「医者の手取りの現実は?」
「医者の給料は何が引かれて手取りの額になるのか?」
「高収入を狙うにはどうしたらいいか?」
このように医師の収入や実際の手取りが気になる方に、転職エージェントの視点から医師の収入の実情をご紹介します。
医師になるには長い修行に加え、多大な学費もかかります。
生活のためだけでなく、医者になるためにかかった費用を取り戻すために、高収入を目指したいと思うでしょう。
収入アップの方法も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
医師の年収と手取りについて
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、医師の平均年収は1,378.3万円です。
経験年数や診療科によって差は出てくるものの、数字だけを見れば十分高収入と言えるでしょう。
月収ベースでは以下の金額です。
経験年数 | 大学病院 | 民間病院 |
---|---|---|
研修医 | 25〜40万円位 | |
3〜4年目 | 10〜25万円位 (+バイト代0〜70万円位) | 40〜60万円位 |
10年目 | 20〜40万円位 (+バイト代30〜80万円位) | 70〜120万円位 |
20年目 | 35〜60万円位 (+バイト代30〜80万円位) | 80〜180万円位 |
開業医 | 120〜800万円位 |
しかし、手取り額で見ると変わってきます。 あわせて読みたい
たとえば月収が120万円なら手取りは90万円程度で、収入のうち60〜70%ほどになることが多いです。
医師の給与と手取りの差の原因
医師は一見高収入ですが、実際は額面の60〜70%程度が手取り収入のため、思ったほど多いと感じられない人もいるでしょう。
ここからは、給与から引かれるお金について詳しくみていきます。
勤務医の場合
勤務医は一般的な会社員と同じ構造で、給与からさまざまな費用が天引きされます。
主に控除されるのは以下の6項目です。
- 所得税
- 住民税
- 健康保険
- 厚生年金
- 介護保険
- 雇用保険
ほかにも、勤め先の病院との労使協定で定めがあれば、財形貯蓄や生命保険料などの控除があるケースもあります。
これらの控除項目のうち、医師の収入に対して負担割合が重くなるのが所得税です。
所得税の算出には「累進課税方式」が採用されているため、給与額が多いほど高い税率が適用されるためです。
【医師の平均年収が1,378万円の例】
(1,378万円-(195万円+165万円+48万円))×33%(税率)- 153.6万円(控除額)=166.5万円
が所得税額となります。(括弧内は給与所得控除・社会保険料例・基礎控除)
さらに、住民税や社会保険料などが引かれるので、手取り年収は945万円程度まで減る計算です。 あわせて読みたい
開業医の場合
開業医は高収入のイメージはあるものの、収入が安定しないというリスクがあります。
まず病院全体の収益から、主に以下の項目を経費として支払います。
- スタッフの人件費
- 医薬品費用
- 設備費や消耗品費
- 事業税
経費を支払った後に利益を確定し、自分自身の収入を決めるという順番です。
運転資金の確保や、開業資金などの借入れがある場合は返済にも充てなければなりません。
開業した病院を医療法人化をしない限りは、毎月の収益額が一定するとは言い切れません。
このため、開業医が最初から決まった収入額を得るのは難しいと言えるでしょう。
開業医の収益額は、開業のしかたによっても大きく変わってきます。 あわせて読みたい
経費は個人クリニックであれば少なく済むでしょうし、規模が大きくなれば当然増えてきます。診療科によって必要な設備も変わってくるでしょう。
開業する前に、患者数の予測から収益の目安を立て、必要な経費も試算します。その上で、利益や手取り収入をシミュレーションすることが大切です。
医師が高収入を狙う3つの方法
医師が高収入を狙うには、次の3つの方法があります。
- 転科する
- 開業する
- 転職する
より良い条件を目指すために大切なポイントを見ていきましょう。
①年収の高い科への転科
医師の年収は、診療科によっても変わってきます。
より高収入が得られる診療科に転科することで、収入を底上げする方法があります。
主な診療科別の平均年収は以下のとおりです。
診療科 | 平均年収 |
---|---|
脳神経外科 | 1,480万円 |
産科・婦人科 | 1,466万円 |
外科 | 1,374万円 |
麻酔科 | 1,335万円 |
整形外科 | 1,289万円 |
呼吸器・消化器・循環器科 | 1,267万円 |
内科 | 1,247万円 |
精神科 | 1,230万円 |
小児科 | 1,220万円 |
救急科 | 1,215万円 |
放射線科 | 1,103万円 |
眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科 | 1,078万円 |
*労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」より(端数切り捨て)
平均年収が高いのは、外科や脳外科、産婦人科などです。
これらの診療科の仕事は、手術や緊急対応なども多く、時間外労働が長い傾向があります。
ある程度、忙しさとのトレードオフになることは覚悟しておかなければなりません。
直接命に関わる場面に立ち会うことも多く、勤務上のストレスも大きくなります。
こうした高収入の診療科で働いていくには、強いメンタルも求められるでしょう。
また、転科するとなると、これまでのキャリアを一旦捨てることにもなります。 あわせて読みたい
今の専門と関連性の高い領域に転科すれば、苦労を軽減することは可能ですが、ハードルは高いと思っていた方がいいでしょう。
②開業する
開業は成功すれば大幅な収入アップにつながります。
厚生労働省の「医療経済実態調査報告」(2017年)によると、開業医の平均年収は2,748万円です。
勤務医の平均年収1,378万円と比較すると、2倍近くになります。
開業医には、医師としての能力だけでなくビジネスセンスも求められます。多大な費用と入念な準備も非常に重要です。
開業したクリニックの評判を維持するためには、医師としての実績やスキルなどアピールできるものが必要になってくるでしょう。
また、スタッフを雇って管理もしていくため、事務的な業務も多くなります。
それでも、開業して成功すれば収入の大幅アップのほか、労働時間の調整などのメリットも得られます。
こうしたことから、開業を目指すキャリアプランの医師は少なくありません。
開業までの手順やポイントは、以下の記事で詳しく解説しています。
あわせて読みたい
③より高待遇の病院に転職する
転職は、転科ほどハードルを上げずに収入をアップする方法の1つです。
医師が収入を増やすためには、節税や節約をすることも大切です。
しかし、収入自体を底上げするのが根本的な解決方法だと言えます。
今よりも待遇の良い病院を探して転職ができれば、高収入が目指せるでしょう。
大学病院に勤務している医師の場合は、民間病院に転職するだけでも収入アップが期待できます。
医師はキャリア形成の中で転職することが珍しくない職業です。
収入アップを理由にした転職も少なくありません。
今の給与に不満があって転職を考える場合は、転職エージェントを活用することをおすすめします。
医師の転職に特化した転職エージェントを利用することによって、転職市場の動向を元にした自分の市場価値が見えてくるでしょう。
転職エージェントは、同じような悩みを持つ医師に向き合ってきた実績が豊富です。
業界動向にも詳しく、転職サイトなどで非公開の求人情報もたくさんあります。
より多くの選択肢の中から転職先を探すことができ、収入面だけでなくキャリアプランの悩みにも寄り添ってもらえます。
まとめ(医師の手取り年収)
勤務医の平均年収は1,378万円ですが、手取り収入はその60〜70%程度になります。
医師は高給取りというイメージがありますが、所得税など差し引かれる額も多額です。
手取り額を増やすためには、節税や節約などの方法もあります。
しかし、根本的な収入アップがもっとも効果的と言えるでしょう。
収入アップのためには、以下3つの方法があります。
- 転科
- 開業
- 転職
転科は、今までのキャリアを一旦無かったことにして、新たに学び直す覚悟が必要です。
開業も、医師としての十分なスキルと共に、経営の資質も問われ、決して安易な方法ではありません。
根本的に収入の底上げを狙うのであれば、転職が良いでしょう。
医師は転職率が高い職業で、全体の4割程度は転職経験があると言われています。
転職は決して珍しい行動ではなく、「収入を増やしたい」というのも多い転職理由です。
医師の転職については、こちらの記事も参考にしてください。
あわせて読みたい
医師が収入アップを目指して転職するなら、転職エージェントを利用するのがおすすめです。
転職エージェントなら、豊富な求人情報から転職先を探すことができます。
匿名性があったり、無料で利用できたりなど、気軽に登録できる点もメリットです。
今の年収に不満があるなら、まずは気軽に相談してはいかがでしょうか。