研修を終えた医師の多くが医局に入る一方で、入局しないことを選択する医師も一定数います。医局に入るべきか迷っていて、入らないことによるデメリットを理解した上で入局するかしないかを決めたいという人もいるでしょう。

そういった方に向けて、本記事では医局に入らない医師の割合や、入局しない理由、入局しなかった場合のデメリットなどについて解説します。
医局に入らない場合に気を付けるべき注意点も紹介するのでぜひ参考にしてください。

医局に入らない医師の割合は?

厚労省の令和3年臨床研修修了者アンケート調査結果概要によると、臨床研修後に「入局する予定はない」と回答した医師は全体の12.0%となっており、一定数入局しない医師がいることが伺えます。

出身大学以外の医局に入るのはあり?

出身大学以外の医局に入るのは珍しい選択肢ではありません。
厚労省の「令和3年臨床研修修了者アンケート調査結果概要」によると、出身大学への入局予定者は44.6%、出身大学以外は32.2%となっています。

医局に入らなかった医師の主な理由3選

医局に入らなかった医師の主な理由は以下の3つです。

  • 転勤も多くワークライフバランスを確保しにくい
  • 人間関係のしがらみが多い
  • 給与が少ない

1.転勤も多くワークライフバランスを確保しにくい

医局に入ると、臨床以外の業務が多く勤務時間が長くなる傾向があります。夜勤や休日出勤も多いため、自分の時間がない状態が続きワークバランスが確保しにくいと言われています

また医局からの指示があれば転勤する必要も出てくるため、家庭を持つ医師にとっては大きな負担となるでしょう。

2.人間関係のしがらみが多い

医局は上下関係が厳しい組織として知られており、人間関係のしがらみが多い傾向にあります。

近年ではハラスメント問題などもクローズアップされていて、先輩医師からの指導や同期医師との競争、人間関係の問題に苦しむ医師は少なくありません。

3.給与が少ない

医局員の給与は、民間病院の医師と比べて低めの傾向があります。
一般的な市中病院の時給は3,000~4,000円ほどですが、大学病院の場合、時給2,000円以下というケースもあります。

本職の給与だけでは足りないため、週末のアルバイト勤務を兼業する医師も少なくありません。

医局に入らないことによる3つのデメリット

医局に入らないことによるデメリットは主に以下の3つです。

  • 幅広い人脈や情報を得にくい
  • 専門医などの資格が取りにくい
  • 研究に取り組める環境が少ない

1.幅広い人脈や情報を得にくい

医局は、医師同士の交流の場として重要な役割を果たしています。
医局に入らないと幅広い世代の医師と知り合う機会が少なくなり、人脈を築きにくいというデメリットがあります。

人脈は情報収集や将来のキャリア形成においても重要です。
医局に入らないと、最新の情報に触れる機会が少なくなり、専門医としての知識やスキルを磨きにくくなる可能性があります。

2.専門医などの資格が取りにくい

専門医を取得するためには、専門医研修プログラムを受ける必要があります。
診療科によっては医局に属さなくても、専門医研修プログラムを受講できますが、一部の科においては入局が必要なケースもあります。
眼科や麻酔科などの専門医を取得したい方は、入局しないといけない可能性がある点に注意が必要です。

また、医局には経験豊富な先輩医師や教授が多く在籍しており、直接的な指導やサポートが受けられます。
専門的な知識や技術を効率的に習得できるでしょう。医局には専門医を育成するための体系的な教育プログラムや、専門医試験に向けた試験対策などが整っています。

3.研究に取り組める環境が少ない

医局では研究活動も盛んに行われており、学会発表や論文執筆の機会が多くあります。
医局に入らないと研究活動に携わる機会が少なくなり、研究者としてのキャリアを築きにくくなるというデメリットがあります。

研究活動は専門医としての知識やスキルを深め、論文発表や学会発表などの実績を積めますし、新たな治療法や医療技術の開発に貢献できます。
医局に入らない専門医の場合は、研究の機会が少なくなり、医師としてのキャリア形成に影響を与える可能性もあるでしょう。

入局してはいけない医局の特徴

入局してはいけない医局の特徴は以下の3つです。

  • 若い医師が少ない
  • 退職者が多い
  • 異動の頻度が高い

1.若手医師が少ない

若手医師が少ない医局では、年齢が近い先輩医師が少なく、悩みや困りごとを気軽に相談できる相手が見つけづらい可能性があります。
医局の中で同年代の医師が少なく、孤立感を感じる可能性もあるでしょう。
これにより、また若手医師たちが医局から離れていくという悪循環が生まれてしまいます。

2.退職者が多い

退職者が多い医局は労働環境が悪く、働きにくい職場である可能性があります。
また退職者が多いが故、人手不足になりワークライフバランスが保てない職場になる可能性も高いため注意しましょう。

3.異動の頻度が高い

医局によっては、医師の希望とは関係なく頻繁に異動を命じられる場合があります。
関連病院が遠いと望まない土地に異動となる可能性もあるため注意が必要です。

基本的には2〜3年ごとの異動が一般的ですが、なかには1年ごとに異動がある医局もあり、生活基盤が安定しにくいという問題があります。

医局に入らない場合の注意点

医局に入らない場合の注意点は以下の2つです。

  • 自分から積極的に情報収集が必要
  • 専門医資格を取得するなら専門医プログラムのある病院を選ぶ

医局に入らない場合は、最新の治療法や医療技術情報を得られにくくなります。またアルバイトや就職先なども医局からの紹介がないと探すのが難しくなるでしょう。

情報収集の方法の1つとしては、医師向けの求人情報サイトや転職エージェントを利用したり、医師同士の交流イベントや学会に参加したりするのがおすすめです。

医局に入らず専門医資格を取得したい場合は、専門医プログラムのある病院を選びましょう。専門医プログラムのある病院は、各診療科の学会ホームページにて研修施設一覧から検索が可能です。

医局に入るか悩んだら

医局に入るか悩んでいる方は、自身のキャリアで大事なポイントを考えて、何を重視したいかを明確にしましょう。
キャリアで大事なポイントとして以下のようなものが挙げられます。

  • 勤務地
  • 専門医資格取得
  • 研究活動や海外留学
  • ワークライフバランス

医局に入れば人脈作りや経験を早く積めるなどのメリットもありますが、ワークライフバランスが取りにくいのも事実です。
自身のキャリアで大切にしたいものを基準に医局に入るか入らないかを決断しましょう。

医局に入るか悩んだ際には、医師専門の転職エージェント「メッドアイに相談するのもおすすめです。
豊富な経験と知識を持つスタッフが、自身のキャリア目標や希望に合った選択肢を見つけるお手伝いをします。

メッドアイでは、以下の無料サービスを提供しています。

  • 個別キャリア相談
  • 転職先の紹介
  • 履歴書・職務経歴書の添削



まとめ(医局に入らない選択肢はあり?)

本記事では医局に入局しない理由、入局しない場合のデメリットについて解説しました。
入局しないことは、必ずしもキャリアダウンを意味するわけではありません。
自由な働き方や充実したキャリアプランを実現できるチャンスでもあります。

医局に入るか入らないかは、自身のキャリアにおいて重視したいことを考慮しながら考えましょう。
今後のキャリアについて迷ってしまう場合は「メッドアイ」への無料相談がおすすめです。
ご自身の悩みをプロに相談して、医師としてのキャリアを充実させましょう。