高い年収のイメージがある医師ですが、勤務医の平均年収は診療科や勤務先によってどの程度違うのでしょうか。
- 診療科別の平均年収は?
- 公立病院や市民病院、クリニックなど、勤務先によってどのくらい差があるのか?
- 年齢や性別、都道府県別の平均年収は?
このような疑問を持っている方に向けて、プロの転職エージェントが詳しく解説します。また、外科系・内科系診療科の年収ランキングやスポーツドクターの年収も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
医師の平均年収は1,338万円
厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、医師全体の平均年収は1,338万円です。
1)診療科別の平均年収は?
診療科によって、平均年収はどのくらい異なるのでしょうか。比較してみましょう。
主な診療科別のランキング
以下は、労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」を元に作成したランキング表です。
順位 | 診療科 | 平均年収 |
---|---|---|
1 | 脳神経外科 | 1,480万円 |
2 | 産科・婦人科 | 1,466万円 |
3 | 外科 | 1,374万円 |
4 | 麻酔科 | 1,335万円 |
5 | 整形外科 | 1,289万円 |
6 | 呼吸器科・消化器科・循環器科 | 1,267万円 |
7 | 内科 | 1,247万円 |
8 | 精神科 | 1,230万円 |
9 | 小児科 | 1,220万円 |
10 | 救急科 | 1,215万円 |
11 | その他 | 1,171万円 |
12 | 放射線科 | 1,103万円 |
13 | 眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科 | 1,078万円 |
引用:労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査(2012年/PDF P.149)」
トップ3は、1位脳神経外科1,480万円、2位産科・婦人科1,466万円、3位外科1,374万円です。 あわせて読みたい
上位3つの診療科は、命に関わる疾患を扱うため、高度なスキルが求められることが共通しています。また、時間外労働やオンコール対応なども他診療科より多いことも平均年収が高い要因になっていると考えられます。
外科系の診療科のランキング
以下は、外科系科目の年収中央値のランキング表です。
順位 | 科目 | 年収中央値 |
---|---|---|
1 | 美容外科 | 2,200万円 |
2 | 血管外科 | 1,791万円 |
3 | 整形外科 | 1,758万円 |
4 | 外科 | 1,688万円 |
5 | 心臓血管外科 | 1,635万円 |
6 | 消化器外科 | 1,620万円 |
7 | 脳神経外科・呼吸器科 | 1,600万円 |
9 | 小児外科 | 1,500万円 |
10 | 乳腺・内分泌科 | 1,320万円 |
11 | 形成外科 | 1,300万円 |
データ引用:民間医局
上位3位は、1位美容外科2,200万円、2位血管外科1,791万円、3位整形外科1,758万円です。
美容外科は自由診療で、医師の実績が給与に反映されやすい診療科です。そのため、他の外科系と比較して群を抜いて中央値が高い傾向にあります。
外科系の年収が高い要因の一つに、外科医が需要に対し全国的に不足しているためだと考えられます。
また、外科医は内科と比べて緊急性が高い疾患を扱うことが多く、長時間勤務やオンコール対応が多いことも年収が高い要因だといえるでしょう。 あわせて読みたい
内科系の診療科のランキング
以下は、内科系科目の年収中央値のランキング表です。
順位 | 科目 | 年収中央値 |
---|---|---|
1 | 循環器内科 | 1,601万円 |
2 | 透析科 | 1,600万円 |
3 | 呼吸器内科 | 1,573万円 |
4 | 腫瘍内科 | 1,550万円 |
5 | 内科・訪問医療 | 1,500万円 |
7 | 神経内科 | 1,472万円 |
8 | 消化器内科 | 1,400万円 |
9 | 血液内科 | 1,397万円 |
10 | 総合診療科 | 1,351万円 |
11 | 糖尿病科 | 1,320万円 |
12 | 腎臓科 | 1,265万円 |
13 | 健康診断 | 1,100万円 |
データ引用:民間医局
上位3位は、1位循環器内科1,601万円、2位透析科1,600万円、3位呼吸器内科1,573万円です。
循環器内科は、救急患者に対するカテーテル治療などで24時間体制の勤務が多い診療科のため、内科系の中で年収が高い傾向にあります。
透析科や呼吸器内科は、超高齢化社会で需要がある一方、専門医が少ないため年収が高い傾向にあるようです。
外科医と同じく全国的に需要がある内科医ですが、緊急手術のある外科と比べ長時間労働が少ないため、外科よりも年収が低い結果となりました。 あわせて読みたい
2)年齢別の平均年収は?
以下は、厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」を元に作成した年齢別平均年収の表です。
年齢 | 男性平均年収 | 女性平均年収 |
---|---|---|
30〜34歳 | 931万円 | 747万円 |
35〜39歳 | 1,226万円 | 1,522万円 |
40〜44歳 | 1,502万円 | 1,000万円 |
45〜49歳 | 1,934万円 | 1,291万円 |
50〜54歳 | 1,872万円 | 1,452万円 |
55〜59歳 | 2,013万円 | 1,569万円 |
60〜64歳 | 1,933万円 | 1,541万円 |
65〜69歳 | 1,866万円 | 761万円 |
70歳〜 | 1,560万円 | 1,455万円 |
参考:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」(職種「医師」企業規模10人以上・きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額で計算)
上の表から、もっとも平均年収が高い年代は55歳〜59歳で、男性は2,013万円、女性は1,569万円です。
30代前半は医師としての成長期であるため、年収は比較的低めに推移していますが、35歳を超えると経験やスキルが積み重なることで年収は上昇傾向にあります。
特に45歳〜54歳では男女ともに大幅に年収が上がり、その後も55歳〜59歳でピークに達したあと、60代以降は徐々に減少傾向が見られます。
3)男女別の平均年収は?
厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」では、男女別の平均年収は以下のような結果になりました。
男性医師 | 女性医師 |
---|---|
1,449万円 | 1,039万円 |
医師の収入は、男女差はないと言われていますが、女性医師の平均年収は男性医師より低い傾向にあります。 あわせて読みたい
女性医師は出産・育児といったライフイベントがある他、年収が低い傾向にある皮膚科や眼科勤務が多いことが、年収が低い要因として考えられます。
4)経営母体別の平均年収は?
以下の表は、厚生労働省「第24回医療経済実態調査 (医療機関等調査) 報告」のデータに基づき作成したものです。
経営母体 | 病院長の平均年収 | 医師の平均年収 |
---|---|---|
国立 | 1,908万円 | 1,410万円 |
公立 | 2,088万円 | 1,455万円 |
公的 | 2,242万円 | 1,451万円 |
社会保険関係法人 | 2,059万円 | 1,282万円 |
医療法人(民間) | 3,021万円 | 1,498万円 |
その他(学校法人等) | 2,368万円 | 1,463万円 |
病院の経営母体によっても、医師の平均年収には大きな違いがあります。
もっとも高いのは医療法人(民間)で1,498万円、次いでその他(学校法人等)1,463万円、公立1,455万円、公的1,451万円となっています。一方で、社会保険関係法人は1,282万円と低めの水準でした。
また、病院長の平均年収に注目すると、医療法人(民間)が3,021万円と突出して高く、国立(1,908万円)や公立(2,088万円)と比べても大きな差があります。
このように、勤務医の年収は診療科や経験年数だけでなく、勤務先の経営母体によっても大きく左右されるといえるでしょう。現在より高収入を目指したい場合は、給与水準が高い医療法人や公的法人など、待遇のよい経営母体への転職を検討するのも一つの方法です。 あわせて読みたい
5)勤務地別の平均年収は?
順位 | 都道府県 | 平均年収 |
---|---|---|
1 | 岩手県 | 2,474.64万円 |
2 | 北海道 | 1,923.2万円 |
3 | 鹿児島県 | 1,899.7万円 |
4 | 福島県 | 1,880.14万円 |
5 | 青森県 | 1,858.65万円 |
上は、厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」を元に作成した、都道府県別の平均年収ランキング表(上位5県)です。
一般的には都市部の年収は地方より高い傾向にありますが、医師の場合は地方の年収が高い傾向です。
医師偏在によって地方は医師不足にあります。そのため、地方の医療機関が医師確保のために高い報酬を提示していることが地方の年収が高い要因として考えられます。 あわせて読みたい
ランキングに載っていない診療科の年収を知りたい時は?
本記事でも診療科別の平均年収ランキングを紹介していますが、ランキングに載っていないほかの科目の年収を知りたい場合は、どうすればよいのでしょうか。
病理医の年収が知りたい
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」によると、医師の平均年収は1,440万円です。 あわせて読みたい
病理医について詳しくは、こちらの記事で紹介しているのでぜひ参考にしてください。
スポーツドクターの年収が知りたい
アスリートの健康管理や、スポーツが原因の怪我や障害の治療に当たるスポーツドクターは、整形外科医が多く、その年収は1,289万円です。 あわせて読みたい
スポーツドクターについて、こちらの記事で詳しく紹介していますのでぜひご覧ください。
産業医の年収が知りたい
労働者が健康で安全に働けるように企業で働く産業医の年収は、契約する企業によってさまざまです。大企業の専属産業医であれば勤務医と同等または近い年収を得られ、嘱託産業医であればスポット勤務のような収入です。 あわせて読みたい
産業医について詳しくは、こちらの記事で紹介しているのでぜひ参考にしてください。
その他の診療科について知りたい
医師には、さまざまな診療科があり、中にはネット上に情報が少なく、自分で調べるには難しい診療科もあります。
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まとめ(医者の診療科別の年収)
厚生労働省のデータによると、医師の平均年収は1,338万円です。
全診療科の年収ランキングトップ3は、1位脳神経外科1,480万円、2位産科・婦人科1,466万円、3位外科1,374万円です。
共通点は、専門知識が必要でかつ長時間労働やオンコール対応が多い診療科であると考えられます。
医師は、男女で収入に差はないと言われていますが、女性の年収は男性よりも低い傾向にあるようです。要因として、女性ならではのライフイベントや、女性医師が多く働いている皮膚科や眼科の平均年収が低い傾向にあることがあげられます。
また、医師の年収は働く地域や医療機関の種類でも大きく異なります。
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