医師の常勤以外の働き方を調べると、「非常勤」と「嘱託医」という言葉を目にすることが多いでしょう。
一見似ているようですが、勤務形態や契約内容には違いがあります。では、嘱託医とは具体的にどのような働き方で、非常勤とはどう違うのでしょうか。
- 嘱託医の定義とは? 非常勤とは違うのか?
- 嘱託医に必要なスキルは?
- 嘱託医のメリット・デメリットは?
このように思っている方に向けて、プロの転職エージェントが嘱託医について解説します。求められるスキルや、嘱託医として働くメリット・デメリットなどもご紹介しますので、参考にしてください。
嘱託医とはどんな医師?非常勤医との違い

嘱託医とは、医療機関や介護施設、企業などにおいて、特定の業務を担うために期間を定めて勤務する医師を指します。
契約形態は雇用契約・業務委託契約のいずれの場合もあり、勤務日数や業務内容が限定されている点が特徴です。
なお、嘱託医には明確な法的定義はなく、非常勤医の一形態として扱われることもあります。
定年後の再雇用として嘱託医になるケースや、産業医・施設の配置医師として勤務するケースなど、働き方はさまざまです。
| 項目 | 嘱託医 | 非常勤医 |
|---|---|---|
| 定義 | 特定の施設・企業などと契約し、継続的に特定業務を担う医師 | 常勤以外の医師全般(広い概念) |
| 契約形態 | 雇用契約・業務委託契約などさまざま | 雇用契約が多いが、業務委託の場合もある |
| 勤務形態 | 定期的な訪問・継続契約が多い | シフト勤務・スポット勤務など多様 |
| 勤務先 | 介護施設・企業・学校などが多い | 病院・クリニックが中心だが幅広い |
| 働き方 | 契約内容により柔軟な働き方が可能 | 勤務先や契約により働き方はさまざま |
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嘱託医が働く主な職場5つ
嘱託医が働く職場は、主に以下のような職場があります。
業務内容などについて見ていきましょう。
- 助産所
- 保育園・学校
- 一般企業(産業医)
- 生命保険会社
- 高齢者向けの施設
助産所
分娩を扱う助産院では、医療法に基づき嘱託医を配置することが必要です。
助産所は分娩時の異常に対応できる人員を確保する目的で、嘱託医・嘱託医療機関を定めなければいけません。
その他、嘱託医は助産所と連携を取り妊婦健診や診察、新生児のケアや保健指導などに従事します。
保育園・学校
保育園や学校の嘱託医は、入園・入学前健診や日常の健康管理、発達を含む健康相談などに従事します。
また、食中毒やインフルエンザなど感染症への対策などを行い、子どもたちが健康に生活できるようサポートします。
一般企業(産業医)
一般企業に勤務し労働者の健康を守るのが産業医の仕事です。
専属産業医として勤務する場合もありますが、企業の規模によっては嘱託産業医として業務に従事します。
嘱託産業医の多くは普段病院などで医師として働いていますが、複数の企業をかけもちしている医師もいます。 あわせて読みたい
生命保険会社
生命保険会社の審査は生命保険会社の社員である「社医」の他、委託された嘱託医が行う場合もあります。
このような業務を行う医師が「診査医」です。
生命保険に加入する際には現在の健康状態の他、職業や過去の傷病歴などを診査医に告げ、告知書を作成します。 あわせて読みたい
高齢者向けの施設
高齢者施設などでも嘱託医の需要が高まっています。
1つの施設に常勤するのではなくあらかじめ決められた曜日などに訪問し、利用者の健康をサポートするのが主な仕事です。
嘱託産業医同様、複数の施設をかけもちすることも少なくありません。 あわせて読みたい
嘱託医の働き方と年収の目安
嘱託医の働き方は、週1日〜数日の勤務が中心で、特定の曜日や時間帯に施設や企業を訪問し、健康管理や診療を行うケースが一般的です。常勤のように毎日勤務する必要はなく、本業の合間に副業として従事する医師も多く見られます。
また、1つの勤務先に限定せず、複数の施設や企業と契約し、曜日ごとに掛け持ちする働き方も可能です。そのため、自身のスケジュールに合わせて柔軟に働きやすい点が特徴です。
年収は勤務日数や契約内容によって大きく異なりますが、1件あたりの報酬は数万円〜数十万円程度となることが多く、複数の契約を組み合わせることで収入を伸ばすことも可能です。 あわせて読みたい
ただし、業務委託契約の場合は社会保険や税務処理を自身で対応する必要があるため、手取りベースでの収入や働き方全体のバランスを考慮することが重要です。
嘱託医に求められるスキルは?
企業や施設にとって身近な存在である嘱託医には総合的な診療が求められますが、基本的には内科の知識が不可欠です。
高齢者では風邪などの軽い症状が重篤な疾患につながる可能性もあるため、細やかな健康観察が求められます。
一方働き盛り世代が多くいる企業などでは、生活習慣病の早期発見や改善を重視する必要がある他、ストレスマネジメントやメンタルケアなども重要です。
また、適切に専門医へ引き継げる体制づくりも嘱託医の仕事のひとつであると言えるでしょう。 あわせて読みたい
嘱託医は限られた勤務日数で健康管理を任されるため、自律的に業務を進められる判断力や、関係者と円滑に連携できるコミュニケーション力も重要です。
嘱託医のメリット

嘱託医の最大のメリットは、勤務時間やスケジュールの自由度が高い点です。
週1日〜数日の勤務が中心となるため、本業の合間に収入を増やしたい医師や、家庭との両立を重視したい医師にとって、無理のない働き方が可能です。
また、特定の施設や企業と継続的に関わる働き方であるため、スポット勤務と比べて業務内容を把握しやすく、落ち着いて業務に取り組みやすい点も特徴です。
さらに、複数の施設や企業を掛け持ちすることで収入源を分散できるため、特定の勤務先に依存しない働き方ができる点もメリットといえるでしょう。
加えて、医療機関とは異なる環境で働くことで、介護・産業保健・学校保健など幅広い分野に関わることができ、医師としての経験や視野を広げることにもつながります。 あわせて読みたい
嘱託医のデメリット
自分でスケジュール管理をしなければならないことや、あちこち違う勤務先に出向かなければならないことが苦になる場合、嘱託医として働くことはデメリットとなる可能性があります。
また嘱託医は決められた時間の中で利用者の様子を把握しなければいけません。
業務を効率良く進める策をあらかじめ講じておかなければ、限られた時間の中ですべてを把握しきれない可能性も出てくるでしょう。
その他業務委託契約をしている嘱託医では、社会保険の負担や確定申告の手間がかかるという点もデメリットであると言えます。 あわせて読みたい
嘱託医に向いている医師とは?
嘱託医として働くには、限られた勤務時間の中で多様な業務をこなす柔軟性と自己管理能力が求められます。
そのため、スケジュールを自分で組み立てながら働きたい医師や、効率的に業務を進めるのが得意な医師に向いている働き方です。
また、嘱託医は複数の施設や企業をかけもちするケースも多く、職場ごとに求められる役割や雰囲気も異なります。
そのため、新しい環境にスムーズに適応できる柔軟性や、他職種と円滑に連携を取れるコミュニケーション力も重要です。
さらに、嘱託医は診療のほか健康管理や予防医学的なアドバイスを担う場面も多く、内科的な知識や健康教育への関心が高い医師にも適しています。 あわせて読みたい
臨床現場の最前線で診療を続けたいというよりも、医師としての経験を活かしながら無理のないペースで働きたい方にとって、嘱託医は理想的な選択肢といえるでしょう。
嘱託医として働く2つのパターン
嘱託医として働くとなった場合、主に以下のようなパターンが考えられます。
- 非常勤と嘱託医をかけもち
- 嘱託医を複数かけもち
それぞれのケースについてご紹介します。
非常勤と嘱託医をかけもち
普段は病院などで週に数日非常勤医として働き、それ以外の日に嘱託医として活動している医師も多くいます。
嘱託医はあらかじめ勤務する曜日や勤務時間が決められています。
その点がデメリットとも言えますが、日程がうまく合わせられれば非常勤とのかけもちも可能です。
安定した働き方ができる非常勤医と嘱託医をかけもつことで収入アップも期待できるでしょう。
非常勤としての働き方について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。 あわせて読みたい
嘱託医を複数かけもち
自分のスケジュールに合わせ、複数の場所で嘱託医として働く方法もあります。 あわせて読みたい
嘱託医の多くは週1日~数日の勤務となることが多いため、出勤日が異なる曜日の施設を数か所かけもちすることは可能です。
このような働き方を希望する場合、多くの職場を比較・検討し選択する必要があります。
失敗しないためには転職エージェントに相談するのもおすすめです。
まとめ(嘱託医とは)
嘱託医には明確な定義はありませんが、医療機関や企業などから委託を受けて働く医師のことを指します。
企業で働く労働者の健康をサポートする「産業医」をはじめ、さまざまな場所で嘱託医が活躍しています。
嘱託医は、業務を限られた日数および時間内に終えなければならない大変さや業務委託契約に関わる社会保険などの負担はありますが、複数の勤務先をかけもつことで医師としての経験や知識の幅を広げられるでしょう。
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