医者という職業は、大きな責任やプレッシャーを感じつつも、人を助けることができるやりがいも大きな仕事です。
しかし、日々の激務に忙殺されていると、順調にキャリア形成ができているのか心配になってしまう人もいるのではないでしょうか。
また、忙しさが勝ってしまい、やりがいを感じられなくなってしまうこともあるかもしれません。

「医者としてのやりがいを感じられなくなってきた気がする」
「医師としてやりがいのある診療科や職場に転職したい」

この記事では、改めて医者の仕事のやりがいや魅力をピックアップしてご紹介します。
また、どういう時にやりがいがないと感じやすいのかや、やりがいがないと感じてしまった時にできる対処法についても解説しますので参考にしてください。

医者の仕事のやりがいと魅力

医者が仕事で感じられるやりがいや魅力はたくさんあります。
しかしながら、どのポイントにやりがいを感じられるのかは人それぞれです。
ここでは、医者の仕事の魅力や、やりがいが感じられる代表的な要素を5つご紹介します。

1.人命を救い、人の役に立てる

言うまでもなく、医者の本分は人の病気や怪我を快癒に導くことです。
重症の患者であれば命を救うことにつながり、軽傷でも慢性的な疾患を持つ患者の治療で、その人の生活を向上させることができます。
病気や怪我だけでなく、スポーツドクターのような健康管理や体調維持でアスリートを支えるという働き方も選択可能です。
また、産婦人科で働く医者であれば、命の誕生を手助けすることになります。
医者の仕事は、相手の命や健康といったダイレクトな部分に役立つことから、大きなやりがいを見出しやすいのは言うまでもありません。

2.患者やご家族から感謝される

医者が患者の病気や怪我を治すことで、患者本人やその家族から感謝される機会がたくさんあります。
人から感謝されることが多いというのも、医者の仕事の魅力の1つではないでしょうか。
長い治療期間の付き合いから、人同士の絆が生まれるケースも聞かれます。
患者やその家族、一緒に働く医療スタッフとのコミュニケーションを深められることも、仕事を続けていく上でのモチベーションを支えるでしょう。
周囲の感謝の気持ちを常に感じていることで、次の患者へ向き合う意気込みにもつながり、やりがいもひとしおです。

3.達成感や成長を感じられる

無事に治療を終えた時や、難しい手術を成功させた時など、1つ1つの経験の積み重ねが実感できるのも医者の良さです。
どんな治療も貴重な経験となり、より幅広い知識や応用力を得ることにつながります。
日々忙しく働く中では気づかなくても、ふと振り返ってみると、以前よりも成長していると気づくことは、充実感ややりがいを感じられる瞬間です。
医者になる前からたくさんの勉強が必要ですし、なった後も日々研鑽が必要な職業です。
キャリアプランをしっかり描き、それに沿って成長できているかを時々確かめることは、長く続けるためのモチベーションにもつながるでしょう。

4.地域に貢献することができる

地方の病院に勤務していたり、地方で開業医をしている場合は特に実感できるのが、地域住民の健康維持に貢献できているという点です。
高齢化社会が進み、中には訪問診療を行っている人も少なくありません。
高齢者だけでなく、幼稚園や小学校など、地域の子どもの健康診断をサポートする開業医もたくさんいます。
働き方によっては、地域住民の暮らしに寄り添う活動ができるのも、医者の魅力の1つです。
住民の側も、頼れる医者が身近にいることで、安心して生活が送れるため、頼りになる存在として大事に思ってくれます。
双方が尊重し合う良い関係が築ける点も、やりがいを感じやすいポイントと言えるでしょう。

5.高い収入や地位を得られる

人によっては、名声や高い地位、高収入を目指して頑張ると言う方もいるでしょう。
医者であれば、もちろん多大な努力は必要ですが、こうした目標も達成しやすいというメリットがあります。
出世して自分が理想とする医療を提供できる環境を得たり、収入を上げて生活水準をより高みに引き上げたりといった希望を叶えること、また、その目標に一歩ずつ近づいていく実感を得ることは、大きなやりがいにつながるでしょう。
また、地道に経験を積み上げて、医師としてのキャリアを磨いていくことで、他業種と比較すると年収が高めになることも、医者の魅力的なポイントです。

医者が「やりがいがない」と感じてしまう時

医者の仕事は、大変だけどやりがいがあるというのが一般的なイメージです。
しかし、環境に恵まれていなかったり、伸び悩みを感じたりすると、やりがいがないと思ってしまうこともあるでしょう。
ここからは、どんな時にやりがいがないと思ってしまうのかについて、3つの視点から解説します。

1.労働環境が過酷である

「大変だけどやりがいがある仕事」のイメージ通り、医者の仕事はハードになりがちです。
その要因としては、当直やオンコール待機などで長時間労働となってしまい、プライベートの時間が確保できないことがあげられます。
厚生労働省の調査によれば、2022年の常勤勤務医の週あたり労働時間は以下の通りです。

週あたり労働時間割合
40時間未満22.5%
40〜50時間未満32.7%
50〜60時間未満23.7%
60〜70時間未満12.1%
70〜80時間未満5.4%
80〜90時間未満2.3%
90〜100時間未満0.9%
100時間以上0.5%

(参照:厚生労働省「医師の勤務実態について」

医師の働き方改革が進んでいますが、基本の上限ラインとなる年間の時間外労働時間は960時間です。
これに当てはまるのは週あたり労働時間が60時間未満までの場合と試算されています。
しかし上の表では、その試算基準をオーバーする医師がまだ20%以上いる状態です。
忙しいと感じている人はまだまだ多く、過酷な環境で働くことで蓄積されるストレスや疲れから、やりがいを見失ってしまう恐れがあります。

2.収入が割に合わない

若手の医者や研修医・専攻医などの場合は、労働環境の過酷さに加えて、収入の低さもモチベーション低下の要因になりかねません。
一般的に医者は高収入のイメージがあり、他業種も含めた平均年収という面から見ればその通りでもあります。
しかし、経験年数や所属する診療科、働き方の違いによって給料の水準は異なるのが実情です。
特に若手のうちは給与が低いことが多く、イメージ通りの「高収入」を叶えるのは、ある程度経験を積んだ中堅以降になることがほとんどでしょう。
頑張った分だけ報われるのがやりがいなら、収入が少ない医者がやりがいがないと感じてしまうのは仕方ないことかもしれません。

3.業務が単調になっている

長時間労働ではなかったとしても、患者数の多い病院に勤務していると、患者とじっくり向き合う時間が取りづらいケースも見られます。
流れ作業のように次々と診察することに単調さを感じ、仕事への情熱を感じにくくなってしまうことはあり得る話です。
また、診療以外の雑務が多い環境で働いている場合、本来の仕事以外の忙しさに対して、やりがいがないと思ってしまうことが考えられます。
さらに過重労働で忙しい職場であれば、仕事へのモチベーションが保てなくなるだけでなく、体調を崩すリスクも出てきてしまうでしょう。

仕事に対する満足度の高い診療科は?

仕事に対してやりがいを感じられるかどうかは、環境や労働条件に左右されるのではないでしょうか。
また、診療科によってやりがいを感じるポイントや、大変なポイントが違ってくることもあるでしょう。
しかし、概ね勤務先への満足度が高ければ、やりがいを感じながら働いているスタッフが多いことが推察されます。
独立行政法人労働政策研究・研修機構の「勤務医の就労実態と意識に関する調査」では、診療科別に仕事の内容や質に関する満足度を調査した結果を見ることができます。
それによると、満足度が高い診療科は以下の通りです。

診療科満足度(満足している・まあ満足の合計)
麻酔科69.3%
産科・婦人科68.7%
放射線科62.3%
小児科61.0%
眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科60.8%

また、業務の内容や質に関する満足度についても調査があり、以下のような結果が出ています。

診察の時間割合満足度(満足している・まあ満足の合計)
50%未満53%
50~70%未満58.9%
70%以上61.6%
日直及び当直の時間割合満足度(満足している・まあ満足の合計)
0%62.6%
1~10%未満64.4%
10~20%未満54.6%
20%以上52.2%

(参照:独立行政法人労働瀬作研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」

この調査では、満足度が高くなる傾向について、診療に費やす時間割合が多いほど満足と回答する割合が高くなると分析しています。
その一方で、宿直が多い場合や研究業務が多い場合に不満と回答する割合が高まるという見解です。
この結果から、医者の本分である診療行為が十分な環境で行えてこそやりがいを感じながら働けることが現れています。

やりがいを感じられない時の対処法3選

ここからは、医者の仕事にやりがいがないと思ってしまった時におすすめの対処方法をご紹介します。

1.転職を検討する

今の仕事でやりがいを感じられないのはなぜなのかを考えて、職場環境に問題があると思ったら、転職を検討するのはいかがでしょうか。
どうしてモチベーションが上がらないのかを分析し、その解消のために必要な条件を明確にしましょう。
例えば収入が足りないのであれば、より待遇の良い職場を探し、長時間労働が辛すぎるのであれば残業や当直が少ない職場を探します。

環境を変えることで、新鮮な気持ちで仕事に向き合うことができれば、見失っていたやりがいややる気を取り戻せるチャンスです。
ポテンシャルを活かした働き方を叶えるために必要なポイントをしっかり分析し、それに沿った仕事を探すためには情報収集が大切です。
そのため転職の際には病院の情報に精通した医師専門転職エージェントに相談することをおすすめします。

2.アルバイトを掛け持ちする

今の職場を辞めにくく、すぐの転職が難しそうだと感じたら、本業に差し支えない範囲でアルバイトをするのも1つの選択肢です。
アルバイトで違う現場に行くことで収入を増やせるだけでなく、いつもと違う環境での仕事を体験できます。
その結果、理想の職場像を考えられたり、新たな視野を持つことができたりして、この先のキャリアをどのように進めたらやりがいを持って仕事にあたれるかも見えてくるかもしれません。

ただし現状が忙しすぎると言う方は無理にアルバイトを詰め込むと、かえって疲れを溜め込んでしまいます。
プライベートとのバランスを考えて動くことがおすすめです。
職場によっては就業規則で副業を禁じてるケースもありますので、最初に確認しておきましょう。

3.開業する

医者は開業することで、自分の理想の医療を提供しやすくなります。
勤務時間や休日も自由に設定できますし、診療方針も自分で決められます。
このため、キャリアプランのゴールとして開業を目標にする医者は少なくありません。
ただし開業には資金が必要になり、それなりの経験も求められます。
また医師としての経験だけでなく、経営センスも重要となってくるため簡単なことではないでしょう。
しかし、理想の環境を実現できれば生涯現役も夢ではなく、大きなやりがいを感じながら働き続けられるのが開業医の魅力です。

医師専門の転職エージェントならメッドアイ

今の職場でやりがいを感じられない場合や、最終的に開業を目指すためにキャリアを積みたいといった、仕事や職場に関する希望を叶えるには転職は効果的な選択肢です。
医者の世界では転職はあまり珍しくなく、キャリアプランに沿って必要に応じて転職をする人は珍しくありません。
しかし闇雲に求人情報をチェックして、目先の条件だけで決めてしまうと、いざ転職して「こんなはずでは」と思ってしまうことになります。

医者の転職は、転職先の情報をどの程度詳細に知るかが重要です。
転職を少しでも考え始めたら、まずは医師専門の転職エージェントに相談してみることをおすすめします。
メッドアイでは、非公開を含む豊富な求人情報を持ち、転職を希望した医者一人ひとりの悩みやキャリアプランに寄り添った提案が可能です。
無料相談が利用可能ですので、キャリアプランや今の悩みを相談するところから始めてはいかがでしょうか。

まとめ(医者のやりがいとは?)

どんな仕事でも、やりがいを感じられるかどうかは、モチベーションの維持に大きく関わってきます。
人の命や健康に直接関与する医者は、責任の大きさに見合うだけのやりがいや魅力もある職業です。
せっかく医者になっても、普段の仕事にやりがいが感じられないのはもったいないとも言えます。

もしもやりがいがないと思ってしまったら、なぜそう思ったのかを一度冷静に考えてみてください。
その原因がハードワークや年収など、労働環境の面にあるのであれば、転職して環境を変えることは有意な選択肢です。
医者が転職する場合、次の職場で必要な条件は何かを考え情報収集をする必要があります。
その内容が求人情報に出ていなければ、専門家で情報を豊富に持っている転職エージェントに相談してみることをおすすめします。

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無料相談が利用可能ですので、キャリアプランや今の悩みを相談するところから始めてはいかがでしょうか。