心臓血管外科では、長時間に及ぶ手術や緊急対応、術後管理など、勤務負担が大きくなりやすい業務があります。
「心臓血管外科医は激務って本当?」
「心臓血管外科医の業務について知りたい」
本記事では心臓血管外科医が激務と言われている理由について解説します。やりがいや業務内容についても紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
▼ 心臓血管外科医の激務度・勤務実態サマリー
| 評価項目 | 調査・データに基づく実態 | 主な要因・背景 |
|---|---|---|
| 勤務時間 | 週60時間以上:75.5% 週80時間以上:28.2% ※ | 高度な手技を要する手術や術後管理、緊急対応など幅広い業務負担が背景にあります。 |
| 長時間勤務と関連する勤務実態 | 当直:月5回以上オンコール:月20回以上 ※ | 急性大動脈解離など緊急性の高い疾患への対応があり、勤務先によっては夜間・休日の呼び出しが発生します。 |
| 年収水準 | 勤務先や経験・役職により変動 | 大学病院・市中病院・民間クリニックなど、施設形態や症例数によって年収体系は大きく異なります。 |
| 環境改善の傾向 | チーム制導入や施設による差 | 施設によっては複数チーム制や交代制が整備されており、病院ごとの環境差が広がっています。 |
※ 出典:日本心臓血管外科学会「心臓血管外科医の働き方改革」、日本外科学会「第121回日本外科学会定期学術集会」
心臓血管外科医が激務と言われる理由とリアルな実態
心臓血管外科では、長時間に及ぶ手術や緊急手術への対応、術後の全身管理など、さまざまな業務を担います。
実際、日本心臓血管外科学会が実施した調査では、週60時間以上勤務していた医師が75.5%、週80時間以上勤務していた医師が28.2%でした。
また、当直やオンコールの回数、術後のICU管理などが長時間勤務と関連する要因として報告されています。
ここでは、心臓血管外科医が激務と言われる主な理由を4つ紹介します。
1.長時間に及ぶ手術がある
心臓血管外科では、手術の種類や患者の状態によって、手術時間が長くなる場合があります。
たとえば、久留米大学医学部外科学講座の解説では、胸部大動脈瘤に対する胸部大動脈人工血管置換術について、通常6〜8時間、部位によっては10時間以上を要するとされています。
一方、胸部ステントグラフト内挿術は2〜3時間、腹部大動脈瘤に対する人工血管置換術は4〜6時間、腹部ステントグラフト内挿術は2〜3時間とされており、治療方法によって手術時間は大きく異なります。
そのため、「心臓血管外科の手術はすべて4〜8時間以上かかる」とは言えませんが、大動脈手術などでは長時間に及ぶ手術があることは、勤務負担を考えるうえで重要なポイントです。
また、手術後には集中治療室(ICU)などで全身状態を管理する場合もあります。胸部大動脈人工血管置換術について、久留米大学医学部外科学講座では、術後に人工呼吸器を使用しながらICUで管理するケースが紹介されています。
このように、心臓血管外科医は手術そのものだけでなく、術後の管理まで含めて患者を診療する必要があります。
2.緊急性の高い疾患への対応が必要になる
心臓血管外科では、予定されている手術だけでなく、急性大動脈解離など緊急性の高い疾患に対応する場合があります。
患者の状態によっては、夜間や休日であっても緊急手術や診療への対応が必要になることがあります。
日本心臓血管外科学会の調査を分析した研究では、当直が月5回以上、夜間・休日の呼び出しが月20回以上であることなどが、週80時間以上の長時間勤務と関連する要因として報告されています。
ただし、これらは2018年に実施された調査結果であり、現在のすべての医療機関に当てはまるわけではありません。医師の人数や救急診療の体制によって、当直・オンコールの回数には差があります。 あわせて読みたい
3.手術後もICU管理などの業務が続く
心臓血管外科医の仕事は、手術が終了すれば終わりというわけではありません。
患者の状態に応じて、術後の全身管理や病棟管理などを行う必要があります。特に重症患者の場合には、ICUでの継続的な管理が必要になることもあります。
日本心臓血管外科学会の調査を分析した研究では、心臓血管外科医による術後ICU管理、手術関連の承諾書作成、カテコラミン管理などが、長時間勤務と関連する要因として報告されています。
つまり、心臓血管外科医の勤務負担は手術時間だけで決まるものではありません。
術前の診察・説明、手術、術後管理、病棟業務、緊急対応など、複数の業務が重なることが、勤務時間の長さにつながる場合があります。 あわせて読みたい
4.長時間勤務が課題となってきた
心臓血管外科医の勤務負担については、過去の調査からも長時間勤務の実態が確認されています。
日本心臓血管外科学会が2018年に実施した会員向けアンケートでは、634人から回答があり、分析対象607人のうち、週60時間以上勤務していた医師は75.5%、週80時間以上勤務していた医師は28.2%でした。
また、当直やオンコールの回数、術後のICU管理などが長時間勤務と関連する要因として報告されています。
ただし、この調査は2018年に実施されたものであるため、現在の勤務実態をそのまま示すものではありません。
2024年4月から、診療に従事する勤務医にも時間外・休日労働の上限規制が適用されています。
そのため、「心臓血管外科医は現在も全員が月80〜100時間以上残業している」といった一律の判断はできません。
一方で、過去の調査から心臓血管外科では長時間勤務が大きな課題となってきたことは確認できます。 あわせて読みたい
心臓血管外科医が激務でも感じられるやりがい
心臓血管外科医は、勤務時間や緊急対応などの負担が大きくなりやすい一方で、医師として大きなやりがいを感じられる仕事でもあります。
心臓や大血管など生命に直結する疾患を治療し、患者の生命を救ったり、その後の生活を支えたりできることは、心臓血管外科医ならではの魅力です。
また、高度な手術技術や周術期管理の知識を身につけ、難しい症例に対応できるようになることも、専門医としてのやりがいにつながります。
一方で、やりがいの感じ方は医師によって異なります。
「難しい手術に挑戦したい」「高度な専門技術を身につけたい」という方がいる一方で、「患者と長く関わりたい」「ワークライフバランスを重視したい」という方もいます。
そのため、心臓血管外科医を目指す場合には、仕事内容だけでなく、自分がどのような医師として働きたいのかを考えることも重要です。
心臓血管外科医の役割と診療範囲

心臓血管外科では、心臓疾患や大動脈疾患、末梢血管疾患などを対象に、手術や血管内治療などを行います。
具体的な診療範囲や治療内容は、医療機関の診療体制や専門分野によって異なります。また、循環器内科や救急科など、他の診療科と連携しながら治療を進めるケースもあります。
心臓血管疾患では、循環器内科や救急診療などを経て、手術が必要と判断された場合に心臓血管外科へ紹介されることがあります。治療では、循環器内科など他の診療科と連携することも重要です。 あわせて読みたい
心臓血管外科医の平均年収はどれくらい?
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心臓血管外科医の年収は、勤務先や経験年数、役職、担当する業務などによって大きく異なります。現在の求人を見ると、年収1,200万〜2,000万円程度を提示する募集もあります。
年収は勤務先や経験、役職などによって大きく異なるため、転職を検討する際は、給与だけでなく当直やオンコール、勤務時間などの条件も確認することが重要です。
心臓血管外科では、長時間に及ぶ手術や緊急対応、術後管理など、勤務負担が大きくなりやすい業務があります。そのため、年収だけでなく、仕事内容や勤務環境を踏まえてキャリアを考えることが重要です。
心臓血管外科医に向いている性格
心臓血管外科では、手術や緊急対応などで高い集中力や判断力が求められる場面があります。そのため、自分の適性や働き方をあらかじめ考えておくことが大切です。
- 向上心がある人
- 集中力がある人
- 体力と精神力がタフな人
1.向上心がある人
心臓血管外科医を目指す上で向上心は欠かせません。 あわせて読みたい
心臓血管外科医として一人前になるには、指導医のもとで実際の診療や手術を経験しながら、必要な知識や技術を身につけていく必要があります。
新しい知識や技術を継続的に学ぶ姿勢が求められます。
意欲的に知識を吸収したいという姿勢が、心臓血管外科医には欠かせないでしょう。
医師としてのスキルの習得や成長に意欲的な方には、心臓血管外科医はおすすめです。
2.集中力がある人
心臓血管外科では、手術の種類や患者の状態によって長時間の手術になることがあります。当然ですが、長時間手術を行っていると、途中で集中力が途切れてしまいそうになります。しかし、手術では高い正確性が求められるため、長時間にわたって集中して取り組む力が重要です。 あわせて読みたい
細かな処置が多いのも心臓血管外科医の特徴です。器用さに自信がある方や、細かな作業が好きという方には心臓血管外科医は向いていると言えます。
3.体力と精神力がタフな人
体力と精神力のタフさは、心臓血管外科医において欠かせない要素です。 あわせて読みたい
また心臓血管外科医は高い専門性が必要とされます。心臓血管外科では、長時間に及ぶ手術や緊急対応、術後の全身管理など、勤務負担が大きくなりやすい業務があります。そのため、専門的な知識や技術を身につけるだけでなく、忙しい状況でも落ち着いて判断し、継続して学び続けられる姿勢が重要です。
精神面だけではなく、長時間の手術による体力面での負担も大きいです。
疲労が蓄積していたとしても、ミスをすることなく手術を行わなければいけません。体力面でもタフさが求められる仕事です。
心臓血管外科では、長時間に及ぶ手術や緊急対応、術後管理などがあるため、体力面・精神面の負担が生じることがあります。そのため、忙しい状況でも落ち着いて判断し、必要に応じて周囲と連携しながら業務に取り組めることが重要です。
激務に限界を感じた心臓血管外科医の「3つの解決策・転職先」
過酷な勤務で体力や精神面に限界を感じているものの、「これまでのスキルや医師免許を活かして働き方を改善したい」という場合、以下のような選択肢があります。
1.症例数の落ち着いた市中病院や療養病院へ転職する
大学病院や高度急性期病院から、救急対応や緊急手術の頻度が比較的少ない病院へ転職することで、勤務負担を軽減できる場合があります。
2.下肢静脈瘤クリニックや循環器内科へ転科・転身する
心臓血管外科で培った血管操作やカテーテル、超音波診断の技術は、下肢静脈瘤専門クリニックや循環器内科でも強く重宝されます。年収や勤務日数などの条件は、施設や経験によって異なりますが、下肢静脈瘤などを扱うクリニックでは、施設によって当直・オンコールのない勤務形態もあります。
3.非常勤・スポット勤務を組み合わせてQOLを最優先する
常勤を辞めて週3〜4日の非常勤勤務(定期非常勤+スポット当直)に切り替える働き方です。自分のペースで勤務日数を調整できるため、体力の回復や家族との時間、自己研鑽の時間を確保しやすくなります。
働き方に悩んだら医師専門の転職エージェント「メッドアイ」
心臓血管外科医に興味がある方、あるいは心臓血管外科医としての働き方に悩みがある方は、「メッドアイ」に相談してみてください。
メッドアイは医師専門の転職エージェントであり、無料での相談も受け付けています。
心臓血管外科医に関する相談はもちろん、医師としてのキャリアの相談も受け付けているため、転職を考えている方は利用する価値が十分にあると言えます。
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特に、現在の心臓血管外科医の仕事をやめたいと悩んでいる方は、相談だけでも利用してみることをおすすめします。
まとめ(心臓血管外科医が激務と言われる理由は?)
心臓血管外科では、長時間に及ぶ手術や緊急対応、術後管理など、勤務負担が大きくなる場合があります。一方で、生命に関わる疾患の治療に携わり、高度な専門知識や技術を身につけられることは、大きなやりがいの一つです。
そういったポイントにやりがいを感じるのであれば、心臓血管外科医は十分に目指す価値のある仕事です。
もし、心臓血管外科医に少しでも興味がある方は、メッドアイを利用して実際にどのような働き方があるのかを相談してみてください。
















