大学病院の医局に勤務する医師は、転勤(人事異動)が避けられないと言われており、働き方やライフスタイルが大きく変わることもあります。

  • なぜ定期的に転勤があるのか?
  • 転勤は避けられないのか?
  • 転勤にメリット・デメリットはあるのか?

今回はこのような疑問を抱えている人に向けて、プロの転職エージェントが詳しく解説します。転勤を避けるための方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。


医局人事の基礎知識

医局の人事異動は、医局員は基本的に転勤の辞令を断れないのが現状です。
医局は、病院長を頂点にした、教授、准教授、講師、助教、助手、医局員、研修員からなるピラミッド型の組織です。
一般的に大学とその附属病院における臨床、研究、教育、人事を担う講座を示し、「大学医局」とも呼ばれます。

医局にはなぜ転勤があるのか

医局に転勤がある理由として、以下が考えられます。

  • 地域医療の維持、僻地医療の支え
  • 医局員の教育

それぞれ、詳しく解説します。

地域医療の維持、僻地医療の支え

医局員を安定的に派遣することで、医局が地域医療や僻地医療を支えていることが転勤の理由の一つと考えられます。
医局員が派遣される病院は医局の関連病院(ジッツ)で、大学病院の近郊都市部もあればかなりの遠隔地の場合もあります。
多くの医師は都市部の職場を希望するため、地方や僻地の医師は不足しがちです。そのため医局が人事権を行使して医師を派遣し、診療体制の維持を図り、地域医療を支えています。

医局員の教育

医局の人事異動には、医師の教育という側面もあります。
一つの病院に長年勤務していると、同じ同僚と似たような症例を診続けることにより、スキルに偏りが生じ、思考が硬直しがちです。

異動によってさまざまな医療機関で幅広い臨床経験を積ませ、新しい知識や技術を取り入れることはもとより、人脈の構築、対人スキルの向上など、医師としての視野を広めるために異動させることもあるようです。

転勤(人事異動)は断れない

異動は、主治医として治療にあたっていたとしても、基本的には断れないケースがほとんどです。
異動を断ると、他の医師や関連病院だけでなく、人員不足によって地域医療が揺らぐなど、患者さんにまで迷惑がかかる可能性がある他、異動を断ったことによって医局を解雇される可能性もあります。

どうしても断りたい場合、以下であれば断れる可能性があります。

  • 健康上の理由がある
  • 親の介護や妊娠、育児
  • 異動が正式に決定していない打診の段階

しかし、この辺りの線引きは教授や医局長といった人事権を持つ人の価値観が影響するため、よほどのことがない限り断れないものと思っていた方が良いでしょう。

人事異動が打診の段階であれば、上層部とうまくコミュニケーションを取れれば避けられる可能性もありますが、一時凌ぎに過ぎないことが多いでしょう。

医局人事のタイミングは

医局人事のタイミングは、ほとんどは4月と10月の異動が多いですが、稀にその他の時期に異動を言い渡される医師もいます。
次年度の人事が決まる時期は医局によってさまざまですが、約半年前〜3ヶ月前くらいまでには決定するようです。

医者の転勤・3つのメリット

ここでは、転勤のメリットを3つ紹介します。
転勤するメリットは、

  • キャリアパスの形成
  • 色々な病院で得られる経験
  • 新しい環境での生活

それぞれ、詳しく解説します。

キャリアパスの形成

医者の転勤には、自分が希望するキャリアパスを形成しやすいメリットがあります。

医局員は「専門医になりたい」や「大学病院で研究したい」といったキャリアの最終目的を伝えられ、医局は、その希望がかなうように転勤先を調整してくれます。

希望するキャリアとは関係ない病院に勤務することもありますが、長い目で見れば希望通りのキャリアパスを歩めるように医局が面倒を見てくれます

いろいろな病院で得られる経験

さまざまな病院や診療科で働くことにより、経験と実績を積めることもメリットと言えます。
転勤することで、同じ病院では経験できなかったことができたり、より多くの実績を得られ、成長できるでしょう。

新しい環境での生活

都市部から地方へ転勤した医師からは、広くて綺麗な部屋に格安で住めるようになったという声や、いろいろな土地に暮らすことによって雑談力がついたという声もあります。

他にも病院の近くに転居したことで緊急登院が楽になったという意見や、新しい土地で心機一転できたという意見もあり、これも転勤のメリットの一つと言えるでしょう。医師転職お役立ちnavi 公式 Instagram 医師キャリアに関する有益な情報を発信中!

医者の転勤・3つのデメリット

ここでは、転勤のデメリットを3つ紹介します。
デメリットは、

  • 収入の低下
  • 急な日程
  • 忙しい職場に配属

それぞれ詳しく解説します。

収入の低下

転勤すると、給与が下がる場合があります。
特に私立病院から公立病院へ転勤をした場合が顕著で、年収が50万円近く下がることもあり、結果的に生活水準を下げざるを得ない状況に陥る場合があります。

また、医師の転勤は一旦退職扱いになり、勤続年数もリセットされるため、退職金が溜まらない傾向にあります。転居費用の補助や家賃補助なども受けられない可能性もあるため、アルバイトする選択も必要です。

急な日程

転勤はやむを得ない限り、断ることはできません。
人事異動の決定は、約半年前〜3ヶ月前までが多いですが、ごく稀に1週間前に言い渡されることもあり、急な日程の場合があります。

医師のライフステージで大切なタイミングであっても、受験など家族の人生に関わるイベントがあっても、私的な理由で転勤を断ることは基本的にできません。

忙しい職場に配属

転勤になると、元にいた職場よりも忙しい病院へ配属されることが多い傾向にあります。
そもそも転勤の目的は、人手不足である病院への人材派遣です。
人手が足りない病院であるため、以前よりも忙しくなってしまうことは多々あり、慣れるまで辛い思いをする医師もいるようです。

医者の転勤・こんな苦労も…

医者の転勤では、以下のような苦労もあるようです。

  • 1年で異動することもある
  • 引越し費用が支給されるかは勤務先による

詳しく、解説します。

1年で異動することもある

一般的に転勤の頻度は数年に1回ですが、30代半ばくらいまでの新人医局員は1〜2年での人事異動が多く、場合によっては半年〜1年で異動する場合があります。

転勤は基本的には断れないものです。先の異動によってようやく慣れた職場であっても、すぐに転勤を命じられてしまえば、良好な人間関係を築けず、辛い思いをする医師もいます。

また、転勤についていく家族にも、生活の再構築を強いることになり、悩んでいる医師が多くいます。

引越し代が支給されるかは転勤先による

異動により転居しなければならない場合、異動先によっては引越し代が支給されない場合があります。

多くの場合、大学以外の病院への異動では、引越し費用が出ることが多く、大学病院への異動であれば出ない可能性が高いようです。
大学以外の病院では、人手不足であるため、医局人事は歓迎される傾向にあります。

転勤や異動が辛いなら転職を検討

ほとんどの場合、異動には理由があり、断ることはできません。
しかし、度重なる転勤で辛い思いをしている方もいるのではないでしょうか。
医局に所属しているとさまざまな恩恵がありますが、専門医になるまで、などというように目標を決めて所属し、転勤のない病院へ転職するのも一つの手です。


転職には、自分で求人を探す方法と転職エージェントを利用する方法があります。
「転勤なし」と書かれた求人でも実際は転勤があるケースも存在するため、医療専門職に特化した転職エージェントを利用することをおすすめします。

転職エージェントの「メッドアイ」なら、医師の転職に詳しいコンサルタントが先生の転職をしっかりサポートします。
転勤のない病院へ転職を考えている方は、ぜひ登録してみてください。


まとめ(医者の転勤について)

医局には1〜2年ごとに人事異動があり、転居を伴う転勤もあります。
医師を派遣することで地域医療を支えている他、医局員の教育を目的として、人事異動があります。

転勤にはキャリアパスの形成ができるなどのメリットもある一方、よほどのことがない限り基本的には断れません。
忙しい職場へ転勤することも多く、転勤が辛く感じてしまう医師も多いでしょう。
転勤が辛く、避けたい場合は、転勤のない病院へ転職するのも一つの方法です。

「転勤なし」と求人ページに記載されていても実は転勤があるケースも存在するため、転職先を探している方は、医師の転職に詳しい転職エージェントを利用するのがおすすめです。

転職エージェントの「メッドアイ」なら、退局時のアドバイスや求人情報の提示など、さまざまな角度から先生の転職をしっかりサポートします。
転勤のない病院へ転職を考えている方は、ぜひ登録してみてください。