収入アップやスキルアップのために副業をしているという医師は少なくありません。
特に若いうちは本業の収入もそれほど高くないため、収入を底上げしておきたいと考える方が多いのではないでしょうか。
「医師の副業はどこまで認められているのか知りたい」
「医師におすすめの副業について知りたい」
「医師が副業をする際の注意点が知りたい」
医師を取り巻く働き方の傾向は、近年大きく変化しています。今後はより柔軟な働き方が一般化していくでしょう。
とはいえ、副業が本業に与える影響の程度や、社会的な信用の存在を意識しながら、自らの働き方に対する自覚を持つことが大切です。
この記事では副業やアルバイトに興味がある医師のために、医師の副業事情について解説します。
あわせて、おすすめの副業や、本業で収入を上げる方法についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
医師の副業は可能なのか?
今や社会全体で副業を解禁する流れは加速しています。
厚生労働省では働き方改革をきっかけに、副業や兼業を促進するガイドラインを公表し、企業側の理解促進や制度整備を進めています。
原則として、勤務先に副業を禁じる規定がなければ、医師も副業を行うことは可能です。
ただし初期臨床研修医や、公務員として公的施設で働く医師に関しては、この限りではありません。
医師の副業が注目される背景には、時間外労働の上限規制や業務の適正化といった働き方改革の影響があります。
2024年から施行された医師の働き方改革により、診療業務の見直しが進み、「空いた時間を有効活用したい」と考える医師が増えています。
副業を始めるには、制度の流れや勤務先のルールを正しく理解したうえで、自身のライフスタイルに合った形で設計することが重要です。
医師が副業をする際の3つの注意点
医師が副業を始めるにあたり、注意しておきたいポイントは以下の3点です。
- 副業が禁止されていないか確認する
- 本業に支障が出ないようにする
- 確定申告を忘れないようにする
これからアルバイトや副業を始める方は忘れずにチェックしておきましょう。それぞれを解説していきます。
1.副業が禁止されていないか確認する
臨床研修期間中の医師は注意が必要です。 医師法では、臨床研修中に医療行為を伴うアルバイトを行うことは認められていません。「現在履修している研修プログラム以外の臨床研修を行ってはならない」という規定があるためです。
一方、臨床研修を修了した医師には就業の自由が保障されており、基本的に副業に対して法律での制限はありません。
ただし、勤務先の就業規則によって副業が禁止されている場合もあります。
特に公務員医師は副業に厳しい制限があるため、事前に就業規則をしっかり確認しましょう。 あわせて読みたい
公務員でない場合でも、副業を禁じている病院もあるため、必ず自分の勤務先のルールを確認することが重要です。
2.本業に支障が出ないようにする
副業を行うということは、その分、自由時間が減るということです。休日をアルバイトに充て十分な休息が取れないと、疲労が蓄積し、本業での集中力や判断力の低下につながります。
特に収入の少ない若手医師は、収入アップのため副業についつい力を注ぎ過ぎてしまい、本業を疎かにしてしまうケースもあります。医師の仕事は少しのミスが大きな問題につながる場合もあるためあくまで本業が第一であることを忘れずに、無理のない範囲で取り組める副業を持つことが大切です。 あわせて読みたい
3.確定申告を忘れないようにする
医師に限らず、副業によって得た収入が一定額を超える場合には、原則として確定申告が必要です。 あわせて読みたい
たとえば、医療コラムの執筆料や監修料、不動産投資などで得た所得が年間20万円を超えると、給与所得がある方は確定申告の義務が発生します。
また、他院でのアルバイトやスポット勤務などで複数の給与を受け取った場合、金額にかかわらず申告が必要です。申告を怠った場合は、無申告加算税や重加算税が課される可能性もあるため、正確な申告が重要です。
医師におすすめの副業8選
医師が取り組みやすい副業には、医師資格が必要な専門性を活かせるものから、まったく異なる分野のものまで多岐にわたります。
ここでは「収入の安定性」「専門性の活用」「ライフスタイルへの適合性」などを基準に、医師におすすめの副業を8つ厳選して紹介します。
1.非常勤の仕事やスポットアルバイト
医師の専門性を活かした副業として最も取り組みやすいのが、非常勤医師としてのアルバイトや日雇いのスポット勤務です。
人手不足の医療機関が多く求人も豊富なため、比較的スムーズに始められます。
自分の本業に支障をきたさない範囲で働ける点も大きな魅力で、年末年始や夏季休暇などのまとまった休みに合わせてスポット勤務を行う医師も少なくありません。
働く曜日や時間帯、業務内容も柔軟に選べるため、自分のライフスタイルに合った働き方が可能です。 あわせて読みたい
副業先を効率よく見つけるには、医師専門の求人サイトや転職エージェントを活用するのがおすすめです。
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2.オンライン診療や健康相談
近年需要が伸びてきたオンライン診療や、オンラインで受けられる健康相談の仕事も、医師におすすめの副業です。
在宅で働けるため、地方で勤務している医師が、東京のクリニックのオンライン診療の仕事をすることもでき、自由度が高いのが特徴です。
パソコンやカメラ、ネット環境が整っていれば、元手をほとんどかけずに始めることができ、勤務時間を好きに決められるところもたくさんあります。
デメリットとしては給料がやや低めなことがほとんどであることと、人気が高いゆえに競争率も高く、不採用になるケースもよく聞かれる点です。 あわせて読みたい
オンラインでの仕事を探すには、良い求人が出るのをいち早くキャッチして応募するのが鍵となるでしょう。
3.医療系のセミナー講師
副業の内容を臨床にこだわらずに探す場合でも、医師免許を活かした働き方が可能です。
医療や健康に関するセミナーに登壇したり、レクチャーを担当するお仕事なども人気があります。
製薬会社や医療サービスを提供する民間企業などが主催するものであれば、求人情報として出回っているため、比較的見つけやすいでしょう。
講師業で実績を積めば、人脈も広がり新たな仕事や書籍出版といった、仕事の幅を広げるオファーも見込めるかもしれません。 あわせて読みたい
自身の知名度を上げることもできるため、将来的には自分でセミナーを企画して、大きく収益を上げることも不可能ではないでしょう。
また、セミナー講師の仕事は、臨床医師だけでなく、研究職の方にも人気があります。
4.医療・健康系の記事の作成や監修
執筆系のお仕事も、時間の自由がききやすくおすすめの副業です。
今やネット上では、健康や医療に関する記事の作成は、専門家である医師の執筆や監修が欠かせないものとなっています。
自分で執筆したり、ライターさんが作成した記事を監修したりするのがメインですが、中には、ライターさんが執筆するための骨子を作るといった仕事もあります。
病院のスポット勤務といった臨床現場での副業と比べると収入は低いですが、こちらも時間の自由度が高いのが特徴です。
また、自宅や勤務先での休憩中など、場所を選ばずスキマ時間で働くこともでき、忙しい人にも取り組みやすい点からも、人気があります。
また、英語など語学スキルのある医師であれば、翻訳業務も副業として検討できます。医学論文や医療機器のマニュアル、医薬品情報など、専門知識を活かせる翻訳案件が人気でしょう。 あわせて読みたい
5.不動産や株式投資などの資産運用
副業したいが時間がないという場合や、目先の給料アップより長期的に資産を蓄えたい場合は、今ある資産を運用して増やす方法も効果的です。
不動産を購入し、賃貸することで資金回収する不動産投資は、医師に向いている資産運用方法と言えるでしょう。
また、株式投資や保険などの金融投資も人気があります。これらの方法は節税にも一役買ってくれるので、所得税が高い医師に人気があります。
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6. ヘルスケア関連のYouTube・動画配信
医師としての知識や経験を、動画を通じてわかりやすく発信する副業です。例えば「専門分野の疾患解説」「健康管理のポイント」「医師の働き方」など、テーマ次第で一般向けにも医療従事者向けにも展開が可能です。
YouTubeやTikTokなどの動画プラットフォームを活用すれば、視聴者との距離も近く、信頼関係の構築にもつながります。
初期は再生数や収益が伸びにくいものの、継続することで広告収入や企業案件、講演依頼につながるケースもあるでしょう。顔出しせず、スライドやナレーション中心での配信も可能です。
7. 医療アプリ・サービスの監修
ヘルスケア分野のスタートアップやIT企業が開発するアプリ・サービスに対して、医師として監修を行う副業です。たとえば、生活習慣病の管理アプリ、妊産婦向けアプリ、セルフチェックサービスなどが該当します。
企業からの依頼により、医学的に正確な内容であるかをチェックしたり、専門的なアドバイスを提供したりする役割を担います。新たなサービス開発に関わることで、医療の未来づくりに貢献できるやりがいも感じられます。オンライン完結の案件も多く、場所や時間を選ばずに取り組めます。
従来の医業とは異なる形で専門性を社会に還元する新たなアプローチです。テクノロジーとの融合により、医師としての活躍の場はますます広がりを見せています。
8. 医師向けオンライン講座の作成
ご自身の専門分野や経験をもとに、医師や医療従事者向けのオンライン講座を制作・販売する副業です。内容は、臨床技術の解説、専門医試験の対策、開業やキャリア設計に関するノウハウなど多岐にわたります。
「Udemy」や「YouTubeメンバーシップ」「note」などのオンラインプラットフォームを活用すれば、動画やスライド、テキストを自由に組み合わせて発信できます。一度作成すれば半永久的に収益を生み出せる“ストック型”の副業としても注目されています。
副業以外で収入アップを狙う2つの方法
副業をしたいと考える理由は、やはり収入アップではないでしょうか。今勤めている病院の給料が希望より少ないと感じている医師も少なくありません。
では収入アップを目指す方法は副業だけなのでしょうか? 副業以外で収入アップを目指すには、以下の方法もあります。
- 転職する
- 開業する
1.好条件の職場へ転職する
今の職場で希望の年収を得るのが難しいと感じるなら、より良い条件を求めて転職することで年収アップを狙えます。
大学病院に勤務している場合、民間病院に転職することで大抵は給料アップが可能です。
民間病院は医師の経験や前職の収入などをもとに給与を決めるケースが多く、柔軟な条件交渉がしやすいためです。
また、医師不足の地域では、高待遇で医師を募集している医療機関もあり、在宅医療や地域包括ケアなど、診療報酬が優遇される分野においては相場以上の収入を得られる可能性もあります。
ただし、給与が高い求人には何か理由があるのではないかと不安に思う医師も多いでしょう。 あわせて読みたい
こうした点を含め、キャリア全体の方向性や希望条件を整理するには、医師専門の転職エージェントへの相談がおすすめです。
転職エージェントでは、高給与の背景についても丁寧に説明してもらえるため、納得感のある転職活動を進めることができます。
2.開業をする
開業は、医師が年収アップを実現する代表的な方法のひとつです。軌道に乗れば、勤務医以上の収入が見込めます。
厚生労働省の「医療経済実態調査報告」によると、開業医の平均年収は2,748万円で、勤務医の平均は1,488万円でした。両者には1.8倍ほどの違いがある状態です。
ただし開業には長い準備期間や多額の開業資金が必要で、思い立ったらすぐに開業できるという訳ではありません。
また医師としての技量に加え、経営者としての手腕も求められます。
患者数が伸び悩んだ場合には資金繰りに苦しむリスクもあり、慎重な判断が求められます。
キャリアプランのゴールを開業にする医師も多くいますが、収入だけではなく「どのような医療を提供していきたいのか」といったコンセプトも大切になってきます。
理想の診療体制を自分で構築できる自由度や、働き方を自分で決められるなどのメリットも多く、開業が魅力的なのは間違いありません。
副業を行う場合は、自分に合ったスタイルかどうかを見極めたうえで、どのような働き方を行っていくのかを計画的に決めることが重要です。
過去に副業で失敗した事例や成功事例についても参考になる情報が多く、先輩医師の回答した経験談から学ぶ姿勢が役立つ場面も少なくありません。
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副業探しなら医師専門の転職エージェントメッドアイ
スキルアップや収入アップを目指す副業を探したい、あるいはより良い職場へ転職したいと考えるなら、医師専門の転職エージェント「メッドアイ」の利用がおすすめです。
収入や条件だけでなく、「働きやすさ」や「将来のキャリア形成」など、多くの要素を考慮したい医師にとって、情報収集や交渉を自力で行うのは時間的にも負担が大きいものです。
メッドアイでは、無料相談を通じて医師一人ひとりの希望や不安に寄り添い、非公開求人を含む多くの選択肢から、希望に合った職場を提案します。
副業か転職か、どちらを選ぶべきか迷っている段階でも、まず相談することで、自分にとっての最適な道が見えてくるでしょう。
まとめ(医師が副業する際の注意点)
医師が副業で収入アップを目指す場合、重要なのは本業に支障をきたさないことです。
アルバイトやスポット勤務といった非常勤の仕事は、スケジュール調整のしやすさやスキルアップのしやすさから、特におすすめです。
将来的に開業を目指す場合は、開業医のもとで非常勤勤務を行うことで、実践的な経営ノウハウを学べることもあります。また、副業での実績が評価されることにより、希望条件での転職がしやすくなるといった相乗効果も期待できます。
一方、時間的に副業が難しいという方は、転職によって本業の年収を上げるという選択肢もあります。副業・転職のいずれにしても、信頼できる転職エージェントの活用が、後悔しない選択をするための大きな助けとなるでしょう。