泌尿器科にはなんとなくマイナーなイメージがあるという声を時々聞くことがあります。
しかし、実際は対応範囲が広くオールマイティーなので、医師が目指す診療科としては人気があるのです。
「泌尿器科医の平均年収は?」
「泌尿器科医と他の科の年収の違いは?」
「泌尿器科医がの特徴や忙しさは?」
この記事では、泌尿器科の年収や働き方の特徴をプロの転職エージェントが詳しく解説します。
泌尿器科の医師の平均年収は、他の診療科と比べるとかなり低い水準となっています。
しかし、働き方を選ぶことで、高収入を目指すことや、ワークライフバランスを良好に保つことが可能になる診療科とも言えるのです。
泌尿器科の医師として収入を増やす方法についてもご紹介しますので参考にしてください。
泌尿器科勤務医の平均年収と年収分布
まずは泌尿器科に勤務する医師の年収についてご紹介します。
労働政策研究・研修機構の「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によれば、泌尿器科の医師の平均年収は1,078万円です。
なお、年収額別の割合をまとめると以下のようになっています。
*労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」(P30)を参考に作成
平均額を上回る医師が6割近くに上っていて、おおむね平均以上の収入は得られることがわかります。
また、年齢別で年収状況をまとめたデータもご紹介します。
*「腎・泌尿器科の年収事情」より引用
30代の時点で平均額を上回る医師が6割強となり、割と早い段階で平均を上回る収入が得られるという結果になりました。
また、40代以降は平均額を大きく上回った状態となり、年齢が上がるほど収入も上がっていくことがわかります。
泌尿器科医と他診療科との年収を比較
続いて、泌尿器科とそれ以外の診療科で、平均年収を比較してみます。
以下に診療科ごとの平均年収をランキング形式でまとめました。
順位 | 診療科 | 平均年収 |
---|---|---|
1位 | 脳神経外科 | 1,480.3万円 |
2位 | 産科・婦人科 | 1,466.3万円 |
3位 | 外科 | 1,374.2万円 |
4位 | 麻酔科 | 1,335.2万円 |
5位 | 整形外科 | 1,289.9万円 |
6位 | 呼吸器科・消化器科・循環器科 | 1,267.2万円 |
7位 | 内科 | 1,247.4万円 |
8位 | 精神科 | 1,230.2万円 |
9位 | 小児科 | 1,220.5万円 |
10位 | 救急科 | 1,215.3万円 |
11位 | その他 | 1,171.5万円 |
12位 | 放射線科 | 1,103.3万円 |
13位 | 眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科 | 1,078.7万円 |
*労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」(P30)を参考に作成
泌尿器科の平均年収は、他の診療科と比べるとかなり低い水準となっています。 あわせて読みたい
これには、泌尿器科の働き方が長時間労働にならない特徴が反映されているといえるでしょう。
泌尿器科の働き方の特徴については、次項で詳しく解説していきます。
泌尿器科医の働き方
泌尿器科の医師は、腎臓や膀胱、それに尿道といった泌尿器周りの疾患を受け持ちます。
従来から患者も医師も共に男性の多い環境でしたが、高齢化社会の進行により女性患者も増えています。
このため女性医師のニーズも高まっていて、徐々に増えてきています。
ここからは、泌尿器科の医師の働き方をご紹介します。
泌尿器科の働き方
泌尿器科の働き方には、外科と内科の両面からアプローチできるという魅力があります。
また担当する部位も広く、診断して内科的に薬物療法を行ったり、手術も担当するため、活動の幅が広いのが特徴です。
また手術の術式も豊富で移植手術や内視鏡、ロボット支援下手術や透析などさまざまな技術やスキルが身につく診療科です。
デリケートな部位を担当するため、患者さんとのコミュニケーションも密になり、より踏み込んだ治療が行える点も特徴で、患者さんに寄り添った治療を行いたい医師に人気があります。
開業医の場合は設備投資にどのくらいパワーをかけられるかにもよりますが、競合が少なめなことから成功しやすい分野とも言われているのです。
職場によってはワークライフバランスを確保
もう一つの泌尿器科の特徴として、透析やがんなどの腎疾患に携わるケースを除けば、命に関わる疾患が他の診療科と比べると比較的少ないという点が挙げられます。
慢性疾患や軽症尿路感染症といった、通院や日帰り治療が可能な症例をメインで取り扱う無床のクリニックなどで働く場合は、当直やオンコール対応といった長時間労働の要因がなくなります。
このため、ワークライフバランスを保った働き方をしたいという医師にも人気があるのです。
一方で、手術など外科的なスキルを磨きたいという医師にとっても、がんや緊急性がある症例などを受け持つ総合病院の泌尿器科や腎臓科に勤めることで、スキルアップのチャンスがあります。 あわせて読みたい
自分が目指したい働き方に合わせて職場を選ぶことができるという点も、泌尿器科の魅力と言えるでしょう。
泌尿器科医が年収を増やすための3つのポイント
泌尿器科の年収は、他の診療科に比べると低めであるということにはすでに触れました。
ここからは、泌尿器科の医師が年収を増やすためにできる選択肢として、以下の3つをご紹介します。
- アルバイトをする
- より高年収の病院に転職する
- 開業する
泌尿器科ならではの利点を活かして上手に収入を上げるための参考にしてください。
(1)アルバイトをする
前項でご紹介したとおり、泌尿器科には職場を選ぶことでワークライフバランスが保ちやすくなるという利点があります。
手術などを行う病院に勤務していても、予定手術方式をとっているところが多いため、時間外労働があまり発生しません。
このため、スケジュール管理がしやすいのが特徴です。
この利点を活かしてアルバイトをすることで収入アップが目指しやすく、空いた時間でアルバイトをしている医師は多くいます。
泌尿器科の場合、透析管理や外来のアルバイトが多くあります。 あわせて読みたい
よりスキルを高めたい分野を取り扱う病院でアルバイトをすることができれば、キャリア形成にも有利に働く方法です。
医師のアルバイトの相場は時給1万円とよく言われますが、泌尿器科の医師ができるアルバイトの中には、日当で15万円などの高額なものもあります。
(2)より高年収の病院へ転職する
泌尿器科の医師が高収入を目指すのであれば、転職をするという選択肢もあります。
慢性疾患を中心に取り扱う医療機関の場合は、給与もあまり高くない傾向が強まりますが、人工透析科で働いたり、美容系クリニックで働くことで収入を上げることが可能です。
透析治療を行っている病院では、泌尿器科医の需要が高まっていて、年収2,000万円を超えるような求人もあります。
ただし、透析治療を担当する場合、患者さんの治療サイクルに合わせる必要があるため、長期の休暇が取りにくいというデメリットがありますので注意が必要です。
また、ED治療やブライダルケアを行う美容系クリニックも自由診療項目が多く、給与の水準が高い傾向があり、高収入を目指したい医師におすすめです。 あわせて読みたい
将来開業を目指す医師であれば、クリニック系の医療機関に転職することで、開業するのに必要なクリニック運営についても学ぶことができるでしょう。
また、開業費用を抑えられる継承開業のご縁を作ることができる可能性も生まれることが稀にあるようです。
(3)開業する
開業医の平均年収は厚生労働省の「医療経済実態調査報告」をみると、2,748万円となっていて、勤務医とは水準が大きく異なります。
このため、開業も収入を上げるための選択肢の一つと言えます。
泌尿器科で開業する場合、人工透析を取り扱うかどうかで状況が大きく異なるのが特徴です。
透析を取り扱う場合、透析用装置や透析用のベッド設置のスペースが必要となります。
さらに、透析患者の通院ペースは週に3回程度と高頻度なため、患者さんが通いやすい立地を選ぶ必要があり、駅近などの賃料が高い場所が有利になります。
このため、物件取得の費用が嵩むと同時に、設備投資費用も他の診療科に比べ高額となるのです。
最低でも1億円以上の開業資金を準備しなくてはならないでしょう。
一方泌尿器科単体で開業する場合は、開業費用は比較的安く済むこともあります。 あわせて読みたい
泌尿器科の受診は患者さんにとっては、尿のトラブルなど「ちょっと恥ずかしい」と感じる分野です。
このため、通いやすさは重視しつつもあまり目立たない立地が好まれます。
このことから物件取得にかかる費用を抑えやすいという特徴があるのです。
しかし、その特徴があるがゆえに、開業後の集患に時間がかかるというケースもよく聞かれ、苦労している医師も少なくありません。
専門性が高い泌尿器科クリニックは競合が少ないので、当座の運転資金を多めに準備して備えることをおすすめします。
まとめ(泌尿器科の年収について)
泌尿器科の医師の年収は、勤務医の場合はかなり低めの傾向があります。
しかしすべての泌尿器科医師の年収が低いというわけではなく、働く場所を選んだり、得意分野のスキルを上げることで平均以上の年収を得ることもできるのです。
高齢化社会が進み、透析や尿関連のトラブルを抱える患者さんは年々増えています。
泌尿器科のニーズはこれからも高まっていくことが想像に難くありません。
また、外科的にも内科的にもアプローチする泌尿器科の治療方法は、スキルアップを目指す医師にとっても魅力がある分野であり、人気もあります。
診療科の別を問わず、医師は若手のうちは収入が低い状態が続きます。
収入を増やすためにアルバイトをする医師は多いですが、泌尿器科ならワークライフバランスが保ちやすいので、アルバイトもしやすいのです。
泌尿器科の医師が年収を上げようとするのであれば、アルバイトや転職といった方法があります。
中には美容系など高額のアルバイトもありますので、経験を積みながら収入アップを目指すことは難しくありません。
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