「医師の生涯年収の平均は?」
「医師の収入は仕事に見合ってるのか?」
「医師の年収アップの方法とは?」

医師として働く中で、「自分の年収は平均と比べてどうなのか」「生涯年収はどれくらいなのか」と疑問に思う方は少なくありません。
ここでは、勤務医の年収や生涯年収の実態について、転職市場に精通したプロの視点から解説します。
あわせて、他職種との生涯年収比較ランキングも紹介します。

勤務医の生涯年収は、平均で約4億6,800万円とされています。職業別で見ても上位に位置する高い水準ですが、収入が高い一方で、長時間労働や緊張度の高い業務が避けられず、必ずしも“割が良い”とは言えないのが実情です。

本文では、勤務医が生涯年収をさらに高めるための具体的な方法も解説します。今後のキャリアを考える際の判断材料として役立ててください。

医師の生涯年収の平均は4億6,800万円!

医師の生涯年収はどのくらいの水準でしょうか?
厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査によると、病院に勤務する勤務医の年収は平均1,338万円です。
年収額を26歳から60歳までの35年で計算すると生涯年収は約4億6,800万円になります。

なお、この金額は病院の規模や診療科別には分けていない平均値で、開業医は含まれていません。
診療科別では、以下の試算結果です。

診療科平均年収生涯年収(35年試算)
脳神経外科1,480万円5億1,800万円
産科・婦人科1,466万円5億1,310万円
外科1,374万円4億8,090万円
麻酔科1,335万円4億6,725万円
整形外科1,289万円4億5,115万円
呼吸器・消化器・循環器1,267万円4億4,345万円
内科1,247万円4億3,645万円
精神科1,230万円4億3,050万円
小児科1,220万円4億2,700万円
救急科1,215万円4億2,525万円
放射線科1,103万円3億8,605万円
眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科1,078万円3億7,730万円

*労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」を参考に試算

一般的な大卒の会社員の生涯年収は、男性で2億7千万円、女性で2億2千万円程度です。
(参照:労働政策研究・研修機構の「ユースフル労働統計」

会社員と比べると、同じ大卒でも生涯年収は倍近い違いがあることがわかります。



医師は職業別の生涯収入でトップクラス!

医師のほかにも、パイロットや歯科医師、大学教授など、いわゆる「高収入」とされる職業はいくつかあります。
生涯年収(35年換算)のデータを比較すると、以下のような結果になります。

職業生涯年収(35年試算)
航空機操縦士5億9,397万円
医師4億6,830万円
歯科医師3億9,743万円
大学教授(高専含む)3億8,266万円
管理的職業従事者3億2,102万円
その他の経営・金融・保険専門職業従事者3億1,613万円

参考:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」(企業規模10人以上 (きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額)×35年で計算)

この比較からわかるのは、最も高いのは航空機操縦士で、医師はそれに次ぐ水準という点です。
医師は他の多くの専門職よりも高い年収帯に位置しており、依然として「高収入の代表的な職業」であることが確認できます。

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医師は割に合わないといわれる理由は?

「医師は高収入」であることは各種データでもわかり、生涯年収が高い職業であることがわかりました。
しかし、実際は、勤務医を中心に「割に合わない」と感じている医師も多いのが実情です。医師の収入の高さはハードワークとのトレードオフという側面があります。
また医師になるまでに、医学部や研修でかかった費用や労力が大きいというのもあるでしょう。

特に勤務医に見られる傾向で、当直やオンコールといった時間外対応や、人員不足による超過勤務が当たり前になっています。
常に自身のスキルをアップデートしながら、命を扱う責任の重さに立ち向かうストレスも計り知れません。

「勤務医が割に合わない」と言われる状態は、手取り額の低さも原因です。
給与の総支給額が高いと、所得税や住民税、社会保険料なども高額になります。
こうした租税公課額は生涯収入の2割ほどを占め、生涯収入が4.8億円であれば9,600万円程度かかる計算です。

生涯年収が高い医師に共通する5つの特徴

同じ勤務医でも、生涯年収には大きな差が生まれます。

ここでは、長期的に高い収入を維持しやすい医師に共通する特徴を整理します。生涯年収を左右する要因を理解しておくと、今後のキャリア戦略にも活かせます。

1. 専門医資格を取得している

専門医の有無は、年収に直結する最も大きな要因の一つです。
専門医を持つ医師は、以下の理由から総じて高い年収を得やすくなります。

  • 市中病院での採用ニーズが高い
  • 役職やリーダーポジションに就きやすい
  • 高収入のスポット・非常勤案件にアサインされやすい

特に「麻酔科」「産婦人科」「放射線科」などは、専門医の価値が年収に反映されやすい傾向があります。

2. 急性期病院や民間病院で勤務している

勤務先の種類は、生涯年収に大きく影響します。
最も年収が高い傾向にあるのは、以下のような医療機関です。

  • 一般急性期病院
  • 民間の地域中核病院
  • 医療法人の大規模病院

反対に、大学病院は給与水準が低いケースが多く、長く在籍すると生涯年収が大きく下がります。

3. 管理職(医長・部長)として勤務する

役職に就くと、手当や基本給が増えるため、生涯年収に大きな差が出ます。

  • 医長になると年収+100~200万円
  • 部長クラスでさらに年収アップ
  • 役職になると転職市場での評価も高まる

キャリア後半の年収に最も影響するのが役職経験といっても過言ではありません。

4. 当直・救急対応の回数が安定している

当直手当・夜勤手当は、年間で見ると大きな収入源です。

  • 1回あたり3~8万円
  • 月4回で年間150~300万円差
  • 病院によってはインセンティブが付く

体力的には負担がありますが、生涯年収を押し上げる要素としては非常に大きいです。

5. 副業(非常勤・スポット)を活用している

生涯年収を大きく伸ばす医師の多くは、アルバイト収入を併用しています。

  • 休日の外来や健診
  • 救急待機
  • スポット当直

週1回の非常勤だけで年間300~500万円の上乗せになるケースも珍しくありません。

医師が生涯年収を上げる3つの方法

医師が生涯年収を上げるためにはどうしたら良いのでしょうか?
節税や資産運用を積極的に行っているという方も中にはいます。
しかし、日々の業務が多い医師にとって、簡単な方法とは言えないでしょう。

節税や運用などでこの状況を回避する努力をする医師もいますが、収入をできるだけ上げることが有効な解決策です。

医師が生涯年収を上げるには、下記の3つの方法があります。

  1. 開業する
  2. アルバイトをする
  3. 転職する

それぞれを詳しく紹介します。

①開業医になる

開業医として成功すれば、平均年収を約1.5〜3倍に増やすことが可能です。
開業の準備には多大な労力を伴いますが、きちんと戦略を立てて開業すれば成功に近づくでしょう。
将来的に開業を目指している勤務医は少なくありません。

開業に必要なのは医師としてのスキルだけではありません。
院長として経営を回していく能力も必要です。
また、集患や地域の他病院との連携など、ビジネスセンスも重要になってきます。

開業の準備は、資金集め以外でも数年かかることを覚悟しなくてはなりません。
場所の選定や物件探しから始まり、各種届出や設備の準備といった投資、それにスタッフ集めと、事前の準備には膨大な時間と手間がかかります。

開業までのステップを詳しくまとめた記事がありますので、参考にしてください。

なお、精神科など一部の診療科は、勤務医と開業医の収入差があまりないケースもあります。
どの診療科で開業するか慎重に検討することも重要なポイントです。

②アルバイトをする

手っ取り早く収入額をアップするために、アルバイトをしている医師は大勢います。
特に若手医師などは、まだ給料も低いため、アルバイト収入に頼っている人も少なくありません。
労働政策研究・研修機構の「勤務医の就労実態と意識に関する調査」では、2カ所以上に勤務する医師の割合は52.1%でした。
半数以上の医師がアルバイトや非常勤などで副収入を得ていることがわかります。

勤務先の数割合
1カ所47.9%
2カ所20.9%
3カ所以上31.2%

*労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」を参照し作成

アルバイトや非常勤をする理由も、医局人事などで対応している医師を除けば、ほぼ収入不足によるものでした。

アルバイトをする理由割合
収入を増やしたい48.1%
勤務先の指示のため36.5%
1つの勤務先だけでは生活自体が営めない34.4%
人員不足の病院からの要請33.4%

*労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」を参照し作成

例えば、週に1回8時間アルバイトに入れば、時給1万円なら月収で32万円、年間で384万円の収入増につながります。
当直バイトや非常勤をうまく掛け持ちすることで、年収を底上げできるのです。

③職場に不満があるなら転職がおすすめ

アルバイトで収入を補うのは、取り組みやすい方法です。
しかし、休日や勤務外の時間を使うことで当然疲れがたまり、休みも減ってしまうといったマイナス点もあります。
体力的にきついと感じることもあるかもしれません。

今の職場の給与額に納得がいかないのであれば、転職するというのも有効な解決方法です
医師にとって転職は珍しいことではありません。
医師の生涯転職回数は3〜5回と言われ、半数近くの医師が実際に転職経験を持っています。

転職の理由はさまざまですが、最もよく聞かれるのは以下の3つです。

  • 激務を解消したい
  • 収入を増やしたい
  • キャリアやスキルアップにつなげたい

今よりも待遇の良い病院に転職できれば、アルバイトを減らしたり、無くしたりすることができます。
体力的にも時間的にもゆとりが生まれるので、医師としてのスキルアップに時間を費やすこともできるでしょう。

医師に特化した転職エージェントをうまく活用すれば、自分の市場価値を把握することもできます。
転職を考えるなら、キャリアプランも含めて転職エージェント「メッドアイ」に相談してみるのがおすすめです。

まとめ(医師の生涯年収について)

医師の生涯年収は平均約4.7億円で、他の職業と比べても高収入であることは事実です。
しかし、高給であるがゆえに多額の所得税や住民税などの租税公課を支払うことになり、支払額が多くなります。
医師の高給は、命と向き合う責任の重さと、過重労働によるトレードオフのため、割に合わないと感じる人もいるでしょう。

医師が年収に見合った豊かさを享受するためには、節税や資産運用などの方法もあります。
しかし一番確実なのは、医師としてさらなる収入アップを目指すことです。

収入を増やす方法は、以下の3つです。

  • 開業する
  • アルバイトをする
  • 転職する

開業して成功すれば、生涯収入も大幅に上げることができます。
しかし、開業までのプロセスは並大抵のことではありません。
アルバイトも手っ取り早い収入アップ方法ですが、その分自分の時間を削らねばならず、体力的にもきついというマイナス面があります。

今よりも良い条件の病院に転職できれば、アルバイトを増やすことなく収入アップを目指すことができます。
収入額を含め、将来のキャリアプランを描くのは、医師にとって大切なことです。
医師のキャリアプランの重要性については、こちらの記事でも解説していますので参考にしてください。

収入アップを目指して転職を検討するのであれば、経験豊富な転職エージェント「メッドアイ」に相談するのが成功への近道です。
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