慢性的にストレスを抱えやすい現代社会において、心療内科や精神科といった、メンタルに関わる治療を行う医師のニーズは増加傾向にあります。
一人の患者と腰を据えて長く付き合い、一人一人治療方法が変わってくる心療内科の仕事は、どんな人に向いているのでしょうか。

「心療内科医への転科に興味があるが、自分に向いているのか気になる」
「心療内科医になるために必要なスキルや求められる要素などがあれば知りたい」

この記事では、心療内科医の仕事内容ややりがいをご紹介します。
心療内科医に向いているタイプについても詳しく解説しますので、参考にしてください。

心療内科医の仕事とは

心療内科医が担当する疾患は、心の要因からくる体の不調です。
アルコール依存症や認知症、統合失調症やPTSDなどが主な対象疾患で、その領域は精神科とも重なる部分があります。

しかし精神科と心療内科が異なるのは、精神科が心の不調をメインに診療するのに対し、心療内科では心が原因となった体の不調をメインにアプローチする点です。
大きく分類すれば内科医になるため、症状として出ている身体の不調に、薬物療法を中心に治療にあたり、原因となっている心の問題にも向き合います。

心療内科医の年収

心療内科医の年収については、傾向がわかる公的なデータがあまりありません。
国や行政などの定点調査では、心療内科は内科のデータに統合されてしまうためです。

調査類の中には内科をさらに細分化したデータもあるのですが、そこでも心療内科は神経内科や血液内科などと統合され「その他内科」と表現されるのが一般的です。
そこで、いくつかの求人サイトで心療内科医師の求人情報をピックアップして比較した結果、おおよそ1,000万円〜1,500万円程度となりました。

医師全体の平均年収は厚生労働省の調査によれば令和4年時点で1,428.8万円です。
心療内科医の平均的な年収は、医師全体の平均よりやや低いくらいから同程度くらいというのが目安になるでしょう。

心療内科医に向いている人の性格や特徴5選

ここからは、心療内科医に向いている性格や特徴を5つピックアップしてご紹介します。

1.聞き上手でコミュニケーション能力がある人

患者との信頼関係の構築は、どの診療科の医師にも必要なスキルの1つです。
特に心療内科では、不調の原因がメンタルにある患者が多いため、聞き上手であることが求められます。
診察時のやり取りを通じて患者の状態を把握する一方で、治療法や経過についてのわかりやすい説明も必要です。
患者本人だけでなく、その家族と話す機会も出てきますので、聞く人に納得感を持ってもらえる、説得力がある話し方を体得しておくと仕事が進めやすくなります。

2.患者さんに長くじっくり向き合いたい人

PTSDや摂食障害といった心身症の症状は、改善させるまでに時間がかかるケースがほとんどです。
一人の患者にじっくり向き合い、調子が良い時も悪い時もしっかり向き合う姿勢が大切になってきます。
信頼関係が築きやすい雰囲気や、相手を安心させる包容力がある人は心療内科医に向いています。
精神的にも弱っている患者を時には勇気づけ、また時には悩みを聞いて受け止められるようなスキルを磨いていくことが必要です。

3.観察力のある人

患者のちょっとした仕草や、顔色、立ち居振る舞いの変化を読み取れるといった、人を観察するのが好きな方は、心療内科医に向いているタイプです。
心療内科を受診する患者は、気持ちの面で辛い思いをしていることから、うまく愁訴ができないこともあります。
そんな折に、患者をよく観察し、小さな変化も見逃さない観察眼があれば、体調の変化や症状の解明につながり、治療の助けとなります。
また、よく観察して状態を把握していることが患者に伝われば、それは安心感となり、信頼関係の構築の助けにもつながるでしょう。

4.推察力のある人

観察力と同時に推察力を磨くことも、心療内科医の仕事の助けになるスキルです。
患者が自分の症状をうまく伝えられない時、よく観察し、病気の可能性を推測することで、病気の診断につなげられます。
もちろん推測を裏付けるための豊富な知識や経験は必須です。
知識と観察力、それに推察力を駆使して診察や診断ができるようになれば、心療内科医としての強みになります。

5.感情的にならず冷静に対応できる人

心療内科の患者は、症状によってはパニックを起こしたりてんかん発作を起こすといった緊急事態に陥ることがあります。
そこまで行かなくても、うまく愁訴ができず感情的になってしまったり、イライラしてしまう患者も少なくありません。
どんな場面でも冷静さを保ち、相手の気持ちを落ち着かせることができる力は、心療内科医に必要なスキルです。
いつでも冷静でいられる、感情的にならないタイプの人は、心療内科医に向いています。

心療内科医の魅力とやりがい

一般内科が多くの患者を広く診ていくのとは異なり、心療内科は患者一人ひとりに深く踏み込んで治療を行う診療科です。
ここからは、心療内科医の魅力ややりがいにはどんなものがあるかご紹介します。

1.日本におけるニーズが高まっている

現代社会はストレスと無縁でいられない環境と言っても差し支えないのではないでしょうか。
そんな中でメンタルヘルスの不調やストレス性の不調を抱える人は、増加傾向にあります。
また、以前に比べると心身症関連の症状で病院を受診することが一般化しているため、心療内科医のニーズは確実に増えています。

その一方で、医師不足や地域偏在の問題も深刻化していて、心療内科も例外ではありません。
幅広い知見が求められる領域であることから、心療内科の道を極めるには長い努力が必要です。
ニーズが高く、奥が深いため、挑みがいややりがいを感じられる診療科だと言えます。

2.常に新しい症例に出会える

医師としてスキルや知見を深めることには、ある意味ゴールがないと言えます。
中でも心療内科は、どんなにキャリアを積んだ医師でも、常に新しい症例に行き当たるケースが多々ある診療科です。
同じ診断名を下したとしても、その症状の出方や寛解までのプロセスが、患者一人一人すべて異なることも珍しくありません。
患者の生活環境や性格がそれぞれ異なると、治療のやり方はその都度変わってきます。

慣れや経験でこなせる仕事が増えてくると、仕事を単調に感じたりしがちですが、心療内科に関しては、その心配は無用と言っていいでしょう。
探究心を持って仕事に向き合えることは、心療内科ならではの魅力であり醍醐味でもあります。

3.患者を長期的にサポートできる

心療内科での治療は慢性疾患も多く、一人の患者に長期間向き合うという特徴があります。
中には一生付き合っていかないとならない症状を持つ患者もいて、信頼関係を築きながら、調子の良い時も悪い時も寄り添って支えていくことが必要です。

患者をサポートしながら治療を続け、少しずつ良方に向かっていく手応えを、患者と一緒に味わえるのが、心療内科医として働く魅力の1つです。
1つの症例や一人の患者にとことん向き合いたいというタイプの方には、心療内科医はとても向いています。

心療内科医になるには

心療内科医として働くために積むべき経験は、主に内科のスキルを持つことです。
また、他科から心療内科へ転科しようとする場合でも、内科の経験があれば採用されやすい傾向があります。

心療内科医としてさらに道を極めたい場合は、専門医資格の取得がおすすめですが、そこへ至る道は長いものとなります。
心療内科専門医資格は、内科専門医のサブスペシャルティ領域となるため、まず内科専門医を取得しなくてはなりません。
その後心療内科での経験を積んだのち、試験に合格することで、心療内科専門医になれます。

内科専門医まで3年、心療内科専門医まで3〜5年かかり、初期臨床研修も含めると、大学卒業から8〜10年程度の期間を要するハードな道のりです。

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医師として今の働き方に悩んだら、一旦立ち止まってじっくりキャリアプランを見つめ直してみるのはいかがでしょうか。
忙しく働いていても、やりがいを感じ充実しているならいいですが、忙しさに疲弊してしまってはモチベーションも下がってしまいます。
働き方を見つめ直してみて、患者一人一人とじっくり向き合いたいと感じたら、心療内科医に向いているタイプです。

キャリアチェンジや転職を考え始めたら、まずは医師専門の転職エージェントに相談することをおすすめします。
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まとめ(心療内科医に向いている人の特徴は?)

社会的にニーズが高まり、特に資格を取得せずともスタートラインに立てる心療内科は、転科や転職を考える医師のキャリアチェンジ先として魅力がある診療科の1つです。
じっくり患者と向き合い、同じ診断でも一人ひとり異なる対応を考えながら治療にあたるスタイルは、観察眼や推理力がある方に向いています。
メンタル面で不安がある患者に寄り添いながら支える包容力や、安心させ納得させるコミュニケーション力を磨くことで、患者と信頼関係を作りやすくなるでしょう。

心療内科医を極めるためには、内科全般の知識や経験を持って、専門医取得を目指すことになります。
その道のりは長いですがやりがいも大きく、専門医を取得することで大きな達成感も味わえるでしょう。

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