精神科医へのキャリアを考えている医師や医学生は一定数いるでしょう。

  • 精神科医はきついって聞いたけど本当なのか?
  • 精神科医は具体的にどのような仕事をするのか?
  • 精神科へ転科したらどのように変わるのか?

上記のように思っている方に向けて、今回は精神科医の実情・仕事の詳細・転科のメリットをお伝えします。

結論から言うと、精神科医に限らずどの診療科も同じようなきつさを感じているといえます。
ただし、精神科医特有のきつさもあるため、今回の記事でご紹介します。

精神科医をキャリアの選択肢としてお考えの方は、ぜひ今回の記事を参考にしてお役立てください。


精神科医はきついのか?

「精神科医はきつい」と言われることがあります。
ここでは、実情ときついと言われる理由について解説します。

結論:精神科に限らず「どの科も同じ」が多数

医療機関における業務内容のきつさは、精神科医に限らないことが分かっています。
7万人以上の医師が登録している医師専用サイト「MedPeer(メドピア)」の調査では、以下の結果でした。

■質問内容:「何科が一番きついと思いますか?」
■対象者:会員登録している医者
■回答結果(ランキング上位3つ)

  1. どの科も同じ:23.4%
  2. 産婦人科:21.9%
  3. 外科医:14.5%

※医師専用サイトMedPeer調べ

なお、この調査で精神科医の順位は8位で、全体の1%というごく僅かな数値でした。

「どの科も同じ」というのが医師側の本音で、精神科医が病みやすい傾向が特段強いわけではないと分かるでしょう。

根拠が無いのに、精神科医はなぜきついと言われるのか

なぜ根拠がなく「精神科医がきつい」と言われるのでしょうか。

理由として、精神科医に限らない医師特有の悩みが挙げられます。

  • 長時間・イレギュラー続きの労働環境
  • 自分を責めたり責められたりする場面

それに加えて、精神科医では以下のような要素も挙げられます。

  • 患者の自殺
  • 医療行為が必ずしも報われるとは限らない

精神科医は「こころ」という目に見えない病気を扱う以上、治療の結果や貢献度合いが見えにくいと言えます。

以前、大阪で精神科クリニックが過去の患者により放火される事件がありました。

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精神科医の仕事とは?

ここでは、精神科医の仕事内容やなり方、ニーズをご紹介します。
きついと言われる精神科医ですが、社会的な需要を踏まえると非常に価値のある仕事です。

精神科医を目指している方、あるいは転職を考えている医師はぜひ参考にしてください。

精神科医の仕事内容

精神科医は、精神疾患・障害、神経症などを専門で診断・治療する医師を指します。

具体的には、以下の障害・疾患の診断診療を行います。

  • 統合失調症
  • うつ病
  • 双極性障害
  • 発達障害
  • 認知症
  • 不眠症
  • アルコール・薬物などの依存症

精神科医の診療は患者の話を聞くことから始まります。
来院した患者に対して、現状に対するヒアリングを実施します。
そこから、診断と必要な治療法を選定します。

仕事内容は医療機関の種類によって異なります。
勤務先としては以下があります。

  • 総合病院・ケアミックス病院・療養病院:リエゾン・他科コンサル・訪問診療・緩和ケア(メンタルヘルス)
  • 在宅クリニック:精神分野の施設往診や居宅往診
  • 企業:産業医として社員の健康チェック
  • 矯正施設:矯正医官として被収容者の治療

精神科医に関連する資格

精神科医にかかわる資格には以下があります。

資格概要取得条件
精神保健医厚生労働省によって定められた法的資格
→入院措置が可能になる
5年間の臨床医経験
3年間の精神科医経験
レポートや研修
精神科専門医日本精神神経学会によって認定された資格6年制の医学部を卒業
学士あるいは医学士の学位を取得
2年間の初期研修
3年以上の精神科後期研修

参考:厚生労働省「精神保健指定医」、三重大学「精神科専門医

これらは、精神科医になるために必須の資格ではありません。
医師は「自己研鑽」「治療の幅を増やしたい」というような目的で取得しています。

精神科医の高まるニーズ

昨今、精神科医のニーズが非常に高まっています。

前述しましたが、精神科医の勤務先は

  • 診療所
  • クリニック
  • 病院

のような他の診療科が専門の医師と共通する医療機関だけでなく、以下が含まれます。

  • 精神保健福祉センター(公的機関)
  • 企業の産業医

特に、企業は働き方改革の潮流があり、従業員のメンタルヘルスにおける需要が高まっていると言えるでしょう。

また、パワハラ防止法が2022年4月に中小企業にも義務化された背景(※1)もあります。

企業の対策としての産業医、とりわけ精神科医のニーズは今後一層の高まりを見せるでしょう。

さらに、精神科医のニーズを高める要素として認知症治療があります。
日本は超高齢化社会です。厚生労働省によると、4人に1人が認知症とその予備軍(※2)とも言われています。

認知症は精神科医が治療する症状に含まれています。
日本で高齢者が増え続けると同時に認知症患者も増えて、精神科医が必要になるでしょう。

参考:厚生労働省
(※1)「職場におけるパワーハラスメント対策が 事業主の義務になりました!
(※2)「認知症施策の総合的な推進について (参考資料)


精神科への転科でQOLアップの期待も?なぜ?

QOL(Quality of Life)とは直訳すると「生活の質」で、多角的な視点から幸福度を図る指標として近年注目されています。

きついと言われがちな精神科医ですが、精神科医への転科でQOLが上がるとも言われています。
理由を以下で解説します。

オンコールが少ない

QOLを上げる理由の一つとして、精神科医の仕事はオンコール、すなわち急患によるイレギュラー対応の頻度が他の診療科と比べて低いことがあります。

勤務時間の観点でも「他の診療科と比べて残業が少なくて楽」と言われています。
プライベートの充実や、家事・育児と両立したい方向きの仕事と言えるでしょう。

転職がしやすい

前述した精神保健指定医資格を取得すれば、転職がしやすくなります。

加えて、他の診療科の経験があれば、転職の際に重宝します。
前述した精神科医のニーズが高まっている背景もあり、より転職しやすいでしょう。

高齢になっても続けられる

精神科医は高齢になっても続けられることが、QOLを上げられる理由の一つです。

たとえば、整形外科のような体全身を扱う診療科は体力が要るため、高齢まで働くには不向きという現状があります。

一方、精神科医は「こころのケア」を主としています。
そのため、医師自身が健康であれば、30歳・40歳と働き盛りの時期から、50歳・60・70歳までと長きに渡ってやりがいを持ち続けながら働けるでしょう。


まとめ(精神科医はきつい?)

精神科医は特有の「きつさ」はあるものの、現場の意見では他の診療科と同じということが分かりました。

むしろオンコールが少ないことや、高齢になっても続けられることから、精神科医への転科や就職はメリットが多いと言えます。


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