「医師は高収入」とよく言われますが、実際はどうなのでしょうか?

「医者の内科医の平均月収は?」
「年齢や地域によって医者の月収は異なる?」
「医者が月収を上げるにはどんな方法がある?」

この記事では、転職エージェントの視点から医師の月収を詳しく紐解いていきます。

医師は職業別ランキングでも2位につけるほど高収入の職業です。
あくまで平均であり、診療科や勤め先の病院の形態によって変わってきます。
また、勤務医が月収を上げるためには開業という選択肢があります。
開業についても解説するので参考にしてください。

医師の平均月収ランキングは2位

収入が高い職業をランキング形式でまとめました。

順位職業名平均月収
第1位航空機操縦士(パイロット)約122万円
第2位医師約110万円
第3位大学教授(高専含む)約65万円
第4位法務従事者(裁判官・弁護士など)約64万円
第5位公認会計士・税理士約57万円

*参照:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」(端数は省略)

医師はパイロットに次いで第2位という結果でした。
年収ベースで見ても同様で、2位につけています。
トップ5の職業は、「資格取得のハードルが高い」「一人前になるための道のりが険しい」という2つの共通点があります。

診療科別の月収ランキング

医師の平均月収額は、職業別ランキング2位となる高水準です。
しかし、医師の月収は診療科によって開きがあります。
診療科ごとの月収ランキングは以下の通りです。

順位診療科平均月収
第1位脳神経外科約92.5万円
第2位産科・婦人科約91.6万円
第3位外科約85.8万円
第4位麻酔科約83.4万円
第5位整形外科約80.6万円
第6位呼吸器・消化器・循環器科約79.2万円
第7位内科約77.9万円
第8位精神科約76.8万円
第9位小児科約76.2万円
第10位救急科約75.9万円
第11位放射線科約68.9万円
第12位眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科約67.4万円

*独立行政法人労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」を参考に作成(月収は賞与が2ヶ月分と仮定し、平均年収÷16で算出。「その他診療科」を除く)

脳神経外科や産科、外科などが上位に入っています。
手術や手技など高い技術を求められる科や、時間外の対応が多い科は月収が高くなる傾向です。

経営母体別の月収ランキング

医師の月収を左右する要素として、勤め先の病院の規模や経営母体の違いも挙げられます。
経営形態でどのくらいの月収差があるかを調べてみました。

順位経営形態平均月収
第1位医療法人約90.1万円
第2位個人約88.3万円
第3位その他法人(株式会社等)約87.8万円
第4位公的機関約84.5万円
第5位公立病院約84.1万円
第6位社会保険関係団体約80万円
第7位国立病院約55.1万円
第8位学校法人約46.1万円

*独立行政法人労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」を参考に作成(月収は賞与が2ヶ月分と仮定し、平均年収÷16で算出)

医療法人がトップで、個人クリニックや製薬会社などの企業も上位であることがわかります。
一方、公立病院や国立病院など、公益性が高い組織ほど平均月収は低くなり、最下位は学校法人でした。
大学病院は研修医などが多く、学校法人の平均月収を押し下げる要因となっています。

開業医になれば平均で1.8倍収入アップ

勤務医は、開業することが月収アップの方法の1つです。
厚生労働省の「医療経済実態調査報告」によると、開業医の平均年収は2,748万円で、勤務医の平均年収は1,488万円でした。1.8倍もの開きがあります。

専門領域や開業する地域・規模などで変わってきますが、開業医になると収入は増加するのが一般的です。
集患をしっかり行い、経費節減しつつ利益を増やしていけば、収入は右肩上がりにアップしていくでしょう。
ただし、開業準備の段階で借入をしている場合は、返済計画もしっかり立てないといけません。
また、経営がうまくいかなければ収入ダウンのリスクがあります。

開業には多大な労力と費用がかかりますが、それでもキャリアの集大成として目指す医師は大勢います。
収入アップだけでなく、自分が理想とする医療を行いやすい環境が作れる魅力があるからです。

開業を視野に入れている人には、こちらの関連記事もおすすめします。


開業医になるための3つのポイント

キャリアプランのゴールに開業を上げる医師は少なくありません。
開業には、収入アップだけでなく、働きやすい環境づくりや理想とする医療を目指しやすくなるというメリットがあります。
医師が開業するためには、医師としてのスキルだけではなく、組織を運営していく力やビジネスセンスなども必要です。
ここからは、医師が開業するために大切なポイントをご紹介します。

①最初に始めるべきこと

開業を目指すなら、最初にすべきことは事業計画の策定です。
事業計画を作るためには、コンセプトとビジョンをしっかりと決めておく必要があります。

  • なぜ開業したいのか
  • どのようなクリニックを作りたいのか

コンセプトとビジョンを明確に持った上で計画を立て始めないと、事業計画書作りにも影響を及ぼします。

開業後に待ち受けるのは、10年以上クリニックを経営し続けるという長い道のりです。
計画から開業、その後の経営までの長期に渡る計画は、「月収をアップしたい」という憧れだけでは立てられません。
しっかりとしたコンセプトを持ち、綿密に計画を立て、目標に向かって着実に進んでいく地道さが求められます。

また、開業準備には必要な資金を借り入れるためにも事業計画書が必要です。
事業計画書は以下3つの要素から構成されます。

  • 経営基本計画
  • 資金計画
  • 収支計画

コンセプトをしっかり決めることで、リアリティのある「経営基本計画」を作ることが可能です。
しっかり作った経営基本計画をもとに、資金計画や収支計画も作成できるようになります。
ここでの見通しが甘いと、せっかく開業したクリニックが長続きしないことにもなりかねません。

②準備期間はできるだけ長く想定する

開業の準備は数ヶ月程度では難しく、年単位の期間が必要です。
事業計画が立てられても、その後の準備に必要な手続きは非常に多く、煩雑なものもたくさんあります。

開業までに必要な主なステップは以下の通りです。

  • 物件探し
  • 届出など諸手続き
  • 資金調達
  • 設備の購入やリース
  • 従業員の確保
  • 医師会加入(任意)

開業する立地選びは、集患を考えると非常に重要です。
しかし、希望した土地にちょうどいい物件があるとは限りません。
開業医向けの物件に特化した不動産業者も探して、相談してみるといいでしょう。

物件が決まれば、工事や設備搬入など、実際のクリニックづくりが始まります。
当然ですが、これらの準備には資金が必要です。
理想ばかりを追い求めると、費用も余計にかかってしまうので、計画全体を見通したバランス感覚が求められます。

さらに、各種届出やスタッフの雇用業務なども並行して行う必要があります。
これらの準備を、現在勤務している病院の業務を行いながら進めていくのは大変なことです。一人で全て準備するのは難しいと思う方も多いでしょう。

手間をかけずにすぐに月収アップしたい場合は、今より給与の良い病院への転職を考えるのもおすすめです。
医師の転職に特化した転職エージェントを利用すれば、収入に関する悩みとキャリアに関する悩みの両面からサポートしてもらえます。

③開業資金の準備を始める

開業するためにはお金が必要です。
では、開業にはどのくらいの資金が必要なのでしょうか。

診療科や開業する地域によっても変わってきますが、賃貸物件で開業する場合の目安として5,000万円〜8,000万円程度と言われています。
資金の大まかな内訳は以下の通りです。

項目費用の目安
テナント料・内装工事費など3,000万円程度
医療機器代2,500万円程度
当初の運転資金2,500万円程度

医療機器の費用については、リース契約であれば月払いとなるので、最初に全額準備をする必要はなくなります。
テナント料や内装・設備の工事費用などは、地域によって変わってきますのであくまでも目安としてください。

当初の運転資金には、広告費や開業医本人と家族の生活費なども含まれます。
開業初月から利益が出るとは限らないため、当面の生活費も開業資金として考えておく必要があるのです。

これらの金額を一括で全て準備するのは難しいため、大抵の場合は銀行から融資を受けることになります。
この時、自己資金としていくら準備できるかで融資額も決まってきます。

上の表の例では、医療機器代をリースにする場合は5,500万円、自己資金が1,000万円ある場合は4,500万円程度が必要です。
銀行での融資を受ける際は、先に説明した「事業計画書」が重要となってきます。

まとめ(医師の月収ランキング)

医師は職業別の月収ランキングで2位につける高収入の職業です。
しかし、診療科や勤務病院の規模などによって、必ずしも満足な収入が得られていないという方もいるでしょう。

月収を上げたいと思うなら、開業することで約1.8倍の収入アップが期待できます。
しかし開業はハードルも高く、単純に「収入を上げたい」という思いだけでは成し得ないのも事実です。

医師としてキャリアをスタートさせたのであれば、将来的にどのくらいの収入が得られるかはある程度予測が可能です。
結婚やマイホーム購入などのライフイベントも考慮しながら、医師としてどのようなキャリアを歩み、どれくらいの収入を得たいかをしっかり考えることが大切でしょう。
最終的に開業医として高収入を得るためには、初めから開業医を目指してキャリアプランを作っていくことが必要です。

医師にとってキャリアプランが重要な理由については、こちらの記事でも解説しています。

「思ったより収入が少なくて今困っている」という場合は、転職の方が解決策としておすすめです。
医師転職に特化したエージェントに相談することで、収入アップの道が見えてくるでしょう。