医師の年収は高いイメージがありますが、実際には経験年数や勤務場所、診療科の違いなどさまざまな要因により開きがあります。
その中でも、年収が高い部類に入る診療科が、脳神経外科です。
平均で1,480万円の年収があり、他の診療科と比べても高い傾向があります。
「脳神経外科医の平均年収はどれくらいなのか知りたい」
「脳神経外科医として働いているが割に合わない気がしている」
「脳神経外科医への転科を考えており、働き方や収入について気になる」
この記事では、脳神経外科の詳しい年収事情や働き方、キャリアプランの描き方についてご紹介します。
脳外神経科医が転職する際にチェックすべきポイントも解説しますので、参考にしてください。
脳神経外科医の平均年収と年収分布
労働政策研究・研修機構の「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によると、脳外科医の平均年収は1,480万円です。
以下は、脳神経外科の年収割合を表した円グラフです。
画像引用:https://axxis.co.jp/magazine/54761
300万円未満は1%、300万円〜500万円は3.9%、500万円〜700万円は2.9%、700万円〜1,000万円は10.7%、1,000万円〜1,500万円は21.4%、1,500万円〜2,000万円は40.8%、2,000万円以上は19.4%です。
この円グラフから、8割以上の脳神経外科医が1,000万円を超える年収を得ていることがわかります。 あわせて読みたい
他の診療科との年収比較
脳外科医と他診療科の平均年収を比較してみましょう。 以下は、労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査(2012年実施)」を元に作成した表です。
順位 | 診療科 | 平均年収 |
---|---|---|
1 | 脳神経外科 | 1,480万円 |
2 | 産婦人科 | 1,466万円 |
3 | 外科 | 1,374万円 |
4 | 麻酔科 | 1,335万円 |
5 | 整形外科 | 1,289万円 |
6 | 呼吸器科・消化器科・循環器科 | 1,267万円 |
7 | 内科 | 1,247万円 |
8 | 精神科 | 1,230万円 |
9 | 小児科 | 1,220万円 |
10 | 救急科 | 1,215万円 |
11 | その他 | 1,171万円 |
12 | 放射線科 | 1,103万円 |
13 | 泌尿器科・耳鼻咽喉科・眼科・皮膚科 | 1,078万円 |
1位脳神経外科1,480万円、2位産婦人科1,466万円、3位外科1,374万円となっており、脳神経外科医の年収ランキングはトップです。
13位の泌尿器科、耳鼻咽喉科、眼科、皮膚科の1,078万円と比較すると、約400万円も収入が多いことがわかります。 あわせて読みたい
厚生労働省が毎年公表している「令和3年度賃金構造基本統計調査」によると、医師全体の平均年収は1,378.3万円です。
平均年収が1,480万円である脳外科医は、医師の中でも高収入であると言えるでしょう。
脳神経外科医の働き方と高収入である理由
脳神経外科で働く医師が診療科別に見ても高収入になりやすい背景には、緊急性が高い疾患を扱うことから、時間外労働が長くなり、その分収入が上がるという一面があります。
ここからは、脳神経外科医の仕事内容や働き方を簡単にご紹介します。
主な仕事内容
脳神経外科医が担当する領域は、その名の通り脳や神経、脊髄に関する疾患です。 あわせて読みたい
脳出血や脳梗塞といった血管系のトラブルや頭部外傷、脳や脊髄の腫瘍の治療をはじめとし、パーキンソン病やてんかんなどの神経系の疾患にも対応します。
治療方法としては、外科手術やカテーテル治療の他、放射線治療や投薬治療があり、さらにリハビリテーションが必要なケースも少なくありません。
手技以外にも幅広い知識や経験が求められ、脳や神経といった細密な患部を扱うことからも、高い技術が要求される仕事です。
働き方と高収入の理由
脳や脊髄の外科手術には後遺症もあるため、脳外科医は極めて繊細かつ難易度の高い治療技術が求められます。
くも膜下出血や脳卒中などの緊急手術もあるため、オンコールや時間外勤務が多いのも脳外科医の働き方の特徴です。
労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査(2012年実施)」によれば、脳神経外科医の1週間あたりの平均労働時間は「53.3時間」です。オンコールの回数も全診療科の中でもっとも多く、オンコールが月に4回以上ある割合は36.7%です。
手術の難易度が高いことや長時間労働でワークライフバランスが崩れやすいことから、昨今では、脳外科医を目指す若手医師が減少し、全国的に不足しています。
特に、都市部に医師が集中する医師偏在によって地方の医師不足は深刻で、医師確保のために年収2,000万円以上の高報酬を提示している医療機関もあります。
脳外科医の働き方や、医師不足による高報酬の提示などが、脳外科医の年収が高い傾向にある理由と言えるでしょう。 あわせて読みたい
脳神経外科医のキャリアプラン3選
ここでは、脳外科医のキャリアプランについて紹介します。
脳外科医の主なキャリアプランは以下の3つです。
- 自由時間を増やしたい場合は「非常勤」
- より高収入を狙う場合は「転職」
- チャレンジして自分が思い描くものを実現したい場合は「開業」
それぞれ、詳しく解説します。
1.自由時間を増やしたい場合は「非常勤」
脳外科医が常勤で勤務すると、オンコールや時間外勤務が多く、ワークライフバランスは乱れがちです。 あわせて読みたい
そのため、非常勤のアルバイトで勤務している脳外科医もいます。
勤務先によって異なりますが、医師のアルバイトは時給1万円の求人が多く、1日8時間、週1回の勤務だとすると月収は32万円、年収にすると384万円の収入が見込めます。
年収は低くなりますが、常勤と比べると時間外勤務などが少ないため、生活の質を向上させたいという場合は非常勤アルバイトという選択肢がおすすめです。
2.より高収入を狙う場合は「転職」
勤務医の年収は、経営母体によって大きく異なります。
以下は中央社会保険医療協議会「第23回医療経済実態調査の報告(令和3年度実施)」を元に、経営母体別の平均年収をまとめた表です。
順位 | 分類 | 医師の平均年収 |
---|---|---|
1 | その他 (公益法人、学校法人、医療生協、その他の法人) | 1,535万円 |
2 | 医療法人 (医療法人である民間病院など) | 1,506万円 |
3 | 公立 (都道府県立、市町村立などの病院) | 1,472万円 |
4 | 社会保険関係法人 (健康保険組合・連合会、共済組合・連合会など) | 1,427万円 |
5 | 公的 (日赤、済生会、北海道社会事業協会、厚生連など) | 1,384万円 |
6 | 国立 (国、国立病院機構、国立大学法人など) | 1,323万円 |
7 | 診療所 (入院診療収益のある診療所を含む) | 1,078万円 |
医療法人が経営する民間病院は、厚生労働省が公表している医師の平均年収1,378.3万円よりも高収入であることがわかります。 あわせて読みたい
大学病院勤務では、国立か私立かで約200万円の年収の差があります。
勤務医が高収入を狙うには、より高報酬の経営母体に転職するのがおすすめです。
転職する際には、より給与水準が高く、より労働環境や条件のよい転職をしたいと考える方は少なくないでしょう。
納得のいく転職を実現するには、医療専門職に特化した転職エージェントを利用することがおすすめです。
3.チャレンジして自分が思い描く将来を実現したい場合は「開業」
脳神経外科医のキャリアプランの1つに、開業があります。
しかし、CT、MRI、心電図などの必要な医療設備を揃えると、開業資金は2億円ほど必要となり、脳神経外科専門クリニックの開業はハードルが非常に高いと言えます。
開業後安定すれば、3,000万円から8,000万円以上の実質収入も目指せますが、損益分岐点越えまで時間がかかり、多額な運転資金を用意しなければいけないのも開業のデメリットです。
より高収入を狙える開業ですが、脳外科医が開業するには多額の開業資金が必要です。
資金調達には借入などの方法もありますが、万一を考えると厳しい選択でしょう。
まずは、開業資金を貯めるために高報酬の経営母体に転職するのがおすすめです。 あわせて読みたい
脳神経外科医として転職する際の3つのチェックポイント
ここからは、脳神経外科医の転職でチェックしておきたいポイントを3つご紹介します。
1.ワークライフバランスを保ちやすい環境か
脳神経外科医の仕事は、オンコール対応が多いのが特徴です。
緊急対応の多さが与える影響として、お休みの取りづらさも挙げられるでしょう。
ワークライフバランスを良好に保つことに重きを置くのであれば、転職先でのオンコールの頻度や当直回数をチェックしておくことが大切です。
また、休暇が取りやすいかどうかもリサーチしておくことをおすすめします。
体力や気力的に仕事がきついと感じている場合は、転職先として重症例を扱わないクリニックを選ぶのも1つの選択肢です。 あわせて読みたい
神経疾患を専門とするクリニックや、脳ドック、リハビリテーション専門など、幅広い選択肢があります。
2.スキルアップを目指せる環境か
転職理由としてスキルアップを掲げる場合は、大学病院や脳神経外科に力を入れている急性期病院などの環境を選ぶのがいいでしょう。
自分が伸ばしたいスキルに合った症例が診られるかどうかや、設備や機材はどんなものがあるかを確認しましょう。
また、転職先に所属する医師の数や指導医の有無などもチェックポイントです。 あわせて読みたい
医師数が多い病院では、手術を経験する回数が思ったように増やせないケースもありますし、指導体制が整っていないところでは、効率よく学びを進めることが難しくなります。
3.他科との連携体制は良好か
脳神経外科での治療は、手術や外傷対応といった緊急性が高いものから、投薬やリハビリなどの長期的なものまで幅広い対応が求められます。 あわせて読みたい
仕事をスムーズに進めていく上で欠かせないのが、病院内のスタッフや他の診療科との連携です。
看護師や放射線技師、理学療法士や作業療法士と協力しながら治療を進めていくため、病院内での連携体制は知っておいたほうが安心です。
手術に必要な麻酔科医師との連携や、救急対応をする病院であれば救急科とのリレーションの取り方などを確認しておきましょう。
医師専門の転職エージェントなら「メッドアイ」
医師が転職を考える理由はさまざまですが、どんな理由の転職でも大事になってくるのが、転職先を探す際の情報収集です。
ワークライフバランスを重要視するために転職を考えるのであれば、当直やオンコールが許容範囲の回数かどうかや、休暇の取りやすさ、福利厚生の充実度などが主なチェックポイントになります。
スキルアップを目指した転職の場合は、患者数や診られる症例の種類、手術に使う器具や機械の種類、それに教育体制などをチェックするのが大事です。
こうした情報は、求人情報だけでは把握しきれない場合もあります。 あわせて読みたい
そこでおすすめしたいのが、転職エージェントの利用です。
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まとめ(脳神経外科医の平均年収)
高い技術力を持って患者に向き合う脳神経外科医はやりがいも大きく、年収も他の診療科より高い傾向があります。
その一方で、脳や神経などの緊急性が高い疾患に向き合う場面が増えることから、オンコール対応も多く、ハードワークになりがちなのも特徴です。
脳神経外科医としてどんなキャリアを歩んでいくかによって、最適な職場はどんなところなのかという条件が変わってきます。
キャリアプランを明確に描き、キャリア形成のために必要な環境は何かを把握しておくことが大事です。
今の職場環境で必要な条件が揃っていないと感じたら、転職を考えるのも1つの選択肢です。
転職活動では、転職先に求める条件が揃っているかを情報収集することが鍵となります。
医師専門の転職エージェント「メッドアイ」に相談し、しっかり情報を集めることが、転職に失敗するリスクを減らすことにつながります。