接関わる診療科として、人命救助に役立てたときのやりがいはひとしおです。具体的にどのような経過があるのか紹介します。

1.最前線で活躍しながら重症患者の命を救える

救命救急医は複数の合併症をもつ重症患者に対して最初に診断・治療を行う責務があります。より専門性が求められる場合は、他科の医師と連携しながら治療を進めますが、リーダーとしてチームを統括しながら最前線で活躍できるのは救急科の醍醐味です。

また、救急医あるあるとして、急変患者がいた場合に他科よりもいち早く現場に駆けつけていることが挙げられます。一刻を争う状況で最善を尽くすことが救命救急医として最もやりがいを感じる瞬間です。

2.初期治療から退院まで一貫して携われる

バイタルを安定化させる初期治療から、集中治療、退院まで一貫した治療を行えるのが救命救急医ならではのやりがいと言えます。患者が合併症を抱えている場合や、より専門的な知識が必要とされる場合は他科の医師と連携しながら治療を進めていく必要がありますが、チーム全体をまとめるのは救命救急医の役割です。

3.災害医療など特殊な分野を経験できる

災害時に現地で治療を行う「DMAT」としての経験など、通常の医療現場では味わえない特殊な経験を積むことができます。短期間に集中してトリアージを行い、一人でも多くの命を救うことが求められるため、やりがいは大きいです。

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まとめ(救命救急医に向いている人の特徴とは?)

救命救急科は命に危険のある患者の診察や治療、他科への引継ぎ業務だけでなく、災害医療に関わったり、消防庁と協同でドクターカーを使用して現場で診療にあたったりと、幅広い分野で活躍できる診療科です。

他科と比較して労働時間が長くてオンコールの回数も多いデータもある一方で、シフト制を徹底している施設もあるため、プライベートな時間を確保することも可能です。

特に、冷静な判断力、成長意欲を高くもって自分を客観視できる人や継続力がある人などは救命救急医に向いています。
最前線で患者の命を救う現場や、急変時の対応、災害医療など特殊な業務に携われる救命救急医のやりがいはとても大きなものです。救命救急科への転科を考えている医師にも、メッドアイはサポート可能なため、ぜひ相談してください。