医師といえば、勤務時間が長く当直やオンコール対応など激務で働いている方が多くいる職業です。医師に楽な仕事はないというのは前提ですが、その中でも比較的多忙ではないと言われている仕事や診療科は存在するのでしょうか。

医師にとって「楽な仕事」の定義は人によって異なります。
例えば、

  • 当直やオンコールが少ない
  • 緊急手術や急変対応が少ない
  • 勤務時間が安定している
  • ワークライフバランスを保ちやすい
  • 精神的、肉体的負担が比較的少ない

など、何を負担に感じるかによって「楽」の基準は変わります。そのため、単純に「この科なら楽」とは言い切れません。
本記事では、当直負担・働き方・診療科の特徴などを踏まえながら、比較的負担を抑えやすい仕事や働き方について解説します。

勤務医でも楽な仕事はある?

医師の働き方改革が進められる中、特に激務のイメージがあるのは勤務医ではないでしょうか。
これは勤務医が業務量を自分の都合で調整できないためであると考えられますが、診療科や雇用形態によってはそれほど多忙では無いと言える仕事もあります

ここでは勤務医における楽な仕事について見ていきましょう。

勤務医でも比較的多忙でない診療科

一般的に「比較的負担が少なく、ワークライフバランスを保ちやすい」とされる診療科には、以下のような科が挙げられます。

これらは他科に比べて「緊急手術や長時間に及ぶ手術が少ない」「夜間の当直やオンコールの呼び出し頻度が低い」といった特徴があります。
実際に厚生労働省の令和4年調査データを見ても、極めて過酷な長時間労働が発生している医師の割合は、脳神経外科(9.9%)や外科(7.1%)などに比べて大幅に低いことが分かります。 

【診療科別:過重労働(年1,860時間超)が発生している医師の割合】

  • 放射線科:0.9%
  • 眼科:1.1%
  • 病理診断科:1.2%
  • 耳鼻咽喉科:1.6%
  • 皮膚科:1.8%
  • リハビリテーション科:2.2%
  • 麻酔科:2.3%

(※参考:脳神経外科 9.9%、外科 7.1%、救急科 5.1%)
出典:厚生労働省「医師の勤務実態調査(令和4年調査)」

ここでいう「時間外・休日労働時間が年1,860時間超」とは、週40時間の定時に加えて「毎週約38時間45分以上の残業」をしている状態です。 (=休日出勤を含めて【週78時間45分以上】働いており、過労死ラインと呼ばれる「月80時間残業」の実に2倍(月約155時間残業)に達する極めて過酷な水準です。)  

このように、病棟管理や突発的な緊急対応が少ない診療科は、公的データで見ても激務に陥るリスクが極めて低く、勤務時間が予測しやすい「心身の負担を抑えて働きやすい環境」と言えます。

勤務医でも楽で忙しくない3つの働き方

勤務医でも楽で忙しくないと言われている働き方があります。
下記で3つ紹介します。

①寝当直

アルバイトとして勤務する場合は比較的楽な仕事も多いでしょう。中でも当直でありながらゆったりと勤務できるのが「寝当直」です。
寝当直とは、その名のとおり「寝ることのできる当直」。つまり急変するような入院患者や救急患者の対応がほとんどない病院で当直を勤めることを指しています。

寝当直は急性期病院ではまずありませんが、療養型病院やリハビリテーション病院などでは募集しているケースがあります。
通常当直中はほとんど眠ることはできませんが、寝当直の場合は就寝中に起こされるケースはほとんどありません。
また当直中は眠ることはもちろん、自分の時間として使うことも可能です。
肉体的・精神的疲労およびストレスはほとんどないと言ってよいでしょう。


②健診や人間ドック

健診や人間ドックの医師の仕事は、勤務時間が短い上に高単価のため人気の高いアルバイトです。
夏季休暇などで医師の人手が手薄となる夏場は、特にアルバイトの需要が高まります。
半日以下の勤務で数万円の報酬が得られるため、楽に収入を増やしたいという方にぴったりの仕事です。

③スポットのアルバイト

開業医が休暇を取る場合、スポットのアルバイト医師を求めるケースもあります。
クリニックでの外来診療を1日任される場合は数万~10万円程度の報酬となりますが、高度な処置技術を持つ医師などはさらに高い報酬が期待できます。

平日の日中に勤務できるクリニックのスポットアルバイトは、特に小さな子どもがいるなど家庭を優先したい事情のある医師に人気です。
家庭生活に重きを置かざるを得ない方にとっては、精神的にも身体的にも楽な仕事であると言えるでしょう。

しかし多忙な状況では、条件に合ったスポット求人を簡単に見つけられません。
このような時は、医師専門転職エージェント「メッドアイ」に相談してみるのも一つの方法です。
一人で悩むよりも、一度気軽に相談してみてはいかがでしょうか。

医師の楽な働き方とセカンドキャリア考察

医師にとって楽な仕事を目指す理由には2つのパターンが考えられます。
一つは現状の仕事がつらく一刻も早く楽な仕事に転職したいケース、もう一つは今すぐというよりは将来的に楽な仕事に移行したい、つまりセカンドキャリアとして楽な仕事を考えたいといったケースです。

どちらのケースにしても今後の医師としてのキャリアプランの構築に関わることであるため、よく考えておきましょう

医師専門の転職エージェントであるメッドアイでは、QOL重視で一度臨床を離れた医師の方から、「数年後に復帰したくなったが手技に不安がある」というご相談をいただくことがあります。
もし将来的な復帰の可能性を残しておきたい場合は、週1日だけバイトで臨床の手技を維持しておくか、復帰支援制度のある病院を選ぶのがおすすめです。

キャリアプランが重要な理由については、こちらの記事で詳しくご紹介していますので参考にしてください。

「楽な仕事」を選ぶ前に知っておくべき3つのデメリット・注意点 

QOLや働きやすさを優先して「楽な仕事」や「負担の少ない働き方」を選ぶことには多くのメリットがある反面、あらかじめ理解しておくべきリスクや注意点も存在します。後悔のないキャリア選択をするために、以下の3つのポイントを押さえておきましょう。

1. 臨床スキルや専門医資格の維持が難しくなる

健診や寝当直メインの勤務、あるいは臨床以外の仕事(産業医や製薬企業など)に特化すると、最新の医療技術や手技に触れる機会が大幅に減少します。

一度臨床の最前線から離れると、将来的に「やっぱり病院勤務に戻りたい」と思った際の復帰ハードルが高くなる可能性があるため、専門医資格の更新要件も含めて長期的な視点で検討することが重要です。

2. 年収の「伸びしろ」が限定的になりやすい

当直主体のアルバイトやQOL重視の勤務スタイルは、時間あたりの単価が高く一時的には十分な収入を得られます。しかし、インセンティブや役職手当などがつきにくいため、将来的に大幅な年収アップを狙うのは難しくなる傾向があります。

「現在の年収を維持・優先するのか」「将来的な生涯年収の伸びを目指すのか」の軸を明確にしておく必要があります。

3. 「一時的な休息(避難)」か「本格的なキャリア転換」かを整理する

バーンアウト(燃え尽き症候群)気味で一時的に体力を回復させたいのか、それとも中長期的にQOL重視のライフスタイルへシフトしたいのかによって、選ぶべき働き方は大きく変わります。

一時的な休息が目的である場合は、数ヶ月〜1年程度の期限を定めて非常勤やスポットバイトを活用するなど、自身のキャリア計画に合わせた出口戦略を持っておくことが大切です。

【医師の転職】医師免許でできる仕事(臨床以外)3選

医療現場で治療をメインに働くだけが医師ではありません。病院で働く以外の医師としての働き方について見ていきましょう。

  • 産業医
  • 介護老人保健施設
  • 公衆衛生医師

産業医

産業医の主な仕事は医学的な知識を活かし、企業などに勤務する労働者の健康を守ることです。
50名以上の労働者を雇用する事業者は産業医を選任し、労働者の健康管理などに従事させなければいけません。

産業医は医師であることに加え、厚生労働省の定める要件を満たすものでなければならないとされています。

企業の規模が大きければ企業に専属的に勤務、つまり常勤となる「専属産業医」、中小規模であれば「嘱託産業医」となります。
嘱託産業医は月に数回企業へ訪問し業務を行いますが、専属産業医は常勤と言っても必ずしも週5日勤務しなければいけないということはなく、それ以下であるケースが多くなっています。

介護老人保健施設

介護老人保健施設(老健)では、常勤の医師が1名配置されていることが必須です。
老健は入所者の在宅復帰を目標とした施設で、リハビリテーションを中心としたサービスを提供しています。

その中で医師は主に入所者の健康管理および疾患の治療・処方を行う他、看護師やリハビリ専門職、介護職員への指示などを行います。

医療機関に勤務した場合と比べると収入は低めであるものの、精神的・肉体的な負担も少なく楽な仕事の一つとして希望する医師の多い職場です。

公衆衛生医師

保健所や自治体など地域保健の分野で働く医師が「公衆衛生医師」です。
都道府県や政令市などでは保健所の設置が法律により義務づけられている他、保健所長は原則医師でなければいけません。

公衆衛生医師は公務員として採用されるため、ワークライフバランスを保ちつつ働くことが可能である上に、経験に応じてキャリアアップも目指せることが魅力です。

【医師の転職】医師以外の仕事3選

医師として働くわけではありませんが、医師免許取得者としての知識を活かした仕事があります。

  • コンサルティング業界
  • 製薬企業
  • 保険会社

コンサルティング業界

医師免許を持つ方の需要が高まっているのがコンサルティング業界です。特に病院の経営など医療の分野に特化したコンサルティング会社では、その分野に関する専門性の高い知識を持つ医師のニーズが高い傾向にあります。

その他製薬業界や医療機器メーカーなどに強いコンサルティング会社でも、医学の知識が役立ちます。ただし勤務医ほどではないにしろ、コンサル会社での勤務も激務であると言われています。
楽な仕事とは言えないかもしれませんが、現状と比較し検討してみる価値はあるでしょう。

製薬企業

医師として製薬会社に勤務する「メディカルドクター」として、医薬品の安全性・有効性試験のデータ分析、新薬開発などに従事する方法もあります。

製薬会社の社員となり、もちろん当直や夜勤などもありません。
カレンダー通りの休日を希望するなど、ワークライフバランスを重視したい方などにはおすすめの職場です。

保険会社

医師の資格を活かしつつ保険会社に勤務するのが「社医」です。
社医は生命保険加入社もしくは加入希望者の健康状態の確認や妥当な保険料の査定、保険金の支払いに関することなど、医学の知識を活かし業務を遂行します。

一見楽な仕事のように見えますが、医師としての幅広い知識が必要である上、同様の仕事を受け持つ他職種のマネジメントを求められるケースもあります。

とはいえ、会社員としてワークライフバランスを良好に保てる職場であると考えれば、医師としては楽な仕事であると言えるでしょう。

医師の楽な仕事に関するよくある質問

Q 当直なしの勤務医は可能ですか?

診療科や病院によっては可能です。眼科・皮膚科・放射線科・麻酔科など、夜間や救急対応が少ない診療科では「当直なし」勤務の求人もあります。また、産業医や公衆衛生医など臨床以外の職種に転身することで、夜勤のない働き方を選ぶ医師も増えています。

Q 寝当直はどのくらい楽ですか?

寝当直とは、夜間の急変対応などがほとんどない「待機型当直」です。療養型病院やリハビリ病院で行われることが多く、比較的負担の少ない勤務形態です。報酬は1回あたり4〜6万円程度が目安ですが、対応内容や施設規模によって差があります。

Q 健診や人間ドックの医師アルバイトはどのくらい稼げますか?

半日勤務で2〜5万円前後、1日勤務で4〜8万円前後が一般的な相場です。勤務時間が短く、体力的負担が少ないため、非常勤勤務として人気があります。

Q 楽な仕事の求人を効率的に探す方法は?

医師専門の転職エージェントを活用するのが効率的です。「寝当直」「健診」「スポット外来」など条件を指定して求人を紹介してもらえるため、自分に合った働き方をスムーズに見つけやすくなります。

まとめ(医師の楽な仕事について)

医師が楽な仕事を求める場合、一般的に忙しくないと言われる眼科や耳鼻科、皮膚科などの診療科を選択する方法があります。
また楽なアルバイトとして人気の寝当直や健診、スポットなどに従事するのもおすすめです。

さらには思い切って臨床の場から離れるという選択肢もあるでしょう。
このようなケースでは産業医や老健の医師として働く、企業で医学の知識を活かして働くなどの選択肢があります。

ただし、医師にとって重要とされるキャリアプランを熟考した上で、楽な働き方を模索すべきであることを忘れてはいけません

いざ自分のキャリアプランに迷いが生じてしまったら、転職エージェントに相談するのも一つの方法です。
医師専門転職エージェント「メッドアイ」なら、先生のキャリアプランに合った職場探しを全力でサポートします。

執筆

メッドアイ編集部|医師専門の転職支援チーム

医師転職コンサルタント

医師専門の転職支援を行うメッドアイ編集部では、日々医師からのキャリア相談や転職支援の実績をもとに情報を発信しています。 本記事は、多数の医師のセカンドキャリアや働き方見直し(QOL向上・非常勤シフト等)を支援してきた専門コンサルタントが内容を精査・監修し、医療現場の最新の求人動向や実態に即した信頼性の高い内容でお届けしています。