医師として「退職したい」と考えたとき、多くの人が不安に思うのが『退職時のトラブル』です。
「引き留められて話が進まない」
「人間関係が悪化した」
「退職時期をずるずる延ばされる」
このような事例は決して珍しくありません。
スムーズに退職するためには、よくあるトラブルをあらかじめ知っておくこと、そして冷静に対処する準備が不可欠です。
この記事では、医師によくある退職トラブルの実例と、失敗しないために押さえておくべき5つのポイントをわかりやすく解説します。
円満退職を目指す方は、ぜひ参考にしてください。
| トラブルの種類 | よくある現場の状況(事例) | 最優先で取るべき回避策・対処法 |
|---|---|---|
| 強烈な引き留め | 「後任がいない」「恩をあだで返すのか」と情に訴えられる | 感謝を示しつつ、退職意思が揺るがない「確定事項」として伝える |
| 時期の引き延ばし | 「次の話し合いまで保留」「来期まで待って」と引き延ばされる | 3〜6ヶ月前に文書で期限を切り、「協議」ではなく「通知」の姿勢を保つ |
| 人間関係の悪化 | 伝えた途端に態度が急変、嫌がらせや雑務の押し付け | 感情的にならず「飛ぶ鳥跡を濁さず」で業務を引き継ぎ、必要なら人事・エージェントに相談 |
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医師によくある退職時のトラブルとは?
まずは、医師の退職時によくあるトラブルの事例をご紹介します。
どのようなトラブルが起こる可能性があるかを知っておくと、事前に対策を立てたり適切な行動を取ることができます。
【引き留めトラブル】強い引き留めにあう
よくある事例は強く引き留められることです。
引き留めの理由は、人手不足や優秀な人材であるからなどさまざまです。
人気がある職場は、新しい人材が比較的集まりやすい傾向があります。
しかし、多くの職場ではなかなか人材が集まらず人手不足となっているのが現状です。
また、ある程度長く医局で働いていると、上司や病院側は1人の医師に多くの時間やお金をかけています。
せっかく医局で一人前に育てたのだから、まだまだこれから活躍してほしいと考えているのです。
そのため、強く引き留められてしまうのはよくあることです。
【回答例】
●「後任も見つからないのに、勝手に辞められたら困るよ」と言われた場合
| ご迷惑をおかけして大変申し訳ありません。ですが、自分の今後のキャリアを考え、今回は退職させていただく決意を固めました。後任の先生がいつ来られても困らないよう、引き継ぎ書を作成して全力でサポートいたします。 |
と、情に流されず、「退職の決意」は固いことを明確に伝えた上で、業務の完了に焦点を移す。
●「今辞めたらキャリア(専門医や今後の推薦)に響くぞ」と脅された場合
| ご心配いただきありがとうございます。これまで指導していただいたお教えを胸に、次の環境でも真摯に取り組んでまいります。 |
と、お礼を言いつつ提案は受け取らない姿勢を貫く。 あわせて読みたい
【引き延ばしトラブル】退職を伝えたのに病院都合で引き延ばされる
退職を伝えたのにもかかわらず、病院側の都合で引き伸ばされることもあります。
退職の時期を伝えているのに「また別の日に話し合おう」「突然、言われても困るから日を改めて」など、保留にされてなかなか退職できないパターンもあります。
しかし、そこで気持ちが折れてしまうと退職はできません。
退職の意思が固いことをはっきりと伝えましょう。
ただし、言い方がきついとトラブルが発生するきっかけになります。
断る時は「お気持ちは嬉しいですが」「大変申し訳ございませんが」など角が立たない言い方をすることが大切です。
【回答例】
●「次の医師が見つかるまで、一旦この話は保留にして来期まで延ばしてくれないか?」と言われた場合
| ご迷惑をおかけして本当に申し訳ありません。 ただ、次の入職日も決まっており、退職日を延ばすことが難しい状況です。予定通りの日程で進められるよう、退職日までに引き継ぎを完了させますので、予定通りの日程で進めさせていただけますでしょうか。 |
と、退職日(スケジュール)は「確定事項」として動かさない姿勢を示す。 あわせて読みたい
【人間関係トラブル】退職を伝えたら人間関係が悪くなった
退職を伝えた途端に、人間関係が悪くなった事例があります。
たとえば、以下の通りです。
- 「早く辞めてしまえ」と追いつめられる
- 退職を伝えた後から仕事がなくなった
- いやがらせをされるようになった
最初は何とも思わなくても、だんだんと異変に気づきます。
このような人間関係を改善してほしいがために自身で注意してしまうと、新たなトラブルが発生してしまうこともあります。
【回答例】
●「ふ〜ん、辞めるんだ。で、次はどこの病院に行くわけ?今の職場に不満でもあったの?」 と言われた場合
| 今まで大変お世話になったにもかかわらず、急なご報告となり申し訳ありません。 次の勤務先については、まだ手続き等の調整中で最終確定しておらず、ご迷惑をおかけするといけませんので、正式に決まり次第改めてご報告させてください。これまでご指導いただいたことを活かし、最後までしっかり業務に努めます。 |
感謝の言葉をクッションにしつつ、転職先は「調整中」として退職日ギリギリ(または退職後)まで伏せるのが鉄則です。 あわせて読みたい
嫌がらせに対しては感情的にならず、淡々と業務と引き継ぎをこなす「大人の対応」を徹底します。 
医師が退職トラブルを回避する5つのポイント
退職時にトラブルが発生する可能性があるとお伝えしました。
ここからは、退職に失敗しないための5つのポイントを紹介します。
- 期間に余裕を持って退職を伝える
- 退職理由はポジティブなものを伝える
- 医療業界は狭いという事実を意識する
- 転職先を今の職場の関係者に言わない
- 引き留めに負けず真摯に対応する
円満に退職するために、しっかりと内容を確認しましょう。
①期間に余裕を持って退職を伝える
退職を決意したら、まずは「就業規則」や「現場のマナー」を確認した上で、余裕を持って意思を伝えることが重要です。
医師の退職においては、「法律」「就業規則」「医局の慣習」にそれぞれ時期のギャップがあるため、まずはこの仕組みを理解しておきましょう。
- 法律上のルール(民法627条): 期間の定めのない雇用契約(常勤など)であれば、法律上は「退職の2週間前」の申し出で解約(退職)が可能です。
- 病院の就業規則・現場のマナー: しかし、患者様の引き継ぎやシフト調整、後任の補充にかかる期間を考慮すると、就業規則に沿って「3〜6ヶ月前」に伝えるのが医療現場における実務上のマナーです。
- 医局の慣習・ローカルルール: 医局人事などの場合「半年前〜1年前」と言われることも多いですが、これはあくまで慣習や努力目標です。
円満退職を目指すのであれば、就業規則に沿って「3〜6ヶ月前」に退職意思を伝えるのが一番安全です。
前述したように強烈な引き留めにあい、何度も話し合いが必要になるケースも多いため、スケジュールには十分な余裕を持ちましょう。
【トラブル時のポイント】
万が一、「後任が決まるまで絶対に辞めさせない」「半年以上前に言われなかったから無効だ」などと不当に引き延ばされ、次の転職先の入職日に支障が出そうな場合は、民法上の権利(2週間前の通知)や就業規則を根拠に、毅然と退職を進める必要があります。
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②退職理由はポジティブなものを伝える
退職の意思を伝える時は、感情的にならずにポジティブな退職理由を伝えることが大切です。
ただし、『退職の本音は控える』がポイントです。
【よくある退職事例】
- 医局内の先生と気が合わず、一緒に働くことがストレス
- 院長と気が合わない
- 自分だけ大学が別で気まずい
- とにかく忙しすぎて体が心配
この中で、最も多いのは『不満が原因の退職』です。
さらに細かくみると、不満の元は『業務量・負荷』が最多で、次に『人間関係』です。
しかし、たとえ不満を持っていても、これまでの不満をすべて吐き出して辞めるのはおすすめしません。
不満を吐き出してスッキリしても、退職まで職場に居づらくなりますし、不満があったとしても、お世話になった上司・同僚・職場であることは変わらない事実です。
退職の意思を伝える時は冷静になり、誰もが「仕方ない」と思えるポジティブな理由を伝えましょう。
【ポジティブな退職事例】
- 別の診療科に興味が出て、そちらで働きたい
- 家族の介護のために退職したい
- 専門医を取るために取れる施設に転職したい
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③医療業界は狭いという事実を意識する
医療業界は狭い業界です。
転職先で現職場のコメディカルや医師と同僚になる可能性があり、どこでどのような形で転職前の情報が伝わるか分かりません。
そのため、退職予定の病院であっても、マイナス評価がつく勤務態度や行動はとらないように注意しましょう。
狭い医療業界は、転職後も転職前のマイナス評価が影響する可能性があるためです。
さらに、転職後に現職場でスポット勤務が発生した時、マイナス評価を受けていなければ声をかけてもらえる可能性があります。 あわせて読みたい
トラブルなく退職することは、今後も医師として働いていくためにはとても大切です。
④転職先を今の職場の関係者に言わない
退職する職場であっても、何でも話せる先輩や同僚もいるでしょう。
しかし、話しやすい仲であっても、転職が無事に成功するまでは新しい職場を教えないことが重要です。
なぜなら、退職の邪魔をされたり、新しい職場で悪い噂を流されたりする可能性があるためです。
転職先を伝えることは不利益につながっても、利益につながることはほとんどありません。
しつこく転職先を聞かれた場合は、「まだ最終確定しておらず、ご迷惑をおかけするといけませんので、正式に決まりましたらご報告いたします」と回答し、退職日ギリギリ(または退職後)まで伏せておくのが安全です。
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⑤引き留めに負けず真摯に対応する
どの業種でも、優秀な医師ほど強く引き留められます。引き留められるのは、職場で高い評価を得ていた証拠でもあります。
しかし、情に流されて決断を保留にしていては、いつまでも退職が決まりません。相手の引き留めに対しては、感謝を示しつつも「退職の意思が変わらないこと」を真摯かつ明確に伝え続けることが大切です。 あわせて読みたい
感情的に反論したり横柄な態度を取ったりするのはトラブルの元です。最後まで冷静に、大人としての誠実な対応を貫きましょう。
医師の退職が難航しやすい業界構造とは?
医師の退職がスムーズに進まない背景には、医療業界特有の構造的な問題があります。たとえば、地方や中小病院では慢性的な人手不足が常態化しており、一人の医師の退職が診療体制全体に影響を及ぼすケースもあります。
また、大学医局に属している場合は医局人事の関係で退職の自由度が制限されることもあります。ポジションの調整や後任の確保に時間がかかるため、退職までに長い調整期間が必要になることも少なくありません。
さらに、管理職クラスや長年在籍している医師の場合、「組織に貢献すべき」といった暗黙の圧力が働くケースもあります。 あわせて読みたい
こうした業界構造を踏まえておくと、退職時のトラブルが“個人の問題”だけでなく、構造的な要因で起こることも多いと理解でき、冷静に対応しやすくなります。
医師の転職が当たり前の時代だからこそ『退職スキル』が重要
厚生労働省の統計「令和6年 賃金構造基本統計調査」によると、医師の平均勤続年数は約7.5年で、これは全産業平均(約12.4年)よりも短いことが分かっています。
つまり、医師はもともと転職回数が比較的多くなる傾向がある職種です。
そのため、「トラブルなく退職したい」と考える医師は少なくありません。
特に医療業界は狭いため、退職時のトラブルが転職先や今後のキャリアに悪影響を及ぼすリスクも十分に考えられます。
このように、勤続年数が短くなりやすいからこそ、医師にとって『退職の仕方』はキャリアを左右する大切なスキルなのです。
退職に関する悩みはプロの転職エージェントへの相談がおすすめ
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退職を決めると、さまざまな悩みや不安が出てきます。
特に働きながら転職活動を行うことは、想像以上に労力がかかります。
また、1人で黙々と転職活動をしていると、不安になり相談相手が欲しくなる方もいるでしょう。
そこで、転職活動がスムーズになる方法が医師専門転職エージェントに相談することです。
医師専門転職エージェントの『メッドアイ』は無料で利用でき、同じような悩みを抱えている方のサポート実績が豊富です。
また、メッドアイは適性を判断し、転職条件に合った職場を紹介してくれます。
紹介できる転職先は医療機関やクリニックなどさまざまです。
ほかにもさまざまなサポート体制が整っているので、まずは気軽に登録して相談してみましょう。
まとめ(医師の退職時のトラブル事例)
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退職の意思を伝えても、スムーズに退職日を迎えられることばかりではありません。
退職するなら円満退職になるよう対策することが大切です。
退職や転職活動で迷ったら、まずは医師専門転職エージェント『メッドアイ』に無料で気軽に相談してみましょう。



















