働き方を変えたいと考えている医師は、転科することでどのようなメリットがあるのか疑問に思っている人もいるのではないでしょうか。
「医師が転科するメリットは?」
「転科で失敗しない方法を知りたい」
「転科するベストなタイミングがわからない」
医師の転科には、自分にあった働き方を選べたり、収入アップを狙えたりするメリットがあります。
本記事では、医師が転科するメリットやデメリットを紹介します。
失敗しないための方法や転科を考える理由も解説するため、転科を検討している医師はぜひチェックしてください。
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医師が転科する3つのメリット
医師が転科により得られるメリットは、以下の3つです。
- 自分に合った働き方を選べる
- 収入アップを狙える
- 今よりもやりがいを見出せる
メリットを理解したうえで、転科を検討してみてください。
1.自分に合った働き方を選べる
転科により働き方を見直し、より自分に合った業務内容を選べるメリットがあります。
診療科によって求められるスキルや専門性が異なるため、転科を通じて自身の関心や志向に合った働き方ができるようになります。
例えば、手術の技術よりも予防医療に関心があり、クリニックでの外来診療で早期発見や予防に努めたい医師が、外科から内科系の診療科へ転科するなどの例が挙げられます。
2.収入アップを狙える
将来的な収入アップを考えている医師にも、転科は有効な方法です。高収入が期待できる診療科へ転科することで、収入増加を実現できます。
順位 | 診療科 | 年収 |
---|---|---|
1位 | 脳神経外科 | 1,480万円 |
2位 | 産科・婦人科 | 1,466万円 |
3位 | 外科 | 1,374万円 |
4位 | 麻酔科 | 1,335万円 |
5位 | 整形外科 | 1,289万円 |
6位 | 呼吸器・消化器・循環器科 | 1,267万円 |
参考:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」
一般的に、脳神経外科や産科・婦人科は、年収が高い傾向です。脳神経外科は、脳や脊髄、神経などに関する緊急性の高い疾患を扱うため、時間外労働が多くなり、収入が上がりやすいと言えます。
また、産科・婦人科も、妊婦さんの変化にすぐに対応するため、ほかの診療科よりもオンコールや当直が増えます。それに伴い、手当が多くなり、年収が高くなりやすいでしょう。
そのほかにも、自由診療のある美容分野も高収入が見込めます。 あわせて読みたい
3.今よりもやりがいを見出せる
現在、仕事にやりがいを見出せない医師は、転科すると満足できる診療科に出会える可能性があります。
医師が転科を決断する背景には、仕事に不満があったり、貢献できている感覚がなかったりなど、理想と現実のギャップがあるケースが多く、転科によって課題を解決できる可能性があります。
例えば、独立行政法人 労働政策研究・研修機構の「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によると、満足度の高い診療科は以下のようになりました。
診療科 | 満足度 |
---|---|
麻酔科 | 69.3% |
産科・婦人科 | 68.7% |
放射線科 | 62.3% |
小児科 | 61.0% |
眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科 | 60.8% |
参考:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」
調査によると、麻酔科は69.3%と満足度が最も高い傾向でした。手術現場での活躍が多く、忙しい傾向にあるものの、さまざまな診療科から信頼されるため、やりがいを感じる機会も多いでしょう。
さらに「産科・婦人科」「放射線科」「小児科」「眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科」なども満足度が60%を超えており、やりがいを見出しやすいと言えます。
ちなみに、満足度が高い診療科と年収が高い診療科は必ずしも一致しないため、自分の価値観に合わせて優先すべき要素を検討しましょう。
医師が転科するデメリット
新たな診療科や専門分野に転科する場合、積み上げてきたキャリアや実績を失うデメリットがあります。
これまで積み上げてきた経験やスキルが、新しい診療科では必ずしも活かされるとは限らないからです。同じ年齢や経験年数であっても、診療科で長く従事してきた医師と比較するとスタート地点でのスキルや実績の差が生じるケースがあります。
ただし、属性の近い診療科や、現職と同じ臓器を扱う診療科であれば、キャリアや実績を失うデメリットを減らせるでしょう。手技や病態の知識を活かしやすいため、転科後の適応がスムーズになります。
また、転科したからといって、すぐに第一線で活躍できるわけではありません。新しい診療科での診療技術や知識を身につけるためには、大学時代や研修医時代のように、基礎から学び直す姿勢が求められます。
しかし、医師としての基本的な知識や経験は培われているため、ゼロからのスタートではなく、壁を乗り越えながら学んでいくと、転科前の経験を活かせる場面も増えるでしょう。
「転科したい」と思ったことのある医師の割合
株式会社メディウェルの「医師1,683名の診療科アンケート結果」によると、転科を考える医師は4割程度いると報告されています。具体的な割合は下記のとおりです。
過去・現在を含め転科したいと思ったことはない | 59% |
---|---|
過去に転科したいと思ったことがある | 31% |
現在転科したいと思っている | 10% |
ちなみに、同アンケートで転科を考える医師が多かったのは以下の診療科でした。
- 放射線科
- 救急救命科
- 健診、人間ドック
- リハビリテーション科
このように、勤務医として仕事をするなかで、別の分野で働いてみたいという思いも出てくる人もいます。
次項では、転科を検討する理由を解説するため、自身の状況と照らし合わせて今後のキャリアを考えるためにもぜひ参考にしてください。 あわせて読みたい
医師が転科を考える3つの理由
医師が転科を決める理由は、以下のような点が挙げられます。
- 別の診療科に興味があるから
- 自分の時間を大事にしたいと思ったから
- 将来的に開業を考えているから
転科理由を理解すると、自分の価値観や優先順位を整理しやすくなります。以下の項で詳しく解説するので参考にしてみてください。
1.別の診療科に興味があるから
医師としてのキャリアを積むなかで、別の診療科への興味が芽生えることがあります。きっかけはさまざまで、以下のような理由が挙げられます。
別の診療科に興味が出た理由 | 内容 |
---|---|
診療の中で関心領域が変化 | もともとは一般内科を志していたが、患者のメンタルヘルスに関心を持つようになり、精神科への転科を考えた |
医療環境の変化 | 高齢化社会の進行にともない、在宅医療や終末期医療の重要性を感じ、より専門的な知識を得るために転科を決意 |
個人的な体験の影響 | 家族の闘病をきっかけに特定の診療科(がん治療、緩和ケアなど)への関心が強まり、キャリアの方向性を見直した |
また、新たな医療分野の発展も転科を考える理由の一つです。近年では、再生医療や訪問診療などの分野が注目されており、新しい医療に関わりたいという動機から転科を決意する医師もいます。 あわせて読みたい
2.自分の時間を大事にしたいと思ったから
医師が転科を希望する理由として、自分の時間を大事にしたいと考えるケースが挙げられます。 あわせて読みたい
医療の現場では、診療科によって勤務時間や勤務形態が大きく異なります。救急科などでは、夜勤や当直が多く、勤務時間が長く不規則になりがちです。
一方で、特定の診療科は労働時間が短く規則的な働き方が可能な場合があり、ワークライフバランスを重視する医師にとって魅力的な選択肢です。
そのため、眼科など、緊急オペが入りづらく、予定していたオペを行うことが多い診療科への転科を検討する医師もいます。仕事中心の生活から抜け出し、育児や家族との時間を優先できる環境を求めて、負担の少ない診療科への転科を決断するケースがあります。
また、自己研鑽や新たな挑戦のために時間を確保したいと考える医師もいるでしょう。研究活動などにも時間を割きたいと考えたとき、勤務時間が短い診療科へ転科するケースがあります。
3.将来的に開業を考えているから
開業を目指している点も医師が転科を考える理由です。株式会社エムステージグループが医師439人に行ったアンケート調査によると、約6割の医師が開業に関心があると報告されました。
開業を視野に入れている医師の中には、数年後の独立開業を成功させる準備として、副専門領域獲得のために転科を検討する人がいます。
例えば、整形外科クリニックの開業を目指す医師が、最初に整形外科医としての基本技術を習得した後、麻酔科へ転科するケースが挙げられます。これにより、手術や疼痛緩和に求められる麻酔の知識と技術を習得できます。
このように、幅広いスキルを身につけると、開業後に提供できる医療サービスの範囲を拡大でき、クリニックの診療価値を高められるでしょう。患者にとっても、一つの医療機関で多様かつ専門的治療を受けられるメリットがあります。
医師が転科する理由については、下記の記事でもまとめているため、気になる方はぜひ参考にしてみてください。 あわせて読みたい
医師の転科3つのやり方
医師の転科方法として以下の3つが挙げられます。
- 同じ院内で異動により転科する
- 別の病院へ転職して転科する
- 開業して転科する
3つの方法の中から自身にあったやり方を選んでください。
1.同じ院内で異動により転科する
1つ目の方法は、現在勤めている病院内で異動する方法です。やり方としては一番手間もなくスムーズだと言えます。
ただし、病院の規模や人員数によって望みが叶わない可能性もあるので、注意が必要です。
同じ院内で転科しやすい例としては、主に2つのパターンがあります。
- 転科しても専門臓器が変わらない
- 現状でも補助業務などを担当している診療科への異動
両者に共通しているのは、少しでも知識と経験がある点です。すでに業務に部分的に関わっているため、学習した際に知識が定着しやすいと言えます。
スムーズに転科するためには、知見のある診療科への転科も検討してみてください。 あわせて読みたい
2.別の病院へ転職して転科する
2つ目は、今の病院を退職し、転職で新たな診療科を目指す方法です。現在と異なる臓器を扱う場合や、現在の病院にない診療科を目指す場合におすすめです。
同じ病院内での異動では、現在の専門分野と大きく異なる診療科へ移ることが難しいケースがあります。
したがって、転職のほうが実現しやすい傾向があります。
例えば、外科から内科へ、あるいは産婦人科から小児科へといったように診療領域が大きく異なる場合、院内異動よりも、転職で環境を変えるほうがキャリアチェンジをスムーズに進められるでしょう。 あわせて読みたい
3.開業して転科する
3つ目の方法が「開業」です。
勤務医と異なり、開業医は自身の診療方針や診療内容を自由に設定できるため、転科を比較的スムーズに進められるでしょう。
開業時に転科する場合、以下のように現在の専門から離れていないことが望ましいでしょう。
元の科目 | 転科先の科目 |
---|---|
麻酔科 | 整形外科医 |
耳鼻咽喉科 | 内科 |
外科 | 皮膚科 |
ただし開業には、診療所の設立費用や医療機器の購入費、人件費など、莫大な資金と準備が必要です。したがって、開業資金の総額の2割程度を貯蓄しましょう。
開業資金は診療科目などによって大きく異なりますが、5,000万円〜8,000万円程度が一般的です。
そのため、1,000万円〜1,600万円の自己資金を用意することをおすすめします。一般的に金融機関からの融資を受ける際は自己資金が2割以上あることが望ましいからです。
さらに、診療科目を変更しての開業となると、新たな専門知識の習得など、追加の課題も発生します。開業したいと考えている分野の科へ転科し、臨床経験を積んだうえでの開業を検討しましょう。 あわせて読みたい
転科で失敗しないための3つの方法
本章では、転科で失敗しないための方法を、以下の3つにまとめて解説します。
- 転科の必要性を考える
- 転科先の医師の話を聞く
- 転科先で必要なスキルを把握する
後悔しない転科をするためにも、参考にしてください。
1.転科の必要性を考える
転科の明確なビジョンがない場合「転科が本当に必要なのか」「転職では解決しないのか」を考えるべきです。
例えば、在宅医療や終末期医療などに興味を持ち「この領域で自分の能力を発揮したい!」と考えるなら、専門分野を変更することで自己実現につながるでしょう。 あわせて読みたい
また、将来独立開業を視野に入れた転科なども、目標達成につながりやすいと言えます。
一方で、長時間労働や当直の多さから抜け出したい場合、新たな知識を習得する転科は最適な手段とは言えません。転職をして働く環境を変えるという選択肢があるからです。
理由と目的を明確にし、自分のキャリアをどのように築くのかを考えてから転科を決断しましょう。
2.転科先の医師の話を聞く
転科が必要だと判断したら、転科先の医師の話を聞くことをおすすめします。
興味のある診療科で勤めている医師や、すでに転科を経験した医師と交流すると、転科後の働き方やキャリアプランが明確になるでしょう。
転科後の環境や職場の雰囲気、日々の業務内容に関する具体的な情報も知れるため、転科に対する不安や疑問が解消され、行動に移しやすくなります。
転科の情報を聞く際は、成功体験だけでなく、直面した課題や失敗談についても聞いてみてください。 あわせて読みたい
3.転科先で必要なスキルを把握する
診療科ごとに求められるものは異なるため、事前に把握しておきましょう。 あわせて読みたい
例えば、外科へ転科する場合、手術と関連する処置のスキルを身につける必要があります。
特に近年、低侵襲手術(小さな切開で行う体への負担が少ない手術)の需要が高まっているため、手先の器用さに加え、腹腔鏡や胸腔鏡を用いた技術を習得し、自在に扱えることが求められます。
医師に人気の転科先
医師のキャリアチェンジで、人気が高い診療科を紹介します。
医師転職研究所の「医師1,683名のアンケート結果」によると、以下の診療科が特に人気です。
順位 | 診療科 | 主な理由 |
---|---|---|
1位 | 美容皮膚科 | ・当直や緊急対応が少ない ・皮膚を綺麗にすることに興味がある |
2位 | 在宅診療 | ・患者に寄り添える ・将来性がある |
3位 | 美容外科 | ・美容手術に興味がある |
4位 | 検診・人間ドッグ | ・予防医学に興味がある ・ワークライフバランス ・肉体的負担が少ない |
5位 | 緩和ケア | ・やりがいを感じる ・終末期医療に必要 |
参考:医師転職研究所「転科先として医師に人気の診療科ランキング」
美容分野は、当直や緊急対応が少なく、高収入のため人気があります。
在宅診療は「患者の生活環境を考慮した診療ができる」「ゆっくり向き合える」といった魅力が評価されています。 あわせて読みたい
このように、人気の診療科の特性を参考にしつつ、自身のキャリア目標や価値観に合った選択をしてください。
転科に適切な年齢やタイミング
医師が転科を考える年齢やタイミングは以下のとおりです。
年齢層 | 特徴 |
---|---|
30~35歳 | ・専門医資格取得に向けた多くの症例経験を積める時期 |
40~45歳 | ・開業適齢期 |
50~60歳 | ・体力的な負担が小さい科に転科する |
30~35歳は、医師としてのキャリアを歩み始め、ある程度の経験を積んでいくと「この診療科にこのまま留まるべきか?」などと悩むケースがあります。 あわせて読みたい
こうした疑問を抱いた場合、早めに行動しましょう。特に専門医取得を目指す場合、若いうちに、より多くの経験や症例数を積めるため、有利に働きます。
40~45歳は「開業適齢期」とも言われ、将来的に独立を考える医師が多くなります。開業予定時期から逆算し、十分な経験とスキルを積めるタイミングで転科しましょう。
50代〜60代の医師が生涯現役を貫くために、負担の少ない診療科へ転身するというタイミングもあります。
それぞれの年代での転科には、異なる目的とメリットがあります。自分のキャリアプランを見直し、最適なタイミングで決断してください。
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医師の転科には以下のようなメリットがあります。
- 自分に合った働き方を選べる
- 収入アップを狙える
- 今よりもやりがいを見出せる
一方で、一時的にキャリアや実績を失う恐れもあるため、メリットとデメリットを比較したうえで慎重に決断しましょう。
転科のやり方として、勤務先で行う方法や転職で叶える方法などがあります。自身の状況に合わせた方法で転科につなげてください。
ただし、一人で転科の準備をするのは簡単ではありません。業務の忙しさもあって「そもそも転科の準備を始められていない」という方もいるでしょう。
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